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ひとりごと
決断は七分の理、三分の運
病気になって想うこと
さくら
太陽のエネルギー
血液型が変わる
貧血の辛さ
入院中の採血データ
入院中の元気度データ
ツイてるかも
60兆個の細胞

決断は七分の理、三分の運』   松尾金蔵氏(日本鋼管相談役)の言葉。

・人生は、運によって決まるものはわずか三割で、自身の決断が七割を握っている。
・考え抜いた後は運を天に任せる覚悟も必要。
などの解説があるが、私はこの言葉を聞いたとき
『決断するときは七分の理論や理屈による裏づけが整った時。残り三分は運に任せよう。それが最適な決断タイミング』
という意味に思えた。

移植をするかどうかで悩んでいた私にとっては何ともインパクトのある言葉であった。
それは移植による副作用のリスクを考えたり、生存率などの統計データを見てしまうと心の中では移植しかないと思いながらも、なかなか決断できない時期であった。
この言葉は、決断するのに100%安心できるまで待っていたら手遅れになるぞ。
70%の覚悟があるならば今、決断しなければ・・・
そして私は移植をする事を決断をしました。

決断後は気持ちを強く持つことができ、不安感が減ったことを覚えています。

病気になって想うこと

初めての入院で感じたことがある。
病室の窓から外を眺めると通勤中のサラリーマンの姿が見えた。先日まで同じような生活をしていたのに、今自分は違う世界にいるような気がする。そして、何気なく普通に生活していたことがどんなに幸せなことだったのかに気づかされる。

また入院して長期間院内から出られない状況から久しぶりに外に出てみると、空気(風)には匂いがあることを初めて知らされる。外の空気(風)にはすごく気持ち良くて安心できる匂いがあるのです。
不思議ですが、ちょっとしたことに感動し、幸せを感じることができるのです。
病気になったことは辛いことですが、感動と幸せを多く感じれるようになれるものです。

さくら

ある年の4月、満開の桜を見て思った。
あと何回(何年)桜を見れるのだろう。
もしかすると今年が最後なのか・・ などと考えている自分がいた。
先の見えない不安な時はこのような考えが生まれるかもしれない。

太陽のエネルギー

”日はまた昇る”
病気になると今は辛く暗い夜だけれども、必ず朝が来て日は昇る・・・と
何かのの歌詞にあったようなセリフであるが、実際にそのように思ったことがある。

私の場合、骨髄移植の当日の朝は素晴らしい朝日であった。
当時、クリーンルーム内で書いていたメモには、
『今日の日の出はすごく眩しい。
太陽のエネルギーをすごく感じる。
体の中が暖かくなるのを感じている。
もしかするとこのエネルギーで病気が治るかも? 』
と記されている。


血液型が変わる

骨髄移植をするとドナーさんの血液型に変わります。
私の血液型は、AB型からO型に変わりました。
正直、自分では血液型が変わったという自覚をがほとんどありません。
突然「血液型は?」と聞かれたら移植前の 「AB型」と答えそうです。

よく聞かれるのが、「血液型が変わって性格が変わった?」
答えは、「性格は変わっていないと思う。でも、人生観、価値観は少し変わったかも?」
人生観・価値観が変わったのは血液型が変わったからではなく、闘病生活により多くの経験をしたからだと思っています。


貧血の辛さ』

貧血とは血液中で酸素を運ぶ役割を担っている赤血球やヘモグロビンが正常よりも低い状態を言います。このため貧血になると赤血球の酸素運搬量が低下し、皮膚や粘膜が蒼白くなり、息切れや動悸などの症状が現れます。

私の病気の場合、新しい赤血球(網状赤血球)がほとんど作られない状態になってしまったため、毎週赤血球輸血をしながらヘモグロビン値:6g/dl前後をキープするような生活を送っていました。
ヘモグロビン:6g/dlの世界は、無理しなければ何とか日常生活が送れるギリギリの状態であり、重い荷物を持ったり、坂道、階段など体に負荷がかかるような行為はとても辛く感じました。
例を挙げると、平坦な道をゆっくり歩くことは何とかなりますが坂道になると急に体重が3~4倍に増えたように重く感じ、足がなかなか前に進まず心臓の鼓動もとても速くなります。それだけ必要な酸素量が体内に回っていないのでしょう。
私が坂道を一生懸命(これ以上早く歩けないぐらいに)登っているところを、3~4歳の子供がスキップしながら抜いて行った時は何ともいえないショックを受けました。その時は絶対に病気を治したいと真剣に思ったことを今でも覚えています。

私の最低ヘモグロビン値は4g/dlで平坦なところを歩くだけでも辛かった記憶があります。
今は正常値近く(約14g/dl)ですので全く比較になりません。あくまでもイメージですが車の馬力で表現すると、今の正常値を100馬力とすると、ヘモグロビン4g/dlの世界は10馬力といったところでしょうか?とにかくアクセル全開でもなかなか進まず、とにかく辛いのです。

入院中の採血データ

入院中は治療状況にもよりますが毎日のように採血する場合があります。
採血データには検査項目がたくさんありますが、特に自分が気にしている検査項目のデータが良くなったり悪くなったりで、その日の気分も変わるものです。
「今日は昨日より体調が良いのできっと採血データも良くなっているはず」 とか予想したりしますが、案外その逆の結果が出る場合が多かったりして。
朝、採血したデータは、午後になると看護師さんから渡されます。
この採血データをもらう感覚は、子供のころ学校のテスト結果をもらう感覚に非常に似ていると思いました。

入院中の元気度データ』

私は骨髄移植で入院した時に、これから始まる体調の変化が見えるように「元気度」を数値化して毎日データを残していました。具体的には、自分の体調が絶好調の時を元気度100%と仮定して、日々変化する元気度(自分で感じる、その日の調子)を70%とかの数値で毎日残していました。
退院後に、そのデータを見てみると、日々変化していた体調が改めて確認できました。元気度が全体的に低い期間は移植前の前処置の副作用が出たころで、最低値は30%でした。移植後1~2週間の元気度は40~70%付近であり、無菌室から出た頃(移植後約1ケ月後)の元気度は70~80%と残っていました。
今想えば、最低値30%と言うことは、もっと辛い状態になっても耐えられたのかな?

ツイてるかも

病気になってツイている? と私は闘病中に考えたことがあります。
「もし10年前に同じ病気になっていたら、きっと違う結果になっていただろう」

・化学治療で使った「リツキサン」が使えなかった。(日本では2001年に認可された薬)
・輸血による慢性鉄過剰症を改善する薬「エクジェイド」が使えなかった。(日本では2008年に認可された薬)
・ドナーさんが見つからなかったかも?(骨髄バンクのドナー登録者数がこの10年間で約3倍)

そう考えると今病気になったことは逆にツキがあるのかも? と考えることもできるのです。
医学は日進月歩です。数年前には出来なかった治療が今なら出来ることもあるのです。
そう考えるだけでも前向きになれるような気がします。

60兆個の細胞

人間の体はおよそ60兆個の細胞から成り立っています。
そのうち100万個くらいの細胞が毎日癌化していると言われています。
それを、リンパ球が処分してくれるから、癌になることなく生活できるのです。
つまり、リンパ球が体内で活発に活動していれば、癌にならないということになります。
逆に免疫力が低下している状態であれば、たった1個の癌因子でも、癌になり得ると言えます。

そう考えると毎日、健康に生活できることは奇跡に近いことのようにも思えてくるものです。