佐世保が空母の準母港!?
米軍再編で日本に空母2隻展開も

 5月5日付の東京新聞は「米軍再編の一環として、太平洋の空母二隻体制を表明している米海軍が、長崎・佐世保基地を空母寄港地として活用し、山口・岩国基地に空母艦載機の乗員宿舎建設を日本に求めることを検討している」と報道しました。

 米海軍は西太平洋に2隻目の空母の配備を検討しており、母港を「(1)港湾施設(2)補修施設(3)家族住宅(4)航空基地(5)飲食街−の五点を満たすことを条件に選定中で、ハワイのパールハーバー基地が有力視されている」といいます。そして「同時に西太平洋で日本、フィリピンなどを対象に乗員が一、二週間程度休息できる基地」を探しており、準母港として佐世保基地が浮上しているといいます。

 この動きは、佐世保商工会議所の打ち出した米原子力空母母港化構想、基地・経済効果に関する岩国商工会議所の佐世保商工会議所との意見交換、隔年にわたる原子力空母の佐世保寄港と無関係ではないでしょう。

 光武佐世保市長も反対する原子力空母母港化は水深、補修施設、5000人以上の乗員の住居確保などのばく大な費用がかかると同時に安全管理が大問題となります。米原子力空母が岸壁に接岸するには少なくとも水深13〜15メートルが必要です。商工会議所が接岸を想定する赤崎岸壁は10メートルしかなく、浚渫工事は事実上不可能です。

 しかし必要時には沖合に停泊し、艦載機と一部乗員を岩国基地に回すことは不可能ではありません。岩国基地の滑走路は08年度には1.5倍に拡張され、NLP(空母艦載機の夜間離発着訓練)の移転候補地として検討されています。

 岩国商工会議所は4月12日に、佐世保商工会議所を「誘致決議の経過を聞きたい」と訪問して意見交換しています。その後、岩国商工会議所内の「基地問題調査特別委員会」は米軍厚木基地機能の誘致を検討し、6月初旬にも「誘致決議」をまとめるといいます。

 また佐世保会議所は米軍からの仕事の発注を業者にあっせんする「米海軍ビジネスチャンスセミナー」を開催しています。米軍が居住者(米軍人)を保証するという形で、すでに基地外での米軍住宅の建設も始まっています。これまでに十数業者が申し込み計64戸分の契約が完了しているといいます。空母艦載機の乗員宿舎建設を「思いやり予算」で建設できない場合は「民間活力」も利用して建設させることも想定できます。

 そしてこの間、長崎県がアメリカの原爆攻撃を受けた8月に、核兵器搭載の有無を曖昧にしたまま2度にわたる佐世保への原子力空母の隔年寄港も「準母港化」の地ならしではなかったのかと思えてきます。このとき空母は沖合に停泊し、随伴艦は各地の民間港に同時寄港するというかつてない事態となりました。

 米軍の再編計画をめぐりアメリカ議会の調査委員会は5月5日、報告書をまとめ、沖縄の海兵隊はほぼすべて沖縄に残すべきだと勧告しました。基地負担の軽減どころか在日米軍基地機能を強化するものでしかないことは明白となってきました。

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