針尾島弾薬庫に大型岸壁
安久ノ浦の約40ha埋め立ても
機能集約近代化計画が明らかに

 朝日新聞5月8日付は、佐世保市と福岡防衛施設局が米海軍針尾島弾薬集積所の機能集約近代化計画を検討していることを報道しています。

 佐世保市は前畑弾薬庫の機能を針尾島弾薬庫に集約させることで前畑弾薬庫の返還を求めています。計画では針尾島弾薬庫の北側の入り江である安久ノ浦のほとんどを埋め立て(約40ha?)、弾薬保管施設をつくるというもの。さらにその先端部は浚渫をすることによって弾薬積み下ろし専用の大型岸壁(長さ400m?)をつくるといいます。

 現在、米軍の大型艦船は佐世保湾の中央部でパージ船を介して弾薬の積み下ろしをしていますが、直接横付けできることになれば補給機能は大幅に強化されます。さらに明治年間以降に建設された前畑弾薬庫の老朽化した弾薬管理は最新のものに置き換えられることになります。費用はすべて「思いやり予算」でまかなわれ、1000億円を下らないだろうと言われています。現在、ジュリエット・ベイスンの一部を埋め立て(5.7ha)、長さ520mの米軍専用岸壁の建設が始まっていますが、その費用は約200億円と見積もられています。移転集約計画は広大な埋め立てを含むことから1000億円という金額は決して誇張ではないといえます。

 そもそも前畑弾薬庫周辺は新興住宅地域として開発が進み、学校、保育所など公共施設も整備されてきたため、現在では弾薬庫の配置が周辺の環境にそぐわなくなったのです。地域住民は弾薬を抱えて寝ているような危険な状況にあり撤去を求めています。

 米軍は有事即応体制を強化するために、使い勝手の悪い旧式の前畑弾薬庫の近代化をもくろんでいました。針尾弾薬集積所に大型船舶も接岸できる岸壁をつくり、あらゆる種類の弾薬を貯蔵できる近代的弾薬庫をつくる計画を1988年までにまとめ上げていたのです。それを、返還を望む前畑弾薬庫周辺の住民の要求を逆手にとって実現しようとしているのです。

 近代的な設備を整えての集約移転は永久に弾薬庫をおくことにつながります。江上地区は米軍針尾弾薬庫や米軍家族住宅のある地区であり、最も近い民家が10m以内にあり、子どもたちが通う江上小学校、東明中学校も数百m以内にあるなど、その危険さは前畑弾薬庫以上といってもいいかもしれません。