俺、女の子になれますか?

第四話「男の子とエッチする覚悟ある?」

(この作品はR18です。18歳未満の方は読まないでね。)
「一輝クン、やっぱり女の子のああいう姿勢とか仕草、気になる?」
「う、うん、可愛いと思います」
「可愛い…か」
 私はふっと髪を軽くかきあげて一輝君をじっと見据える。
「女の子になったらさ、常に男からのそういう目線にさらされるんだよ。相手がイケメンだったらまだ許せるんだけどね。エッチの対象としか見ない人もいるしさ」
 黙って口を結ぶ一輝君を見ながら私は続ける。
「一輝クンさあ、その年だとエッチビデオとか見たこと有るんじゃない?」
 うつむいたまま軽くうなづく彼を見て私は続ける。
「どんなの見たの?」
 私の問いかけに恥ずかしそうに小声で言う一輝君。
「俺達の間でかなり有名になった、女子高校生がエッチする奴」
「ふーん…」
 彼の答えにちょっと微笑む私。
「一輝クン、あっちの方に行くんだよ。する方からされる方に、入れる方から入れられる方になるんだよ」
「う、うん…」
「相手の女の子の気持ちってさ、どういうのかわかる?あれがAVじゃなくってさ、本当の彼氏彼女の関係だとしたらさ」
「あの、考えた事もなかった…そんな事」
 まあ、大体そんなものねって思った私。うつぶせになったまま横向いて私を見る一輝君を見ながら諭す様に私は言う。
「そりゃさ、エッチ自体は女の子にとってすごく気持ちいいものよ。でもね、涙とよだれでぐちゃぐちゃになった顔を大好きな彼氏に見られるのよ。それに彼氏に気に入られる様にわざと可愛いあえぎ声出したりさ。痛い時でも気持ちいいふりする事もある。彼氏の物を口に入れたり、後で白いのを飲み込んだり顔にかけられたり、そこまでするのが本当は嫌な娘って少なくないのよ。でも彼氏に嫌われたくないから我慢してる。男はそれが当然だと思ってからさ。全くアダルトビデオってなんなのよあれ!もっと男は彼女の事考えてさ…」
 ちょっと激高してそう言う私だけど、すぐに気が付いた。
「そっか、一輝クン女の子になるんだったわね」
 ため息ついて私が席を立とうとした時、
「女のあそこって、そんなに綺麗なもんじゃないっすよね」
 ふとぼそっと喋る一輝君。
「ま、そうかもね。だから女は何があってもそこだけは絶対に隠すの。見ていいのは好きになった彼氏だけ」
「俺、多分女になっても男とはエッチしないかも」
 あ、これは久々にやっぱり女になるのやめるって言い出すケースかなって私が思った時、
「一輝クン、あたしとおんなじだ」
 椅子に座ってスマホいじってたはずの聡美ちゃんが、そう言っていきなりスマホケースを閉じて立ち上がり手術台の横にしゃがんでいる私の横に立つ。
「あたしもさ、ここで女の子にされていってる時さ、絶対男の人とエッチなんてしないだろうなって思ってた。でもさ、高校入って間もなくしたらすっごく彼氏欲しくなってさ、それで」
 ちょっとうつむき加減で間を入れる聡美ちゃん。
「最近、そのさ、処女でなくなった…」
「いつ!いつしたの!?」
 彼女の言葉に私は驚いて彼女の顔を見る。
「ここに来る、一ヶ月…前…」
「そんな事一言もあたしに言わなかったじゃない」
「だってさー…」
 一呼吸置いてぼそっと話し始める聡美ちゃん。
「隠してたわけじゃないよ。だって今までの子ってさ、何の抵抗もなく素直に女になっていったし。あたし結構あれ抵抗したよね。そんなあたしがやっぱり普通に女になったって事、恥ずかしくて知られたくなかったしさ」
 あれって、ああ、あの事ね。それはいずれ一輝君も避けて通れない事だ。明日のあの施術の事…。
「聡美ちゃんがさ、男の人に興味持つのってずっと後だと思ってた。少なくとも高校卒業してからだと…」
 そういう私の言葉をさえぎる様にして彼女は一輝君がうつぶせて寝ている身を乗り出して言う。
「心配ないよ。女の体になったらさ、絶対彼氏欲しくなるって!一人ぼっちが怖くなってさ、夜なんてぎゅっと肩抱いてくれる人がだんだん欲しくなるの。そして彼氏が出来たら、もうその人の事で頭が一杯になるの!デートが楽しみでお化粧とかヘアアレンジなんてどんどん上手くなっていくし、ファッションセンスも上がるしさ!彼氏が横にいるだけで楽しくなるし、手なんてつないでくれたらさ顔真っ赤になるし、周囲の女の子に彼氏みせびらかそうって気になるしさ!」
 いきなり明るい表情になって息を吸って再びまくしたてる聡美ちゃん。
「覚悟決めて初めてエッチした時なんてもう最高!キスされて、おっぱい触られてさ、あの瞬間なんて、こんなに気持ちのいい事なんて初めて!もうあたしどうなってもいいって感じになってさ、彼氏に喜んでもらうためにさ、日頃練習してた仕草とか、悶え声とかさ、もう全開しちゃった!二年前は女の子とも付き合った経験のある男の子だったあたしがさ、まさかこんなになるなんて思いも…」
「はいもう終わり。一輝クンまだ肌と体質の女性化施術中よ。あんまり彼の心乱さないで」
 ほっといたらいつまで喋りつづけるかわからない聡美ちゃんを私は制する。そういえば女の子になりにここへ来た時、一輝君みたいに無口だった彼女が、こんなに目きらきらさせてお喋りになって、エッチの事とか堂々と喋る様になってさ。聡美ちゃん女の子になってよかったわ。
「一輝クン、あのね、聡美ちゃんみたいに幸せな娘も大勢いるけどさ」
 なんだか疲れた様な様子の一輝君。確かに血液交換と全身への薬品浸透は時間かかるし疲れるだろう。更にこんなに施術中の男の子にこんなにいろいろ話したのは初めて。
「体力がなくなる。毎日早起きしなきゃいけない。トイレ行くのが男の子の時の買い物行く位面倒になる。ブラとかストッキングとかめんどくさい下着つけなきゃいけない。スカートはかないと学校に行けない。スカートから下着見えるのを防がなきゃいけない。男から嫌らしい目線を送られる事もしばしば。そしていずれ男に抱かれる事になる。嘘と嫉妬でどろどろした女の世界で生きていかなきゃならない。でもね」
 一息入れて私は続ける。
「そういった事は女になっていくあなたにとってさほど難しくないし、いずれは慣れてしまう。私が言いたいのは、そういう女っていう可哀相な生き物になる覚悟が、本当にあなたにあるのかって事」
 しばし両者沈黙の後一輝君が目を瞑ったままぼそぼそっと喋る。
「俺、姉貴みたいな美人でかっこいい女になろうと思ってたけど、聡美さんみたいな可愛い女になるのもいいかなって思う」
 正直私の権限でここでストップしようかと思ったけど、本人がまだそう言うなら続けてみようか。
「でも俺、まだ男に抱かれたり、エッチするなんて考えられないっす。すごく眠いんで、少し寝ていいっすか」
「ええ、いいわよ」
 なかなか彼の口からヤンキーっぽい男言葉は消えない。
しかし彼への女になる施術は予定通り進んでいるみたい。
彼の体からはシミやホクロがほぼ一掃され、体は更に色白になり、肩の筋肉は減りつつあり、二の腕とかふくらはぎの硬い筋肉は消えかかって、代わりに脂肪がつき始めたみたいで曲線で縁取られ始めていた。多分まだ本人は気づいてないかもしれないけど。
 レーザーは彼の太股の裏を襲い始めている。かなり剛毛な太股の毛はチッチッという音と共に小さな赤い痣を残して一本一本消え、さらにそれもだんだん色白になった皮膚に消えていく。
「なんか、だんだんジャニーズ系の美少年になってきたね」
 聡美ちゃんが私の横で独り言を呟く。
「一輝クン、起きなさい。起きて元通り仰向けに寝てちょうだい」
 天井にアームで固定された別の機械を彼の体の上にセットしつつ、彼の体の血液の成分が女性の値になった事を計器で確認した私が彼の左腕からチューブの繋がった腕輪を外すと、ようやく彼は目をぱちぱちさせながら目覚めた。
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