スピンホール効果は "スピン" を意味しない。

トップページ (2電子原子も含む正確な新ボーア模型)
奇妙なスピンは実在しない。
レア・アースには スピンが存在しない。

"スピン軌道相互作用" は 幻想である。

(Fig.1) スピン・軌道相互作用は 実際には あり得ない。

スピン軌道相互作用は スピンホール効果 や 巨大磁気抵抗 に関係していると言われている。 (= このサイト など参照のこと )。
しかし 数値的な大きさの違いを見れば、これらの現象が 非現実的な スピンによって生じることは あり得ないことが 容易に理解できる。

[ "スピン-軌道相互作用" は 現実の現象を説明するには 弱すぎる。 ]

(Fig.2) 相対論効果による スピン軌道相互作用は 弱すぎる。

現在の理論によれば スピン軌道相互作用は 相対論効果によって生じるとされている。 (= ウィキ 参照のこと )。
しかし そうだとすると スピン・軌道相互作用の大きさが 実験値よりも はるかに 小さくなってしまうのである。 ( このサイトこのサイト (最後のほう)このサイト p.6 など参照のこと )。

この論文 ( p.2, 左 ) には 以下のように書かれてある。
-----------------------------------
"例えば GaAs では、結合定数 λ = 5.3 Å2 となる。
つまり n-GaAs における スピン軌道相互作用は 真空中の値 ( λ = -3.7 × 10-6 Å2 ) よりも 6桁ほども 強いことを意味している。また その符号も 反対である。
この スピン軌道相互作用の増強は 外因性のスピン流の形成という考えに必須である。
------------------------------------

結合定数 λ における この あまりにも大きな解離は スピン・軌道相互作用という概念自体が 完全に 架空 のものであることを示している。

この明白な食い違いの事実にも関わらず、現在の物理学者達は 様々なジャーナルで "スピン・軌道相互作用" というワードを 好んで 使用したがる傾向にある。
この 間違った語句の使用は 奇妙な "スピン" の存在を既成事実とさせるような 一種のマインド・コンロトールとして働いている。困ったものである。

スピン・軌道相互作用 = 相対論効果 ?

(Fig.3) ローレンツ変換で 電場 (= E ) が 磁場 (= B ) に変化?

最初に スピン軌道相互作用が どうして 相対論効果なのか説明する。 .
Fig.3 では、電場 Ey の下で スピンを持つ電子が 速度 "v" で x 方向へ運動している (= S 系 )。

相対論的な電磁気学によれば、 この電子の静止系では ( v = 0, S' 系 )、この電場が 磁場 B に 変化することになる。

(Eq.1) ローレンツ変換。

このサイトにあるように、 電場のローレンツ変換は Eq.1 のようになる。
B' は 動いている電子からの視点の (= S', 静止系 ) 磁場である。

ここでは S 系での磁場を ゼロとしている ( B = 0 )。
( S 系では 電場 Ey のみ存在するとしている。 )
近似的に Eq.1 は Eq.2 のように表せる。

(Eq.2)

磁気エネルギーは 磁気モーメント (= μ ) × 磁場 (= B ) である。
電子の この μ の値は ボーア磁子にマイナスの符号がついたものである。

(Eq.3)

電子の静止系 (= S' ) では、磁場 (= Bz ) は マイナス z 方向に生じる。
もし この電子に "スピン" があるなら、磁気相互作用エネルギーは スピンの上下の向きに応じて 2つに分裂する。

(Eq.4)

σ は パウリ行列である。
つまり、 s = 1/2 σ.

(Eq.5)

電子の速度 (= v ) は 波数 (= k ) で表せる ( ウィキ参照 )。
そして トーマス因子 (= 1/2 ) を付け加える。

Eq.4 と Eq.5 を Eq.3 に代入すると、相対論効果に基づく 磁気エネルギー (= - μB ) は 次のようになる。

(Eq.6)

結果、
(Eq.7)

この 相対論に基づく スピン・軌道相互作用係数 (= λ ) は 次のようになる。

(Eq.8) 相対論効果 ?

しかし 実は 現実の固体における スピン・軌道相互作用の実験値は Eq.8 よりも はるかに大きいことが知られている。

(Eq.9) 実際の固体

ここでは
(Eq.10)

Eq.8 (= 相対論効果 ) と Eq.10 を比較すれば、スピン・軌道相互作用という概念が 単なる 架空の存在であることが 容易に理解されることと思われる。
現実の値が 理論値の 106も でかい。かつ符号が逆。
もともと スピン自体に リアリティーが ないので 当然と言えば当然の結果である。

この明白な事実にも関わらず、どうして 現在の物理学者達は 今なお 架空のスピン軌道相互作用 を信じ続けているのだろうか?
理由は簡単で コンピューターのなかった 1920 年代には 奇妙な量子力学に変わり得る理論が存在しなかったからである。
このことが スピンとは何かと問うことを まったくしないにも関わらず、スピンという用語が 現在まで生き続けた要因である。

(Fig.4) 相対論効果に基づく スピン軌道相互作用は "幻想" である。

深刻なのは こういう間違った思想を信じ続ける結果、より多くの人達の貴重な時間が 無駄に使われてしまうことである。
また スピンとは何かという核心部分に触れない量子力学の困った姿勢のせいで 現実の科学の発展も ずっと そこで 止まってしまうことになる。 当たり前と言えば当たり前の話である。

このページこのページ に示したように、アルカリ金属 (= 分離されたナトリウム原子など ) の 2重項も スピン軌道相互作用という概念では 弱すぎて 説明できない
重要な点は 通常の教科書が スピン・軌道相互作用に関する この現実との大きな食い違いについて ほとんど 触れずに、 殊更に "スピン" というのは 確かな実験的事実に基づくものだと 主張し続けている点である。
もし上記の事実を知ったうえでの行いならば、一種の 立派な 詐欺行為 である。

バンド理論 は まったく役に立たない。

[ バンド理論、ブリュアンゾーン は すでに "廃れた" 概念である。 ]

(Fig.5) バンド理論は 古代の呪文? まったく役にたってない?

バンド構造は 波数 (= k ) と エネルギーのみから 構成されており、空間座標が含まれていない
( x, y, z 座標の含まない バンド理論は どう考えても現実社会で 役にたたない産物であることは 明らかである。 )
この 非常に古典的な概念にも関わらず、現在の物性物理学で バンド理論は バリバリ現役選手として使用されているのである。奇妙としか言いようがない。

多体問題の波動関数を扱うのに、1920 - 1930 年代の 当時の物理学者達は 波動関数を 単純な 平面解波 (= eikx ) で 展開する必要があった。
各固体を単純な周期的な結晶構造と考えて、波数空間の 最初の周期の部分に着目した。
これが ブリュアン ( ブリルアン ) ゾーンである ( このサイトを参照のこと )。

(Fig.6) "バンド理論" や "ブリュアンゾーン" は 役に立つのか?

もちろんのことだが、空間の位置情報 (= x, y, z ) は 応用物理学において 必須である。
例えば、コンピューターのメモリ内に 異なった情報を仕分けして 保存する際にも メモリ内の位置情報が重要になってくる。

つまり 波数空間と ブリュアンゾーンにのみ依存する バンド理論は "位置座標" を欠いているため、実際の科学の場で まったく役に立たないことになる。
これらの形骸化した概念は 古代の古文書のように 現実の世界でなく 様々なジャーナルの中でのみ 生き続けているだけである。

(Fig.7) コンピューターがなかった空白期間が バンド理論を生んだ。

シュレディンガー方程式の 複雑な多体問題+スレーター行列式を解くことは 不可能である。
またもちろんのこと 1920 - 1960 年代には 高性能のコンピューターというものは 存在しなかった
これらの状況でも、ほぼ無数の原子からなる 複雑な固体の状態を 人類は扱う必要があった。

紙と鉛筆の理論の時代には、 こういうとき、 単純な 平面解波 (= eikr ) に展開するという 極めて単純な方法に頼るしか他に方法がなかったのである。
問題は 高性能のコンピューターが出現した後でさえ、バンド理論や ブリュアンゾーンなどの 古典的な概念が 残ってしまったことである ( このページも参照のこと )。

いつまでも ブリュアンゾーンを その本当の意味を問うことなく 単純に 信じて使っているだけでは、古代の古文書に縛られたまま、永久に先に進めない。

アブイニシオ (= DFT ) バンド計算は 第一原理ではない。

(Fig.8) DFT の交換相関汎関数は "フリー" のパラメーターである。

現在の固体のバンド計算は 密度汎関数法 ( =DFT ) という計算手法に 完全に依存している。
多くの教科書や 学術論文では これら DFT 法 は アブイニシオ、いわゆる 第一原理計算であると主張している。
しかし 残念ながら この DFT は アブイニシオ計算とは 到底 言い難い ものである。

DFT は 1960 年代に 複雑な多体問題を扱うために 導入されたものである。
この計算を実行するために、今までに 非常に 多くの種類の 交換相関汎関数 (= Exc ) が 考案されてきた。
重要な点は この 交換相関汎関数は 私達が 自由に選択できる 一種のフリーパラメーターのようなものだということである。

このサイト p.11に、 "最後に残ったのが交換相関相互作用の項である。この項は厳密な形は とても見つかりそうもないだろうから 近似に頼るしかない。" とある。
つまり "アブイニシオ DFT" という言い回しは、 明らかに 一般の人達に 大きな誤解を与えている。
これは ある意味 危険なことである。

(Fig.9) 交換エネルギー = パウリの排他原理 ?

例えば、リチウム原子では、3番目の電子は 1s の軌道に 入ることができない
この パウリの排他原理の強力な 反発効果は スレーターの 行列式を使って表わされる。

Fig.9 を見て分かるように、これらの 複雑な 行列式は 現在の量子力学が 現実の大きな分子に まったく適用できない理由の1つになっている。

この問題に対処するために 何らかの近似に頼らざるを得なかった。
交換汎関数 (= Ex ) は パウリの排他原理を表す近似形である。
様々な形の 交換汎関数が 今までに考案され、状況に応じて 自由に選択することができる。

(Fig.10) 相関エネルギー = 電子の波動関数が 互いに避け合う?

多電子原子では、各電子が 互いに 避け合っている。
それらの波動関数のうちの1つが決まると、それを避けるように 他の波動関数が 変化する。
これはつまり 多電子原子には 水素原子と異なり 定常な確率密度という概念が ないのである。

例えば、このページに示したように、1つのヘリウム原子の波動関数内に 種類もの 電荷のパラメーター (= Z ) を使用して 2つの電子間の反発相互作用を表そうとしている。

固体物理では もちろん 何らかの近似形式に頼るしかなく これが 相関汎関数 (= Ec ) である。
この 相関汎関数の形は まったくの 任意である。
よって DFT は アブイニシオ (= 第一原理 ) でも 何でもないのである。

[ DFT の基本形。 ]

(Eq.11) 多電子原子のハミルトニアン。

Eq.11 は 多電子原子のハミルトニアンである。
H0 は 各運動エネルギーと 原子核と電子間のポテンシャルエネルギーの和である。
Eq.11 の 右辺の第2項目は 電子間の反発相互作用を表している。

(Eq.12) スレーター行列式 = パウリの排他原理?

基本的に 2つの行や列の成分が同じとき、行列式はゼロになる。
彼らは この行列式の性質を利用して パウリの排他原理を表そうとした。
なぜなら この原理によれば、2つの電子が 同一の状態 (= 行 や 列 ) に入ることができないからである。

何度も言っているように 現在の量子力学は この奇妙なパウリの排他原理の 起源となる力について 問うこと自体を諦めている。
このページにあるように、電子スピン (磁気モーメント) で この強力な反発力を説明することは 弱すぎて 不可能である。

(Eq.13)

Eq.11 と Eq.12 を用いて、全エネルギーは Eq.13 のようになる。
Jij は i と j の電子間の 反発エネルギーである。
Kij は 次に示すように スレーター行列式に基づく 交換エネルギーである。

(Eq.14)

DFT では、この複雑な交換相関部分を 根拠のない近似に頼るしか他に方法がない。
この2つの和を 交換相関エネルギー (= Exc ) と呼ぶ。

(Eq.15) 密度汎関数法は 第一原理ではない。

すでに述べたように、交換相関汎関数は 私達の都合に合わせて 自由に変えることが可能である。
つまり この分野の物理学者達が 好んで "アブイニジオ DFT 計算" という語句を使用したがる傾向と裏腹に、DFT 自体 まったく アブイニジオ計算では ないのである。
この間違った語句の使用は これから物理を目指す学生や 一般人に誤解を与え、危険である。.

[ 単純な 局所密度近似 (= LDA ) でさえも 非常に複雑である。 ]

(Eq.16) LDA の交換エネルギー

このサイトに、 "厳密な交換相関汎関数を探す試みは 未だに密度汎関数理論における最大の挑戦課題である" とある。
もっとも簡単な形式は 局所密度近似 (LDA) であり、 一様な電子ガスモデルに基づいている。
しかし 上記サイトにあるように、この 単純な LDA でさえも 相関汎関数だけは 解析的に求めることが 不可能である。

また もちろんのこと、実際の固体内の 電子の分布は 一様電子ガス状態とは 程遠いことは 明らかである。
そのため、LDA は 様々な物質において 正しい結果を 与えらることができない
Eq.16 が LDA の 交換汎関数である。

(Eq.17) LDA - VWN 相関汎関数。

このサイト p.4に、LDA の相関エネルギーの表現には いくつか候補があり、モンテカルロシミュレーションなどの計算結果などに パラメーターをフィットさせて得られると書いてある。
LDA の もっともポピュラーな 相関汎関数が Eq.17 に示したVWN-LDA である。.

Eq.17 の ε は このサイト (p.9) にある。
この LDA の相関汎関数は 12 もの フィッティングパラメーターを含んでいる。
つまり まったく第一原理ではないのである。

(Eq.18) LDA - PW 相関汎関数。

他の LDA の相関汎関数に Eq.18 に示した PW-LDA というのがある。
この汎関数は 6つもの フィッティングパラメーターを含んでいる。

もちろん、LDA には 他の相関汎関数も存在する。
つまり LDA は そもそも 単一の形式では ないのである。
状況に応じて 相関汎関数の形式を 自由に変更できる。

量子モンテカルロ法 (= QMC ) は ランダムで 誤った結果を与え得る。
この QMC の計算結果は 電子密度 (= ρ ) に応じて 変化してしまう。
今までに すべての状況に合う 便利な LDA 汎関数形は 見つかっていない

(Eq.19) 混成汎関数

Eq.19 は B3LYP の混成汎関数で、ハートリー・フォック、 GGA、 LDA 汎関数が 組み合わさってできたものである。 このサイト (p.8) を参照のこと。
この B3LYP 汎関数は 量子化学分野で もっとも頻繁に使用されているものである。
重要な点は この B3LYP は 色んな種類の原子や小分子の 経験的な値を平均したものをベースにフィットした たくさんの パラメーターを含んでいることである。

つまり、この B3LYP も アブイニシオとは まったく 異なるものなのである。

(Eq.20)

B3LYP は B88 の 交換関数を含んでいる。
B88 は GGA 汎関数の1つで、電子密度の 何らかの勾配を 一様な LDA に付け加えたものである。
ζ は 半経験的なパラメーターである。

今までに 非常に 多くの種類の GGA の汎関数が 作り出されてきた。
状況に応じて それらのうちの1つの汎関数を 選べばいい。

(Eq.21)

Eq.19 は LYP の 交換汎関数を含み、これも GGA の1つである。
LYP には 5つの 半経験的な パラメーターを含んでいる。

現在の DFT では、物理学者達は 日々 都合のいい交換相関汎関数を探すという作業のために 多大な時間を浪費している。 .
これらの汎関数の形式には ほとんど決まりはなく 完全に自由だからである。
DFT が 第一原理でなければ、これらの汎関数を探すという努力は 完全に 時間の無駄遣いである。

スピンホール効果は 数学上のトリックである。

(Fig.11) スピンホール効果?

スピンホール効果では、外磁場のない状況でも、 "アップ" ( ダウン ) スピンの電子が ある電場 (= E ) のもとで、左 ( 右 ) 方向に進路を曲げる現象である ( このサイトこのサイト を参照のこと )。
この スピンホール効果の 本当のメカニズムに関しては はっきりとしたことは 分かっていない

このサイトにあるように、 外的な要因によるメカニズムとしては スピン偏極した電子が 何らかの不純物に スピン軌道相互作用を通じて 散乱されるとしている。
( これを "skew scattering" や "side jump" 効果という。 )
内的な要因によるメカニズムとしては、何らかの バンド構造 ( ベリー位相 ) や スピンの歳差運動によって スピンホール効果が生じるとしている。
しかし 後で説明するが、これらの内的な要因の理論は 非常に人為的で かつ 欠陥を含んでいる。

[ スピンホール効果は "スピン" 自体を見ているわけはない。 ]

(Fig.12) スピンホール効果 = スピン ?   幻想 ?

スピンホール効果の実験では、"スピン"自体を見ているわけでは まったくない ( このサイトこのサイト を参照のこと )。
彼らは 単に 反射光の偏光の差を見ているだけである。

この実験は 難しく、検出シグナルは 非常に弱い。そのため スピンが "アップ" か "ダウン" のどちらを向いてるかは はっきり分からない。
反射光の偏光方向の 非対称性のみ検出できる。
この実験では スピンの向きを知るのに 磁気カー効果を利用している。
しかし このカー効果というのは ファラデー効果のように 純粋に 古典力学的なものである。 このサイト を参照のこと。

基本的に 半導体内部の各電子が 近くの正電荷の原子核の周囲を回転しながら動いているのは自然なことである。
つまり スピンホール効果というのは 奇妙なスピンよりも 古典的な 回転運動によって生じると考えるのが自然である。

[ 電子 "スピン" は 実際に スピンしているか? → 超光速回転。 ]

(Fig.13) スピンホール = マグナス効果 ?   超光速の回転?

ある物理学者は スピンホール効果は いわゆる マグナス効果によって生じていると主張している ( ウィキ マグナスspin Hall を参照のこと )。
マグナス効果では、 スピン回転している ボールが 周囲の気流の方向と 両サイドの回転向きが平行、反平行の違いから 進行方向が曲がっていく現象である。

問題は、 このページに示したように、スピンが 本当の回転だとしたら、 点状粒子がスピンするスピードは 光速の 100 倍以上にも達するということである。
つまり 電子スピンが マグナス効果によって スピンホール効果を起こすということは あり得ない。

一方で、スピンホール効果が 電子の 円軌道運動によって生じるとすれば、マグナス効果を 自然に適用できる。
(= 各 ドブロイ波の流れの方向の違いによる効果 )

[ 円形軌道 (= 古典的な回転 ) は スピンホール効果を 自然に説明できる。 ]

(Fig.14) 電場 (= E ) の方向が 逆になる → "スピン" ホール効果 ?

マグナス効果以外にも 外電場の影響も考慮することができる。

Fig.11 と Fig.14 では、この電子の回転軌道の ワンサイドでは 電子の運動方向が 外電場に平行である。
もう一方のサイドは 反平行である。
回転方向の このは "スピン" ホール効果を生じる原因となり得る。奇妙なスピンに頼らずともである。

一方で、スピンする電子は 点状粒子である。
見ての通り、点状粒子では 小さすぎて 電場の方向と表面の回転方向の違いを考える意味が なくなる

[ スピンホール効果は 電子の 円形軌道 (= 古典的な回転 ) による。 ]

(Fig.15) スピンホール効果 = 回転。

スピンホール効果の実験では、反射光の 偏光方向を検出しているだけで、スピン自体を見ているわけではない。
正常ゼーマン効果では、軌道角運動量の変化 ( ±m ) によって 左もしくは右円偏光の電磁波を放出する。 ( このサイトを参照のこと )。

また カー効果や ファラデー効果は もともと 古典的な効果である。
電子の スピン速度が 光速を はるかに超えることを考慮すれば ( このサイト参照 )、スピンホール効果は 電子の 円形軌道 によって生じると考えるのが しごく自然なことである。

[ スピンによる散乱は 本当か ? ]

(Fig.16) 点状の電子 → ランダムな散乱しか残らない?

Fig.13 と Fig.14 で述べたように、点状粒子である電子は スピンホール効果の原因として 古典的なマグナス効果や 外電場の方向の差などに 頼ることができない
そのため "スピン" を信じるとしたら、スピンホール効果を説明するには ランダムな散乱しか残っていないのである。

しかし Fig.2 で述べたように、相対論効果による スピン・軌道相互作用は この散乱を説明するには あまりにも弱すぎる
また ランダムな散乱を仮定したとしたら、右か左方向に 電子がランダムに散乱されることになり、平均のスピン流が ゼロになってしまう。
これも奇妙である。

内因性のスピンホール効果は 非常に人為的なトリックに頼っている。

[ 内因性のスピンホール効果は 不純物によって消失してしまう。. ]

最初に ラシュバモデルによる 内因性のスピンホール効果について説明する。 このサイトこの論文 参照のこと。
この論文を読む限り、ユニバーサルな値を得るために ある人為的な定義に頼っているようである。
また この内因性の効果は 他の不純物で 容易に消失してしまうことが示されている ( このサイト (p.9)このサイトを参照のこと )。

ここからは この論文 ( このサイトも参照のこと ) について説明する。
この機構は 非常に 複雑であり かつ ある定義に頼ることで 答えをだしている。

(Fig.17) ラシュバ内因性効果。

ある半導体においては z 方向に 内因性の電場 (= Erash ) を元々持っている。
Fig.17 では、電子は y 方向に動いている ( ky は 波数 ).
相対論によれば、この電子の静止系に 磁場 (= Bras は - x 方向 ) が生じる。
電子は 負電荷を持つため そのスピンは x 方向へ向くことになる。

Δ1 は "B" の方向と である ( このケースでは +x 方向 )。
hat のついた z は - eE (= - z ) の方向の意味である。

(Eq.22) ハミルトニアン。

スピン軌道結合エネルギーを考慮すると、ハミルトニアンは Eq.22 のようになる。
λ は ラシュバ結合定数 ( λ > 0 ) である。
σ は パウリ行列である ( s = 1/2σ )。

(Eq.23) ラーモア歳差運動。.

Eq.23 は ラーモア歳差運動である ( ウィキ参照のこと )。
"S" は 電子スピンの方向。 "B" は磁場である。
ge は スピンの g 因子 (= 2 ) である。

(Eq.24)

μB は ボーア磁子 ( このページ参照 )。
電子は 負電荷を持つため、Eq.23 と Eq.25 に 負の記号が付けられている。

(Eq.25)

"n" と "S" (= スピン ) は 同じ方向を向いている。
Δ(t) も スピンと同じ向きで 磁場 (= B ) とは逆方向である。
( ここでは Δ(t) の単位は エネルギー (= J ) と同じである。 )

Eq.25 を用いると、 Eq.23 は

(Eq.26)

Δ1 は スピンが 最初に向く方向である。
つまり Fig.17 では、 Δ1x 方向を向いている。

Δ2 の方向は Eq.27 のように定義している。
( Δ1 が x 方向のとき、 Δ2 は y 方向である )。

(Eq.27)

Eq.26 から 次を得る。

(Eq.28)

最初のスピンの方向は +x であるため、 Δ3 (= z 成分 ) は Eq.28 で ゼロになる。
また、

(Eq.29)

スピンの Δ2 成分 (= Δ1 に垂直 ) は 非常に小さい (= スピン歳差運動 )。
スピン成分 n2 は Δ2 に比例しているため、

(Eq.30)

Eq.28 と Eq.30 から 次を得る。

(Eq.31)

Eq.22 と Eq.25 から、 Δ (= - B 方向 ) は 次のように表せる。

(Eq.32)

波数 k は p/ħ である。
最初に、 この k は y 方向 ( k = ky ) を向いているとする。
( hat がついた z は - z 方向である )。
つまり Eq.32 は、

(Eq.33)

ここで、外電場 Ex を Fig.18 のように かける。
その後、この電子は -x 方向にドリフトする。
相対論効果のために、新たな有効磁場 (= Bnew ) が z 方向に発生する。

結果的に このスピンは 負電荷のため -z 方向 (= ダウン ) を向く。
しかし この計算で あるトリックを使う必要がある。

(Fig.18) 電場 Ex を かける。 → スピンダウン ?

Eq.27 から、このケースでは、 Δ2 は ky (= k ) 方向を向く。
Eq.32 の "k" 成分 (= Δ2 ) の時間微分は

(Eq.34)

Eq.34 では、新たな電場 Ex のため、この電子は - x 方向に加速される。
そのため次を用いる。

(Eq.35)

運動量 p は ħk ( k は 波数 ) に等しい。
Eq.35 で 運動量の時間微分は 電場による力 (= -eE ) である。
しかし Eq.34 は すこし奇妙である。
内積後の 負の記号 (= -e ) は 残らないと思われるが・・。

Eq.33 と Eq.34 を Eq.31 に代入して、 1/2 (= スピン ) を付けると、

(Eq.36)

Eq.36 を見て分かるように、移動方向 ky に応じて、スピンの z 成分は 逆転する。
これが スピンホール効果の原因だと 彼らは主張している。
しかし 後で説明するが、この理論によって スピン蓄積を発生するのは難しい

(Eq.37)

電子の速度は、運動量 (= ħk ) / m で与えられる。
スピン流 ( j ) は、 スピン角運動量 (= ħS ) × 速度 に等しい。

(Eq.38)

これは 2次元系である。
そのため 波数の積分は Eq.38 のようになる。

kF,+ と kF,- は、この系における 最大、最小の波数である。
この波数の最大最小値は 任意である ( ← トリック )。

(Eq.39)

Eq.36 と Eq.38 を Eq.37 に代入して 積分すると、 Eq.39 を得る。
ここで 突然 Eq.40 のように定義した。

(Eq.40)

Eq.40 を用いると、 Eq.39 は、

(Eq.41)

そのため、彼らは ユニバーサルな電気伝導率 (= -e/8π ) が得られたと主張している。
しかし Eq.40 を見て分かるように、 この定義は 自由に変えることができる。
Eq.40 の値を選んだことが、Eq.41 の結果に つながったことは明白である。

(Eq.42)

Eq.8 と Eq.40 を比較して、 kF,+ と kF,- の差は Eq.42 のようになる。
どうして Eq.42 の条件が選択されたのかという 具体的な理由を 見つけることができなかった

[ 全スピンは 常に ゼロ ? ]

(Fig.19) この理論では 全 (= 平均の ) スピンは 常にゼロになる。

この理論によれば、電子が y 方向に動いているとき、そのスピンは "ダウン" 方向を向く。
電子が -y 方向を向いているとき、スピンは "アップ" 方向を向く。
外電場は x 方向のみに かかっている。

つまり y 方向の速度の平均は あらゆる場所において 必ず ゼロになってしまう。
この結果は Fig.12 の 一方に スピン蓄積するという 実験結果と 矛盾している。

[ バンド構造による 内因性のスピンホール効果は 数学上のトリックである。 ]

(Fig.20) GaAs の heavy- (HH) と light- (LH) hole のバンド。

内因性のスピンホール効果における もう1つの主要な要因が バンド構造ということになっている ( Science 301 1348 2003、 この論文このサイト を参照のこと )。

Luttinger ハミルトニアンによれば、バンドのエネルギーは heavy-hole (= HH ) と light hole (= LH ) の 2つのバンドに分離する。
HH は 全角運動量 j = ± 3/2、 LH は j = ± 1/2 を持つ。

(Fig.21) スピンホール効果 ?

この理論によれば、 +3/2 もしくは +1/2 の角運動量の粒子と -3/2、 -1/2 の粒子は 逆方向に曲がるらしい。
各粒子は HH もしくは LH のどちらかのバンド内のみで 運動していると仮定している。
しかし 後で説明するが、この理論も スピン蓄積の実験事実と一致しないと思われる。

(Fig.22) 各バンドで スピン蓄積がゼロ ?

すでに述べたように、各バンドは ± の角運動量を含んでいる。
そうすると、Fig.19 のように 各バンドの全スピンは 必ずゼロになってしまう。
なぜなら、正 と 負 の角運動量を持つ粒子は 互いに逆方向を向きながら、常に循環しているからである。
つまり 片方のサイドに 特定のスピン蓄積が起きないことになる。

(Eq.43) 外電場を伴う Luttinger ハミルトニアン。

この理論では、 Luttinger ハミルトニアンの近似を用いている。
γ1 と γ2半経験的なパラメーターであり、各物質ごとに 異なる 値である。

"k" は 粒子の波数で、 "S" は 全角運動量である。
"-eEx" は 電場エネルギーである。

(Eq.44)

Eq.44 は 極座標における 波数である。
ここで 次のユニタリ変換を使用する。

(Eq.45)

Eq.43 の "kS" 項は Eq.46 のように変換する。
Eq.45 のユニタリ変換の下で、 すべての k で スピン S の量子化軸が z 方向を向く。
( この操作は 非常に不自然と言わざるを得ない。)

(Eq.46)

Eq.43 の "x" の空間変数 は 波数 (= k ) の微分で置き換えられる。

(Eq.47)

Eq.47 を用いて、Eq.43 のハミルトニアンは Eq.45 の変換のもと、Eq.48 のようになる。

(Eq.48)

ここで 彼らは "x" の定義を Eq.49 のように変えてしまった。
Eq.48 の最後の項が 新しい x の変数に付け加えられてしまった。
これは 明らかに 人為的な定義と言わざるを得ない。

(Eq.49) 数学上のトリック。

磁場 (= B ) は ∇ × A のように 表わすことができる。
( ∇ は 空間座標 ( 波数でなく ) の微分で、 A は ベクトルポテンシャルである )。

もちろん、波数 (= k ) は 空間座標 "x" とは違うものである。
しかし この理論では 本当の磁場の形式を真似て、Eq.50 のような 擬磁気モノポールを定義してしまった。

(Eq.50) "擬" 磁気モノポール?

Eq.50 の λ は 全角運動量である。

(Eq.51)

Eq.43 のハミルトニアンにおいて、 Eq.50 の関係式により ハイセンベルグの運動方程式は

(Eq.52)

Eq.50 を用いると、 Eq.52 は、

(Eq.53)

Eq.53 では、 λ の符号に応じて、 y の方向が変化する。

しかし Eq.53 における y 方向の新たな力は 奇妙である。
現実の世界で スピン磁気モーメントと 電場の両方に垂直な力は 存在しない
( この奇妙な力は 相対論効果でもローレンツ力でもない。 )

また 各バンドは ±3/2 ( もしくは ±1/2 ) の磁気モーメントを含んでいる。
つまり Eq.53 の磁気成分は キャンセルされてゼロになってしまう ( +3/2 - 3/2 = 0 )。

(Fig.23) スピンホール効果 ?

すると、この理論は 実験結果と 矛盾する。

(Fig.24) 各バンドで スピン蓄積はゼロになる ?

各バンド内の 正反対の角運動量 ( ex. ±1/2 ) 同士は 互いに打ち消しあう。
なぜなら これらの粒子は y 方向において 常に循環しているからである。
また Eq.53 の kz の方向も ランダムである。
結果的に 各サイドへの スピン蓄積量は 常にゼロになってしまう。

また 反対称テンソル (= Fij ) の定義は 本当の 磁場テンソルとは違うものを使っている。
Eq.49 の 人為的な置き換えの 具体的な理由を 見つけることができなかった

4次元空間の 量子ホール効果に リアリティーはあるのか ?

[ 現実の現象を記述するのに "異次元世界" に頼るのは 止めるべきである。 ]

(Fig.25) 量子ホール効果 = 4次元空間 ? = 超弦理論?

驚くことに、あるトップジャーナルによれば ( Science 294 823 2001、 論文 参照のこと )、空間だけで 4次元もの次元が存在するらしい。 ウェブニュースも参照のこと。

ご存じのとおり、"異次元" という概念は ファンタジー 以外何者でもない。
トップジャーナルまでも 超弦理論に見られるような 余剰次元を信じている現状に 一般の方々は驚かれることと思われる。

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2014/2/16 updated This site is link free.