駄目な技術者の特徴は下記です。
●自分に都合の良い話しかしない
●ルール違反を気にしない
一方、出来る技術者は下記です。
○自分に不都合な話をする。
ある程度重要なところを任される技術者になると客観的に自信をみる能力が重要です。どんなプロジェクトでも終わってみると上手くいった部分と失敗した部分は必ず出てきます。そんな時に上手くいった部分しか言わない技術者は要注意です。逆に自分の失敗した部分をさらけ出せる人は、出来るだけ引き止めて置くべきです。実際、周りから評価される技術者は後者のタイプが多かったです。プロジェクトの最中でも表現しづらい進捗等の自己申告ではこの差が表れます。
例えば客観的にみて進捗が"70%"と思える状況で、駄目タイプは"80%"と良い数字で答えます。一方出来る人は"60%"とマネージャにとっては嫌な数字を答えます。実際、結果をみると60%というのは正しかったりするのです。出来る人は周りが気づかない10%について着目しているわけです。80%と答えた人には客観的な70%との間に10%分は足りない部分があるわけです。なので駄目タイプの技術者の”出来た!!”という言葉は大体話し半分で受け取られ、出来るタイプの技術者の”出来た!!”という言葉には安心感を伴います。
出来る技術者で自己申告に低い数字を出す人は、それだけ自信の問題点を把握しており、技術者としても常に能力の向上を図ります。ただ、このタイプには終点がないですね。能力が身につくと、それに対して新たな問題を発見します。その問題の対策のために次の能力の獲得というサイクルに入ります。
一方駄目な技術者は”私は実力がある”と言い切ってしまいます。自分で言い切る人はその状態に満足していて、自分自身に甘いので、その先向上する可能性が低い人です。実は私がそうでした。サラリーマン5年目過ぎたあたりで、色々な技術を身につけ、もはや学ぶ事は無いと思いました。しかし、高いレベルの技術者が集まったプロジェクトでの経験、さらにはシリコンバレーなどで世界の技術者達と張り合ってる(技術の最前線で)レベルの高い社内技術者との仕事、それを凌駕するような他社の技術者との交流で、上には上がいるもんだと気づきました。そして技術者というのはその職を離れるまで常に技術を向上出来る職種だと分かったのです。実力があるというのは他人が判断するもので、出来る人ほど自分の技術力の足りない部分が目につき実力があるとは思わないです。あえて言えば、他人と比較して、この人よりはこの技術に関しては上だと客観的・具体的に判断する程度です。
致命的にならない程度でもルール違反をする人は、駄目技術者のタイプにあてはまります。駄目技術者は自信に対して甘いので向上しません。他人が出来るのを見ても、駄目技術者自信の視野で捉えようとします。困ったときに安易な解決方法に走ってしまいがちです。例えば信号の命名ルールがあるとします。元々、短い信号名を書く人などは、慣れないうちはコーディングに時間が掛かってしまいます。同じようにやっている他の人のコーディングが早いときは、その人がルールを守っていないからだと勝手に解釈して安易に短い信号名でコーディングしてしまいます。結局、コーディングが早い出来る技術者はルールを守った上で早く終わるよう工夫をしているものです。つまり駄目技術者は、問題が発生したときに正面突破できるだけの実力を身につける事が出来ないです。一方出来る技術者は正面突破する力を獲得していきます。ルール違反を気にしない技術者は、まず駄目技術者と判断して良く、一見成果が出たりしますが、長いスパンでは結局成果が少ないです。サラリーマン時代の経験では、若い技術者であれば変わる可能性も結構高いですが、年配だと中々変われないです。そういう技術者と分かってもプロジェクトから外す訳にもいかず、なんとか上手くやるしか無いのですが。。
ここまで書いてきたのは技術者の見極め方で、プロジェクトの採用面接などで、これをやってしまうと落とされる人が多いんじゃないかと。。サラリーマン時代に私が面接官をした時は、自信の長所と短所および短所の対策を言えた人は将来性が高いと良い評価をつけてました。ただ他の面接官の評価が低く採用になりませんでした。理由は申告された短所だったので、面接というものはこんなもんかなぁと思ったものです。良いことばっかり言った方が採用される可能性は高いですね。
ちなみに欠点が無い技術者は稀にいます。天才タイプです。さらに天才の中でもすごい人がいます。駄目社員を”腐ったリンゴ”と表現する事があります。これと逆の特性を持つ”黄金のリンゴ”社員です。サラリーマン時代に私は運が良く数人の天才に出会えました。その中の一人は”黄金のリンゴ”タイプでした。真の天才という者はいるんだなぁと当時、思ったものです。私はその方と僅かな期間ですが一緒に仕事をして、駄目技術者から脱却できました。もっと長く一緒にやっていれば、世界でもトップから10%の技術者になれたかもと時々思うときがあります(^^!。私は能力に恵まれず、努力が全てのタイプなので、中々彼らの高みに辿り着けない技術者で終わってしまいましたが。
技術者の高みというものがあって、自分よりレベルの高い技術者が語った言葉の真意が、自分自身がそのレベルに達して初めて気づく事があります。しかもある日突然ふと気づくのです。”境地に達する”という言葉はこの事を言っているんだなと実感します。しかし気づいたときにはその技術者はもっと遥かな高みに上っています。不幸にもそれを実感出来ない職場に居る時もあります(^^!。スゴイ技術者と出会う稀な瞬間が来たら、その機を逃さないで、教えを請いましょう。変われるかもしれません。
(2012/11/29 記)
