最新鋭イージス艦あしがら就役
佐世保の基地機能いっそう強化


三菱長崎造船所で行われた「あしがら」の引き渡し式

 3月13日、三菱重工長崎造船所で最新鋭のイージス護衛艦「あしがら」の海上自衛隊への引き渡し式が行われました。赤星慶治・佐世保地方総監は、同型艦の「あたご」が起こした衝突事故について直接は触れませんでしたが、乗組員に「誇りと責任を持って各種訓練に励み、厳然たる規律を維持し、一致団結してその任務達成にまい進することを切望してやまない」と述べ、自衛官としての強い自覚を求めました。新たに乗組員となった約300人の海自隊員たちは時代錯誤の「軍艦マーチ」が流れる中、艦内に乗り込んでいきました。

 「あしがら」は2月に漁船との衝突事故を起した「あたご」に続いて建造された同型艦で、海自が保有する6隻目のイージス艦となります。このうち5隻を三菱長崎造船所が建造し、もう1隻も佐世保基地に配備されていることから修理などを同造船所で行っています。「あしがら」は3月12日に退役となったミサイル護衛艦「あさかぜ」に代わって、3月15日に佐世保配備となります。
 その結果、海自の保有する6隻のイージス艦のうち半分の3隻が集中し、佐世保の基地機能はますます強化されることになります。

 「あしがら」の建造予算は1389億円、うちイージス・システムは有償軍事援助でその購入費は約509億円(米ロッキード・マーチン社)、また08年度内に行われる「イージス装置等装備認定試験」費用は約33億円です。(「あたご」はこの試験の帰りに衝突事故を起した)

品 名 落札金額(円) 契約相手 納期
イージス装置等 50,924,085,758 米海軍省 H20.03.31
イージス装置等装備認定試験 3,294,080,844 米海軍省 H21.03.31

 「あしがら」のイージス・システムは最新のベースライン7.1を採用し、探索・追尾能力が向上しているものの、弾道ミサイルへの対応はなされていないようです。

 防衛計画の大綱(04年12月10日)では「弾道ミサイル防衛にも使用し得る」イージス・システム搭載護衛艦として4隻を整備することになっており、計画では10年度に完了します。すでに1隻目の「こんごう」の改造工事は終了し、07年末に迎撃ミサイル(SM3ブロック1A)の発射試験を行っています。現在は2隻目の「ちょうかい」が改造工事に入っています。新型イージス艦の2隻「あたご」「あしがら」についての改造計画は未定ですが、いずれ実行されることは間違いありません。
 連邦議会に提出した米文書では「米11会計年度以降、日本の4隻のBMD能力の向上(SM3ブロック1Bへの換装?)と残り2隻へのイージスBMD能力の導入」を明記しています。

 「ミサイル防衛」は報復を受けずに先制攻撃を可能とする、先制攻撃保証をめざすシステムで、けっして防衛のためではありません。しかもとどまるところを知らない「金食い虫」です。800兆円を超える国の借金をゼロにするのが先決でしょう。

(2008年3月13日)

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