神の家族

 

ペトロ 晴佐久 昌英

血縁を超えて助け合う大きな家族を、「福音家族」と名付けて、今、多くの家族のお世話をしています。
キーワードは「一緒ごはん」で、お世話役として、毎日のように様々な「家族」と共に食卓を囲んでいますが、次第にその数が増え、今年の新年会の数は29回を数えました。
どの集いでも、必ず言う事があります。
「ここに集まっている私たちは、家族です。家族ですから、本当に困った時、辛い時、必ず助け合いましょう」。
様々な問題を抱えている現代社会で、もはや血縁のセーフティネットでは対応しきれない現場がたくさんあります。
教会こそは、単なる血のつながりを超えた真の家族作りをしていかなければなりませんし、それこそがイエスの願いでした。
福音書にはこうあります。
「イエスは言われた。『はっきり言っておく。わたしのため、福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子供、畑を捨てたものは誰でも、今この世で、迫害も受けるが、家、兄弟、姉妹、母、父、子供、畑も百倍受け、後の世では永遠の命を受ける』(マルコ)10・29~30

「捨てる」と言っても本当に捨てるわけではなく、優先順位の話でしょう。
現に、「今この世で」、それらを「百倍受ける」というのですから、血縁を超えて今困っている多くの人と家族同然に、助け合うことこそが、血縁とも本当の家族になれるということであり、それが後の世の永遠の命に直結しているのです。
四旬節は回心のときです。
普段は自分のこと、血縁の家族のことを優先して生きていますが、この季節は出会った人々を「神様が結んでくれた家族」として優先するチャレンジをするチャンスでもあります。
だれであれ、本当は、神様の血が通っている「神の家族」なのです。
イエス・キリストの血を飲むキリスト者たちのうちには、キリストの血が流れているのであり、それこそを真の「血縁」と呼ぶのですから。

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