【3】海原へ続く轍(わだち)
 
 なだらかな丘の向こうから吹く潮風は絶える事を知らない。
 海原へ続く鉄の轍(わだち)もすっかり風化し、さながら廃線路の様相だ。
 
 「この轍は未だ生きているのだ」
 
 そう云わんばかりに、海行きの電車が駆け上って行く。
 もし、隣の街道がアスファルト敷きになったなら、
 この健気な線路にゃ誰も見向きしなくなるだろうに。
 キミが自動車の洪水に溺れていった都電の二の舞にならないよう祈る。
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