新駐機場建設推進の一方で
崎辺にLCAC道路ができる


左がLCAC駐機場へと続く新道、右は従来の道路で海自施設で行き止まり

 現在、西海町に計画されているLCAC新駐機場は、その建設に伴う公有水面埋め立てに佐世保港の港湾管理者である佐世保市長が同意したことから、今年度中にも着工される状況になっています。その一方で、現在の崎辺のLCAC駐機場の整備も進められており、アクセス道路が03年3月に完成していたことがわかりました。

 これまで佐世保海軍施設と崎辺駐機場を陸路で行き来するには海自佐世保警備隊の敷地内を通るしか方法がありませんでした。市内からの道路が自衛隊施設で行き止まりとなっていたためです。


岸沿いを埋め立ててつくられた迂回道路=LCAC道路

 ところが轟湾の護岸を埋め立てて自衛隊施設を迂回する「崎辺町線道路」が防衛施設庁の補助金によって建設されたのです。99年度から整備が開始され03年3月完成しました。名目は、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律にもとづく「その他防衛事業」です。98年度以降だけでも約5億円が出されています。
 内訳:98年度   9,372千円,99年度 54,532千円
    00年度 253,546千円,01年度 77,798千円
    02年度  94,181千円
 工事請負は佐伯建設工業・黒木建設共同企業体で、3億3,144万円で契約。また轟地区埋立護岸(A)・(B)工事は3億4,358万円で東洋建設・八千代建設共同企業体が請負いました。

 一方、99年3月末には国有財産である崎辺西側地区134,037m2がSSKに売り払われました。予定では07年3月までに艦船の専用修繕ドックとその関連工場の建設することになっています。計画は大幅に遅れているようですが、SSKにとっても迂回道路はいずれ必要となるものでした。


埋め立て地に建設中のし尿処理場。右側が海自警備隊の敷地。

 また佐世保市も現在の老朽化した轟クリーンセンター(し尿処理場)の代替施設建設を急いでいました。し尿の海洋投棄処分の法制化で05年度から投棄が禁止されるため、陸上での処分機能を持った施設を必要としていたのです。

 そこで轟湾の一部を埋め立て、新轟クリーンセンターを建設することになりました。鉄筋コンクリート2階建て(6,550m2)で03年7月に起工、05年度供用予定。1日あたり260キロリットルの処理能力を持ちます。施工者は荏原製作所で44億7825万円で落札。これにも防衛施設庁の補助金が出されています。名目は、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第8条にもとづく「民生安定施設整備への助成」です。これは一般の公共事業の国庫補助率よりも高率で「し尿処理施設」は50%となっており、02年度から補助金が出されています。

 新しい道路は約850メートル。工事現場までは約300メートルで、ここまでは工事用トラックが行き交っています。しかし、この先の550メートルを利用するのは米軍の車のみです。SSKの建設工事はいまのところ全く見通しもありません。
 結局のところ崎辺町線道路は、新轟クリーンセンター建設を口実にした、住民にとっては必要のない「LCAC道路」といって間違いないでしょう。


左は米軍の敷地。右は海自崎辺小銃射撃場。


道路は正面のSSKのフェンスで行き止まり、右は海自崎辺1号倉庫。


ここが「崎辺町線道路」の終点。左は米軍基地でLCAC駐機場へつづく。
街灯が設置されている。右はSSKの敷地。