LCAC施設返還後は自衛隊活用
基地強化に手を貸す佐世保市

 6月21日、佐世保市議会で光武市長は、西海市西海町の横瀬貯油所内への移設計画が進行している崎辺海軍補助施設(LCAC駐機場敷地)約12万九千m2が日本に返還された場合、崎辺地区に海上自衛隊の施設を集約し、跡地活用を図る考えを表明しました。すでに6月8日、海上幕僚長に対して崎辺地区の活用についての検討を要請したといいます。

 崎辺地区には同駐機場のほか、佐世保教育隊、佐世保警備隊の海自施設とSSK(佐世保重工業)社有地(13万4千m2)があります。SSK社有地は艦艇修繕用ドックなどを建造するため国から購入したものですが、今のところめどは立っていません。この社有地も佐世保市は活用を図る意向といいます。

 この件に関連した佐世保市の構想は西日本新聞が昨年12月30日付で報道されています。それによると、

  1. 海自崎辺地区に新たに岸壁か桟橋を整備し、立神桟橋に係留する艦船を集約する
  2. 立神桟橋は米軍に提供する
  3. 米軍専有の立神岸壁1−3岸は日本への返還を求め、SSK専用とする
  4. LCAC駐艇場移転後の空きスペースを海自施設として活用を図る

 現在、大型の海自艦が係留されている二本の立神桟橋は米軍基地内にあるため、海自にとって崎辺への集約による運用上のメリットはひじょうに大きくなります。しかしそれ以上に米軍は使い勝手のよい桟橋を手に入れることになります。

 もともと崎辺地区はSSK用地として市民をあげた運動の結果、返還されたものであり、米艦船の母港化にともなう住宅建設地の代替として米軍に一部再提供されていたものです。それが再返還されることになるのなら、民間・公共施設として活用が図られるべきものでしょう。すでに自衛隊施設を迂回してLCAC駐機場までいく「崎辺町線道路」が防衛施設庁の補助金によって建設されています。

 しかも、当初佐世保市が描いていた倉島地区の返還/軍商分離がとん挫し、自衛隊施設の現地再整備・強化が始まりました。国際商業港としての発展が望めなくなっていたわけですから崎辺にさらに自衛隊施設をもってくるのはうなずけません。あえて自衛隊に提供するのであれば、倉島地区の機能をすべて移転させ、当初の計画を実現させるべきです。

 結局、米軍再編という大きな動きの中で基地縮小を求めず、逆に多大な税金を投入させてこれまで以上の施設を提供し、自衛隊も機能強化させるものでしかありません。

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【関連資料】
崎辺海軍補助施設
海自崎辺地区