俺、女の子になれますか?

第六話「バストトップとアンダーヘア、女の子の形にしまーす」

(この作品はR18です。18歳未満の方は読まないでね。)
 「一輝クーン、じゃあアンダーヘア、女の子の形にするよ」
 ようやくおとなしくなった彼の状態を確かめた後、私は別の大きなディスプレイの前に座ってスイッチを入れる。そこには退化し始めて半分包茎状態になった彼の男性器とアンダーヘアが拡大されて映っていた。
「ふぅ…、結構あるわね…」
 私は独り言を呟き、そしてペン型のマウスで除去する恥毛を一本ずつ指示すると、レーザーが毛根を潰し、真赤な点になったその傷跡を別の光が消していく。
 おへそ近くまであるダイヤモンド型の男性型の恥毛は私の手で周囲を処理され、長方形の女性型におおまかに整えられていく。
「先生、俺、すごく恥ずかしいんだけど…」
 胸の痛みが治まったらしい彼が私に話しかけた。
「これだけは機械で自動って訳にはいかないからねぇ、いずれ一輝クンにも出来る女友達とか、彼氏とかがお風呂とかベッドの上で見られても恥ずかしくない形に仕上げないとさ」
「先生、俺絶対男とエッチなんて無理ですよ」
「さあ、どうかしらねえ…。あ、聡美ちゃん。胸の機械取り替えて」
 そう言いつつ私は手を止め、彼の下半身がどれだけ変わったかを確かめる。浅黒かった彼の体は早くも女性以上に青白くなり、たくましかった腹筋はかなり消え、皮膚はすべすべつるつるになり、その下にはぷるぷるした脂肪が彼の体を覆い始めている。男性特有のお尻のくぼみはあらかた脂肪で埋まり、四角いお尻は少し丸みをおび始めていた。
「そうだ、一輝クン。アンダーヘア、ハート型にしない?可愛いよ」
「いや、ちょっとそういうのやめてほしい」
「どうして?彼氏出来たら可愛いってほめてくれるわよ」
「だから、俺絶対男なんて作らないから!」
 その時、聡美ちゃんが彼の胸から装置を取り外して上の方に移動させる。と突然。
「うわあ!」
 自分の胸を見た一輝君のとんでもない悲鳴が部屋に響く。彼の両方の小さなバストトップは真赤に染まり、さらにそれを中心にして広範囲に無数の赤い発疹が丸い円形に現れていた。ようやく彼自身も青白く変色した自分の体の胸に起きた変化に気づいたらしい。
「先生、俺、大丈夫なの?」
「え、見せて…ああ、ちゃんとなってるじゃん?」
 彼の驚きの声と表情を気にせず私は席を立ってそう言う。
「いいの、これ?」
 彼の言葉に聡美ちゃんは私の指示通り機器の一部を入れ
替えて再び彼の胸に戻す。真赤になった彼の胸は再び装置で隠され、胸を固定されていく。そして程なく、
「あ、あ…」
 一輝君の口からは先程のうめき声ではなく、ちょっとオクターブの上がった驚いたみたいな声が漏れ始める。
「ちょっと、こ、これ、何?」
 目を大きく開けて天井を見つめて相変わらず驚いた様な声を上げる彼。私には想像はついている。彼のバストトップはこれから女の子並の大きさに変えられ、乳輪は元の彼の二倍、いや三倍近くの大きさにされていくはず。そして彼の胸に出来上がった乳房の細胞が活動し始め、乳管が成長を始める。
 その時、彼の両胸からは生まれて初めて胸を柔らかな物で愛撫される感覚が生まれ、それは次第に感度を増していくはず。
「一輝クン、今度は痛くないから安心してね」
「う、うん」
 目をつぶっておとなしくなる彼に、横から再び聡美ちゃんが話しかける。
「あのさ、さっき女が損みたいな話したけどさ、多分一輝クンも思ってる事だと思うけど、お特な事もいっぱいあるんだよ」
 私は再び席に戻り、聡美ちゃんの言葉ら耳を傾けながら一輝君のアンダーヘアの処理にかかる。
「ほら男だと仕事でアーティストやる人多いけどさ、女は一人一人が毎日アーティストなんだよ。それに風景とか音楽とか美味しい食べ物とかにすごく感動するし、綺麗な物や可愛い物を選んだり作ったりして身に着けたりさ。時には会う人々を元に架空のお話まで瞬時に作っちゃうんだよ」
 少し目を開けた一輝君に彼女が続ける。
「動物や植物とか、人形とか縫いぐるみとかとお話が出来るんだよ。女の子同士でテレパシー通信できるんだよ。頭の中にいまいる現実とは別の世界が勝手に広がっていくの」
 あまりの大げさな話に私は彼女の顔をちらっと見る。彼女もそれを察したらしいけど、
「だって本当の事だもん。体とか手足は柔らかく細く弱々しくなっちゃうけどさ、それと引き換えにそんな楽しい事が出来る様になったんだもん。はっきり違いがわかるんだもん。ちょっとの事で傷つくけどさ、ちょっとの事で嬉しく楽しくなるんだもん。あたしは女になって良かったな」
 そう言いながら聡美ちゃんは再び手術台の上の一輝君に向き直る。
「女はいいぞー、綺麗で可愛い服着れるよ。メイクで毎日変身できるよ。男からちやほやされるぞー。彼氏出来たらもう難しい事全部彼に任せて、幸せでいい気持ちになる事ばかり考えていいんだぞ。好きなら好き、嫌いなら嫌いってはっきり言っていいんだぞ。嫌なら怒ったり泣いたりしたら全部許してくれるよ。それに…」
 あ、そろそろ彼女が暴走し始めた。そろそろ止めないと…。
 私は手を止め、一輝君と聡美ちゃんの横に行って彼女の話を遮る様に話し始める。
「一輝クン。一番の女の幸せって何だと思う?好きになった彼氏のものになる事。そして赤ちゃん産んで育てて、彼氏と一緒に幸せな家庭を作る事。違うって言う人もいるけどさ、多くの女の子はそう願ってるものよ。頭がそうなっちゃうの。護る側から護られる側になってさ、文化っていうのを創って育てていくの」
 私はカプセル状の手術台の隙間から手を入れて、一輝君の髪をそっとなでて続ける。
「一輝クン、ママになるんだよ。お母さんになるんだよ」
「…ママに、僕が…」
 私の言葉にぽつりと呟く彼。
「でも、それって男とエッチしないと…、俺、そんな事…」
 一輝君が続けた時、突然彼の息遣いが少し荒くなる。
「…あ…あっ!」
 目をだんだん大きく開いて上を見ながら、何かを感じた様な声を上げ始める彼。
(あ、そろそろ始まったかな)
 私はアンダーヘアの仕上げに入る為彼の側から離れ、聡美ちゃんにもそうする様に言う。ほぼ完成した彼のバストトップには女の性感帯も備わり、今まで男の子だった彼は初めて女としての気持ちよさを経験する事になる。
 彼は無意識のうちに口から出る悶え声に、今多分相当恥ずかしい思いしているはずだから。
 聡美ちゃんも過去経験してるし、何人もの女性化していく男の子を見てるからか、その事をわかってる様にすっとその場を離れて再び奥の椅子に座った。
「一輝クン、恥ずかしがらなくていいからさ、声出してもいいよ。あなた以外あたしたち二人しかいないんだからさ」
 ここで性別を変えられていった多くの男の子達がそうだった様に、彼は声が出るのをずっと我慢しているらしいけど、彼にとっては初めての経験。口元からはうんうんと声が漏れてくる。
(うん、我ながら可愛く仕上がった)
 青みがかって滑らかになった彼の下半身にくっきりと綺麗な長細いハート型になったアンダーヘアを見て、私はレーザー器具を天井に引き上げる。と、
「うん…うん…」
 声がちょっと可愛くなり、腰のあたりを震わせ始める一輝君。
(あー良かった、間に合って。もう少し長引いたらすごくやりずらくなってた)
 ほっとため息をつき、額の汗をぬぐう私。見ると彼の男性自身は、胸をいじられる気持ちよさでピンと勃っているけど、それはいつのまにか親指位に小さくなり、アンダーヘアに見え隠れしていた。
(なんとか順調だわ)
 とりあえず今日の施術はこれで終わり。解放された私は聡美ちゃんの座ってる横に座り、飲みかけたままの冷たくなったコーヒーに口を付けた。
「あん…あーん…」
 彼の口から出る悶え声だだんだん大きく、ちょっと可愛い口調になっていく。さっきまでちょっとヤンキーっぽい男口調だった彼が。思わず噴出す私だった。やがて、
「ヒューン」
 という音と共に、手術台近辺のいくつかのモーター音が止まり、胸に装着されていた器具が天井に上がり、彼を覆っていた半カプセル状の透明な覆いが開く。彼をびっくりさせない様にそっと近づくと、目を半開きにして汗びっしょりになり、はあはあと大きく呼吸している一輝君の姿が見える。
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