高校に入って伸び悩む生徒は多いものです。なぜでしょうか。
　それは、物事を論理的に考える力、抽象的な事柄（数学で取組む「関数」や理科で習う「運動」などのことです）を理解する能力に欠けているからです。その力がある生徒は高校３年生からでも大学受験に間に合います。欠けている生徒は、１年生から勉強を始めても間に合わないかもしれません。
　ならば、論理力、抽象的なことへの理解力をどうやって鍛えるのでしょうか。
　私たち日本人は、日本語を使わずに考えることはできません。考えるときは、常に日本語を使って考えています。つまり、日本語を用いて論理的に考える力が、すべての論理力の基礎なのです。
　抽象的な事柄の理解はどうでしょうか。身の回りに見当たらないことを、数式や説明文だけで理解する力。それは、姿かたちのないものを、姿かたちのあるものと比較し想像するプロセスで獲得されるものです。身の回りにあるものとの類似点、相違点を整理しながら解釈し、イメージするうちに、抽象的な事柄を数式を用いて考える力が育つのです。
　このような力は、単に数学の問題の解法を覚えたり、英文の空欄を埋めることでは鍛えることができません。なぜ、その式やグラフを用いれば問題の解を求めることができるのか、なぜこの日本語はその英文として訳されるのか。根本を考えるなかで身につけることができるのです。
　知的能力の伸び代がある中学生のうちに、この種の訓練を積みましょう。きっと自分が賢くなってゆくのがわかるはずです。