本流は私たち、正論を世論に
ながさき平和委員会定期総会開かれる

 現行安保条約・地位協定が発効してから45年目となる6月223日、ながさき平和委員会は05年度定期総会をひらきました。日本平和委員会代表理事の佐藤光雄さんが「憲法9条と『国民保護』法」と題して記念講演を行ないました。
 佐藤さんは、非核・反戦・平和が世界とアジアの本流であり、このままでは日本だけが取り残される。事実を知って正論をつかみ、大いに宣伝して世論にしようと呼びかけました。

(以下、講演要旨)

 あまりにも情勢の展開は早い。「知ること、知らせることが発動させない力になる。」有事法制の危険性、改憲策動の危険性がある。だからこそ現状を直視しなければならない。運動の課題を明示しなければならない。

 戦後60年、いまほど日本の進路が問われているときはない。平和をめぐる情勢をしっかりとつかむ必要がある。世論と運動こそが力になる。そのためには学習、討論、対話、宣伝、立場を超えた協同が求められる。「正論は必ず世論になり、世論が大きくなれば情勢を変える」。正論をもつためには確信を持たなくてはならない。そのためにはやはり学習・討論。それが宣伝されないと世論にならない。

 いま世界は軍事同盟ではなく、対話・協調の時代に入っている。無法なイラク戦争に支持・賛成したのは49ヶ国(総人口12億人)、反対・不賛成の国は142ヶ国(総人口50億人)だった。賛成国でも撤退が続き、残るのは米・英・日だけかもしれない。
 世界の人口の53%を占めるアジア23国中、21ヶ国は非同盟(中国はオブザーバー)で対話と協調、平和と友好を広げる努力をしている。ただ韓国も大きな世論の変化が生まれており米軍基地も縮小されている。日本だけが取り残されるかもしれない。安保条約を廃棄すれば有事法制の問題は一挙に解消する。
 いま財界は急成長する東アジア地域への進出で利潤の拡大を狙っている。生じてくる矛盾を自衛隊の軍事力で解決しようとしている。財界が有事法制に賛成し、憲法改悪策動を押し進める理由がここにある。

 有事法制の発動とは、日本の国土から離れたところで行われる、米軍への後方支援の結果、日本への武力攻撃の脅威が高まったと政府が判断すれば「武力攻撃事態」として「有事態勢」にはいることになる。そして関連10法がいっせいに発動される。首長などは有事法制を知らない。抗議ではなく、懇談をしてほしい。

 あくまで「有事」があった場合に国民保護を定めるはずの国民保護法だが、「平時の有事化」が進行し、「有事サイレン」や「訓練」などを通じ、戦争協力の思想づくりが進められている。
 国会の度に自衛隊法が変えられ、テロ事件のどさくさに紛れて「防衛秘密」の項が入ってしまった。漏らせば罰則となる。報道機関もその対象となり、自由な報道がなされなくなっている。中国に圧力をかけるために沖縄に5万5千人の自衛隊が集められることは報道されない。防衛庁の認める報道しか表に出ない。イラクでの自衛隊など、95%は報道されていない。

 怖い話だが、じつは怖がっているのは相手側だ。知られたら困るから秘密にしようとしている。中身を知った国民は黙っていない。本当の根源は安保条約。
 9条改憲を阻止する力はあると思う。自衛隊が必要と思う人でさえ、憲法9条は必要という人が多い。海外で戦争をすることに対して反対というのが圧倒的だ。安保改定の時は3年間で2000の組織ができた。「9条の会」は1年で2000できた。憲法改悪の国民投票で失敗すればしばらくはこの動きは止るだろう。世界は圧倒的多数が平和の流れなのだ。ここに確信を持とう。