チャリティー

 

ペトロ 晴佐久 昌英

主のご降誕、おめでとうございます。
今年もいろいろありましたが、なんとかクリスマスを迎えることができました。
ミサでの歌唱も解禁されて、共に「グローリア!(神に栄光!)」と歌うことができるようなったのは、大きな喜びです。
イエスの誕生は神の愛そのものの誕生ですから、これより幸いなことはなく、キリスト者はまごころ込めて賛美の歌を捧げます。
とはいえ、今年はそのクリスマスを、様々な困難の中で迎える人たちが多いことも事実です。
私たちが「グローリア!」と元気に歌うその聖堂の外を、コロナ禍で仕事を失い、食べるにも事欠く人が通り過ぎていくことでしょう。
その人たちは、どんな思いでその歌声を聴くのでしょうか。
このたび、生活困窮している方々を少しでも支援したいと願って、チャリティーコンサートを催すことといたしました。
世界的なソプラノ歌手である大村博美さんがその願いに賛同してくださり、年が明けた1月8日土曜日の14時から、四谷の紀尾井ホールで、祈りの歌やオペラアリアを歌ってくださいます。
チャリティーの語源はラテン語の「カリタス」、すなわち「神の愛」です。
無償で無条件な神の愛を受けている私たちが、同じように無償で無条件に持てるものを分かち合って、ひとときの小さな神の国を実現するのが、チャリティコンサートなのです。
今回、その夢を実現するために、支援する人もされる人も同じように集うことが大切だと考えました。
当日配布するパンフレットの挨拶文を、紹介させていただきます。

ごあいさつ

本日は大村博美チャリティコンサートにお越しいただき、まことにありがとうございます。
寛容なご理解、寛大なご支援に心より御礼申し上げます。
これまで人類が経験したことのないパンデミックの中、ひとりの無力なカトリック司祭として、助けを求めている多くの方々に関わってまいりましたが、その結果、一つの確信を得るに至りました。
今、私たちに最も必要なのは、お互いに助け合って共に生きて行く、暖かい家族的なコミュニティである、と。
この度のチャリティーコンサートは、そのようなコミュニティづくりを支援するものです。
資金を集めることはもちろんですが、まずは、実際に支援を必要としている人たちと共に、多くの人が音楽の感動を分かち合う場を実現したいと考えました。
そこで今日のコンサートには、生活保護受給者、難民の方、技能実習生、路上生活者、障碍者手帳をお持ちの方など、120名以上の方を招待し、お越しいただいております。
音楽の感動は、人の心を結びます。
大村博美さんの天上の歌声は、会場に来てくださったみなさんの心をひとつに結ぶことでしょう。
どうぞ、ひと時の「大きな家族」をお楽しみください。

大村博美チャリティーコンサート実行委員会 カトリック司祭 晴佐久昌英

ちなみに、大村博美さんの歌は、1月3日夜のNHKニューイヤーオペラコンサートでもお聞きいただけます。

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