我が家の断熱リフォーム
構成   モノつくり畑ホーム第一章                       8289
一章 二章 三章 四章 五章 六章 総括
第一章     準備

プロローグ

 私は2007年の夏に、死にかかるほどの大病をした。発病以降、何回か危機的な状況を乗り切り、病院は何度か変わったが、翌年の3月に退院した。その間、いつ神様の元へ行くことになるか判らない状況の病床で、 「娘が湯たんぽでやけどを負った」と聞かされた。

 家内に「工務店に家の断熱工事を依頼するように」と、頼んだが、主人が死ぬかもしれない状況で家内は工事をすることがためらわれたようだった。

 幸運にも、すぐには死なない状態まで回復して退院できた。この先にどれ位生きていられるかは不明だが、生きているうちに家の断熱工事をしておきたいと考えた。

建築後の心残り

 現在の家は、1994年に建売木造住宅を購入したものだ。当時、限度までの借金をしてやっと手に入れた。断熱材は公庫の最低基準である、50_の断熱材が壁と屋根の下の天井裏に入っているだけであり、 公団のコンクリート造りの団地から引っ越した私たちにとっては、冬は寒く、夏は日中の二階では、暑くて居られないと感じられた。

 私は図書館に通って断熱の知識を得ようとした。本には二重ガラスの事や、断熱ドアや太陽光を利用した住宅が紹介されていた。いつの日かは、このような仕様の住宅に住みたいと考えた。そのころには、新たに二重窓が公庫の基準になっていた。
 費用がかからずに簡単に出来ることは実行した。とりあえず天井裏の断熱材を100_に変えてみた。取り外した古い断熱材は1階の天井裏などに入れた。また、1階の和室の寒さ対策として床下の表面の土を50_ほど取り除き、 砂利を敷きその上に発泡系の断熱材をはりつめた。その結果、2階の夏の暑さはわずかだが和らぎ、1階和室の寒さも何とか耐えられる程になった。

これらの改善の実施は建築後3年位の時であった。しかしこの程度の改善では、快適というには程遠い状況だった。

断熱住宅に改築するという夢を抱きながら十数年が経過した。

2009年10月
配られたDVDがリフォームを決心させる

 二軒隣のお宅が外壁リフォームをすることになり隣近所にチラシとDVDが配られた。大病して仕事へ復帰して一年数ヶ月の定年が迫っていた時だった。

早速、DVDを再生してみた。

 屋根と外壁のそれぞれ、リフォームの方法と利点が紹介されていた。その中で、外壁のリフォーム方法が気に入った。天然の御影石、または、焼き上げたタイルを鉄鋼板に貼りつけた外壁材を既存の壁の上に取り付けるというものであった。 一度、国際展示場のリフォーム展で紹介されていた外壁を窯業系のサイディングで囲う工法を検討したことがあった。さらに耐久性がよさそうなタイルか御影石を貼り付け、 下地の鋼板の内面にウレタンの断熱材の効果で断熱性が高まり、重量も窯業系より軽くなっており良い事ずくめと思った。

あとでわかったことだが、大きな見落としがあった。

11月初旬
限られた予算で可能か?

 私たちの家を建てた工務店さんが、近所でリフォームの展示会を開催していた。会場を訪ねて断熱化のために外壁と窓ガラスの交換を計画している事を告げた。其の時には近所で実施中の外壁リフォームの方法が気に入っている事と、リフォーム業者の費用がチラシを見ると壁で 約 200万円と言うので工務店さんには150万円でできないかとたずねた。「リフォーム業者だと、実際に見積もれば300万円は超えるのでは?」との答えだった。
このときは信じられなかったのだが、この価格予想が見事に的中したのだった。窓の改装の予算は50万円を予定しているとも伝えた。

 もし、病気が再発したら大金が必要になるのが明らかなので、病気のせいで満額をもらえなかった退職金は、できるだけ残しておきたい。

 世間では住宅版のエコポイントが来年から始まることが話題になっていた。リフォームには少なからず追い風が吹き始めた。

12月初旬
高まる期待

 ご近所で工事をしているリフォーム専門業者さんのショールームを家内と共に訪ねた。年内に発注すれば材料代を半額にするとのことであった。外壁の断熱工事と二重窓(ペアガラス)への交換工事の見積もりを依頼した。

 ご近所の出来栄えが外部から見る限りよさそうだったので候補の業者にしたのである。そのお宅の着工前に配られたチラシには、25坪の家の外壁工事が全部込みで208万円と記載されていたので、それくらいの額で憧れのタイル作り に改装可能であれば是非やりたいとの思いが強かった。

 数日後にその業者さんから改装後の予想写真が届いて、ますます工事をしてもらいたいと思った。

12月16日
窓の採寸  ポイント 一覧表が役に立つ!

 窓を断熱化するために、家のそれぞれの窓の寸法を測定して、一覧表にした。それをメールで発信してホームページを掲載している3社の建具屋さんに工事費の見積を依頼した。

その内の1社は都内の業者さん、残りの2社は市内の業者さん。

一覧表の例
(窓の仕様)

番号

部位

H

W

総枚数

現状

目的

改装案

新枚数

1

リビング出窓

1200

1800

4

正面引き違い・せり出し部ガラスあり

遮光・断熱・防音

窓窓PB20(Low-E)

2

2

リビング

2300

1800

4

ランマ付き引き違い

遮光・断熱・防音

窓窓PB20(Low-E)

2

3

リビング

2300

1800

4

ランマ付き引き違い

遮光・断熱・防音

窓窓PB20(Low-E)

2

4

和室引き違い

2200

1800

4

ランマ付き引き違い

遮光・断熱

ペアプラス スリムSUB3-AR5-FL3

2

5

和室出窓

1400

1800

2

引き違い

遮光・断熱

ペアプラス スリムSUB3-AR5-FL3

2

6

玄関ホール

1200

800

2

上げ下げ

断熱・防音

インプラス(透明普通ペア)

2

7

1Fトイレ

600

900

2

引き違いスリガラス

断熱・防音

インプラス(透明普通ペア)

2

8

台所勝手口*変更

730

500

2

上下引き違いスリガラス

遮光・断熱・防音・防犯(*)

ペアプラス スリムSUB3-AR4-F4

2

9

台所

750

1800

2

引き違い

遮光・断熱・防音

ペアプラス スリムSUB3-AR5-FL3

2

10

和室出窓

1400

1800

2

引き違い

遮光・断熱

ペアプラス スリムSUB3-AR5-FL3

2

11

和室引き違い

1750

1800

2

引き違い

断熱

ペアプラス スリムSUB3-AR5-FL3

2

12

洋間2

1200

1800

2

引き違い

断熱・防音

窓窓PB20(Low-E)

2

13

洋間1

1200

1800

2

引き違い

断熱・防音

窓窓PB20(Low-E)

2

14

洋間1出窓

1200

1800

4

正面引き違い・せり出し部ガラスあり

遮光・断熱・防音

窓窓PB2(Low-E)

2

15

階段室

1200

1800

2

引き違いスリガラス

断熱・防音

インプラス(透明普通ペア)

2

16

2Fトイレ

900

900

2

引き違いスリガラス

断熱

インプラス(透明普通ペア)

2

17

浴室

1400

1800

3

FIX+ジャロジー

断熱・防音

インプラス(透明普通ペア)

2

12月18日
裏切られた期待

 見積もりを依頼していたリフォーム専門業者を家内と共に訪ねた。その場で渡された見積書には総額で573万円の金額が記載されていた。チラシの208万円位を考えていた私たちは驚いた。その事を話すと「それは、壁の少ない、築20年位の家屋がチラシの対象だ。」 と訳が判らない言い訳が返ってきた。

 材料代を半額にする話とチラシの言葉に踊らされた事を悟った。私たちは早々に帰宅した。

 近場の建具屋さんから見積もり書が届いた。また、内窓やガラスの種類を変えた場合の費用の一覧表をくれた。

12月18日の夜
二重ガラスにもさまざまな種類

 都内の建具屋さんから見積もりがメールにて送付された。真空の二重ガラスへの交換費用と一緒にLow--Eペアと普通のペアガラスの見積もりを加えて送って下さった。ペアガラスの中には網戸と干渉する場合がある事、 真空の二重ガラスは値段が高額な事と、 それよりも若干安いペアガラスの存在を知った。

12月22日
Low-Eガラスの実力と出窓断熱    Low-Eペアグラスとは?

 近場の建具屋さんが寸法を測定にきてくれた。私は、家のそれぞれの窓の寸法を測定してメールで発信して見積もりをお願いしていた。その業者さんは「現場を見たほうがよい。」とのご意見で来宅することになった。

 寸法を測定する前に、まず改装する目的を訊かれた。これが非常に重要であった。

真空ガラスの見本とLow-Eペアグラス(商品名)の見本も持参していただきそれぞれの特徴を教えていただいた。

Low-Eペアグラスは太陽にかざすと熱線が遮られるのが感じられた。

また、出窓部分は二重ガラスにしても断熱性能が悪いので内窓を薦められた。交換しても効果が限られているというのだ。  ポイント 出窓は断熱性能が弱い その後、数日間は各窓の断熱方法について検討することにした。

再検討の末、一覧表を修正した。

2010年1月13日
窓診断

見積もりを依頼していた、市内のもう一軒の建具屋さんからYKKの窓診断を受けないかとお誘いがあったので、来宅していただいた。診断は今月から始まったので測定器具がまだそろっていないといわれたが、 それを納得した上でのことだった。

診断用の機器が揃っていなかったこともあり、結果はあまり得るところはなかった。

1月15日
工務店との初回打ち合わせ

 家をたてた工務店に家内と出向き話を聞いた。

 当初は既存のモルタル壁の表面に重量が最も軽い金属サイディングを貼り付けようと計画したが、耐震性を考慮して剥がしてから貼り付けることにするとの話であった。後日、これが正解であったのを思い知ることになる。

見積もり費用は壁工事、雨どいの交換、最小限の塗装工事と足場で、総額250万円弱であった。耐震補強の金具も取り付けるとのことであり工事を依頼することにした。

1月25日
サッシの交換

 近くの建具屋さんに行き壁をはがすことになるのを伝えた。すると、「それなら、出窓のサッシそのものを取り替えるほうが良い」と勧められた。

サッシの交換になれば工務店に依頼することになり、その建具屋さんへの注文が減るにもかかわらず、サッシを交換したほうがより断熱効果が高くなると言うのだった。

仮に当日、注文したとしても、内窓と二重ガラスが納入されるのは来月の中旬になるとのこと。

そうであれば、寒さも峠を越えてしまう。予定を変更し、壁工事の後で窓の工事をすることとした。

2月6日
エコポイントの即時交換で当面の出費を減らす ポイント 住宅版エコポイント 便利な即時交換制度

エコポイントの概要がはっきりしてきた。即時交換という制度を利用すれば、支払額からエコポイント分の金額を差し引けることがわかった。即時交換ができるようにするには発注先を絞ったほうがやりやすそうだった。 こうすれば面倒なエコポイントの申請手続きをまぬがれると思った。

工務店から出て来た窓工事の見積書が、私の予想に反して建具屋さんの総額で安かった。これで、工務店へ窓工事を含めて全ての工事を依頼することにした。

玄関ドアも断熱タイプに取り替えることにした。インターネットで調べて、色々ある断熱ドア中で比較的価格が安いものを選定した。選定した製品で、最も安い価格よりも5000円ほど工務店が高かったが、 工事と共に発注することにした。工務店さんからは「ドアを支給した形で、工事のみでもかまわない」との事であったが、前もって、現金の支出が発生することや、責任の所在が不明確になるのを避けた。

 限られている予算を考慮して、出窓の交換を(出窓ユニットへの交換を)あきらめ、内窓を既存の出窓ユニットの内側に取り付けることにした。

現状浴室の窓は意匠的には見栄えが良いが、断熱化が困難なジャロジー付サッシを取外して二重ガラスのサッシに交換することにした。

元の浴室サッシ 元の玄関ドア
(元の玄関ドア) (元の浴室サッシ)

やっと仕様が固まったが、これからが勝負の始まりだった。

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