俺、女の子になれますか?

第五話「女の皮膚にするよー、おっぱいの基礎つくるよー」

(この作品はR18です。18歳未満の方は読まないでね。)
「一輝クン」
「は、はい」
「気分はどう?どこか痛む?」
「痛くはないんだけど、やっぱりまだすっごくだるいっす」
 いつまでその口調が続くかしらとほくえそみ、私は再び彼の手足と体をベッドに固定。
「まだ、俺縛られるんすか?」
「注射針刺したりさ、レーザー使ったり、ピンポイントで手術する間はね」
「え、今度は何ですか」
 横でアシストしている聡美ちゃんと一瞬意地悪そうに笑ってうなずきあう私。
「一輝クン。いよいよ覚悟してね」
「え?」
「胸に乳腺の基礎作るから。あと恥毛の形を女の子にして、顔の皮質を女の乾燥肌に変えていくから」
「えっもうそんなとこまで?」
 もういちいち一輝君の言葉に答えてらんない。それでなくてももう今日の予定を三十分オーバーしてるんだから。
 問答無用って感じで聡美ちゃんが、女の子の恥毛のパターンを二十例程を写真にしたカタログみたいなのを手にして一輝君に見せる。
「さあ、一輝クーン、どれがいい?」
「いや、どれって、その…」
「おすすめはやっぱり標準型の縦長の長方形。比較的見た目も可愛いし、あたしもこれ選んだの。水着着る時も処理するの楽だよ♪」
「み、水着!?」
「あ、全く毛を生やさないパイパンてのもあるけどさ、お風呂とか行ったら他の女達の目線が恥ずかしいから辞めた方がいいよ」
「風呂って、女風呂!?」
「もう!さっきからあたりまえの事ばっか聞かないの!」
 そう言って意地悪そうな笑みを浮かべる聡美ちゃんの横で私もちょっとにやけながら一輝君に質問。
「一輝クーン♪おっぱいの大きさどうする?A?B?」
 恥ずかしいのか、顔を赤らめてたまま暫く黙り込む彼。そして、
「ど、どうせなら、大きい方が、いいかも…」
「Dカップ位?♪」
「あ、それ位で…」
 彼と私とが問答してる時、
「やめとけやめとけ!Dなんてさ!」
 聡美ちゃんが割って入ってくる。
「あのさ、女の子トレーニング終わったら女子高校生で社会復帰するんだよ。Dカップで復帰したらさ、体育とか大変だし、教室で男はもちろん女からも奇異の目で見られるんだよ。Cカップにしときなって。あたしもCカップにしたんだから」
 二人の会話を聞いて思わず噴出す私。
「じゃあさ、一輝クン。後々Dカップまで膨らむ様にしといてあげるからさ、とりあえずCカップにしとこか」
「う、うん、そう…する…」
 とすかさず聡美ちゃんがカタログを手にして一輝君の顔横に詰め寄る。
「一輝クン!あそこの毛は!?どーすんの?」
「ちょ、ちょっと待ってよ、そんな恥ずかしい…」
 彼の白くなった顔が多分恥ずかしさなんだろうか、だんだん赤くなっていく。暫くして、
「じ、じゃあ、その、八番の長方形に…」
「よーし、あたしと同じ形ね」
「てさ、聡美さん、恥ずかしくないんですか?」
「平気だよ、こんなの女同士じゃ普通の会話クラスだし」
 そう言って彼女は片手でカタログを胸に抱きかかえ、片手でベッドに寝ている一輝君の股間の上に、器用に天井からアームで支えられてる別の機械を降ろしてセット。
「一輝クン、パンツ降ろすよ」
 そう言いながら、一輝君が何か言う間もなく、片手に持ったカタログを脇の椅子の上に置き、やや乱暴に彼のトランクスを膝まで下げる彼女。
「ちょっとそんな、恥ずかしいって!」
「何よー、あたしだって二年前はこうだったんだしさ、それに休みに入って何人もの男の子のこういう場所見てきたんだからさ」
(あれ、心なしか一輝クンの口調が…)
 そう思った私だけど、私は私で一輝君の胸の上に準備された大きな装置を、彼の胸に照らされた赤のレーザーポインタで位置を確認して降ろす。一円玉程の大きさしかない彼の薄い黄土色のバストトップが機械に隠されていく。
 更に私は部屋の後ろの冷蔵庫みたいな所から瓶入りのクリームみたいなのを手に取り、それを一輝君の顔にたっぷりと塗りこんでいく。
「うわっ、これ何だよ?」
「え、これ?一輝クンの顔の美白と皮膚の女性化用」
「なんかすごい臭い。姉貴の部屋の臭いみたい」
「へーぇ、一輝クンのお姉さん、結構香水使うんだ」
 鼻の穴の部分だけ残して彼の顔全体に丁寧に白いクリームを塗りこみながら私は更に歌う様に続ける。
「一輝クンの部屋もこの先どうなるのかな。多分男物全部処分して、ピンクのカーペットに窓には白のレースのカーテンかな。ベッドには花柄のお布団。花瓶に活花なんかもあったりして、可愛い小物が増えて、縫いぐるみが増えてきて、部屋には男性アイドルの写真が貼られてさ。クローゼットに入りきらない可愛いスカートとトップスがそこら中に掛けられて、そしてあなたの着る女子高校生の制服が壁の真ん中に…」
「先生、ちょっとやめてくださいよー。それと、俺暫く姉貴とおんなじ部屋ですごすかもしれないしさ。姉貴に言われたんです。女教えてやるからって」
 恥ずかしそうに言う彼に追加の一言。
「一輝クンさ、なんか口調が穏やかになってない?」
「え、そうですか?」
 彼の口からさっきみたいなヤンキーっぽい言葉が出てない事に彼はまだ気づいてない。
「じゃ、覚悟してね、一輝クン」
「あ、あの、なんか怖い…」
「大丈夫だから。じゃね」
 手術台横の操作パネルの四角形の十枚位の小さなパネルの色が全て青色に点灯して準備官僚になったのを確認する私だけど、
「あの、先生、俺まだ、その、心の準備が…」
 もう!時間がおしてるんだから!一輝君の声を無視して私は横のメインスイッチを押した。クリームで覆われた彼の顔に青白いライトが照らされ、胸に装着した装置が音を立ててがっちりと胸を固定。
「あ、あの…」
 と何か言いかけた一輝君の口から、微かなうめき声が漏れ始める。
「一輝クン、胸痛む?」
「ちょっと、痛い…」
「我慢してよね。女の子は胸が膨らむ前の数ヶ月痛むんだけど、一輝クンは多分十五分程度の痛みで済むんだから」
「こ、これ、大丈夫なんですか?何をやってんですか」
 聡美ちゃんの言葉に、クリーム塗られて青白い光当てられた彼の顔の下からなにか苦しそうな声で一輝君が話す。
そして、意地悪そうに答える聡美ちゃん。
「女の子の胸の事わかる?」
「いや、あんまり…」
 彼の言葉に一息入れて話す聡美ちゃん。
「今ね、一輝クンの胸に極小の針が何本もかわるがわる打ち込まれてるんだ。そしてそれらがさ、乳腺とか乳腺小葉とか、腺房とか、要はおっぱいの元になる細胞を作ってるところなの」
「え…」
「もっ少し我慢してね。そろそろバストトップの部分を処理するから」
 ほどなく一輝君の口からうめく様な声が漏れ始める。私は傍らの操作パネルの計器を見て、異常の無い事を確認するとほっと安堵のため息をもらした。
 実はこの痛みは麻酔で取り除く事も出来るけど、私はあえてしない方針。手術台の上の男の子に、これから女の体にするよ。覚悟してよねって覚悟を決めさせる為。本当に覚悟してよね。実際あと暫くすると一輝君の胸はちょっとした事になるから。もうすぐ男でお風呂とか行けなくなる体になるからさ。
 暫くの間うめき声を上げていた彼だけどようやく慣れてきたのか、荒い息遣いのみ聞こえて来る。
「どう?痛み収まった?」
「う、うんなんとか…」
 聡美ちゃんの問いかけに、荒い息遣いの中で小さな声で話す一輝君。
「聡美ちゃん。顔はそろそろいいかも」
「はーい」
 返事と共に彼女は一輝君の顔に手をかけた。顔に付けられたクリームはすっかりフィルム状に硬くなり、彼の顔から彼女の手によってゆっくりはがされていくと、すっかり青白くなった彼の顔が現れていく。
 残っていたニキビ跡や髭の毛根はすっかり消え、硬い細かい胡麻粒の様な皮脂がぼろぼろと落ち、ゆで卵の白身の様につやつやした顔の皮膚、うっすらとピンクに染まった彼の唇。
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