俺、女の子になれますか?

第十三話「体はまだだけど、たった今から女の子として扱うからね」

(この作品はR18です。18歳未満の方は読まないでね。)
「一輝クン、体はまだ男の子に近いけど、たった今から一輝クンは女の子として扱われるからね」
 聡美ちゃんも彼の頬に軽くキス。
 まだ荒い息使いをしながらもびっくりしている彼に、
「あ、女の子同士のキスなんて珍しくないからさ」
 と聡美ちゃんが続ける。
「和之、わかってると思うけど今から一輝クンは女の子だからさ、勝手に入ってくるんじゃないわよ」
 私の声に奥の部屋のベッドに座って相変わらず煙草を吸ってる和之が軽く相槌を打つ。
「さてと…」
 そう言いつつ私は彼の股間に付いた血や汗の汚れを綺麗にふき取り、傍らのテーブルから小さく折りたたんだレースの目立つ布切れの一つを手に取る。そして、
「一輝クン、いくよ」
 そう言いつつ、彼の両足にそれを通していく。それは真っ白でレースとか色の付いた小花をあしらった、女の子のショーツ。
「あ…あ…」
 声にならない声を口にして体を起こしてその様子を見る彼。と、
「はい一輝クン、ちょっとごめんね」
 そう言いつつ聡美ちゃんも机の上から残りのストラップの付いた布、それは一輝君が履かされているショーツとお揃いの小花とレースの付いた…。
「一輝クン、初ブラだよ」
 そう言いつつ、可愛いブラジャーのストラップをすっかり滑らかになった彼の両手に通し、肩にかける。
「着けるよー」
 ほぼ同時に一輝君の下半身を可愛いショーツが引き締め、ブラのホックが背中で微かに音を立てる。
「あ…あ…、ぼ、ぼく…」
 右手で履かされたショーツの裾のフリルと股間を触り、その手でブラのカップとストラップをなぞり、私の方に恥ずかしそうな笑顔を向ける彼。
「一輝クン、まだ女の子の名前決めてないの?」
「あ、うん、まだ…」
「じゃ、とりあえず今は一輝ちゃんだね」
 聡美ちゃんに一輝ちゃんと言われ、はにかんでうつむく彼。
「一輝ちゃん、今のあなたの胸はAってとこ。付けてるブラのカップはCだから大きく感じるけど、まああと一時間後にはそれくらいになるからさ」
「え?あと一時間て」
「これから約一時間の間にあなたの女の人生決まっちゃうから。あと、はいこれ」
 私は両手でわざとらしく背中に隠していたものを、はいって感じで一輝ちゃんに差し出す。
「あ、これって…」
「そう、ここの施設の女性の制服。聡美ちゃんが着てるのと同じデザインだよ」
 嬉しそうに彼は私の手からそのピンクと白のツートンのワンピースを手に取ると、教えてもいないのにそれを体に当てる仕草をした。
「じゃ、着てみて」
「あ、はい!」
「着方わかる?」
「あ、お姉ちゃんがこういうの着てるの時々見てましたから」
 姉貴からお姉ちゃんへ。いつしか女の子らしい喋り口調になった彼は、大切そうにそのワンピースを胸元で抱えて私に軽くお辞儀すると、背中のチャックを開ける。細くしなやかになりつつある両足を通し、ふっくらと丸みを帯び始めた太股と小さいながらも可愛くふくらみ始めたヒップがワンピースで覆われていく。
「最初だからチャックあげたげる」
 一輝ちゃんがワンピに両肩を通したのを見届けた聡美ちゃんは、背中のプラスチック製のチャックに手をかけ、そして、
「いくよっ」
 と意地悪そうに言うと、チーッという音と共に制服のワンピは一輝ちゃんの体に密着した。
「あっあーーーっ」
 生まれて初めてのワンピと体全体を包まれる不思議な心地に、思わず声を上げる一輝ちゃん。
「あとこれ」
 そう言うと聡美ちゃんは手にした白とピンクに金色のラメが入ったスカーフを彼の首に形良く巻きつけていく。
「わー、可愛くなったじゃん!ほらこっち来て!」
 そう言うと彼女は一輝ちゃんの手を強引に引いて部屋の隅の姿見の所へ連れて行く。
「ほらっほらっ一輝ちゃん、こっち来て!」
「や、やだ、恥ずかしいもん…」
 多分無意識なんだろうか、女言葉を口にしてむずがる一輝ちゃんを鏡の前に立たせる聡美ちゃん。
「わ、わあ…」
 鏡に映る聡美ちゃんと同じワンピを来た自分の姿を見て、おもわず口に片手を当てる一輝ちゃん。その姿はとりたてて可愛いとはいかないまでも、ボーイッシュな普通の女の子そのもの。少なく見てももう男の子には見えない。
 しばし鏡の前で並ぶ二人。聡美ちゃんが可愛いポーズを取ると、一輝ちゃんもぎこちなくそのポーズを真似してそして二人で笑って、ふと一輝ちゃんの胸をそっと触る聡美ちゃん。
「おっぱい、出てきたね」
「あ、これブラのカップの膨らみだし」
「ううん、さっきあれ入れられる前さ、ちゃんと胸チェックしたよ。
小さいけどもう普通に女の胸だったし、バストトップもつんとなってたし」
 そう言いながら聡美ちゃんは一輝ちゃんの背中のブラのホックとストラップを指でなぞると、
「やん!」
 と言って肩をすくめる一輝ちゃん。
「おっぱいは女である証拠、そして背中に透けるブラの線は女の印」
 そう言って再び一輝ちゃんの背中のブラのホックを指でなぞると、一瞬だけど感じている女の表情を顔に浮かべる一輝ちゃん。
「あとさ、女って何?こんなに体柔らかくなるの?筋肉なんて殆どないじゃん…」
 そう言いながら一輝ちゃんは自分の左の二の腕を右でつまんでぷるぷるさせる。
「大丈夫、もっと柔らかくなるからさ」
 そこを指で突きながら意地悪そうに言う聡美ちゃん。
「でもさ、なんかやっぱり普通の女と違う…」
 鏡を見直してしんみりという一輝ちゃん。
「そりゃそうだよ。まだお尻小さいし、ウエストにくびれないし」
「あ、うんそうだよね…」
「大丈夫、あと一時間したらさ」
「あ、あの僕これから?一時間て…あ、あつ…」
 聡美ちゃんと会話していた一輝ちゃんが突然お腹に手をやる。
「え、一輝ちゃん、お腹痛いの?」
「う、うんちょっと…」
「姫先生!もう始まっちゃったみたい!」
 私を呼ぶ聡美ちゃんの声に私も急いで一輝ちゃんの元へ駆け寄る。
「もう始まったの?よっぽど順応性あるのね」
「先生!早く」
「そうね」
 私と聡美ちゃんで一輝ちゃんを肩に抱えて、小走りに部屋の奥のドアに向かいドアを開けると、そこには巨大なガラスのカプセル状の物を中心に、いろいろ物々しい機械が揃った部屋。
「一輝ちゃん。あと一時間位で女の子になるんだげと、その間女としてどれだけ性的に感じるかで、あなたの女としての仕上がりが違ってくるの」
「え、それって、どういう事なの?」
「訳を話してる時間ないわ。早くこの中に入って!」
 聡美ちゃんが慣れた手付きで機械を操作すると、ガラスのカプセルの一部が小さくスライドしていく。
「一輝ちゃん。早く中に入って!」
 ものものしい不気味とも思えるその装置に一輝ちゃんも少し戸惑っている様子。
「さ、早く!」
 せかされる様にそのガラスカプセルの中におそるおそる入っていく彼。と、
「一輝ちゃん。怖がらないで。あとね、気持ちよかったら声あげていいし、くすぐったかったら笑っていいし、悲しかったら泣いていいしさ」
「え、だから、どういう事なの?僕これから何されるの?」
「だーかーらー、女の子になりにきたんでしょっ」
 そう言うと聡美ちゃんはカプセルのドアをバターンと閉める。カプセルの内側から両手をそれに付いてなにやら不安そうに何か喋ってる一輝ちゃんだけと、カプセルの外から中の声はもう聞こえない。
「じゃね。可愛くなるんだよ」
 部屋の扉から出て行く私に続いて聡美ちゃんがそういい残して部屋から出て行く。
 デスクに座った私がメインのスイッチを入れると、三台のモニターの画面が変わり、不安そうに何か独り言を呟いてるカプセルの中の一輝ちゃんの声が聞こえ、薄い水色の光が篭っているカプセルの中の彼の姿が角度を変えて大写しになる。
(実はあの子が女の子としての適正があるのか、本当にわかるのはこれからなんだよね)
 そそくさと聡美ちゃんも私の横に来てモニターを覗きこむ。
「うまくいってよね、頼むから」
 そう呟いて私はいくつかのスイッチをオンにして、少し大きなメインのスイッチを入れると、モニター横のスピーカーから鈍い動力の音が聞こえ始める。その音に一瞬怯えた様子の一輝ちゃんの口から、小さな叫び声。そしてだんんだんそれは大きくなり、がっくりと膝をつく彼。そしてカプセルの上からは刺すような光が彼に浴びせられる。
「ああああっ!」
 カプセルの中で倒れてもがく様に体を動かす彼の体に無数の薄い水色の小さな光が現われ、彼の体を這いまわるに動いていく。
 もう男の声は出なくなったのか、低い女声でうめき続ける彼。
 今彼には三つの事が同時に起こっている。
 一つは彼の体を思春期前の状態に一旦戻す事。
 二つは、彼の体にXX型の細胞を無数に作っていく事。今後彼の体のXY型の細胞は分裂をやめて破壊され、新しく出来たXX型の細胞がその分を補い、分裂して増えていく。
 そして三つ目は、彼のお腹に埋め込まれたきらきら光るあの細長い物質。その上半分はまるで羽を広げる様に左右に別れ、その先端に卵巣、そして残りの部分は卵管に姿を変えていく。
 下半分はそのまま太くなり筒状に変化し、子宮に変わっていく。いずれも思春期前の女の子の状態まで成長する。
 うつぶせに倒れて体をばたつかせて悲鳴を上げていた一輝ちゃんがだんだんおとなしくなっていく。彼の体の上を這いずり回る小さな光は薄い水色一色だったのが、次第にピンクが混じる様になっていく。装置から発せられる細胞のセンサーに、彼のXX型になった細胞が反応し始めているようだ。
「ああん…ううん…」
 お腹の中に小さな卵巣と子宮が出来上がって、体の細胞の半分を女にされた一輝ちゃんの声がだんだん穏やかになっていく。
「そろそろ…かな」
 細身の腕時計を見ながら私は独り言を呟く。ここまで十分、もういい頃だろう。
「次に行く?」
「うん、そうね」
 聡美ちゃんの言葉に私はうなずくと、更に三つのスイッチを入れ、最後にメインのスイッチを入れる。
 一輝ちゃんの入ってる装置から動力の音が消え、今度は軽いモーター音みたいなのが聞こえ始める。
 今度は一輝ちゃんの全身の細胞のうち、XY型は死滅し、XX型の細胞が急速に新陳代謝を始める。要は全身の細胞が分裂と老化消滅を繰り返し、何度も入れ替わる。その過程で骨格は一輝ちゃんに出来た卵巣から出る女性ホルモンにより、次第に女のサイズに変わっていく。
 肩幅、腕、足、胸、背骨の骨格は小さくなり、その養分全てが彼の骨盤を変形・肥大させるんだ。
「一輝ちゃん、どんな体になるんだろ」
 わくわくした様子で聡美ちゃんがモニターに顔を近づける。
 うつぶせになってうんうん唸ってた一輝ちゃんが何かにふと気づいた様子で顔を上げた。暫くすると、
「う、うーん…」
 と声を上げうつぶせのまま立ち上がろうとするが、すぐにまたへたって倒れてしまう。彼の体の上に何か思い物がのしかっている感じになっているんだろう。何度かそれを繰り返した後、
「うーっ」
 と声を上げ、うつぶせのまま体を荒々しく左右にゆさぶり始める。
「始まったね…」
 モニターを覗く聡美ちゃんがぼそっと呟く横で、私は彼が暴れてカプセルな体とか頭をぶつけないか注意を払っていた。
 うつぶせになったまま体を揺らし、低いながらも女声になってしまった一輝ちゃんはようやく押しつぶされる様な感覚から解放されたのか、上半身を持ち上げる。彼の着ているワンピースのスクエアネックの襟元からは小さいながらも胸の谷間がはっきりと覗いていた。と突然、
「やだっやだあーっ」
 女の体になっていく一輝ちゃんの口から、低い女声でそんな言葉が出始める、でも私と聡美ちゃんは別に驚かなかった。既に一輝ちゃんの体の中では子供位の大きさに無事に完成した卵巣と子宮の神経が、彼の脳に繋がろうとしている。彼の声はその時一瞬拒絶反応が出る為のもの。
「やだっ!女になるの怖い!」
「なに!このぽちゃぽちゃの体!」
「こんな体で生きていけない!」
 けっこうあらん限りの声でやだやだと足をばたつかせたり、両手で胸をぎゅっとかかえこんだり。私が今まで見てきた中でもかなりの拒絶反応だった。
「一輝ちゃん。根は男の子だったみたいね。ちょっとかわいそうな気もするけど」
「あたしはほとんど何も言わずにされるままだったけどな。女になる前に既にお医者さんからお前は女だって言う診断されちゃってたし」
「まあ、もう今更男の子に戻せないから仕方ないわね…」
 モニターを観ながら好き勝手な事を言う私と聡美ちゃんだった。
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