➀ 東京地方税理士会税務相談事例より
Q&A0012 資産税 娘婿が行う父名義家屋の増改築と税金との関係
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|娘婿が行う父名義家屋の増改築と税金との関係 |
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【質問】
父所有の古家(固定資産税評価額200万円)を増改築して同居します。予算は18
00万円で私の夫がその全額を銀行から融資を受ける予定ですが、建物の所有権名義に
夫を入れるようにとの条件があります。法律と税金の関係はどうなりますか?
【回答】
増改築した部分が、家屋として独立した構造と機能を有さないと、増築部分を娘婿名
義に登記することはできず、増築した部分の所有権は、従前所有者の父に帰属する(民
法242条)。一方、娘婿は義父に対して償還請求権を有するが、親子であるため行使
しないのが通常である。そうすると父は資金負担せずに増築部分の所有権を得るので、
みなし贈与となり(相続税法9条、最高裁昭和53年2月16日判決)贈与税額は62
0万円となる。
実務対策として二つの方法がある。
① 増築前に父から娘婿に建物を贈与し、その後に増築部分を含めた全部を娘婿名義と
して登記を行う。贈与税は9万円である。
② 増築前と増改築後の建物価額の比率、即ち、父は200万円÷(200万円+18
00万円)=1割、娘婿は残り9割の比率にて共有登記を行う。この場合、父は増築
前の家屋持分9割の180万円を娘婿に移転し、娘婿は残存する父の持分1割に対応
する増改築費用180万円を負担するので、贈与は生じないと考える。他方、父は増
築前の持分9割を180万円で譲渡したものと扱い、取得費を控除した金額が譲渡所
得の金額となる。
条件が許せば①が簡便である。
Q&A0026 相続税・土地評価 貸し付けているマンション内の駐車場の土地及び建物の評価
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|貸し付けているマンション内の駐車場の土地及び建物の評価 |
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【質問】
被相続人は、マンションのうちの2室とマンション地下駐車場2台分を保有し、その
駐車場については、いずれもその2室の居住者に貸し付けています。この場合の地下駐
車場敷地相当分の土地の評価区分はどうなりますか。また、その地下駐車場部分の建物
部分についても評価する必要がありますか。
(前提)
1.地下駐車場2台分相当敷地部分についても敷地権として登記され、その建物部分に
ついては、構築物として固定資産税評価額が付されている。
2.地下駐車場2台分は保有マンションの入居者がそれぞれ借りているが、マンション
の賃貸契約書とは、別契約となっている。
【回答】
1.マンション居室及び駐車場敷地相当部分土地については、敷地権を有していること
から、土地評価の対象となります。また、所有権があるその駐車場構築物についても
、評価する必要があります。
なお、その構築物については、固定資産税評価額が付されているため、その金額を
基に評価することが妥当と考えられます。
2.次に評価区分ですが、駐車場部分の敷地については、他に貸し付けている場合でも
、原則として、「自用地評価」となります。
ただし、例外的に貸家建付地評価として差し支えない場合もあると考えられます。
すなわち、事実認定の問題となりますが、その駐車場が貸し付けているマンション
居住者専用となっているか、マンション賃貸契約と一体と認められるか、過去にマン
ションの他の居住者等に賃貸した事実があるか、など総合的に検討し判断することに
なると考えられます。
なお、マンション(居室)敷地部分が貸家建付地評価となることについては、言う
までもありません。
② 千葉県税理士会相談事例より
Q&A0017 相続税 預金の名義と相続税の課税対象財産
平成25年1月20日第142号掲載】
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|預金の名義と相続税の課税対象財産 |
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【Q】
相続財産に被相続人以外の名義(相続人、その妻、その子)の預金があることが判明
したが、単なる借名預金と見るのか、すでに贈与済の預金と見るのでしょうか。
【A】
事実認定の問題です。一般の贈与については贈与者が贈与をすることを受贈者に意思
表示し、受贈者が承認することで成り立つ契約と言われているため、その要件を満たす
必要があると考えられます。相続発生時にその預金を実質的に管理していた者は誰であ
るのか。贈与税の申告期限を渡過しているものについては、贈与税の申告がなされてい
るのか等が判断の根拠となるものと思われます
Q&A0019 相続税 貸駐車場の評価
【千葉県税理士界 平成25年2月20日第143号掲載】
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|貸駐車場の評価 |
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【Q】
駅前等のコイン貸駐車場の評価について教えてください。
【A】
コイン貸駐車場は土地を独占的、排他的に使用できる占有権を引き渡したことではな
いので、原則的には自用地評価となります。ある程度恒久的な使用に耐え得る車庫や類
似する施設を相手方の費用で造ることを認めるような契約は、期間に応じた賃借権相当
を控除して評価することとなります。
Q&A0032 相続税 相続税の申告期限について
【千葉県税理士界 平成25年8月20日第149号掲載】
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|相続税の申告期限について |
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【Q】
認知症の相続人について、相続開始8ヶ月後に後見人を選任しました。その相続人は
全く通常の判断能力がありません。この場合の相続税の申告期限は何時になるのでしょ
うか?また相続人の中には代襲相続人となる幼児がいますが、この幼児の申告期限は通
常通りでいいのですか?
【A】
まず認知症のため全く判断能力を欠いているために後見人を選任した場合の相続税の
申告期限の起算日は、その後見人が選任された日になります。
未成年である幼児については特別代理人の選任を受ける必要がありますが、その申告
期限の起算日については特別代理人がその相続の開始があった事を知った日となります
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