俺、女の子になれますか?

第二十三話「美樹クン!まだ男の体なの?」

(この作品はR18です。18歳未満の方は読まないでね。)
 アリスの担当している部屋は異様な雰囲気だった。アシスタントの「翼」ちゃんという、やはりここで女の子になった女の子がドアを開け、入ってきた私達に気づいたまるでプロボクシングのボクサーみたいなガウンを羽織った茶パツの矢萩クンが申し訳無さそうに出てきた。
「あ、姫先生、お疲れ様です。和之センパイ、いつ戻られたんですか?」
 ヤンキー風だけど礼儀だけは正しい彼、そもそも根は変な奴じゃないし。
 と、まゆみちゃん達三人が美樹ちゃんという子のいるベッドルームの大きなガラス窓に小走りに駆け寄っていく。
「美樹!美樹!、ほら、一輝君、こんなに可愛い女の子になったよ!」
「こっち向きなよ、一輝君まゆみちゃんになったんだって!」
 体にバスタオルを巻き、部屋の中の隅に三角座りして顔を伏せている、美樹という名を選んだ男の子が微かに顔を上げてこちらを見る。
「美樹ちゃん、俺…じゃなくて、あたしまゆみ!まゆみになったんだよ!」
 まゆみちゃんも他の子達と同じく胸元で精一杯手を振り、可愛くなった自分をアピールしていた。
 当の美樹クンというその男の子は、長めの髪を先端分けした眼鏡をかけたほっそりした、本当秋葉原にどこでもいそうなオタクっぽい子だった。
 その様子を私の横で腰に手を当ててら仁王立ちになりじっと見つめる和之。
「まったく…、思ったとおりだぜ。美樹って勉強一筋の優等生なんだろ?アニメとかも好きらしいけどさ。んで、そんな奴にヤンキーみたいな茶髪が三人、一人はボクサー風のガウン。部屋はバイク飾ってるアメ公が気に入りそうな部屋。まるっきり逆効果じゃねーか、本部の人選どうしてるんだよ」
 ため息つきながら怒った様に続ける彼。
「ガキの観る魔女っ子とかのポスターとかフィギュア置いてるアニオタ用の部屋有ったろ?そっち方面から来る奴も少なくねーからよ」
「違うの、最初そこにしようかと思ったけど、部屋取れなかったの…」
 和之の言葉に必死で弁解するアリス。
「それにさ、おい、矢萩!よく見とけ!」
 和之はガウンを脱ぎながら続ける。
「こいつはガリ勉で真面目なおぼっちゃんなんだよ!悪い事とかエッチな事は自分からやりたがらない、というか出来ねーんだよ!だから、こいつに必要なのは無理矢理女にされたっていうシュチュエーション!」
 そう言いつつずかずかとベッドルームに入っていく和之。そんな彼を顔を上げて驚きの表情で見つめる美樹クン。
 和之は部屋の隅に大股で歩み寄り、美樹クンの手を取る。
「おい、美樹!立て!」
 和之に手を掴まれたまま無言でいやいやと顔を振る美樹クン。
「立てって言ってんだろ!ほら!」
 無理矢理立たされても相変わらず座り込もうとする美樹クン。
「お前ここに何しに来たんだよ!女になる為に来たんだろ!」
 和之に引き起こされる様に立たされた美樹クン。既に初期の施術が施されたほっそりとした彼の体は病的なほど白く、大きく赤黒くなった乳輪の先には男とは思えない大きさになったバストトップがツンと尖っている。
 いきなり美樹クンの背後に回りこんだ和之は、彼を抱きかかえるつ
いでに彼の女性化したバストトップに手をあてがった。
「やん!」
 彼の口から男の声だけど女の子みたいな叫び声が出た。
「いいか?お前はもう普通の男じゃねーんだよ。乳腺も出来たし、女の血が流れてる。筋肉も皮膚も女になりつつあるしさ、嫌ならこうなる前に逃げたはずだろ?」
 そう言いつつ彼を抱え上げベッドに連れて行こうとする和之。
「いやだいやだ!」
 と必死で抵抗する美樹クン。私もこんな乱暴な和之は見た事無い。
思わず私はマイクに向かって叫ぶ。
「和之!乱暴はやめたげて!嫌ならそれでいいじゃない!」
「いいから黙って見てろ!」
「気が変わったのかもしれないじゃないの!また謹慎処分食らうわよ」
「へっ謹慎上等だぜ!俺今度アフリカ行ってみてえと思ってたとこだ」
「いいって、今ならまだ男の子に戻せるからさ!」
「そんな事したら一番悲しむのは美樹だぜ。おい、美樹、どうなんだ?また好きなアニメも観れない勉強ばっかりの世界へ戻る気か?」
 和之の言葉に美樹クンが足をばたつかせるのを止めた。
「止めるならそれでもいいぜ。ただおめーがなんで女になりたいのか、どうやってここに来たのかはわかんねーし、知ろうとも思わねーけどよ。後悔だけはすんなよ」
 美樹クンの顔が呆然となって動きが完全に止まる。
「よーしいい子だ、かわい子ちゃん」
 そう言うと和之は抱き上げた美樹クンを器用にお姫様抱っこの形にする。
「いいな、抵抗するなよ」
 そう言って彼は怯えた顔の美樹クンの口にいきなり自分の口を付ける。一瞬悲鳴の様な声と共に手足をばたつかせる彼。でも我慢しているのか覚悟決めたのか、すぐにおとなしくなる。
 次に和之は彼をベッドに寝かせ、その上におおいかぶさり、彼のバストトップを口に含むと、目を瞑って我慢していた美樹クンの目が大きく開き、口から荒い息使いの声が聞こえ始める。
「ほらみろ、体は正直だぜ。それにすげえ心臓の音。待ってろ、楽にしてやっから」
 そう言うと和之は先程一輝ちゃんだった時のまゆみちゃんに施した様に、美樹クンの全身を優しく労わり始める。しかし美樹クンの驚きと興奮は止まらないらしい。愛撫されている間目は少しとろんとなってきたものの荒い息遣いはとまらなかった。
「よし、これで最後だ。俺のものを口に入れろ!」
 和之のその言葉に美樹クンがゆっくりと体を起こしたものの、相変わらず彼の目はうつろなままで、まだ荒い息が残っている。
「どうした、少しでいいんだ」
 その時、
「美樹!がんばれ!」
「これで最後だから!」 
 部屋のガラス窓に張り付いた、既に女の子になった三人が口々に美樹クンに声援を送り始める。
「さあ、美樹!やるんだ!」
 その時、和之の顔をじっと見つめ直した美樹クンが、口から嗚咽の声を出し、涙をぽろぽろこぼし始める。
「どうした美樹!早く!」
「…はい…でも」
「でも、なんだ?」
 彼の返事にいぶかしがる和之。
「…怖い…」
「え?」
「女の子になるのが、怖い…」
 美樹ちゃんの意外な返答に笑い出す和之。
「だって、何もかも変わっちゃうんでしょ?何もかも逆になるんでしょ?」
「はっはっは!怖いってか、そうかそういう気持ちもあるのか」
 そう言って和之は目の前に座ってる美樹クンの後頭部に手を当て、彼の顔をぐっと自分の股間に引き寄せた。
「さあ、美樹!やれ!」
 いきなりの事に美樹クンが凍りつく。部屋の外では絵里花ちゃん、真美ちゃん、そしてまゆみちゃんの声援の声がずっと続いている。
「美樹!命令だ!口に入れろ!」
「は、はい!」
 しかしそう簡単には行かなかった。美樹クンが観念してその行為に及んだのはそれから五分後。窓の外で見てる三人の歓声の中、遂に美樹クンは男を捨てた。
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