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萩谷由喜子の著書14冊 + 楽譜の解説書3冊=17冊

著書14冊⇒
楽譜の解説書3冊⇒

2013年9月17日、小学館より 『宮澤賢治の聴いたクラシック』 (2枚組CD・解説本)が刊行されました。
【⇒文庫化】2013年10月1日、ご好評をいただいた 『作曲家おもしろ雑学辞典』 及び 『ピアニストおもしろ雑学辞典』 が、文庫化され、ヤマハミュージックメディア 1冊でわかるポケット教養シリーズ の 『クラシックの作曲家たち』 及び 『クラシックのピアニストたち』 として刊行されました。
 2016年4月10日、ヤマハミュージックメディアより 『クロイツァーの肖像』が刊行されました。


● 日本経済新聞 文化欄 『 クラシック・ジャケットの女性 十選 』 連載開始
2017年2月9日から24日まで。原則として、月曜、火曜、木曜、金曜、全10回。
 『クラシック・ジャケットの女性たち』と題し、クラシックのCDジャケットを飾る名画の美女たち10人を採り上げ、絵画について、モデルについて、そしてなぜ、この名画の美女がこの楽曲のCDに登場しているのか、その裏にどのようなドラマが秘められているのかについて、解説させていただきました。
日経文化欄、十選、ぜひ、ご高覧下さいませ。

(第7回)
『 ゴンドラの唄 』の夢二式美人

 竹久夢二(1884-1934年)は大正の浮世絵師、グラフィックデザイナーの祖、などとも呼ばれる、大正ロマンを代表する画家です。彼の描く、いわゆる夢二式美人は、唯一、正式な結婚をした相手であった妻、たまき を原型に、その後、愛人の彦乃、お葉たちの容貌の要素が採り入れられていったものと思われます。横書き、右から左のタイトルが時代を窺わせる『 ゴンドラの唄 』の出版譜の表紙画を夢二が描いた大正4年は、たまきとの最初の離別の年ですが、この絵のモデルは、身体の線の特質やお顔の特徴から、たまきだったものと想像されます。わざと少しだけくすませることでロマンティックな持ち味を醸した色使いにも、夢二の天才があらわれています。




(第6回)
『 ファニー・メンデルスゾーン 』1805-1847年
ヴィルヘルム・ヘンゼル(1794-1861年) 画

 ファニー・メンデルスゾーンの評伝は、2002年に上梓した拙著『 五線譜の薔薇 』に収載いたしました。
 この「クラシック・ジャケットの女性」十選のうち、第4回のアルマ・マーラー、第8回掲載予定のクララ・シューマンの評伝も同著に採り上げております。
 『 五線譜の薔薇 』の初版は完売し、数年後に二版が出ておりますので、アマゾンなどネット書店で入手可能と思われます。今回の日経連載シリーズの原点というべき女性音楽家のオムニバスです。ご興味のあられる方は、ご高覧頂けましたら嬉しく存じます。
 ところで、わたくしは最初にこのファニーの肖像画を目にしたとき、何と美しい女性だろうかと胸がときめきました。そして、この髪形、衣装が、音楽の女神聖チェチーリアに扮したものであることを知り、ファニーも、これを描いた夫のヘンゼルも、芸術の神に深い敬意と憧憬を抱いていたことに感動しました。
 ファニーの容姿容貌は、おそらく、実物より美化されているようですが、わたくしはその美化に、夫ヘンゼルの妻へのわき目もふらない深い愛を感じるのです。名門銀行家メンデルスゾーン一族の婿となったこの画家には、そのことが重い蹉跌となっていたことは疑いもありません。彼の描いた絵には、一族の車輪にひもで繋がれる自分の姿が認められます。でも彼は、そのくびきの中で、妻を理解し続けた、やさしい夫だったと思います。
 ファニーは、父と弟からは、作曲家として世に出ることを認めてもらえなくても、これほど美人に妻を描いてくれ、作品出版にも協力してくれた夫に恵まれたわけですから、配偶者運はよかったといえるでしょう。もちろん、神からの才能の贈り物にも恵まれた女性でした。




(第5回)
『 イザベル・デ・ポルセール 』(Isabel de Porcel) 1804-05年
フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス(Francisco Jose de Goya y Lucientes、1746年3月30日 - 1828年4月16日)画
81×54cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

 熱くひそやかなスペインの情熱を象徴するアイテムを随所に忍ばせたゴヤの絵は、この国の伊達男(マホ)の一人であるグラナドスを夢中にさせました。例えば、この『イザベル・デ・ポルセール』の燃えるまなざし、白い顔にかかる褐色の巻き毛、美しい胸を透かし見せる黒の上質なレース生地、などが彼をたまらなく魅了した、と作曲家自身が書簡に書き残しています。この肖像画のモデルのイザベル夫人は当時25歳くらい、夫のポルセール氏は50歳位といわれていますので、地位も名誉も財産もある50男の年若い美人妻だったようです。
 このイザベラ夫人のような、スペイン的な粋な女のことは、同国の伊達男マホに対して、マハといいます。ゴヤの有名な絵画に『着衣のマハ』『裸のマハ』がありますが、あのマハというのは個人名ではなく、小粋なマドリード娘、といったほどの意味なのですね。そのマホとマハの織りなす愛と情熱の世界を、グラナドスは6曲構成のピアノ組曲『ゴイェスカス』に表現しました。
 組曲第1曲の『レキエブロス』は「愛の言葉」の意です。つまり、マホがマハを口説いているわけです。
 第2曲は『格子窓の語らい』。マホの口説きが成功して、二人は格子窓越しに愛を語らっています。格子窓越しなのが、かえってもどかしさを掻き立て、二人の情熱を燃え上がらせます。
 第3曲は『ともし火のファンダンゴ』。ファンダンゴとは、野趣にみちたスペインの民俗舞曲。
 第4曲はこの組曲中でもっとも有名な『嘆き、またはマハと夜鳴きウグイス』。神秘的でえもいわれぬ美しさを秘めた1曲です。夜鳴きウグイス、ナイチンゲールは、男女の性愛を象徴するアイテム。音楽作品の中でこの鳥が鳴いたら、それは男女の愛の成就を暗示していると考えてよさそうです。
 第5曲は『愛と死』。マハをめぐってライバルと決闘し、戦いに敗れて瀕死のマホ、彼に取りすがるマハ。
 そして第6曲は『幽霊のセレナード』。マホは今や、幽霊になったのでしょうか。それでも伊達男らしく、ギターを爪弾いてマハにセレナードを捧げています。最後は、ギターの解放弦、下から「ミラレソシミ」で幕。
 この組曲をもとに、台本作家F.ペリケの構成したオペラは次のようなストーリーです。
陸軍大尉フェルナンドにはロサリオという恋人がいますが、あるとき、闘牛士パキーロの愛人ペパとの仲をパキーロから疑われ、ついに決闘となってしまいます。フェルナンドは敗れて重傷を負い、恋人ロサリオに抱かれながら息を引き取ります。
 オペラはスペインの伝統的な歌芝居、サルスエラの形で、1916年初頭に完成しました。グラナドスは初演劇場を探します。パリのオペラ座で初演の話もあったのですが、あいにく、第一次世界大戦が勃発してヨーロッパの劇場はすべて閉鎖されてしまいます。そんなとき、ニューヨークのメトロポリタン劇場からオファーがありました。船旅が大の苦手のグラナドスでしたが、『ゴイェスカス』初演のためならなんのその、愛妻アンパロと歌手陣を伴い、海路ニューヨークに渡って無事初演を済ませました。
 そのあと、ウィルソン大統領から招かれてホワイトハウスでピアノ・リサイタルを開くという名誉に浴します。でも、そのために帰国予定が遅れ、当初乗船予定のスペイン直行便を乗り逃し、やむなく、当時フランス船であったサセックス号で帰国することになりました。これは直行便ではなくロンドン経由便で、ロンドンに寄港のあと、英仏海峡を渡ります。その航行中、サセックス号はドイツ軍の潜水艇Uボートの攻撃を受けたのです。状況については諸説ありますが、グラナドス自身は海に投げ出されずに済んだか、あるいは救命艇に引き揚げられたともいわれます。ところが彼は、波間に漂う愛妻アンパロの姿を目にするや、あれほど苦手な海の中に飛び込んでいき、アンパロともども海の藻屑と消えた、と伝えられています。




(第4回)
『 アルマ・マーラー 』
『風の花嫁』1914年
オスカー・ココシュカ(1886-1980)画
スイス・バーゼル美術館蔵 3階正面の展示室
 当初は現在より明るい色彩で描かれていましたが、アルマとの関係が絶望的なものになるにつれて、ココシュカが暗い色調の絵具をどんどん塗り重ねていき、現在の色合いとなりました。 その厚塗りの絵具の剥落の恐れがあるため、移動には不向きで、同美術館の門外不出となっています。実物はこの美術館でしか鑑賞できませんので、バーゼルにいらした方は、ぜひ、ご覧になってください。



(第3回)
『 オフィーリア 』(Ophelia) 1851-52年
ジョン・エヴァレット・ミレー(1829-1896年)画
76.2×111.8cm | 油彩・画布 | テート・ギャラリー(ロンドン)

 ミレーはまず、小川のほとりを歩いてイメージに合う場所を入念に選び、ついに気に入った場所をみつけるとそこにイーゼルを立て、あたりの情景をきわめて精緻に描写しました。その場所は、のちにほぼ特定されています。
 そして次に、彼と同じラファエル前派の画家たちのモデルとして人気のあったエリザベス・シダル、愛称リッツィに、お湯をはったバス・タブでこのポーズをとってもらい、絵筆を動かし続けました。彼が長時間にわたって作画に没頭したため、当初はアルコール・ランプでお湯の保温を続けるつもりだったのにそれを忘れてしまい、お湯は冷え切りました。そのせいで、リッツィはひどい風邪から肺炎を起こしかけ、長く床につくことになりました。
 怒ったリッツィの父親はミレーに賠償金を請求しました。ミレーも非を認め、多少の減額をお願いした上で、それを支払ったと伝えられています。
 日経コラムにも書きましたが、リッツィはその後、ミレーの画家仲間、ロセッティの妻となりますが、ロセッティの女性関係に悩まされ、心身を衰弱させて、強い薬を飲みすぎたためか、ある朝、二度と起きてくることはありませんでした。ロセッティは生涯、後悔したようです。
 モデル、リッツィのそんなはかない生涯が、オフィーリアの身の上に重なり、胸が痛みます。それにしても、死に瀕しながら、そんな自分の絶望的状況にも気づかず、小さく唇を動かして一心にシャンソンを口ずさむオフィーリアの表情は神々しいまでに虚心で、美しく、絶品の一語です。




(第2回)
『 パオロとフランチェスカ 』のフランチェスカ・ダ・リミニ

アリ・シェーフェル画 (ドルトレヒト、1795年−アルジャントゥイユ、1858年)
『 パオロとフランチェスカ 』1855年
油彩、カンヴァス
縦1.71m、横2.39m
1900年、画家の娘マルジョラン=シェーフェル夫人より、ルーブル美術館に遺贈
ドゥノン翼 2階 モリアン ロマン主義 展示室77に展示。


(第1回)
エリザベト=クロード・ジャケ=ド=ラ=ゲール(1665−1729年)
ジャン=フランソワ・ド・トロワ画  Jean-Francois de Troy 1679-1752年
 ロココ萌芽期の画家。祖父も父も画家という美術一家に生まれました。神話に材をとった絵、宗教画などを得意としする一方、肖像画の名手としても知られました。
 なにしろ、このように美しく、女性を描く手腕があるため、貴婦人からの依頼が多かったようです。



● 齋藤秀雄メモリアル基金賞 授賞式とレセプション
2017年1月17日 青山アクアヴィット
 財団法人ソニー音楽芸術振興会(現・公益財団法人ソニー音楽財団/英文名称:Sony Music Foundation)が2002年(平成14年)に創設した「齋藤秀雄メモリアル基金賞」はチェリスト・指揮者・教育者としてわが国のクラシック音楽界に計り知れない功績を遺された故・齋藤秀雄(1902-1974)氏に因むものです。
 2000年3月17日に同氏の未亡人・齋藤秀子氏(享年90)が逝去されたとき、ご遺志により、遺贈された財産を財源として、毎年、優れた指揮者とチェリスト、各1名に贈られています。
 今年度は、指揮者の該当者なし、ということでしたが、チェリストとしてはフランスを拠点に世界的に活躍される、酒井淳氏が古楽器とモダン楽器両面にわたる幅広い活躍を評価されて、この栄えある賞を授与され、その受賞の式典とレセプションが開催されました。
授賞式では、永久選考委員の堤剛先生から、「私にとってバッハは、齋藤先生から手とり足とり教えられたことに始まり、それから自分なりに研究し続けてきたものです。私自身のバッハは酒井さんが目指している解釈やスタイルとはまた違っているかもしれませんが、“違っている”ということで、酒井さんの存在というものは私にとりまして大変励みになっています。ですので、これからもいわゆる音楽の中のcolleague(仲間)として、一緒にいろんな意味で音楽の幅を広げていきたいと思っています。……」という感動的な講評があり、
 そのあとレセプションに移って、酒井氏を幼い時から見守ってこられたご両親様、少年時代から酒井氏を支援してきた友達の母上、内藤まさこ様、名古屋のスタジオ・ルンデのオーナー、鈴木詢氏らと、たいへん意義深い歓談の時間を持つことができました。
 やはり、大成される方は、早くから人を惹きつけるオーラを発されて、応援してくださる方と出会っておられることを実感いたしました。
 そして、その方々への感謝の言葉を受賞の辞の中に忘れない謙虚なお気持ちが、この方の今日を築いたのだとも痛感いたしました。


写真(上・左から)
上・左:授賞式での酒井氏、左が堤剛先生
上・右:桐朋学園から借りた古楽器のレプリカでバッハを披露してくださった酒井氏
下・左:左から、酒井氏母上、親友のお母さまとして小さい時から酒井氏をかわいがってこられた内藤まさこ様、酒井淳氏、わたくし、選考委員で親しい友人の那須田務氏。
下・右:坐っておられる方がスタジオ・ルンデの鈴木オーナー。一番左が酒井氏のご尊父。


● チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル
 2017年1月17日 サントリーホール
 齋藤秀雄メモリアル基金賞授賞式のあと、サントリーホールのチョ・ソンジン・リサイタルに向かいました。
 ショパン・コンクール優勝から1年3カ月。悠揚とした足取り、迷いのないピアニズムに感嘆しました。
 詳しい演奏批評は、月刊『ショパン』3月号に書きました。

  写真: 終わってすぐに、バックステージでソンジン君と。


● 小金井 宮地楽器ホール 日曜カフェ
2017年1月15日
 武蔵小金井南口を出ますと、駅前広場の正面に「小金井宮地楽器ホール」が聳えていました。(右写真)
 初めてうかがうので緊張していましたが、「駅徒歩1分」は看板に偽りなく、まさしく駅の真ん前です。
5年ほど前に、当時の市長さんの「誰にでも開かれた文化芸術の拠点」という考え方のもと、利便性のよい駅前にオープンしたホールで、なんでも2年前に、公募でホール愛称として地元の「宮地楽器」が冠されたそうです。

 そんな沿革も知らないまま伺い、当日初めて、ここが楽器店直営のホールでないことを理解いたしました。
 ところで、ホールからいただいた講演のテーマは「ピアニストはどうして、スタインウェイピアノを選ぶの?」
 なかなかに、微妙なテーマでしたが、ピアノの誕生から発達、現状についてお話し、一口にスタインウェイピアノと言っても、アメリカとハンブルクがあること、日本に入ってきているものの大半はハンブルク・スタインウェイであること、そもそもこのメーカーはドイツ出身の初代が困難を乗り越えてまずドイツで稼働し、1853年にアメリカに創業した歴史をご紹介しました。
  一方、ピアノという楽器は、構造的矛盾を内包していることをお話し、それだからこそ、メーカーはその点に配慮し、対処する構造のピアノをつくらねばならないこと、
スタインウェイの創業者とその息子たちが、創業初期からピアノのあるべき姿を念頭に置いて、その実現のために天才的努力を払ってきたからこそ、今のスタインウェイがあるのではないかという私見を述べさせていただきました。

 この冬のもっとも寒い日の、午前10時30分という、まだ空気の温まらない時刻のスタートでしたが、ご予約くださった方、当日ぶらりと参加してくださった方々30名ほどに囲まれ、温かな気分のうちにお話させていただくことができました。
 というのも、小平楽友サークルのお仲間、秋山さんと松下さんがご参加くださっているのに気づいて嬉しい驚きで一杯となり、緊張の糸がほどけたからです。秋山さん、松下さん、本当にありがとうございました。
 写真は、そのお二人、及び、わが出身校の文学部で教鞭をとっていらっしゃる芳賀繁教授(わたくしの左)、ご質問くださった紳士と共に。


● 東京文化会館《響の森》vol.39 ニューイヤーコンサート2017
2017年1月3日 東京文化会館
 新春恒例、東京文化会館のニューイヤーコンサートです。
 オーケストラはここを拠点とする東京都交響楽団。
指揮台には、ブザンソンの覇者、垣内悠希マエストロを迎えました。
 前半はまず、チャイコフスキーの若き日の野心作、幻想序曲『ロメオとジュリエット』。14世紀ヴェローナの敵対するふたつの名家の確執と、その犠牲となった若き男女の悲劇的恋を濃密な音楽で描き出します。
 次いで、同じロシアの作曲家、ボロディンの遺作オペラ『イーゴリ公』よりエキゾチックな魅力に満ちた『韃靼人の踊り』。

 後半は、小山実稚恵さんをソリストとするラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。
 小山さんの十八番だけあって、曲のテクスチュアが明確に映し出される名演でした。
 今月はほかにもチャイコフスキー、グリーグなど5種か6種のコンチェルトをお弾きになられるとか。つねにこれだけのレパートリーを蓄えていらっしゃり、瞬時にどれでも引き出すことのできる鍛錬はいったいどれほどのものでしょうか。あらためて、頭が下がりました。

 写真:終演後、同業の寺西基之氏と共に楽屋をお訪ねしました。


● あけましておめでとうございます。
2017年 元旦

 今年も、自分に書けるもの、身の丈にあったものを、誠心誠意書いていこうと思います。

 1月11日から小平の講座が始まり、1月15日には武蔵小金井の宮地楽器ホールで「日曜カフェ」に出演いたします。
 そのほか、4月末には千代田区のかがやき大学で、レクチャー・ライヴ・コンサートを予定し、5月には同大学で3回の連続講座を開きます。
 受講ご希望の方は、千代田区の広報などにご注意していただき、ぜひ、お申し込みくださいませ。

 コンサートやオペラにも、可能な限りまいりますので、どこかでお会いできますことを楽しみにいたしております。

 その節には、どうぞ、お声をおかけくださいませ。
 


● バッハ・コレギウム・ジャパン  サントリーホールのクリスマス公演2つ
2016年12月23日 ヘンデル『メサイア』
2016年12月24日 クリスマス・ガラ・コンサート
 この直前に、東京文化会館で、和波孝よし先生の深い弾き込みの賜物、珠玉の『クリスマス・バッハ』を聴き、そのままサントリーホールへ。 和波先生の公演評は『音楽の友』2月号に。
 さて、サントリーホールは、この人翌日の2日連続で、バッハ・コレギウム・ジャパンのクリスマス特別プログラム。
 初日は、敬虔というよりは喜ばしい、ヘンデルのオラトリオ『メサイア』です。
 休憩時間に、BCJのオルガニスト、鈴木優人さんがロビーがカジュアルなお洒落ジャケット姿でロビーに。そういえば、オルガン席には、大塚直哉さんがお坐りでした。
 しかも、いつも宮崎国際音楽祭でお世話になる、河野知事ご夫妻にばったりお会いして、お互いに「あー?」と感動しあいました。そこで、優人さんをご紹介して4人で記念写真。
 優人さんは、連日本番、この日だけ客席に坐って英気を養ったのち、翌日のとスペシャルプログラムで、オルガン、チェンバロ、ピアノはもとよりトランペットに台本に演出、俳優と大活躍なさいました。


● 小平楽友サークル クリスマス会
2016年12月21日 小平中央公民館
 毎年恒例のクリスマス会、今年は市民学習奨励学級としても活動したおかげで会員数も増え、楽しく賑やかにクリスマスを祝いました。
 メンバーの鈴木さんのお妹様手作りのシフォンケーキ、代表の山田さんお得意のサーモン・パテ、バナナケーキ、新井さんのお心づくしの信州の蜜リンゴなどなど、もちろん、ワインも味わいながら、和気藹々とした歓談のひと時を持つことができました。
 写真のような雰囲気です。ご馳走を写すのを忘れて、残念無念!!


 毎月、第一、第三水曜日の10:00〜12:00、小平中央公民館で開催しています。
 参加ご希望の方は、山田洋子代表 042−345−8862までお気軽に!


● 新進演奏家育成プロジェクト 新進芸術家海外研修員コンサート
2016年12月21日 東京オペラシティ リサイタルホール
 今年の仙台国際音楽コンクールのファイナリストとなったピアノの坂本彩さん、
 2007年チャイコフスキー国際コンクールで優秀な成績を収めたヴァイオリンの鈴木舞さん
お二人の海外研修成果披露コンサートです。
 鈴木舞さんの伴奏は、先ごろのフランツ・リスト国際コンクールに堂々優勝を飾った、阪田知樹くん。
 阪田君のことは前々から応援しています。

 若い3人の晴れやかな演奏に接して、清々しい気分になりました。

 写真は、坂本彩さん、阪田知樹くんとのそれぞれツーショット。


● ヤマハ銀座店3階の宮沢賢治特集コーナー
2016年12月5日
 あいにく、まだ出掛けてはおりませんが、写真を送っていただきましたので、ご紹介させていただきます。
 『賢治と上野の物語』は無料です。数に限りがございますので、ご興味のあられる方はどうぞお早めに!

左の奥『賢治と上野の物語』     萩谷由喜子著
パンフレットですが、13,000字程のボリュームがあり、単行本にしたいと考えています。昨年の生誕120年プレイヤーに執筆し、記念コンサートでお配りしたもの。少し残部がありましたので、ご希望の方に差し上げております。

真ん中『賢治の聴いたクラシック』  萩谷由喜子著 CD2枚つき 税抜き3,000円
右端 『クロイツァーの肖像』    萩谷由喜子著 税抜き2,200円


● 新国立劇場 ロッシーニ『セビリアの理髪師』
2016年12月4日 新国立劇場
 同劇場7回目となる、イタリアのオペラ・ブッファの最高峰の安定上演。
 同劇場制作のプロダクションとしても、粟國淳演出に続くヨーゼフ・E・ケッブリンガー演出の4回目。
 さすがに堂に入っていて、揺るぎのない見事な舞台でした。

 詳しい批評は『ハンナ』2017年1月号に。


● 東京交響楽団 第647回定期演奏会 ジョナサン・ノット指揮
2016年12月3日 サントリーホール
 ノット&東響と、チェロのヨハネス・モーザーが協演。
 幕開けは、ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』の第1幕への前奏曲。
 それなのに、ステージにはチェロの演奏台がセットされていて、?と思っていたら、ノットとモーザー登場。
モーザーを完全にソリストとして扱って、この名曲をぐっと聴かせたあと、そのまま、次のディティーユのチェロ協奏曲『遥かなる遠い国へ』と繋げました。
 なんと心憎いプログラミング。
 トリスタンとイゾルデの魂は遥かなる遠い国へと旅立ち、そこで永遠の愛を謳歌しているようです。
 後半はシューマンのハ長調交響曲。これまた、クララへの永遠の愛の結晶。緊密な糸を張り巡らせた3曲。
 モーザーの名演、ノットとオーケストラの絶好調な関係を熱く聴かせていただきました。
 休憩時間に、飯守泰次郎先生にお会いしましたら、先生もこの『トリスタンとイゾルデ』から『遥かなる遠い国へ』へと移るアイディアを絶賛されておられました。
 写真は2階のクリスマスツリーの前で飯守先生と。


● 南紫音ヴァイオリン・リサイタル
2016年12月2日 紀尾井ホール
 プログラム解説を執筆した、南紫音さんのリサイタルに出掛けました。
 しばらくぶりに聴く紫音さん、たいへんなご成長ぶりで、創意ゆたかな「クロイツェル・ソナタ」他を聴かせてくださいました。
 ピンクのドレスがお似合いの紫音さん。

 クリスマスツリーの脇の写真は、友人の二見敬子さんと。
 二見さんのお召しになっているのは、万寿菊を絞り出した、総絞りの訪問着です。わたくしは、十日町あたりのよくある紬に塩瀬の帯。
 紀尾井ホールのクリスマスツリーは、昨年とは趣向を変え、白と金銀だけのとてもシックなもの。


● 日展 鑑賞
2016年12月1日 新国立美術館
 間接的知人の大作が出品されているというので、拝見しにまいりました。
 新国立美術館は初めてです。千代田線の乃木坂駅直結なので、千代田線のアクセスのよい方には便利です。
 きれいに整備された広大な敷地に、近代的な建物が立っています。お庭は、秋から初冬のよい雰囲気で、落ち葉が舞っていました。
 この美術館は、自前のコレクションを一切所蔵せず、すべてそのときどきの展示品をその都度運び入れる方式。つまり、貸館に徹した「国立の」美術館だそうです。
 音楽ホールの世界でいえば、自主公演の企画開催は一切実施せず、ただただ、貸しホールだけ運営するホールということになるのでしょうか。
 美術館と音楽ホールは違うかもしれませんが、ホールの場合、そこに専門スタッフがいらして、そのノウハウの粋としての主催公演を開いてくださることに大きな価値がありますから、もし、主催公演なし、貸館だけのホールというのがあったとしたら、公立、私立を問わず、とても寂しく、残念なことだと思いました。
 展示室に足を踏み入れて驚いたのは、すべて、巨大な作品ばかりであること。人物なども、人間の等身大より大きく描かれたものが大半です。まずは大きくないと、日展に通らないのかもしれません。
 たいへん立派で圧倒されますが、いったいどこに飾るのかしら? ホテルや公共施設でさえも、このサイズの絵を飾る壁面をみいだすのは難しそうです。
 それはともかく、久々の絵画鑑賞に、心身がリフレッシュされました。
 


● 広島オペラ取材と街中探訪
2016年11月27日、28日
 オペラ取材のあと、アステール・プラザから徒歩で平和記念公演へ。
黄昏時でしたが、まだ薄明るく、およそ10年ぶりにみる原爆ドームのいつに変わらぬ佇まいに、厳粛な気持ちを誘われました。
 現在の街の整然とした美しさをみるにつけても、ここで71年前にあのような人間の生命と尊厳を踏みにじる出来事があったことを、わたくしたちは忘れてはならないとの観を強くしました。
 犠牲者の声にならない声に応え、尊い御霊に報いるためにも、核兵器の根絶はいうに及ばず、原子力発電所の全廃を目指していかねばならない、との思いを新たにいたしました。


慰霊アーチから臨む原爆ドーム  アーチの前の碑文  黄昏時の原爆ドーム 元安川にあかりが映ります。


ドームに詣でたあと、もとやす橋をわたってすぐの右側に『えこ贔屓』という牡蠣料理の専門店をみつけたので、焼き牡蠣、牡蠣フライをシャルドネの白ワインとともにいただきました。
一粒がまことに巨大。柔らかくジューシーで、味わいゆたか。
広島ならではの海からの贈り物に大感謝。白ワインもすっきりとした飲み口でした。


翌日は、広島城と縮景園をたずねました。
風格のある広島城。毛利元就のお孫さん、輝元公が築城。現在のお城は、もちろん戦後の建築です。
縮景園は初めてですが、子どもの頃から親しんだ大好きな六義園にちょっと似ていたので、懐かしい気持ちになりました。
縮景園は紅葉が見ごろ。もとは藩主の別邸だったそうです。
自然石をそのまま用いたつくばいにも、紅葉が浮かんでいました。


● 外来オーケストラ・ラッシュ
2016年11月16日〜30日
 海外の名門オーケストラやアーティストの来日公演が相次ぎ、そこにオペラも重なりました。 11月下旬、そのいくつかを聴きました。
 11月16日 国際音楽祭ヤング・プラハ25周年記念 浜離宮朝日ホール
 11月17日 ファジル・サイ ピアノ・リサイタル  紀尾井ホール
 11月18日 シュターツカペレ・ドレスデン ティーレマン指揮 サントリーホール 演奏会形式というよりセミ・オペラ ワーグナー『ラインの黄金』 オーケストラ圧巻!
 11月19日 女優イザベル・カラヤン一人芝居 サントリー小ホール お顔がカラヤンにそっくりなカラヤン令嬢、ショスタコーヴィチへのオマージュを体当たり演技
 11月20日 カメラータ・ザルツブルク シェレンベルガ―指揮 岡山バッハカンタータ協会が見事なモーツァルト『レクイエム』を歌い上げました。ソリスト陣ではソプラノの秦茂子さんが出色。 すみだトリフォニーホール
 11月21日 サンフランシスコ交響楽団 マイケル・ティルソン・トーマス指揮 ソリストはユジャ・ワン ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲1番を快演。この作品はピアノとトランペットと弦楽のためのコンチェルト・グロッソですが、同響のトランペット首席マーク・イノウエの楽器の扱いのうまさ、ソリストとしての力量に感心しました。 サントリーホール
 11月22日 シュターツカペレ・ドレスデン ティーレマン指揮 ソリストとして予定されていたブロンフマン、体調が悪く来日不可となり、代わって24歳のキット・アームストロングがベートーヴェンの2番を若々しい響きで聴かせてくれました。後半はシュトラウスの『アルペン・シンフォニー』客席にバンダを配さないで、ステージと舞台裏からの音響でアルプス登山の一日を音が描き切りました。 サントリーホール
 11月23日 シュターツカペレ・ドレスデン ティーレマン指揮 ドレスデンの2日目もブロンフマンの代理はアームストロング。この日の『皇帝』はやはり手強い曲と見えて、若き才人もなかなかに苦戦。でも、急な代演ですからまずは天晴れ。後半はチャイコフスキーの幻想序曲『ロメオとジュリエット』にリストの交響詩『前奏曲』。リストがこの日の白眉。 サントリーホール
 11月24日 東京二期会オペラ公演 日生劇場 『ナクソス島のアリアドネ』 シモーネ・ヤング指揮 ツェルビネッタと並んでアリアドネもヒロイン扱いの演出。
 11月24日 パリ管弦楽団 ハーディング指揮 ブリテン『4つの海の間奏曲』、ジョシュア・ベルのソロでブラームスの協奏曲。若い頃より骨太な演奏です。後半はベルリオーズ『幻想交響曲』 東京芸術劇場
 11月25日 パリ管弦楽団 ハーディング指揮 昨夜に続いてジョシュア・ベル登場。この日はメンデルスゾーンでしたが、驚くべきことに!なんと、作り付けカデンツァが定石のこの曲を、自作カデンツァで弾きました。びっくりです。後半はマーラーの5番。 東京芸術劇場
その合間に宇都宮へ
 11月26日 第11回栃木県ピアノ・コンクール審査
翌日は広島へ
 11月27日 ひろしまオペラルネッサンス公演 プッチーニ『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』 広島アステール・プラザ大ホール 同プラザ内のホテルに宿泊⇒佐藤正浩指揮、粟國淳演出です。『アンジェリカ』も女声アンサンブルに聴き応えがありましたが、歌手陣、演出など総合点で『ジャンニ・スキッキ』に軍配。
 11月28日 バイエルン放送交響楽団 ヤンソンス指揮 ギル・シャハムの弱音を徹底的に効かせたベートーヴェンの協奏曲とストラヴィンスキーの『火の鳥』組曲 1945年版 サントリーホール
 11月29日 ドイツ・カンマ―・フィル パーヴォ・ヤルヴィ指揮 やや珍しいシューマンの『ゲノフェーファ』序曲、樫本大進によるベートーヴェンの協奏曲、シューマン『ライン』交響曲。大進さん、よく歌いました。 東京文化会館
 11月30日 新国立劇場オペラパレス プッチーニ『ラ・ボエーム』千秋楽
 そのあと、浜離宮朝日ホールへまわり、黒岩悠ピアノ・リサイタル


左から2枚は、新国立劇場の『ラ・ボエーム』にて、右の2枚は広島アステール・プラザ大ホールの『修道女アンジェリカ』

♪上の着物を差し上げます。♪
 クリスマスカラーを言い訳として、派手を承知で、思いきって着てみたこの小紋は、20歳頃、全盛期のよい品ぞろえに定評のあった銀座「ますいわ屋」の展示会で一目惚れし、波に落梅柄のローズピンクの色留袖と共に両親に購入していただいたものです。
色留袖は仕立てをお願いしましたが、こちらは着尺でしたので持ち帰り、母が仕立ててくれました。雲どりの柄合わせを苦心して配置してくれましたので、前身ごろとおくみで柄がきれいにあっています。
 でも、親不孝なわたくしは、若い頃にたった1回着たきりでした。
 その後、バブル期に本業以外の海外ホテル経営や投機に手を広げた「ますいわ屋」は倒産。ブランド名を惜しんだ「さが美」グループが買収して、現在は「東京ますいわ屋」として再生していますが、中身はまったく別の呉服屋さんとなりました。今では、昔の「ますいわ屋」の品は幻となったようです。
 というわけで、この小紋は、かつてのよき時代の「ますいわ屋」を伝えるよすがであり、亡き母の丹精込めた一針、一針の生きる形見でもあります。
 新国立劇場への道すがらと、劇場内で、さすがにお目の高いご婦人からお声をかけていただきました。とはいえ、いかんせん、華やかすぎて、もうこれで着用するのも最後でしょう。
 つきましては、わたくしと背格好が同じくらいで、お着物好き、自装がおできになり、大切にお召しになってくださる方に差し上げます。
mailでご連絡くださいませ。mailアドレスはこのページの一番下にあります。


● 千代田区「かがやき大学」講座:没後400年『シェイクスピアと音楽』
2016年11月7日、14日、21日
    おかげさまで今期も70名の定員を早々と満たしていただき、熱心な受講生の皆様と共に楽しく講座を終えることができました。


レクチャー中のショット  担当の永松誠氏と、受講生の方と。
講座ではドミンゴの『オテロ』、フェリの『ロメオとジュリエット』を鑑賞しました。


● ヤマハ銀座店3階で、宮澤賢治生誕120年特集
2016年11月13日〜12月22日〜30日まで延長されました。
 賢治生誕120年の今年もあと1か月余。
 賢治特集ということで、拙著『宮澤賢治の聴いたクラシック』も展示販売されています。
 銀座にいらしたら、ぜひ、お立ち寄りください。

    こちらからぜひご覧ください。


● 藝大図書館蔵 野澤コレクションより レオニード・クロイツァ−SPレコード・コンサート
2016年10月17日
 2013年8月に亡くなられた世界的なSPレコード研究家・コレクターのクリストファ・N・野澤先生の膨大なレコード・コレクション、及び逸品の蓄音器類は、一括して東京藝術大学図書館にお嫁入りしました。
 その一部を一般公開するSPレコード・コンサートが開催され、名器ビクトローラのクレデンザによる素晴らしい再生音で、レオニード・クロイツァーのピアニズムに触れることができました。
 『24の前奏曲』が圧巻でした。
 司会進行は、藝大の大角欣也先生、解説は植田克己先生。
 最後にわたくしも、拙著『クロイツァーの肖像』を書くに至った経緯とクロイツァーが日本のピアノ界に果たした多大な貢献等について、ひとことお話させていただきました。


写真 左から
(1枚目)クロイツァーのピアノの復元に尽力された音楽学者、瀧井敬子先生、
     藝大図書館館長(当時)として野澤コレクションの受け容れに力を尽くされた大角欣也先生、
     わたくしの右は、クロイツァーの愛弟子で現在クロイツァー記念会の副会長、大堀敦子先生。
(2枚目)クロイツァー記念会事務局の徳増さん、クロイツァー記念会会長の植田克己先生と。
(3、4枚目) 藝大から徒歩10分、根津の海鮮茶屋「でんすけ」で打ち上げ


● 尾高綾子 メゾ・ソプラノ・リサイタル
2016年11月15日 王子ホール
 敬愛する尾高先生ご夫妻の至福のコンサートに行ってきました。
 尾高惇忠先生は先頃、大作、ピアノ協奏曲を完成され見事な初演も済まされましたが、そのあと今度は歌曲へと意欲が向かわれ、美しい花々のような多種多様な歌曲が生まれました。
 それらに、奥様の綾子先生が瑞々しい命を吹き込まれました。
 高田敏子、三好達治、立原道造、井上震太郎、長岡輝子(御夫妻の伯母さま)、品川はる、蔵原伸二郎、中原中也、そして葉山のご近所仲間の堀口すみれ子さんという、それぞれ、思い入れやゆかりのある詩人の方々の詩が、惇忠先生のアイディアゆたかな作曲技法によって、生き生きと飛翔しました。
 (写真)終わってから、ご夫妻を写させていただきましたら、綾子先生がお隣に坐らせてくださいました。


● 静岡音楽館 講演会
2016年11月12日
 静岡音楽館からのご依頼により、『弦楽四重奏の楽しみ方』と題した講演をさせていただいてきました。
 実は、同館にお邪魔するのは初めてでしたが、JR静岡駅北口を出れば、もうすぐ西側にあり、たいへん便利なロケーションなのに驚きました。
 独立館ではなく、郵便施設なども入った大きな建物の上層部ですが、たいへんゆったりとしたゴージャスな造りで、パイプオルガンも備わっています。
 音響的にも、響きすぎるくらいよく響くホールでした。
 愛称はAOIホール。徳川さま膝下の駿府のホールということで、葵の紋所にちなんだとか。

(右写真) AOI HALL というロゴを探したのですがなかったので、磯部正己館長にロゴ代わりになっていただき、野平一郎音楽監督夫人で音楽評論家の野平多美さんと3人で写真を撮りました。
 その右の写真は、エントランス反対側のロビー。昼ならば、背後の窓に富士山が大写しになるそうです。夜で残念!!


● 舘野泉 傘寿記念コンサートとレセプション
2016年11月10日 東京オペラシティ コンサートホール
 左手のピアニストに特化されてすでに10数年キャリアを持つ舘野先生が、傘寿を記念して、何とピアノ協奏曲4曲を一公演で弾くという、驚異的なコンサートを開かれました。
 もちろん、どれも左手だけで奏される『左手のためのピアノ協奏曲』です。
 会場には毎年恒例の假屋崎省吾さん製作のクリスマス・オブジェが……。


写真(左)は会場のクリスマスツリー。中休みに。
(中)は、終演後のレセプションでの舘野先生ご夫妻。
(右)は、舘野先生のご子息でヴァイオリニストのヤンネ舘野さんと久々にお会いしました。


● ウィーン国立歌劇場 日本公演 ワーグナー『ワルキューレ』
2016年11月6日 東京文化会館
 つい先ごろ、10月18日に新国立劇場で拝見したのはゲッツ・フリードレヒの遺作プロダクション、飯守泰次郎オペラ芸術監督による『ワルキューレ』でしたが、重なるときは不思議と重なるもので、ウィーン国立歌劇場が携えてきた三演目の一つが『ワルキューレ』でした。
 新国立劇場の『ワルキューレ』評は『ハンナ』1月号にすでに寄せました。
 ウィーン国立歌劇場公演についてもこれから振り返って、同誌に公演評を執筆いたします。

 どちらも考え抜かれた、芸の細かいプロダクションで、意外にアイディアに共通性があった半面、ブリュンヒルデのキャラクターが対極といってよいほど異なったことが印象的でした。
 新国立のブリュンヒルデは北欧神話に出てきそうな、巨人タイプの戦場の女神。
 対するウィーン国立のブリュンヒルデは華奢で愛らしい戦場乙女。どちらも立派な歌唱でした。


● ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 バンベルク交響楽団
2016年11月4日 オペラシティ コンサートホール
    モーツァルト:交響曲第34番 ハ長調
    ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調
 ブロムシュテットさんは前夜も当夜もすべて暗譜。
 たくさんのミュージック・アイディアを次々と繰り出され、雑音のまったくない純な音だけで幅広いダイナミクスと驚異的な表現の幅をもつて、聴きどころ満載のモーツァルトとブルックナーを聴かせてくださいました。

 (写真左) 89歳の若々しいマエストロとサントリーホールの楽屋で。
 (写真右) チェロの帯留めをつけていたところ、目ざとく気づいてくださいました。


● ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 バンベルク交響楽団
2016年11月3日 サントリーホール
    シューベルト:交響曲第7番 ロ短調『未完成』
    ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調『田園』
 これほどまでに、柔らかく繊細な響きがオーケストラから奏出されるとは信じがたいほど、身も心も溶けてしまいそうな柔和なサウンドでした。
 『未完成』は涙が出ました。『田園』の2楽章、オーボエの日本人女性、なんと情感豊かな音色でしょう。
 アシスタント・コンミスの桑原亜紀さんのご活躍も嬉しく拝聴しました。


● 東京ニューシティ管弦楽団 熊本地震復興祈念 特別演奏会
2016年10月31日 オペラシティコンサートホール
 ニューシティ管弦楽団が、今春に勃発した熊本地震の被災地復興を祈念し、被災者を支援するための特別演奏会を開催しました。
この演奏会には、ポーランドの代表的指揮者グジェゴシュ・ノヴァックさんと、その同朋で現代屈指の名ピアニスト、クリスティアン・ツィメルマンさんが出演。
 お二人は出演料を受け取ることなく、その全額を被災地支援のために寄付なさいました。
 2011年3月11日の東日本大震災発生時に東京にいたというツィメルマンさんは、地震およびそれに続く原発事故発生を重く受け止め、世界のエネルギー政策の今後についても以来思考を巡らし続けてきたそうです。
 今春におきた熊本地震に関しても、多くの人命が失われたこと、日本の歴史的文化遺産が損なわれたことに強い衝撃を受けて、今回の支援コンサートに出演されました。
 ベルリオーズの『ローマの謝肉祭』を経て。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番に磨き抜かれたピアニズムを発揮。後半はメンデルスゾーンの交響曲第4番『イタリア』でした。
(写)マエストロ、ノヴァックご夫妻と共に楽屋で


● 東京フィルハーモニー交響楽団 マスカーニ『イリス(あやめ)』演奏会形式
2016年10月16日 オーチャードホール
2016年10月20日 サントリーホール
 今シーズンから首席指揮者に就任した、1987年ヴェローナ生まれの新鋭アンドレア・バッティストーニの肝いりで、マスカーニのオペラ『イリス』が演奏会形式により東京で2公演、上演されました。
 『イリス』とは、わたくしたち日本人にも馴染の深い初夏の湿地に咲く美しい花「あやめ」の意。
 1898年11月22日にローマで初演されたこのオペラは、その8年前の『カヴァレリア・ルスティカーナ』で一躍寵児となったピエトロ・マスカーニのジャポニズム・オペラです。プッチーニの『蝶々夫人』が1904年ですから、それに6年も先駆けているわけです。
 この当時は、1889年、及び90年のパリ万国博覧会の影響もあってヨーロッパにジャポニズム志向が巻き起こっていた中、マスカーニがどのような音楽表現に至ったか、それを現代屈指の若手、バッティストーニがどのように受け止め、いかに表現したか興味津々で、2公演とも拝聴しました。
 物語は、美しい花々の咲き乱れる庭で盲目の父と共に平和に暮らす若い娘イリスが、女衒の悪巧みによって誘拐されて吉原に売り飛ばされ、執拗に口説く男の性愛欲求に応えることができずに呆れられ、その一方、娘を堕落した女と決めつける父親の激しい糾弾に耐え切れず命を絶ち、あの世であやめの花として再生する、といったストーリー。
 『蝶々夫人』と比べるとかなり観念的、象徴的な印象を受けましたが、バッティストーニ、東フィルの快調なテンポのきびきびとした音楽、背景に映し出されるバッティストーニ自身が選んだ浮世絵の効果が絶大で、ジャポニズムというよりは、洋の東西を超えた普遍的なエロスに刺激を受けました。
(写真) Bunkamuraオーチャードホール公演時のもの。文化村西村社長、マエストロ・バッティストーニ、右端は、中野専務。
     本来でしたら、あやめの花柄のこの訪問着は5月に着用するつもりでつくったのですが、今回はオペラに因み、季節外れの10月に思いきって身につけました。


● 東京交響楽団 定期演奏会
2016年10月15日 サントリーホール
 東京文化会館の『オネーギン』のあと、サントリーホールへ。
 楽団創設70周年記念ヨーロッパ・ツアーを目前に控えた東京交響楽団の演奏会です。
   ジョナサン・ノット音楽監督と、ますます琴瑟相和する東響。
 前半は、ドイツの実力派、イザベル・ファウストさんを迎えたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。繊細にして緻密な音楽づくりに息を飲みました。カデンツァは、ベートーヴェン自身がこの曲をピアノ協奏曲に編曲したときに自身で入念に書いたものを、逆にヴァイオリンに移した版です。第1楽章のカデンツァではティンバニとのやりとりに、ベートーヴェンのアイディアがきらりと光ります。第2楽章にも短いながらカデンツァがあり、第3楽章は、第1クプレのあとにカデンツァが挿入されていましたが、何と、そこに『歓喜の歌』の断片がすでに顔を出していました。この版は1807年編曲ですから、1824年初演の第九に17年も先行しているのに、この時点ですでに「フロイデシェーネルゲッテルフンケン」の旋律は成立していたのですね。
 愛称として『ピアノ協奏曲第6番』と呼ばれることもあるこのピアノ版は、ボン時代に第二の家庭のように親しんだブロイニング家の次男シュテファン・フォン・ブロイニングの新婚の妻ユリーのために編曲されたものでした。4歳年下のシュテファンは生涯の友となり、ベートーヴェン没後、遺品の中から、有名な『ハイリゲンシュタットの遺書』及び『不滅の恋人への手紙』も発見していますが、その年のうちに没したため、もうひとりの発見者アントン・シントラーがこれら貴重な遺品の考証伝播に関わることになり、自己に都合のよい歪曲などもあったために多くの混乱を招きました。シュテファンさえもう少し長く存命していたら、2世紀近くにも及ぶ『不滅の恋人』問題も早くに解明されていたでしょう。
 少し、横道にそれましたが、ベートーヴェン唯一の『ヴァイオリン協奏曲』ニ長調はそのシュテファンに献呈され、それをピアノに移した『ピアノ協奏曲』ニ長調は、シュテファンの新妻ユリーに献呈されたのです。ユリーはピアノがたいへん上手で、おそらく美しい女性だったと想像されますが、このピアノ版の献呈からまもなく、20歳の若さで神に召されています。それを思うと、このカデンツァをヴァイオリンで拝聴できたことに胸がキュンとなりました。ファウストさん、ありがとうございます。
(写真)岩谷紀子さまとご一緒にファウストさんをお訪ねし、カデンツァの出典をうかがいました。


● 小菅優さん、ベートーヴェン・ソナタ全曲演奏会 完結記念コンサート
2016年10月14日 紀尾井ホール
 ベートーヴェンの32曲のソナタはピアニストのバイブル。
 ピアノに最適の音響を持つ紀尾井ホールを会場に全曲演奏会シリーズをみごと達成された小菅優さんが、完結記念としてそのハイライト演奏会を開催されました。
 第1番ヘ短調で幕を開け、第24番嬰ヘ長調『テレーゼ』、第17番ニ短調『テンペスト』を前半に、後半には第20番ハ長調『ワルトシュタイン』、そしてソナタ創作人生を締めくくる第32番ハ短調という珠玉のプログラム。前人未到のピアノ・ソナタの高い峰々は、「ド」で始まり「ド」で結ばれるという、一夜の星座の循環のごとき宇宙をなします。それを、決して濁らない美しい音で、わたくしたちに照らし出してくださった小菅優さん。得難いピアニストでいらっしゃいます。


(写真左から)
小菅優さんと楽屋で。
ベートーヴェンの余韻を耳に残しつつ、四ツ谷駅至近のジャズの老舗『いーぐる』で白ワインをいただきました。
『いーぐる』のオーナーで、ジャズ評論界の大御所、後藤さんと。
急激に秋らしくなりましたので、オータムカラーの紬を着ました。帯は秋の花、撫子を織り出した名古屋帯。帯留めは母の箪笥から発見したハート型の翡翠です。


● マリインスキー歌劇場日本公演 
東京文化会館大ホール
2016年10月12日 『ドン・カルロ』
2016年10月15日 『エフゲニー・オネーギン』
 シラーの劇詩によるヴェルディの重量級オペラ『ドン・カルロ』と、プーシキンの原作をもととするチャイコフスキーの『エフゲニー・オネーギン』を携えて、ゲルギエフとマリインスキー歌劇場が日本公演を繰り広げました。
 『ドン・カルロ』は映像を駆使して登場人物の心理を映し出すというなかなかに凝ったプロダクション。『オネーギン』もそうなのかと思って拝見しましたら、こちらはグレーミン公爵家の舞踏会の窓外に、ネヴァ河の流れをゆるやかに映す場面にきわめて印象的に使われていました。調度品から衣裳の色合いがこれまた絵のような美しさ。
 『ドン・カルロ』のロドリーゴと『オネーギン』のタイトルロールが同じアレクセイ・マルコフさん。逞しさの際立つ立派なバリトンなので、前者のキャラクターのほうが似合っています。『ドン・カルロ』の宗教裁判長と『オネーギン』のグレーミン公爵が同じミハイル・ぺトレンコさん。両役とも、過不足なく演じ、歌われました。
 やはりお家芸の『オネーギン』は圧巻で、しかも舞台美術とこまかな演出に配慮が行き届き、歌い手勢も母語の人が多いためか歌唱も演技も総じて伸びやかでした。タチアーナのマリア・バヤンキナさん、第1幕の純情娘も第3幕の高貴な公爵夫人もどちらもよく雰囲気を出しておられました。レンスキーを演じた若手のアフメドフさん、かなりの抜擢だったと思いますが、あの名アリアで今一つ声が伸びなかったのがお気の毒でした。次回はもっとよいに違いありません。
(写真左) 12日の『ドン・カルロ』
(写真右) 15日の『エフゲニー・オネーギン』


● 横浜みなとみらいホール 試聴ラウンジ〈第2回〉
  第35回 横浜市招待国際ピアノ演奏会をより楽しむために

  2016年10月9日(日)午後1時30分から3時
 11月5日と6日に開催される「第35回 横浜市招待国際ピアノ演奏会」のプレ・レクチャーをいたしました。
 この演奏会は、メジャー国際コンクールに入賞歴のある35歳以下のピアニストの中から選りすぐりの逸材を招いて、ソロとコンチェルトの両ステージを披露してもらうという企画です。
 今回の招待ピアニストは次の4名です。
      エフゲニ・ボジャノフ    1984年ブルガリア生まれ   32歳
      バラージュ・デメニー    1989年ハンガリー生まれ   27歳
      小林海都          1995年横浜市生まれ     21歳
      ゲオルギー・チャイゼ    1988年ロシア生まれ     28歳
 わたくし自身が、これまでにその生演奏に接したことのあるのは、エフゲニ・ボジャノフ、小林海都の二人でしたので、この二人についてお話したあと、彼らの演奏曲目の中から、ラヴェルのト長調協奏曲と、チャイコフスキーの協奏曲第1番を予習し、
 シューベルトの即興曲op.142-3『ロザムンデの変奏曲』の名盤聴き比べをいたしました。
 ラヴェルの協奏曲は、この曲の被献呈者で初演者である、フランス楽壇の女王、マルグリット・ロンの1952年録音で聴き、チャイコフスキーはマルタ・アルゲリッチの1970年録音で聴きました。

 シューベルトの即興曲については、次の二種録音を聴き比べいたしました。
● 内田光子盤   1996年9月 ウィーンのムジークフェラインザールで収録
● 小山実稚恵盤  2015年1月 軽井沢の大賀ホールで収録
小山実稚恵盤のライナーノートは拙文です。
どちらも名演ですが、同じ曲でも、ピアニストによってこれほど表現が異なることに、みなさま驚かれたごようすでした。

(写真左)担当の、鍛さん、小野寺さんとともに。
(写真右)港をバックに受講者の方々と写した写真は、ちょっと逆光が残念です。


● 公明新聞に 『漱石』についての執筆、 徳島新聞に『 第九』についての取材記事 掲載
いずれも2016年9月24日
   公明新聞 (文化欄)に 「漱石―没後100年作品に綴られたクラシックへの思い」を執筆

 徳島新聞 「第九 永遠なり 鳴門初演100年」 特集記事中 「第九への思い 関係者に聞く」 として
七澤英貴氏(東京アカデミック管弦楽団代表理事・オーボエ奏者)、飯泉嘉門氏(徳島県知事)らと共に取材を受け、その取材記事が掲載されました。


● 日本フィルハーモニー交響楽団 創立60周年記念
 ピエタリ・インキネン 首席指揮者就任披露演奏会&記念レセプション

 2016年9月27日 演奏会:サントリーホール レセプション:同ブルーローズ
 近年、日フィルの首席客演指揮者としてシベリウス・ツィクルスなどに卓越した手腕をみせてきたフィンランドの俊英指揮者、ピエタリ・インキネンが今シーズンから日フィルの首席指揮者に就任しました。
 同夜はそのお披露目演奏会として、ワークナーの楽劇4部作『ニーベルングの指環』のうちの後半2作『ジークフリート』『神々の黄昏』抜粋の演奏会形式上演があり、その直前の時間を利用して、隣接のブルーローズで、記念レセプションがありました。
 レセプションでは、日フィルの平井俊邦理事長から、同フィルのここまでの苦節の歩みやインキネンへの期待が語られ、ゲネプロを終えたばかりのインキネンも姿を現してにこやかにご挨拶、さらに、3週間半前に着任したばかりという、ユッカ・シウコサーリ中日フィンランド大使からも、着任早々、このような晴れがましい席に臨めて光栄である旨から話し出され、音楽好きなフィなランド国民性、なかでもインキネンはホープであることなどが紹介されました。
 和気藹々としたレセプションで、コンサートへの期待が大いに盛り上がりました。
 本編コンサートには、ソプラノにリーゼ・リンドストローム、テノールにサイモン・オニールという当代一流のワーグナー歌手を迎えた迫力満点のもの。みごと、首席指揮者デビューを飾ったインキネン。当分、蜜月が続くことでしょう。わくわくします。


(写真左から)
インキネンの就任の弁  ユッカ・シウコサーリ 駐日フィンランド大使も晴れがましそう。  仲間の4人、寺西さん、わたくし、柴田さん、山崎さん。


● 宇野功芳先生のお別れ会
 2016年9月21日 ホテル・グランドパレス
 ご生前のご交遊の広さとご人徳を反映して、300数十名の参加者のもと、在りし日の先生を偲ぶ、しめっぽくないお別れの会が開催されました。最後にみんなで、先生もお好きだった『仰げば尊し』を歌いました。

(写真左) 作曲家の佐藤眞先生、元東京交響楽団楽団長の金山茂人氏と。

(写真右) ご遺影の前で、弟子筋のみんなで。


● 長崎取材旅行
 2016年9月18日〜19日
 長崎には、長年格別な思いを抱いてまいりました。
 学生時代に初めて訪れ、浦上天主堂近くにある、永井隆博士が被爆後の晩年を過ごされ、そこで『長崎の鐘』『この子をのこして』などのご著書を寝たきりで執筆された、畳2畳一間だけのご自宅『如己堂』を目にして強い衝撃を受けて以来、再訪を切望しつつ機会がなく、今回、ようやく念願の長崎再訪が叶いました。
 直接の取材対象は、JR浦上駅至近の、長崎ブリックホールで開催された、ハンドベル・フィスティバル2016。
 ハンドベルの奥の深さを知り、演奏体験もさせていただくなど、これも意義ある取材でした。
 そして翌日、夢にまで見た永井博士の『如己堂』再訪のほか、現在、構想執筆中の次著に関する取材も果たすことができました。しかし、次著のほうは、あまりにも前途遼遠です。
長崎のブリックホール ハンドベルフェスタ



 2段目、右端の写真は、その夜、浜口町の「ゆう貴」というお店で出してくださった地元のお魚のお刺身

  如己堂 にょこどう の外観と、内部の2畳の居室。
 「如己堂」のいわれは、「如己愛人」己の如く人を愛す、永井博士の座右の銘でした。
 この2畳間に、永井隆博士が被爆の身を横たえられ、その病床をふたりのお子さんが取り囲んで一家三人で生活されたときいたとき、脳天に一撃を加えられたような衝撃を受けました。
 寝たきりになられる直前まで、博士は被爆者の救護活動にあたられたのです。
 みどり夫人は、昭和20年8月9日、焼けただれたロザリオを遺し、閃光となられて帰天されました。
 その病床で執筆された平和祈願のご著書類はベストセラーとなり、多額の印税がもたらされましたが、博士はそれをすべて被爆者支援と平和運動のために投じられ、ご自分はここをついの住処とされて、被爆から6年後の昭和26年5月1日、43歳でみどり夫人のもとへ旅立たれました。




● ハーゲン・クァルテット 《フーガの芸術〜宇宙への旅路》
 2016年9月14日 東京オペラシティコンサートホール
 前夜、サントリーホールでも拝聴したストラディヴァリウスの名セット、パガニーニ・セットを使用する、ハーゲン・クァルテットの演奏会です。
 J.S.バッハの『フーガの技法』から『コントラプンクトゥス』T〜W、ショスタコーヴィチの第8番、そして後半にベートーヴェンの第13番『大フーガ』という壮大なプログラムでした。まさに宇宙的です。


● ストラディヴァリウスコンンサート2016
 2016年9月13日 サントリーホール
 日本音楽財団が世界の才能あるヴァイオリニストに貸与しているストラディヴァリウスの名器が一堂に会しました。
 同財団がオールド・イタリアンの名器収集に乗り出したとき、最初にパガニーニ・セットと呼ばれる弦楽四重奏用のヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ各1のセットを入手できたことは奇跡的な幸運だったと、同財団の塩見和子理事長は述懐されておられますが、その陰に塩見理事長の熱意と努力があられたに違いありません。
 現在、この値段のつけようもない類稀なるセットは、オーストリアの名門クァルテット、ハーゲン・クァルテットに貸与されています。当夜はそのハーゲン・クァルテットのパガニーニ・セット他に、諏訪内晶子さん貸与の『ドルフィン』、スヴェトリン・ルセフさん貸与の『カンポセリーチェ』、ヴェロニカ・エーベルレさん貸与の『ドラゴネッティ』、セルゲイ・ハチャトゥリアンさん貸与の『エングルマン』、レイ・チェンさん貸与の『ヨアヒム』、アラベラ・美歩・シュタインバッハーさん貸与の『ブース』、有希・マヌエラ・ヤンケさん貸与の『ムンツ』、のヴァイオリン7挺、パブロ・フェラカデスさん貸与の『ロード・アイレスフォード』、石坂団十郎さん貸与の『フォイアマン』のチェロ2挺の、併せて13挺の名器の音色を超一流の名手の名演で堪能させていただくことができました。ピアノは江口玲さんで、もちろんスタインウェイです。


● 大谷康子さん、輪島漆塗りヴァイオリン『天の川』を弾く!
 2016年9月12日 銀座ヤマハホール
 東京交響楽団コンミスからフリーとなった大谷康子さんが、2種のヴァイオリンを弾き分けるコンサートに出演されました。
 前半は輪島漆塗り職人の八井汎親さんが丹精込めて塗り上げた名器『天の川』を用いて和の調べを弾き、後半は大谷さん本来の愛器1708年製のピエトロ・グァルネリでフランクのソナタを弾くという滅多にないコンサートです。ピアノは、長年のパートナー、藤井一興さん。
 『天の川』は朱がかった美しい漆塗り。側板に見事な蒔絵も施された逸品です。美術工芸品としての一面と、楽器としての表現能力を兼ね備えた、わが国ならではの名器といえるでしょう。鳴りはいかに? 演奏批評は『音楽の友』11月号に書かせていただきました。


● 中村紘子さんを偲ぶ会
2016年9月12日(月) 午後2時より3時10分 サントリーホール大ホール
 去る7月26日に逝去されたピアニスト、中村紘子先生の偲ぶ会が49日に当たるこの日に、ゆかりのサントリーホールで開かれました。紘子先生はサントリーホールへの、器楽奏者としての最多出演者でいらしたそうです。
 衆議院議員の細田博之氏、作曲家の外山雄三先生、日本文学研究家のドナルド・キーン先生からの追悼の辞、チェロの堤剛先生、ヴァイオリンの大谷康子さん、ソプラノの松本美和子さん、東京交響楽団の献奏がありました。
締め括りに、紘子先生の最後のインタビュー映像が流され、お話しぶりや表情、ちょっとした仕草に、お懐かしさに胸がいっぱいになりました。
● 中村紘子さん お別れの会
2016年9月12日(月) 午後2時30分〜5時  サントリーホールブルーローズ
 こちらはご遺品類の展示が中心で、皇后陛下からのお花をはじめ、ゆかりのお品々、賞状類が並びました。


皇后さまのお花  芸術院賞、没日付で授与された旭日中綬賞 紫綬褒章などなど


● 横浜みなとみらいホール 試聴ラウンジ〈第1回〉ロマン派ピアノ作品の魅力
 2016年9月11日(日)午後1時30分から3時
 横浜みなとみらいホールに新しくスタートしたシリーズ企画《試聴ラウンジ》の初回に、ピアニストの青柳晋さんとともに、案内人を務めさせていただきました。
   横浜港を一望できる明るいラウンジで、薫り高いコーヒーとセレクトされたケーキをいただきながら、クラシック音楽をゆったりと楽しむというコンセプトです。
 第1回は《ロマン派ピアノ作品の魅力》というテーマをいただきましたので、ロマン派に至る音楽の流れ、ロマン派の特質などをまずご案内しました。
 そしていよいよ、本命の《ロマン派4人男+1》のお話です。言うまでもなく、それは、メンデルスゾーン、シューマン、ショパン、リスト、ブラームスの5人です。
 そこで、マレイ・ペライアのメンデルスゾーン《ヴェネツィアの舟歌》、ホロヴィッツのシューマン《子どもの情景》抜粋を、極上のオーディオ装置で鑑賞。
 ショパンとリストは、待ってました! 青柳晋さんに生演奏をお願いしました。
        ♪ ショパン:別れの曲
        ♪ リスト :夕べの調べ
        ♪ リスト :タランテラ
 最後に、ブラームスの《7つの幻想曲》作品116より第6曲《間奏曲》をルービンシュタインの録音で聴き、前期ロマン派最後の大物の晩年の境地に触れました。
 青柳さんは演奏ももちろん素晴らしいの一語に尽きますが、作曲家たちへのコメントがとてもユニークで楽しく、録音に聴く大家の演奏の寸評がこれまた鋭い感性に満ちていて、これほどの感性に恵まれた方だからこそ、あのような非凡な演奏がおできになるのだと、あらためて痛感いたしました。青柳さん、ありがとうございました。
 ともかくも、無事、初回案内人の大役を務めることができました。
ご来聴の皆さま、ご準備くださった関係者の皆さま、ありがとうございました。

 次回は10月9日(日)午後1時30分から3時。
 テーマは《横浜市招待国際ピアノ演奏会をより楽しむために》。
11月5日(コンチェルト公演)、6日(独奏曲公演)に開催される同演奏会の内容をしっかり先取りし、聴きどころを押さえる予習プログラムをお送りいたします。
 ご参加いただきますと、本編がより身近になり、より興味深くご鑑賞いただけることでしょう。コンチェルトとしては、モーツァルトの第23番イ長調K.488、ラヴェルのト長調、チャイコフスキーの1番を大解剖いたします。
 参加お申し込みは、横浜みなとみらいホール チケットセンター 045−682―2000まで



(写真は上列 左から)
開演前に青柳晋さんと。
ロマン派ピアノ作品の第一人者、青柳晋さんの演奏姿
無事に終わって、二人でほっとして、ピアノの前で
(下列 左から)
参加者の方々と共に。
ラウンジのバルコニーの向こうは横浜港。逆光ですが、海を入れて撮影していただきました。帯留めはピアノですが、よくみえません。


● 小平楽友サークル 第15シリーズ『クラシック名曲 10のミステリー』が、市民学習奨励学級として、スタートしました。 
2016年9月7日 第1回『ヴィヴァルディをめぐる2つのミステリー』
 小平中央公民館  10:00〜12:00
 50名近い参加者の方々と、たのしく第1回を終えました。
 今後も、月2回、第1、第3水曜日の10:00から12:00 に、開催しております。音楽ミステリー・シリーズは2017年1月いっぱいまで続きます。どこからでも参加可能です。
 参加ご希望の方は、小平楽友サークル代表 山田洋子さん 電話 042−345−8862 まで。


● ユジャ・ワン ピアノ・リサイタル
2016年9月7日  サントリーホール 19:00〜21:30過ぎ
 アスリートのような身体性を十全に発揮した目にも止まらぬ高速打鍵から、情感豊かなリリカルなプログラムまで、これまでにない独特のピアニズムで聴き手を魅了する中国出身のピアニスト、ユジャ・ワン。
 すらりとした筋肉質の体にまとう、ミニドレス、あるいはスリムなロングドレスに10センチのヒールというコスチュームも話題です。
 わたくしが、彼女の何枚目かのアルバム『ファンタジア』のライナーノートを書いたころはまだ穏やかなフィーバーでしたが、来日ごとに人気が急上昇し、今回はチケット入手が困難となりました。
 所属事務所カジモトからの依頼で曲目解説を書いたのですが、事前の変更も予想されたため、ユジャのレパートリーを包括する形で、ピアノ曲目の歴史を概観し、予想曲をピン・ポイントで書きました。
 が、結果、前半はすべて変更となり、後半の『ハンマークラヴィーア」のみそのまま。アンコール7曲でした。
    ◇本編
    シューマン :クライスレリアーナ
    カプースチン : 変奏曲op.41
   ショパン : バラード1番
    ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ第29番『ハンマークラヴィーア」
  ◇アンコール
    シューベルト(リスト編) :糸をつむぐグレートヒェン
    プロコフィエフ :トッカータ(ピアノ・ソナタ第7番より第3楽章)
    ビゼー(ホロヴィッツ編) :カルメンの主題による変奏曲
    モーツァルト(ヴォロドス/サイ編) :トルコ行進曲
    カプースチン :トッカティーナ op.40
    ラフマニノフ :悲歌 op.3−1
    グルック(ズガンバーティ編)メロディ
(写真)楽屋にユジャをお訪ねし、ごいっしょに写真を撮らせていただきました。


● 日フィル第683回定期演奏会  山田和樹指揮
2016年9月3日 サントリーホール
     先日、歌舞伎×オーケストラ公演で見事なコラボレーションを展開した、ヤマカズ&日フィルの定期演奏会です。
 マエストロ・ヤマカズとは、今月1日の記者会見とリハーサルでお会いしたばかり。
 会見の日は、柴田南雄「ゆく川の流れは絶えずして」公演の話題でしたが、この日も別の柴田作品『コンソート・オブ・オーケストラ』が演奏されました。
 多種多様な楽器、作曲手法による独創的なオーケストラ曲です。R.シュトラウス『4つの最後の歌』は清水華澄さんの深みのあるメゾソプラノ独唱。
 後半は、エルガーの1番。格調高く、奥行きと広がりのある名演です。各楽器のソロも実に聴かせました。


開演前のアークカラヤン広場で。
3日前に、82歳の大熱演をきかせてくださった田邊さんと、あらためてツーショット。翌日はさすがにお疲れが出られたそうですが、この日はお元気なお姿をフォアイエに見せていらっしゃいました。
終演後、山田和樹マエストロと。
9月1日の記者会見で、柴田南雄作品への熱愛を語るヤマカズ・マエストロ

 

● 田邊稔 元日フィル楽団長・現名誉顧問 82歳バースデー・コンサート&懇親パーティー
2016年8月31日 コンサート:サントリーホール ブルーローズ              懇親パーティー:ANAインターコンチネンタルホテルB1F「ギャラクシー」サントリーホール
   日フィル在籍52年。コントラバス奏者として活躍されたのち、楽団長として長らく同フィルを統率された田邊稔氏が、82歳のバーステー・コンサートを開かれました。
 いつも慈愛に満ちた眼差しで日フィルを見守ってこられ、わたくしなどがコンサートにうかがうと、おやさしく接してくださる田邊さんを、ずっとご尊敬申し上げてきましたが、これまでついぞ、コントラバス演奏を拝聴したことがありませんでした。念願叶い、それを聴かせていただけるというので、この日が待ち遠しくてなりませんでした。
 当日は、何と、仲道郁代さんのピアノ共演で、バッハのアリオーソ、ドラゴネッティの協奏曲ト長調、エルガーの愛の挨拶、プッチーニの「トスカ」のアリア「歌に生き、恋に生き」、バッハ=グノーのアヴェ・マリア、ロレンツィティのガヴォット、クーセヴィツキーの悲しい歌、ヘンデルのラルゴ、サン=サーンスの白鳥、それに無伴奏のバッハのアリアという多彩なプログラムを披露されました。
 賛助出演なし、全曲目をおひとりで弾かれるという、まったくのリサイタルです。あの大きな楽器を扱われるだけでもたいへんなのに、これほどのプログラムを独奏されるとは、心から頭が下がりました。
 しかも、たいへんに音楽的で、ヴィヴラートは甘くやさしく、跳躍音程などもしっかりとクリアされ、歌にあふれた美しい演奏でした。
 演奏中のお写真が撮れなかったことが残念。でも、そのあとの懇親パーティーで、少しだけ、撮らせていただきました。
 田邊さん、まことにおめでとうございました!! 音楽への愛にみちた演奏に感動いたしました。


(写真 左から)
田邊さんと仲道さん  平井俊邦 日フィル理事長のご挨拶  田邊さんのご挨拶  特製バーステー・ケーキ  田邊さんとご親友との間に入れていただきました。


● 第14回東京音楽コンクール ピアノ部門本選・授賞式・レセプション
2016年8月28日 東京文化会館大ホール
     早くも14回目となった東京音楽コンクール。他の部門は拝聴できませんでしたが、最終日のピアノ部門本選の取材にまいりました。
 今回から、予備審査なし、応募者全員を生で聴く、という審査方法になったため、117名でスタート。
 セミ・ファイナルに11名が残り、ファイナルは4名で競われた結果、次の方々がそれぞれ記載のコンチェルを熱演して、栄誉に輝きました。

 第1位  チョン・キュビン  1997年生まれ  韓国芸術総合学校1年  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番『皇帝』
 第2位  西村翔太郎  1992年生まれ  東京芸大大学院修士2年  プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番
 第3位  開原由紀乃  1992年生まれ  東京芸大大学院修士3年  ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト調
 第4位  木本秀太  1995年生まれ  東京芸大3年  ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番
 聴衆賞   西村翔太郎
 各人の詳しいレビューは『ショパン』10月号に書きます。

写真はいずれも、授賞式後のレセプションで。

左から
野平一郎審査員、仲道郁代審査員、西村翔太郎さん
寺田悦子審査員から西村さんに素晴らしいアドバイスがありました。さすが、悦子さん!!
総合審査員長の小林研一郎マエストロと開原由紀乃さん。「ラヴェルは難しいよ。よく弾いたね!」
第1位のキュビンさんと第2位の西村さん。実力伯仲のふたりです。

 

● 2016年8月22日〜25日 NHKラジオ深夜便『賢治文学を生んだ音楽』、4夜にわたってお聴きいただき、ありがとうございました。
 お話したことの一部は、拙著 『宮澤賢治の聴いたクラシック』にございますが、この放送で初めて採り上げた話題もありました。
 第2夜から第4夜でご紹介した『田園』『ラ・カンパネラ』『トロイメライ』の古い録音は、すべて、『宮澤賢治の聴いたクラシック』に添付の2枚組CDに収載しております。
 内容や、おかけした録音について、ご質問等がございましたら、お寄せください。 メールをお寄せくださる場合は、yukiko99@io.ocn.ne.jpをクリックしてください。

クラシック音楽講演依頼について(ご案内)
 また、「賢治と音楽」を始め、クラシック音楽に関する、レクチャーやコンサート・プロデュース、講演のご依頼も、上記メールからお問い合わせください。
 レクチャー、講演テーマは、例えば、およそ下記のようなものでこれまでやってまいりましたが、ご趣旨に合わせてご相談ください。単発もシリーズも可能です。
 宮澤賢治の音楽〜オリジナルの『星めぐりの歌』、替え歌の『種山が原』
 宮澤賢治とベートーヴェン
 クラシックが10倍楽しくなる、音楽ミステリー・ツァー
 これだけは、聴いておきたいクラシック
 2時間でわかる、おもしろ音楽史
 本当は伴奏があった、バッハ無伴奏ソナタとパルティータ、無伴奏組曲
 モーツァルトをめぐるミステリー
 ベートーヴェンの交響曲の聴きどころ
 日本で最初に第九が鳴り響いた地は徳島だった!〜日本初演からもうすぐ100年
 ベートーヴェンのピアノ協奏曲を全曲征服しよう!!
 ショパンはなぜ、ポーランドへ帰れなかったのか?〜2曲の協奏曲は彼の2丁拳銃だった。
 ロベルト&クララ シューマン夫妻の秘密の暗号
 ブラームスは打率10割のシンフォニスト
 音のない世界で書かれたスメタナの『わが祖国』
 生誕400年、シェイクスピア文学から生まれた音楽
 露伴の妹たち幸田姉妹〜日本人初のソナタを書いた幸田延と、日本ヴァイオリン界の母、安藤幸
 『荒城の月』の謎〜瀧廉太郎の23年の生涯と音楽
 聖女vs魔性の女〜オペラのヒロインたち


● 日本フィル&サントリーホール とっておきアフタヌーンvol.5 歌舞伎×オーケストラ
  2016年8月24日 午後1時開演
 最近、人気急上昇中しているのが、平日昼間のコンサート。11時あたり開演の公演と、13時前後からの公演がありますが、どちらも帰りの時間を気にせず、行きか帰りに、ランチも楽しめるとあって、
 平日にお時間のある音楽ファンに大好評です。
 8月24日はそのひとつ、日本フィルとサントリーホールの提携公演に出掛けました。歌舞伎の尾上右近さん、山田和樹さん指揮の日フィルによるコラボレーションです。
 前半は、オーケストラの舞曲3曲、後半はベルリオーズの序曲『ローマの謝肉祭』、マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』間奏曲、レスピーギの『ローマの松』というプログラム。
 このうち、前半のラヴェル『ラ・ヴァルス』と、後半の『ローマの松』に右近さんが舞踊で共演され、鍛え上げた日本舞踊の精華を見せてくださいました。
 『ラ・ヴァルス』は白のお着物に黒の袴のすっきりとしたお衣裳。扇の舞です。
 『ローマの松は』黒紋付に薄茶の袴に着替えられ、楽章ごとに、さらしの踊り、半仮面をつけた女舞、勇ましい棒踊りと、それぞれ趣向の異なる振付で踊られました。
 詳しい公演批評は『モストリー・クラシック』10月号に、これから書きます。忘れないうちに・・・・(涙~)


少し早めに出かけたので、ホール前は人影もまばら。昼のホール前はこんな感じです。
この帯留めは(模造)鼈甲の透け感が夏向きなので、この季節のコンサートに愛用しております。
ホール向かいの、『陳麻婆豆腐』で、エビチリ・ランチをいただきました。ここは純四川料理なので、赤くて甘いエビチリではなく、引き締まったスパイシーなエビチリなのがお気に入り。


● 中村紘子先生のお別れ会のお知らせ
 去る7月26日に逝去された、中村紘子先生の【お別れの会】【偲ぶ会】の詳細が決まりました。


 紘子先生のご逝去は返す返すも残念で、涙をぬぐう術もみつからないほど悲しい出来事でした。
 日本のピアノ界のみならず、芸術界全般にとっても、はかり知れない痛手だったと思っております。
 紘子先生を個人的に存じ上げたのは2000年の第14回ショパン国際ピアノコンクール取材時でした。
 審査員でいらした紘子先生にインタビューさせていただいたとき、「おひとついかが?」と優雅に高級チョコレートを勧めてくださったのがつい昨日のことのようです。
 それからは何かとよくしていただき、ご自宅でのパーティーから椿山荘の蛍狩りまで、さまざまなシーンにお招きいただいて、貴重な体験をさせていただきました。
   2014年10月18日には、彩の国さいたま芸術劇場で『中村紘子と萩谷由喜子が語る、フレデリック・ショパン物語』と題したレクチャー・コンサートをご一緒させていただき、紘子先生の鋭い洞察力に満ちたショパン観にハッとし、お得意のショパン演奏にうっとりしました。
 今年の4月30日、カムバック公演として、ミューザ川崎でモーツァルトのハ短調コンチェルトを東京交響楽団と協演なさったときのレポートは『音楽の友』6月号に書いたばかり。
 そしてその翌月、先生が中心となって創設された、日本パデレフスキ協会のお披露目会見でお会いし、そのあと、会の今後についてメールをいただいたのが最後となりました。
 たいへん筆まめな方で、しばしば手書きのお手紙をくださり、今春に出版した拙著『クロイツァーの肖像』にも、匂い立つような桜花の便せんでもったいないほどの温かなお褒めのお手紙をいただきました。
 その中村紘子先生の【お別れの会】【偲ぶ会】の詳細を主催者のジャパンアーツ様からお知らせいただきましたので、ここに告知させていただきます。

左写真は、紘子先生の最後のコンチェルトの日、2016年4月30日、ミューザ川崎、お弾きになられた直後に楽屋で。これが最後のツーショットになりました。
以下はジャパンアーツ様からの案内文です。
 **********************
 2016年7月26日に逝去されました中村紘子さんの<お別れの会><偲ぶ会>を下記のとおり執り行います。
 長年にわたり日本の音楽界を牽引し多大なる功績を残した故人を偲び、記念品、写真などを展示いたします。
 一般のファンの皆さまにも、お別れいただけます。
お別れの会】  <故人の業績をたどる記念品、写真等を展示いたします。>
 日 時:2016年9月12日(月)13:00 開場 (17:00終了)
      ※一般の方々は、14:30からご入場、ご参加いただけます。
 会 場:サントリーホール ブルーローズ
 主 催:ジャパン・アーツ 協力:サントリーホール
偲ぶ会】  <追悼の辞 及び ゆかりの演奏家による献奏>
 日 時:2016年9月12日(月)14:00 [ 開場:13:00/閉会15:00]
 会 場:サントリーホール 大ホール
 主 催:ジャパン・アーツ 協力:サントリーホール
 ◇お香典につきましては、勝手ながらご辞退申し上げます。
  供花につきましては、帝国ホテル第一園芸(TEL:03-3500−3987)にご連絡お願い申し上げます。
 ◇当日は平服で御参席賜りますようお願い申し上げます。
 **********************
出席ご希望の方は、事前に、主催者のジャパンアーツ様へご一報くだされば、ご参加いただけるようです。
 ジャパンアーツ TEL:03-3499−8100/03-3499−8197/FAX:03-3499−8102


● NHKラジオ深夜便 出演のご案内
8月22日(月)から8月25日(木)までの4夜にわたり、NHKラジオ深夜便に出演いたします。
   時間は、およそですが、11時40分くらいから15分程度。
 「ナイトエッセイ」のコーナーで、8月27日に生誕120年のお誕生日を迎える、宮澤賢治について「賢治文学を生んだ音楽」のテーマでお話し、音楽もご紹介します。
 各回のテーマと音楽は次の通りです。
 遅い時間で恐縮ですが、お聴きいただけましたら嬉しく存じます。

 8月22日放送
  第1夜「生誕120年、賢治と音楽」
   『星めぐりの歌』
   『花巻農学校精神歌』  花巻混声合唱団男声コーラス 1968年頃録音
 8月23日放送
  第2夜「賢治とベートーヴェン」
   ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』第1楽章 ハンス・プフィナツー指揮 ベルリン新交響楽団 1920年録音
 8月24日放送
  第3夜「賢治とポーランドのピアニスト・パデレフスキ」
   リスト:ラ・カンパネッラ  パデレフスキ? 1912年録音
 8月25日放送
  第4夜「チェロを背負って上京した賢治」
   シューマン:トロイメライ   パブロ・カザルス 1915年録音


●第47回 サントリー音楽賞、第15回 佐治敬三賞 授賞式と祝賀パーティー
2016年7月20日 午後2時〜 サントリーホール ブルーローズ  ANAインターコンチネンタルホテル東京B1 プロミネンス  今年のサントリー音楽賞は、意欲的で質の高い自主公演を次々と企画、実施してきた、トッパンホールに対して贈られました。
 1シーズンに30を越える主催公演には、ハーゲン・クァルテットによるモーツァルト・ツィクルス、1887年製ニューヨーク・スタインウェイを用いた「アンドレアス・シュタイアー・プロジェクト9」など、質量ともに目覚ましいものがあったことを高く評価されました。
 一方、佐治敬三賞は、わずか4人の歌手の出演、たった4つの音からなる音楽で構成された、トム・ジョンソンの『4音オペラ』、及び、歌の吉川真澄さんとギターの佐藤紀雄さんによる「DUO うたほぎ」リサイタルに対して贈呈されました。贈呈式では、どちらも実演が披露されましたが、とても興味深いショート・ステージでした。
 写真は、ブルーローズでの贈呈式のあと、お隣ANAインターコンチネンタルホテル東京B1 プロミネンスで開かれた祝賀会で。バッハ研究の二大泰斗と。
 まず、(左)お洒落なカラフル・ネクタイは、先日、明治学院バッハ・アカデミーを颯爽と指揮されたばかりの樋口隆一先生。この演奏会の記事は「音楽の友』9月号に書きました。  ダンディなジェントルマン、礒山雅先生は、わたくしが白ワイングラスを手にしておりましたら、この写真用に、ご自分の赤ワイングラスと交換してくださいました。 (中)グラスを交換しているところです。 (右)赤ワイングラスを持たせていただき、無事、カメラに収まりました。



●第26回 新日鉄住金音楽賞 受賞記念コンサート
2016年7月20日 午後6時30分〜 紀尾井ホール
   サントリー音楽賞、佐治敬三賞授賞式と同日です。何人かでご一緒に、そのまま、紀尾井ホールへ。
 ピアニストの三浦友理枝さんがフレッシュアーティスト賞、音楽プロデューサーの山田正幸さんが特別賞を受賞なさいました。

 受賞記念コンサートの詳しい記事は「音楽の友」9月号に。

(写真左) 三浦さんと山田さん。
(写真右)特別賞の山田正幸氏を囲んで、審査員の池辺晋一朗先生、寺西基之氏と。


●第26回 出光音楽賞 受賞者ガラ・コンサートとレセプション
2016年7月19日 東京オペラシティ コンサートホール レセプションは54階スカイバンケット フォルトナーレ
 出光興産株式会社が主にクラシックの音楽活動を対象に、育成という観点から、毎年新進音楽家を顕彰して授与する「出光音楽賞」の贈呈式、並びにガラ・コンサートが開かれました。
 第26回となる今年の受賞者は、1984年生まれの指揮者、川瀬賢太郎さん、1983年生まれの作曲家、薮田翔一さん、1995年生まれのヴァイオリニスト、山根一仁さんの3名。
 選考委員の池辺晋一朗先生のお話「選考基準は、光のある人。なにしろ、出光ですからね。それから、あぶらの乗っている人」とのこと。
 川瀬さんは『フィガロの結婚』序曲、シューマン『ライン交響曲』第1楽章をご自分の演目として振られたあと、薮田さん作曲の演奏会用組曲『風神雷神』、及び、山根さん独奏のショスタコーヴィチ、ヴァイオリン協奏曲第1番〜第3、第4楽章も振られました。出ずっぱりです。管弦楽は横浜シンフォニエッタ。『風神雷神』のソリストはピアノの萩原麻未さん、ソプラノの半田美和子さんでした。


 写真 左から1枚目:6日前の中央区講座にご出演いただいた、チェロの上村文乃さん、文乃さん親友のヴァイオリニスト、小林美樹さん(2014年受賞者)とエントランスで。
 2枚目:文乃さん、美樹さん、それに2011年受賞者のマリンビュスト、塚越慎子さんと。
3枚目:レセプションで、池辺先生、塚越さんと。
 4枚目:左から、晴れやかな笑顔の、川瀬さん、薮田さん、山根さん。レセプションで。


●中央区民カレッジ 萩谷由喜子のレクチャーコンサート〜上村文乃さんを迎えて
2016年7月13日 築地社会教育会館
 今回は、わたくしが今、もっとも期待する新進気鋭の大型チェリスト、上村文乃(かみむら・あやの)さんをお迎えして、バッハからペンデレツキまで、無伴奏チェロ作品の歴史を俯瞰するライヴコンサート付きの講座が実現しました。
 上村さんは桐朋学園ソリスト・ディプロマコース卒業後、ハンブルク音楽演劇大学に学び、現在は、バーゼル音楽院でイヴァン・モニゲッティ先生に師事しながら、古楽の盛んなバーゼルでその方面にも開眼中。
 彼女がまだ高校生だったとき、霧島音楽祭で出会い、これは大物になられると予感して以来のおつきあいで、節目節目の演奏を可能な限り、拝聴してきました。
 今回のプログラムは、無伴奏ということでお願いし、選曲をお任せしたところ、以下のような滅多に聴けない本格的な無伴奏リサイタルとなりました。
      バッハ:無伴奏組曲〜、1番、6番のプレリュード、サラバンド、ジーグ
      ペンデレツキ:ディヴェルティメント
      ポッパー:エチュード 第29番
      ピアッティ:カプリス 第7番
      黛敏郎:文楽
      〜アンコールとして
      サン=サーンス:白鳥
 高度なテクニックのみならず、ゆたかな音楽性にあふれた圧巻の演奏に、受講生のみなさま、感嘆しきり。
 最後は撮影会となりました。




●郷古簾(ごうこ・すなお)無伴奏ヴァイオリン・リサイタル
2016年7月13日 武蔵野スウィングホール
    カレッジ講座のあと、上村さんと愛器をわが愛車に大切にお乗せして、武蔵境の武蔵野スウィングホールへ向かいました。
  結構時間がかかり、急いでホール隣接のロイヤルホストでお食事。
  郷古さんと上村さんは、5〜6年前に宮崎で「新星たちのコンサート』にともに登場なさったフレッシュ演奏家同士。
  楽屋に駆けつけると、郷古さんはすぐ、上村さんに気づかれて、とても嬉しそうな表情を浮かべられました。
  郷古さんの、若いパワーにあふれたリサイタルを聴き、ふたりともくらくらする思いで、長い一日が終わりました。
  演奏批評は『音楽の友』9月号に。


●クロイツァー賞受賞者による演奏会
2016年7月10日 東京文化会館小ホール
 クロイツァー記念会第40回例会として、本年度のクロイツァー賞受賞者3名による演奏会が開催されました。
♪ 東京藝術大学からは、同大学大学院修士課程を首席修了され、現在ウィーン国立音楽大学在籍中の梅田智也さんが受賞。
 演奏曲目は
 シューマンの『ウィーンの謝肉祭の道化』
   ベッリーニ=リストの『ノルマ』の回想S.394
   第1曲ではシューマンらしい人間感情のひだを垣間見せ、第2曲では目もくらむばかりのテクニックと、強靭な打鍵力を披露されました。
♪ 桐朋学園大学卒業後、国立音楽大学大学院修士課程に進み、最優秀賞、クロイツァー賞を受賞された伊藤明子さんは、
 リストの『詩的で宗教的な調べ』から『祈り』『死者の追憶』『葬送』を、繊細な感性をもって、情感豊かに演奏されました。
♪ 武蔵野音楽大学修士課程ヴィルトゥオーゾ・コースを修了された福井敬介さんの選んだ曲は、
 リストの『死の舞踏』〜『怒りの日』によるパラフレーズです。
 あの『怒りの日』のシンプルなテーマが、これほど華麗に、テクニカルに変貌することに慄然とするほど、見事な演奏でした。
 ロビーでは、クロイツァーの遺品店も開催され、販売コーナーも設けられました。


(左)展示の前で、クロイツァー記念会会長の東京藝術大学教授・植田克己先生と。
(中)植田先生、クロイツァー音源を含む野澤コレクションの藝大遺贈に尽力された、辰野裕一教科書図書館長と。
(右)クロイツァー記念会事務局の徳増さんと、植田先生を囲みました。

(左)販売コーナーで、『クロイツァーの肖像』を編集してくださった河西恵里さん、販売スタッフの方との記念写真。
(中)河西さん、書評、新聞記事コピーとともに。
(右)梅田智也さんとご一緒に。梅田さんは、東京藝術大学では東誠三先生のご門下とのことで、親しみがわきました。東先生譲りの端正なピアニズムをお持ちのピアニスト。今後のご活躍が楽しみです。


●『小山実稚恵の世界』ピアノで綴るロマンの旅 第21回
2016年6月18日 オーチャードホール
   通常、クラシックの3大Bといえば、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス。
 でも、今回、小山さんが採り上げたのは、ピアノ時代の3大B作曲家。という括りで、
   ブラームスの『ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ』、
   バルトークのソナタ、
   ベートーヴェンの『ハンマークラヴィーアソナタ』
の大作3曲が並びました。
 ことに『ハンマークラヴィーア』は桁外れの精神力の要求される難曲。ふくざつきわまりないフーガも見事に手中におさめられた小山さん、あらためて、尊敬してしまいました。
 詳しい演奏批評は『音楽の友』8月号に書きましたので、よろしければ、同誌をご高覧下さいませ。

(左写真)テーマカラー、大地のこげ茶色のドレスの小山さんとのツーショット。


●トランス=シベリア藝術祭
2016年6月18日 サントリーホール
 小山さんのコンサートのあと、サントリーホールへ直行。レーピンさんが音楽監督を務めるトランス=シベリア藝術祭公演を拝聴。
 レーピンさんと諏訪内晶子さんによる、プロコフィエフ『2つのヴァイオリンのためのソナタ』は聴き応えたっぷり。ことに、諏訪内さんの好演が光ります。
 そのあと、ドヴォルザークのピアノ五重奏曲。いつ聴いても、なんと素晴らしい作品かと感嘆しますが、この日は、ヴァイオリンに諏訪内さんと若手の田中杏菜さん、ピアノにルガンスキーさん、チェロにマイスキーさん、ヴィオラにグリチェックさんという清新な顔ぶれで、たいへんな名演が繰り広げられました。
 後半は、『偉大なる芸術家」。
 2時間40分の長時間コンサートとなりました。そのあと、小ホールのカルテット・エクセルシオによるベー トーヴェン・シリーズの終わるまで待ち、毎年ベートーヴェンのお誕生会を開く仲良し3人で、プチ納涼会をいたしました。
ホール前のビヤガーデンのビール、不思議な風味で大変おいしくいただきました。



● 2016年6月25日 日本経済新聞 文化欄に、取材協力させていただいたクロイツァー記事が掲載されました。
 レオニード・クロイツァーという、日本楽壇の大恩人に光があたるのは嬉しいことです。
 その業績と生涯を拙著で詳しくご紹介しております。
 どうぞ、『クロイツァーの肖像〜日本の音楽界を育てたピアニスト』をご高覧下さり、
 クロイツァーと日本のピアノ界、音楽界の歴史に、あらためて、お眼を向けていただけましたら幸いです。


● 6月23日〜26日 第6回 仙台国際音楽コンクール取材
 3年に一度の仙台国際音楽コンクール、その第6回のピアノ部門、ファイナルと入賞者ガラ・コンサートを取材しました。
   会場は、日立システムズホール。
 仙台駅から地下鉄南北線、泉中央行き(北行き)に乗り、6駅目、旭丘下車3分です。
(左写真)会場エントランスにて。
  結果
   第1位  キム・ヒョンジュン   韓国・女性    25歳
   第2位  エヴァン・ウォン    アメリカ・男性  26歳
   第3位  北端祥人        日本・男性    28歳
   第4位  シャオユー・リュウ   カナダ・男性   19歳
   第5位  シン・ツァンヨン    韓国・男性    22歳
   第6位  坂本彩         日本・女性    27歳

 このコンクールは、セミ・ファイナルで、ベートーヴェンの3番か4番を選択、
 ファイナルで、モーツァルトが1784年に書いた、つまり、第20番以前の第15番から19番のうちから1曲、
 及び、ロマン派の大作コンチェルトを指定範囲から選ぶ、という、
 コンチェルト3曲を用意しなければならない、稀にみるコンチェルト勝負のコンクールです。
 一次、二次の予選はもちろん、独奏曲で、それもなかなかにたいへん。
  そんなわけで、ファイナリスト6名は、モーツァルトの中期という、普段滅多に演奏されない隠れ名作1曲と、
  それぞれ、自分に合ったロマン派以降の大曲を演奏しました。
  1位のキムさんは、なんと、演奏時間50分の、ブラームスの1番ニ短調で、みごとに自分をアピール。
  2位のウォンさんは、ラフマニノフの《パガニーニ・ラプソディー》をアグレッシヴに、
  3位の北端さんは、ショパンの1番を端正にお弾きになりました。


(写真左)1位から6位の入賞者たち、全員、大変な熱演でした。
    左から、第4位のシャオユーリュウ、第5位のシン・ツァンヨン、第3位の北端祥人、第1位のキム・ヒョンジュン、第2位のエヴァン・ウォン、第6位の坂本彩。
(写真右) 優勝したキム・ヒョンジュンを祝福する、同じ韓国のシン・ツァンヨン。


(写真左)最終日のパーティーに勢ぞろいした入賞者。左から、シン・ツァンヨン、坂本彩、北端祥人、キム・ヒョンジュン、シャオユーリュウ、エヴァン・ウォン。
(写真右)パーティーで、審査員のリュウ・シコン氏と。リュウ・シコン氏は現代中国ピアノ界の重鎮。
     1956年ハンガリーのリスト国際コンクール第3位、1958年、あのヴァン・クライバーンが優勝を飾った第1回チャイコフスキー国際コンクールの第2位でした。


● 東京交響楽団川崎名曲全集第118回  バッハ父子をしのぐ、親子共演!!
2016年6月12日 ミューザ川崎シンフォニーホール
 チェンバリスト、オルガニスト、としてのみならず、指揮者としても進境著しい、鈴木優人さんが、お父様、鈴木雅明さん指揮の東京交響楽団、川崎シリーズに登場され、フランスの交響曲の歴史に燦然と輝く一大傑作、サン=サーンスの交響曲第3番『オルガン付』に圧倒的な快演を聴かせてくださいました。
   一昨年はフランス、ナントの『ラ・フォル・ジュルネ』で、おふたりの、二台チェンバロ・コンサートを何度か拝聴しましたが、これほどの大作のご共演を聴くのは初めてです。
 前半はオーケストラのみで、モーツァルト:魔笛序曲と『ジュピター』。
 モダン楽器ですが、ヴィヴラートを抑えた18世紀風の奏法です。
 さて、サン=サーンス。
 交響曲といえば、そのご本家はドイツ、オーストリア。ハイドンが土台をつくり、モーツァルトが柱を立て、ベートーヴェンが屋根を葺いて、その原型が出来上がると、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームス、ブルックナーがあとに続きます。
 かたや、お隣のフランスでは、絶対音楽は見向きもされず、オペラやバレエが花盛り。
 劇場音楽にあらずんば、音楽にあらず、という風潮の中で、果敢にも、交響曲に挑んだ作曲家が、秀作として愛すべきハ長調作品を書いたビゼー少年であり、大器晩成のフランクであり、そして、歩く博物館のごとき博覧強記のオルガンの達人、サン=サーンスでした。
 交響曲第3番は1886年5月19日、ロンドンのフィルハーモニック協会のコンサートで、当時51歳、円熟そのもののサン=サーンス自身の指揮によって初演されて大成功を収め、この1曲によって、フランスの音楽史を塗り替えました。
 鈴木雅明マエストロの指揮は、そのサン=サーンスを彷彿とさせるもの。
   高いオルガン席の優人さんは、モニターでお父様の指揮をご覧になりながら、足ペダルを巧みに操作され、ストップを素早く切り替えになられつつ手鍵盤に指を走らせ、あの巨大オルガンを自在に手なづけられて、澄んだ天上の調べから地底より湧き出るかのような轟音まで、一見、らくらくと奏出なさいました。
 ことに、第2楽章後半のマエストーソ突入を告げる、ハ長調主和音の、満堂を揺るがす、荘重で豪壮な響きは忘れられません。
  写真
  (左)終演後、いの一番に、ステージ袖へとんでいきました。まずは、マエストロとオルガニストのツーショット。
     これほどの親子音楽家が日本にも存在するなんて、誇らしすぎます。
  (右)おやさしいお二人が、間に挟んでくださいました。
     光栄すぎます。


● 『クロイツァー波瀾の生涯』
『アエラ』6月6日発売号に、『クロイツァー波瀾の生涯』を執筆いたしました。
 全文は、下記でご覧いただけます。
 拙著『クロイツァーの肖像』発刊後に、ご高覧頂いた方に教えていただいた、同書未掲載の情報も盛り込んでおります。
 どうぞ、ご覧下さいませ。
  → あの小澤征爾も仰天した亡命ピアニスト、クロイツァー波瀾の生涯


● 杉並公会堂落成10周年記念コンサート&パーティー
  2016年6月3日
   ここをホームグラウンドとする日本フィル、小林研一郎マエストロのベートーヴェンツィクルス初回が記念コンサートです。  何と、1番、5番の交響曲2曲で、ピアノ協奏曲第5番を囲む豪華版。  ソリストは小山実稚恵さん。


演奏終了後、小山さんの藝大後輩、本多昌子さんと楽屋に駆けつけました。
こちらの写真に加わってくださったのは、日フィルのヴィオラの方です。

  

● 小山実稚恵 レクチャー&サロン
  2016年5月22日 オーチャードホール
    6月18日に開催予定、小山さんの「ピアノでめぐる ロマンの旅」第21回に先立つ、プレレクチャーコンサートです。
 今回もお相手を務めさせていただきました。
 プログラムは
    ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ
    バルトーク:ピアノ・ソナタ
    ベートーヴェン:ハンマークラヴィーア・ソナタ
という、どっしりと大地に根を下ろした大樹のごとき骨太なもの。
 なので、テーマ・カラーは、大地の色、こげ茶色です。
 さあ、困りました。
 だって、この時期に着られる、こげ茶色の着物を持っていないのですもの。
 新規につくろうかと、探しましたが、こげ茶色の訪問着というものは世の中にあまりないようですし、あってもとても地味。
 そこでひらめいたのは、数年前にどうしても欲しくて購入した、大ぶりの、煙水晶の帯留め。
 この透明なこげ茶の帯留めに合わせて、臙脂に茶色の有栖川文様の帯を選び、着物は、他の色を避けて、白とし、白地に桔梗を墨絵で手描きした訪問着にしました。
 実は、帯は亡き母の箪笥から未着用状態で発見したもので、これがこの帯のデビュー。
 訪問着は、昔、亡き父をスポンサーに購入して、元気だった母が仕立ててくれたもので、20数年間箪笥に眠り、これが2度目の着用。
 自分で買ったのは、帯留めだけ。(笑)  今頃になって、 親の有難味が身に沁みます。

 小山さんのスカートは、初夏らしいオーガンジー風の生地のこげ茶色。
 ブラウスのお花模様も、茶がかっています。
 とても、シックな装いですね。





● 怒涛の5月でした!
あっというまに、もう6月最初の週末。
更新、すっかりご無沙汰してしまい、情けなく思っております。
5月のほんの一部ですが、ざっと振り返らせていただきます。
♪ 5月13日〜16日 宮崎国際音楽祭取材
 2011年から毎年取材にうかがい、今年で6回目になります。
 詳細は『音楽の友』『ショパン』の7月号にレポートさせていただきましたが、ますます充実の内容でした。
 最終日に、演奏会形式のオペラ上演もすっかり定着、今年は『トスカ』です。
 タイトルロールは、シューイン・リンさん、カヴァラドッシは福井敬さん、スカルピアは福島明也さん。
 広上淳一マエストロ同音楽祭管弦楽団を指揮して、演奏会形式ならではの、大胆な音楽をつけて会場を沸かせました。


(左)広上淳一マエストロと打ち上げで
(中)『トスカ』の主役3人、左から、カヴァラドッシの福井敬さん、トスカのシューイン・リンさん、スカルピアの福島明也さん
(右)徳永二男音楽監督を囲む宮崎国際音楽祭管弦楽団のメンバー。

♪ 宮崎の逸品
   長年、お世話になっているマネジメント、日本アーティストの寺田会長は、現在、宮崎を拠点としていらっしゃいます。
 その寺田会長に案内していただいた、和食のお店で、こんな素晴らしい達人の技に遭遇いたしました。
 お刺身盛り合わせのツマに、キュウリと、ラディッシュの、包丁の至芸です。

♪ 別府アルゲリッチ音楽祭東京公演
    宮崎とほぼ同時期に、大分県の別府では「アルゲリッチ音楽祭」
 現地へはうかがえませんでしたが、
 5月17日に、オペラシティで開かれた東京公演を拝聴いたしました。
 わたくしどもは、ブルーのおリボンを着けるようにとのことで、
 ブルー・リボン・クラブを結成して、お二階の貴賓席のガードにあたらせていただきました。


● 『クロイツァーの肖像』に書評を頂戴しました。
     『音楽の友』 2016年8月号 後ろからの18頁        『モストリークラシック』 2016年6月号135頁

     『音楽現代』 2016年5月号140頁


● 東京交響楽団創立70周年記念レセプション
2016年4月24日 サントリーホールブルーローズ
 1945年にようやく不幸な戦争が終わり、その翌1946年、東宝株式会社は新時代の要請に応え「東宝交響楽団」を創設しました。
 これが、現在の東京交響楽団の前身です。今年はそれから70年。これを記念して4月24日、第639回定期演奏会終演後、
サントリーホール小ホール(ブルーローズ)を会場として祝賀会が開かれました。
 同響と縁の深い川崎市の福田紀彦市長の開会の辞、大野順二楽団長、ジョナサン・ノット音楽監督の挨拶に続いて
ピアニストの中村紘子先生の発声で乾杯、和やかな雰囲気のうちにこの歴史的節目が祝われました。
 記念事業として15年ぶりのヨーロッパ公演も予定されています。今年は同響の飛躍の年となりそうです。

(左写真)
 作曲家の池辺晋一郎先生と。お口は相変わらずです。
先生、サンドイッチに手を伸ばされながら「作曲家はサンドイッチが好きなんだよ。どうしてかわかる?」
「えっ?? 譜面を書きながら片手でつまめるからかしら」
「ほら、ショパンって、作曲家いるでしょう。ショパンはジョルジ・サンドが大好きだったじゃない」

(右写真)
 コンサートマスターの水谷さん、アシスタントコンマスの田尻さんと。
(左写真)
 当日の定期演奏会に出演したソプラノのチェン・レイスさん、バス・バリトン&語りの、クレシミル・ストラジャナッツさんと。
  演奏会の曲目  シェーンベルクの『ワルシャワの生き残り』〜語り手、男声合唱と管弦楽のためのベルクの『ルル〉組曲、
          ブラームスの『ドイツ・レクイエム』
 大変めずらしいシェーンベルク作品で語りを担当されたクレシミル・ストラジャナッツさん、合唱の東響コーラス、おみごとでした。
 「ルル」と「ドイツ・レクイエム」のレイスさんも豊かな表現力をお持ちのソプラノ。容姿も美しい方でした。


● 『かがやき大学』開講記念 特別公開講座 萩谷由喜子のレクチャー&コンサート
      千代田区ゆかりの作曲家の作品を生演奏で…

2016年4月25日
 2012年から講師を務めている千代田区社会福祉協議会講座が、
今春 九段下の新施設「かがやきプラザ」に移転したのを機に
『かがやき大学』として新発足、
 その開講記念特別講座を開催させていただくことになりました。
 おかげさまで、募集と同時に定員を超す応募があったそうで、ありがたいことと思っております。
 5月9日、16日、23日の『萩谷由喜子のおもしろクラシック』にも、多数のご応募、ありがとうございました。
 充実した講座にしたく、ただいま、プランを練っております。
 4月25日 13:30〜15:00
   かがやきプラザ1階 ひだまりホール 
 プログラム
幸田(こうだ)延(のぶ)(1870-1946): ヴァイオリン・ソナタ 第1番 変ホ長調
幸田延 : ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ短調
* * *
ジュール・マスネ(1842-1912)   : タイスの瞑想曲
ヴィエニャフスキ(1835-1880)  : 伝説曲
* * *
滝廉太郎(1879-1903) : 荒城の月
滝廉太郎 : 花
滝廉太郎 : 箱根八里
 出 演
レクチャー : 萩谷由喜子(はぎやゆきこ)(音楽評論家・音楽ジャーナリスト、『幸田姉妹』著者)
ピアノ   : 山田(やまだ)洋子(ようこ)(オペラ制作&上演『アーツカンパニー』専属ピアニスト)
ヴァイオリン: 清水(しみず)詠(え)美子(みこ)(アンサンブル藝弦メンバー)


♪ 「かがやき大学」開講記念 萩谷由喜子のレクチャー&コンサート(ご報告)
   好天に恵まれ、北の丸公園の石垣とお堀を借景とする「かがやきプラザ〜陽だまりホール」に
  満席のお客様をお迎えして、ホールのこけら落とし公演を、無事に終了させていただくことができました。
 (写真) 重責を果たしてほっとした3人。
ヴァイオリニストの清水詠美子さん、ピアニストの山田洋子さんと。


● 2016年4月15日 熊本地震の犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、
 被災者のみなさまに、心よりお見舞いを申し上げます。

 熊本へは昨年5月23日、熊本シティ・オペラ協会、佐久間伸一先生ご夫妻からのお招きを受け、熊本県立劇場で開催された『ドン・カルロ』公演を拝見しにうかがいました。
 あれから11カ月、今年は4月17日に『椿姫』上演予定とうかがっています。

 公演日直前の大地震、どんなにか、混乱されていることとお察し申し上げます。
 どうぞ、一日も早く、平穏なご日常を取り戻されますよう、お祈り申し上げております。


● ポリーニ・プロジェクト 《ベリオ・ブーレーズ・ベートーヴェンによる室内楽 第一夜》
2016年4月14日 東京文化会館小ホール 東京・春・音楽祭
     マウリツィオ・ポリーニさん、ただいま来日中。
 東京圏では、9日にミューザ川崎でリサイタルがあり、次いで21日にサントリーホール・リサイタルが予定されていますが、
 その合間を縫うようにして、東京・春・音楽祭の一環に、室内楽コンサートを二夜プロデュースされました。  14日、15日の連続コンサートです。
 14日、まずその第一夜を拝聴。
 今回の連続演奏会は、今年1月5日に没したフランスの作曲家ピエール・ブーレーズ(1925-2016)を悼む追悼公演で、
 ブーレーズの《弦楽四重奏のための書》を中心に据え、
 それに、彼と同年生まれ(1925-2003)のイタリアの作曲家ルチアーノ・ベリオの《セクエンツァ》を組み合わせて、
 さらにその全体を、彼らの大先輩であり、音楽史上最大の開拓者であるベートーヴェンで格調高く締めるというプロジェクトです。

 ベリオの《セクエンツァ》は多彩な楽器のソロ・シリーズ集です。
 14日は、フルートの工藤重典さん、ハープの篠崎和子さん、ヴィオラのクリストフ・デジャルダンさんがそれぞれ妙技を披露。
 ことに、デジャルダンさんのヴィオラ・ソロは、冒頭から32分音符の連続する長大な難曲で、一定の規則性はあるにせよ、
 いったいどうやって暗譜なさったのかしらと感嘆するとともに、ヴィオラ一挺の表現力の深さに驚きました。
 ブーレーズとベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、ジャック四重奏団の出演。
 客席には、ポリーニご夫妻の姿もあり、
 お客様の顔ぶれも、作曲家や演奏家の方が多いようにお見受けしました。

 写真は幕間にロビーでおしゃべりの花を咲かせた4人。
 左から、作曲家の権代敦彦さん、日経新聞の池田卓夫さん、萩谷由喜子、クラリネットの吉田真さん。
 池田さん曰く「何の4人かな。"明るい音楽を楽しむ会"(笑) とでもしようか」
 


● 新宿御苑『桜を観る会』
2016年4月9日朝8時30分〜
  どういう風のふきまわしか、立派な観桜会にお招きいただきましたので、久々に新宿御苑に出掛けました。
  幸いよく晴れて気温もあがり、春風に舞う桜吹雪の中、心地よく苑内を歩いて、多種の桜花をたのしみました。

(写真) 早起きは三文の得、と言いますが、朝のすがすがしい気分のうちに、よく整備された苑内で愛でる桜は、
     雪洞の燈火に浮かぶ夜桜とは、一味異なる清新な趣がありました。


● サー・ネヴィル・マリナー指揮 アカデミー室内管弦楽団 東京公演
2016年4月9日午後2時〜 東京オペラシティ・コンサートホール
   午後は、憧れの大巨匠の演奏会を聴かせていただきました。
 中高校生時代、LPに懸命に耳を傾けていた頃、
 「アカデミー・オブ・セントマーティン・イン・ザ・フィールズ」という、正式な長いお名前を必死で覚えました。
 その「アカデミー室内管弦楽団」が創設者のサー・ネヴィル・マリナー先生と来日。

 マリナー先生は1924年生まれ。
 今年のお誕生日がくれば92歳になられますが、矍鑠たるもの。
 杖もなしに、颯爽とステージに登場され、椅子にかけられることもなく、立ち通しでお振りになられました。
     プログラムは以下です。
    ★プロコフィエフ:古典交響曲
    ★レイフ・ヴォ―ン・ウィリアムズ:タリスの主題による幻想曲
    ★ベートーヴェン:交響曲第7番
 プロコフィエフの始まった途端、その清冽な瑞々しい音、生き生きとした音楽運びに魂を奪われました。
 青年の息吹に満ちた躍動感です。  「タリス」ではイングランド音楽の重厚感を感じさせる、渋く威厳のある音に感嘆!
   ベートーヴェンの第7は室内オーケストラなのに、フル・オーケストラも真っ青の厚みある豊かな音量、表現力、管の名手たちの妙技と、聴きどころ満載でした。
 よく知られた、大傑作の、まだまだ知らなかった魅力に触れることができました。

(写真) 終演後、楽屋にうかがって、昔からの大ファンであることをご挨拶申し上げ、
    今日の大名演のお礼を申し上げましたら、あたたかくファグしてくださいました。
 


● 新国立劇場オペラパレス《ウェルテル》初日
2016年4月3日
 新制作になる、マスネの《ウェルテル》初日を拝見してきました。  指揮は、ミッシェル・ブラッソンのご子息、エマニュエル・ブラッソン、オーケストラは東フィル。
 きっと、お父様から本作についても何らかのご教示を受けていらっしゃるのか、登場人物の心理の綾にぴたりとそった、ドラマティックな音楽づくりです。
 心理劇の要素が大きいだけに、音楽が彼、彼女たちの心の動きを繊細微妙に現さなければならないので、指揮は本当に難しいと思いますが、エマニュエルさんは音楽で雄弁に心のうちを表現していらっしゃいました。
 マスネの音楽にあらためて開眼。
 ウェルテルのディミトリー・コルチャックは表情豊かで、声量もあり、役にぴったりのテノール。
 シャルロットのエレーナ・マクシモアもちょっと声はこもりますが、ヒロインの苦悩をみごとに表現していました。
 ソプラノでなく、メッゾであるところが、このドラマにふさわしいのですね。
 さすが、マスネ!
 そして、シャルロットの妹、15歳の少女ソフィー役の砂川涼子さんの自然な演技、美声、安定した高音に感動しました。
 美しい舞台美術も特筆ものです。

(右写真) 幕間に 飯守泰次郎音楽監督ご夫妻、音楽評論家の丹羽正明先生と。

 

● 金子三勇士 《ラ・カンパネラ〜革命のピアニズム》CD発売記念レセプション・パーティー
2016年3月30日  ハンガリー大使館
       日本人のお父様とハンガリー人のお母様を持ち、11歳からハンガリーのリスト音楽院に学んだピアニスト、
 金子三勇士さんが、このほど、メジャー・レーベル、ユニバーサル・ミュージックから、リスト没後130年記念CDをリリースされました。
 それを祝して、日頃から彼を支援するハンガリー大使ご夫妻の音頭とりで、ミニ・コンサートと懇親パーティーが開催されました。
 最初は、セルダヘイ・イシュトヴァーン特命全権大使の、きわめて流暢な日本語のご挨拶。
 三勇士さんをデビュー前から応援していらっしゃること、いかに、三勇士さんに期待していらっしゃるか、など熱く語られました。
 次いで、藤倉尚ユニバーサル・ミュージック社長の「わたしが社長として初めて手掛けるアーティスト」とのご挨拶。
 三勇士さんは、CD収録曲のなかから、持ち味の異なる次の4曲を、巧みなトークを交えて演奏されました。
 ああ、たった4曲!!
もっともっと、この心地よい時間が続けばよいのに・・・と思うほどの名演でした。
       ショパン   :革命のエチュード
       ドビユッシー  : 月の光
       リスト    : ラ・カンパネラ
       ハンガリー狂詩曲第2番
(写真左) 金子三勇士さんとは、デビューの頃からのおつきあい。とどまるところを知らないご成長ぶりにいつも驚かされております。
(写真右) セルダヘイ大使にご挨拶すると「日本語でいいですよ。わたしのイシュトヴァーンという名前は、英語なら、スティーヴンにあたります」と気さくにお話してくださいました。


● 中村紘子先生のお手紙に泣き、ウィハンにまた泣いた日
2016年3月28日
     『 クロイツァーの肖像 』 をご高覧下さった紘子先生から、
「あらためて、ここを通じて、日本の音楽近代史が読み取れます。
この本はまさに、日本のピアニストの系譜であり、今日の発展がどう支えられてきたかを知る、またとない素晴らしいお作」
との過分なお言葉を頂戴いたしました。
 先生のご慈愛に、目頭が熱くなってしまいました。

 夜は、鶴見のサルビアホールで、ウィハン・カルテットを聴きました。
 ホールの音のよさに、感動!!
 ウィハンの超名演に感涙!!!
 左写真は、第一ヴァイオリンのレオシュ・チェピツキーさん、息子さんでヴィオラのヤクブさんとのスリー・ショット


● 田村宏 没後5年 メモリアル・コンサート
2016年3月21日  東京文化会館小ホール
 東京藝術大学教授、NHK教育テレビ『ピアノのおけいこ』の講師として、また数々の校訂楽譜などによって日本のピアノ界を育てた田村宏先生が没して早くも5年。
 3月21日、先生の遺徳を偲んで門下生の方々や、室内楽仲間だった演奏家の皆様が、東京文化会館小ホールで『田村宏メモリアルコンサート』を開催されました。
 出演はご門下の兼重直文、蓼沼恵美子、蛭多令子、前田美由紀、蓼沼明美、本多昌子、若林顕、田部京子、吉武雅子、小山実稚恵、長女の田村径子の各氏、 室内楽仲間だったヴィオラの店村眞積先生、チェロの河野文昭先生、コントラバスの永島義男先生、それに岡山潔先生の推薦を受けた若手ヴァイオリニストの小川響子氏の15名。
 幕開けに田村門下の長老格、辛島輝治東京藝大名誉教授の温かなお人柄あふれるご挨拶があってから演奏に移り、
前半はモーツァルトの『4手のためのソナタ』ニ長調とシューベルトのピアノ五重奏曲『ます』。
そして後半は、若き日に田村先生に師事歴のある作曲家、間宮芳生先生のご編曲による2台ピアノ、3人のピアニストのための富山県民謡『さんさい踊り』と、同じ編成のベートーヴェンの『運命』全楽章が披露されました。
 実はこの2台6手版『運命』は、生前の田村先生が間宮先生に委嘱なさり、ご自身の演奏会で初演なさるご予定でしたのですが、健康上の理由で見送った作品です。
 当時は第1楽章のみでしたが、間宮先生はその後全楽章の編曲を完成させ、この日、師の遺志を継いだご門下のピアニストの皆様の手で全曲の世界初演が実現しました。
 オーケストラを思わせる、壮大な編曲作品です。
 コンサート終了後は、近くの上野精養軒でメモリアル・レセプションが開かれました。


(写真左) 文化会館のステージ裏で、前田美由紀さん(左)、本多昌子さんと。
(写真中) 左から、鈴木理恵子さん、若林顕さん、前田美由紀さん、わたくし、本多昌子さん
(写真右) わたくしも、発起人の一人として、田村先生の思い出を語らせていただきました。

実は、この日の午前中、『クロイツァーの肖像』に関して「クラシックニュース」のインタビューをしていただいております。
着物を着換える時間がなく、メモリアル式典用の、黒地の訪問着を着用いたしておりますが、ご笑覧くださいませ。
動画はこちら
クラシックニュースのインタビュー


● 『クロイツァーの肖像』 ようやく刊行!
2016年3月12日
   年頭に少しご紹介した最新刊 『 クロイツァーの肖像〜日本の音楽界を育てたピアニスト 』
 ようやく刊行の運びとなりました。
 すでに、アマゾンのウェブでの販売もはじまっております。
     アマゾンのネット書店

 出版元のヤマハミュージックメディアからもお買い求めいただけます。
     ヤマハミュージックメディア出版部のネット書店

 初稿は昨年夏に脱稿していたのですが、そのあと、さらに最新の情報も付加したいと、遺品、遺稿の調査等を重ね、年が明けてからはほとんどその作業に没頭しておりましたため、ホームページの更新もできずにおりました。
 ようやく、刊行にいたりました。

 これはクロイツァーの評伝ですが、
 大正半ばから昭和の日本の音楽界の歴史をひもときながら、
 その中に、レオニード・クロイツァーという、ロシア生まれで、ベルリン高等音楽院ピアノ科主任教授であった、レシェティツキ直系のピアニストを迎えた意義と波紋にも迫りました。

 また、クロイツァーの妻、豊子、及び、同世代の女性ピアニスト10人の実像も可能な限り、照らしました。
 早速お買い求めいただき、ご一読いただけましたら幸いです。
 右は、本書執筆のための遺品調査中に発見したクロイツァー作曲3幕オペラ《Marussia》の手書きスコアです。

♪ 2016年3月21日 クラシックニュースのインタビュー
 クラシックニュースに『クロイツァーの肖像』に関する話題でインタビューしていただきました。
 サイト主宰者の藪田益資氏は、元梶本音楽事務所(当時)の専務さん。
 歴史的アーティストのことをなんでもご存知なので、拙著に温かな共感を寄せてくださり、話が弾みました。
 ユーチューブにUPされたこのインタビューをご覧いただければ、大変うれしく存じます。
      クラシックニュースのインタビュー


● 「マエストロ 飯守泰次郎の世界」

2016年2月20日
 川崎・しんゆり芸術祭 アルテリッカ アート講座
 昭和音楽大学北校舎5階 スタジオ・リリエ

    新国立劇場オペラ部門芸術監督として、お得意のワーグナーのみならず、イタリア・オペラから東欧オペラ、日本作品まで、 バランスのとれた演目を提供してくださっている飯守泰次郎マエストロ。
 昨年夏にも、新国立劇場の芸術監督室でお話を伺いましたが、今回は、川崎新百合ヶ丘の芸術祭の一環として、上記タイトルのアート講座が開かれ、マエストロがご出演。
 そのお相手役を務めさせていただきました。
 旧満州で、裁判官の家庭の末っ子として誕生されたマエストロは、父上が趣味で弾くピアノの音を聴いて育ちます。5歳で終戦、それと同時に父上はソ連兵に連行され、シベリアの収容所へ。翌年、母上は4人のお子様を連れて苦難の帰国の途につき、日本に戻られてからは、英語の通訳をなさりながら女手ひとつで、4人の兄弟姉妹を育てられました。
 この間、男親に相談したいことがあってもできずに、辛い思いもなさったそうです。
 11年の歳月が流れ、ついに父上がシベリアから奇跡の生還。
 食事は黒パンひとつ、極寒に布団もないシベリアの収容所生活から、高度経済成長時代に入りかけた日本に戻られた父上は、  消費文化に違和感を覚えられ、当初はご家族との摩擦もあったそうですが、そのギャップを埋めてくれたのが、音楽だったといいます。
 そんなお話から、アメリカ留学のお話、バイロイトでの助手時代のお話、ドイツ音楽の魅力などをいきいきと語っていただき、新国立劇場オペラ芸術監督就任記念公演『パルジファル』の動画も拝見しながら、見どころ、聴きどころ満載の『飯守泰次郎の世界』を繰り広げていただきました。


● 2016年 元旦
   皆さま、あけましておめでとうございます。

 新年のご挨拶でございます。
    写真は、近年、取材を通じてお話しさせていただいているウィーン・フィルのチェリスト、ベルンハルト・直樹・ヘーデンボルクさんとのツー・ショット。
 直樹さんは今頃、ニューイヤー・コンサートにご出演でしょうか。
 つややかなチェロの音が、ウィーンから聴こえてくるような気がいたしましたので、ここに掲げさせていただきました。

 ※ 左の写真は2015年12月9日、ウィー・フィルのベルンハルト・直樹・ヘーデンボルクさんと。

    昨年もあっという間に終わりましたが、小平楽友サークル講座、文京アカデミア講座、千代田区社会福祉協議会講座などのクラシック講座で、多くの方とお会いでき、そのふれあいを通じて勉強させていただきましたことを、心より感謝申し上げます。
 また、小山実稚恵さんコンサートのプレ・トーク・イベントにも、5月と12月に出演させていただき、小山さんから含蓄に富むお話しを聞かせていただくとともに、ご来聴のみなさまとお話しさせていただくことができ、視野がひろがりました。

 ※ 右の写真は2015年12月10日、横浜フィリアホールでの小山さんとのプレトーク・サロン出演時に楽屋で。

 11月の古民家コンサートへの出演も、意義深く、ありがたい経験でした。
 古民家のご主人で、りとるぷれいミュージック主催の小俣敏生さま、ありがとうございました。

    本年も、小平楽友講座は1月6日から始まります。
 毎月、第一、第三水曜日の午前10時から正午まで、小平中央公民館で開催しておりますので、ご関心のあられる方は、ぜひ一度、見学においでくださいませ。

     著作出版につきましては、昨年10月、宮澤賢治生誕120年記念のプレイベントとして、上野の東京国立博物館平成館で、弦楽四重奏コンサートを開催しました折に、
「賢治と上野の物語」という配布リーフレットに、左記表題の小著作を書かせていただきました。
 ちょっとした単行本並みのボリュームのある出版物ですが、記念パンフレットですので、無料配布させていただきました。
 ご希望の方には、さしあげておりますので、ご連絡くださいませ。

   ※ 左の写真は「賢治と上野の物語 本文執筆:萩谷由喜子」

   そのほか、9月には日本経済新聞に「オペラと恋愛」を連載したのをはじめ、新聞への寄稿も多かったのですが、単行本の出版はおやすみしてしまいました。
 しかし、昨年秋には、10年前から書いてはとん挫を繰り返していた、レオニード・クロイツファーの評伝がようやく脱稿いたしまして、本年3月頃、ヤマハミユージックメディアより、刊行の運びとなりました。
 目下、その仕上げに励んでおります。
 単行本タイトルは、仮題ですが、「クロイツァーの肖像 〜 日本ピアノ界の恩人とその妻」というわけで、暮れには、クロイツァーご夫妻のお墓参りに行ってきました。
 大きな自然石の墓標が夕映えに照らされて、心の清められるような荘厳な光景でした。

 ※ 写真は2015年12月28日 八柱霊園、レオニード・クロイツァー、豊子夫妻の墓前にて
 本年3月刊行予定のクロイツァー評伝、ぜひ、ご期待くださいませ。


2015の話題は、話題2015年に移転しました。
 
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