【5】終着駅、汐津町
 
 駅前の雑貨屋で冷たい「ペプシ」を開ける。
 カラメルと炭酸の絶妙な配分がたまらなく好きだ。
 欲をいえば、これに「シスコーン」があったら、何も言うことはない。
 
 僕は電車線沿いの防波堤を歩きながら、
 はしだなんとかとクライマックスの「花嫁」を調子外れに口ずさんでいた。
 それはこの街の穏やかな雰囲気が、
 歌詞に出てくる海辺の街と重なったから……だと思う。
 
 遠くの段丘から蜩(ひぐらし)の声が聞こえてくる。
 
 さて、そろそろ陽が傾く前にスモッグのTOKYOへ帰ろうか、
 ベルボトムにTシャツじゃ、ちょっと寒いかも知れないから。
 
 FIN
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