「新型イージス艦あたご」就役
ミサイル防衛能力は不明

 3月15日、三菱長崎造船所向島岸壁で最新型イージス護衛艦「あたご」の防衛省への引き渡し式が行われました。式には在日米軍幹部を含め約600人が出席、時代錯誤ともいえる「軍艦マーチ」が鳴り響きました。式後、乗組員約180人が乗り込み、配備先の舞鶴基地に向けて出港しました。

 「あたご」型は従来の「こんごう」型4隻に比べて大型化させ、新たにヘリコプター1機が収納できる格納庫を備えたほか、船体やマストのステルス性を向上させ、主砲のシールドのステルス化もはかっています。またVLSミサイル垂直発射システムの数は90(前部29,後部61)から96(前部64,後部32)に増強されています。

 イージスシステムは最新のベースライン7.1を採用していますが、弾道ミサイル対応能力がどこまで付与されているかは不明です。当初は「ミサイル防衛対応型」とされていましたが、探索・追尾・迎撃能力を持たせるには改修工事を必要とするという時事通信の報道がされています。(海上幕僚長が3月13日の記者会見で「弾道ミサイル対処できる能力はない」と述べた。)弾道ミサイルに対処させるための「特別改造工事」で「こんごう」などに付加される「BMD3.6戦闘システム」レベルの対処能力は備えていないということでしょうか。

 「あたご」は護衛艦隊旗艦のミサイル護衛艦「たちかぜ」の代替です。退役する「たちかぜ」に替わり、佐世保配備の「さわかぜ」が新たに旗艦として横須賀に配備となりました。そして「あたご」の舞鶴配備に伴って、替わりに舞鶴配備で現在、長崎港で修理中のミサイル護衛艦「しまかぜ」が佐世保に配備替えとなりました。

 「あたご」の建設予算は1453億円。現在、艤装工事中の1隻の「あしがら」は1389億円。イージスシステムは米軍からの有償軍事援助(Foreign Millitary Sales)で、「あたご」が約750億円、「あしがら」が約530億円。

 「あしがら」は来年3月には佐世保基地に配備となり、佐世保は海自が保有する6隻のイージス艦のうち半数の3隻と強化されることになります。

【関連資料】
あたご型イージス護衛艦
DDG177の建設現場