佐世保商工会議所の「軍港一本化案」
米空母の「準母港化」に修正

 長崎新聞5月19日付は佐世保商工会議所が昨年12月に打ち出した「米原子力空母の母港化提言」を修正したと報道しています。

 佐世保商工会議所は米軍の再編協議を受け、米空母の母港化など、軍事施設の増強によって地域経済の振興を図るという提言をまとめました。しかしこれは佐世保市が経済界などと一体となって進めてきた、港の軍事利用と商業利用を「住み分ける」という方針を否定するもので、佐世保市長も厳しく批判していました。

 佐世保市議会の基地対策特別委員会は5月18日、佐世保商工会議所を訪れ、辻洋三会頭らから非公開で「軍港一本化案」の提言についての真意を聞いたといいます。辻会頭はこの中で、米原子力空母などの母港化について「現実論として難しい」と説明、また「港のすみ分け問題では協力を惜しまない」と強調し、基地機能強化には港内の遊休地などを転用すべきとの考えを示したそうです。

 会談後、辻会頭は取材に対し「空母や潜水艦の母港化には岸壁造成など設備が必要で物理的に不可能。母港でなくても、寄港地として活用してもらえれば随伴艦も含めた乗組員の消費、物資の購入などで経済効果が期待できる」と述べ、空母の母港化から事実上の「準母港化」に修正しました。

 この「準母港化」構想は5月5日に東京新聞が報道した内容と基本的に同じものです。基地対策委の市岡委員長は「すみ分け問題解決のため、互いの立場で汗をかくことを確認できた」と、もはや商工会議所案を批判はしていません。米軍再編の動きの中で、どこの自治体もが受け入れを拒否しています。それは地域住民の利益と相反するからです。財界の利益のためには可能なものはなんでも受け入れようとする動きを自治体は止めるべきです。

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