ウズラのたたき風
海員閣のメニューには、中国語と日本語両方の表記があります。中国語がわからないお客様にとって中国語表記を注視する機会はあまりないと思います。今回取り上げる【ウズラ(鶉)のたたき風】ですが、このメニューの中国語/日本語表記には変遷があります。
そもそも、この「ウズラのたたき」という料理は、ウズラを一羽丸ごと中華包丁で叩いてミンチにしていたことに由来する名称でした。中国では、お客様をもてなす際、生き物を一匹まるまる提供することで、お客様への最大限の歓迎を表します。なので、海員閣の宴会料理では、一匹まるまる提供されるもの(鶏<ニワトリ>、龍蝦<伊勢海老>、水魚<スッポン>、焼鴨<ダック>)が多く見受けられます。
「ウズラのたたき」という料理の盛り付けですが、キャベツの千切りを草原の草に見立て、カリカリに揚げた中華そばをウズラの巣に見立てています。その巣の上に「ウズラのたたき」が盛られており、草原にひっそり隠れているウズラの巣をイメージしております。
まず、メニューの中国語表記についてですが、創業当初のメニューには、【鵪鶉鬆】という表記がなされていました。それが、ある時を契機に【生炒肉鬆】へと遷移しました。
この契機というのが、正直判然としていないのですが、使用する材料をウズラから豚挽き肉へシフトした頃にメニュー名を【生炒肉鬆】へと変更したようです。(メニュー表の修正印字を叔父から私が引き継いだ頃、約20年前には【生炒肉鬆】へ変わっていたように記憶しています。)
そして、日本語表記についてですが、メニュー上「ウズラのたたき」という名称で定着していたので、突然の変更による従業員・お客様双方の混乱を避ける意味であえてそのまま【ウズラのたたき】という名称を使用することにしました。
しかし、ウズラを使用していないことへの後ろめたさから、この度の代替えを機に申し訳程度に ”風” を最後に付け足すことにいたしました。これが、海員閣メニュー七不思議(??)の一話です。
注)下記写真は【生炒肉鬆】です。見た目はウズラを使用していた当時から変わっていないと思います。