「60年、種はちゃんと育っている」

 

セバスチャン 西川 哲彌

教会創立60周年、おめでとうございます。
上野教会の出発点は、劇的でしかも明解です。
それは、パリ外国宣教会のフロジャク神父様が、上野駅の地下道で見た光景から始まっているのです。
戦争で身よりも仕事も身体の健康も失った方々がまるでゴミのように道の両側にうずくまり、垢にまみれた子供達がギラギラした眼でそこを通る人を見ている様子でした。
フロジャク神父様は、用事で那須へ行く予定を中止して早速行動を開始しました。
まず、病院、次に保育所そして住む所でした。
神父様が育てた江古田のベタニア修道女会が神父様の思いに応えました。
そして、この坂本の地に教会が誕生したのです。
その後、いろんな神父様に受けつがれ、教会として、神様のすばらしさを伝える拠点となって行ったのです。
デュレク神父様は今なお、その教え子がデュレク会を年に1回開いて往時を偲んでいますし、ルドールズ神父様が始められた「聖書100週間」は、日本のカトリック教会の眼に見えないエネルギー源になっています。
人間にしてみれば60年は還暦の年で、活動のバトンを次代に渡す時期なのでしょうが、教会の60年はひとつの節目であり駈け出したばかりでしかありません。
宣教師によって播かれた種は確実に芽を出し育っています。
これは決して甘い観測ではありません。
福音を喜びとする教会が、どれだけの方々に支えと力を注いでいるかは神様だけがご存じです。
私達は神様に心からの感謝をささげながら、この教会をさらに100年200年と育て伝えてゆかなければなりません。
教会はエクレシア。
神から集められた者の集いです。
あなたがたが選んだのではなく私が選んで集めているのだと、イエス様はおっしゃって下さっています。
神様の呼びかけに応えてこれからも力強くこの教えを生きてゆきましょう。
それだけが私達にできることです。
ともかく創立60年おめでとうございます。

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