陽炎の夏、大学の単位もそっちのけで喫茶店で日銭を稼いでた。
 下宿から見える善福寺ヘドロ川にうんざり。街角の騒音が何ホンだなんてのも僕には関係ない話。
 光化学スモッグの街を抜け出して、真っ青な水平線が見たくて、ただ快速と鈍行を乗り継いだ。
 辿り着いたのは房総地方のとある駅。もうひとつ、時刻表で見つけた名も無いような路線に乗り継ぐ。
 
 「ゲバ棒三里塚の喧騒とはまるで無縁だな……」
 
 そこは錆付いたレールが海辺へ続く、ほんのちっぽけな小私鉄。
 新宿駅西口でフォークギターを弾くだけが青春じゃないんだぜ?
 僕は更に水平線を目指す事にした。
 【1】ボロ電車の塒(ねぐら)
 【3】海原へ続く轍(わだち)
 【4】電車待ちのいとまに
 【5】終着駅、汐津町
 【 汐津町線追憶 】
 【2】吊り革ゆらゆらボロ電車
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