赤・紅・橙色の花

◆白い花  ◆黄色・緑色の花  ◆紫色系の花    ※牧野新日本植物図鑑より引用

【ア行 の 花】


アカヤシオ

アカヤシオ つつじ科
アケボノツツジの一変種
花柄に腺毛があることで区別
両神山(190509)


アケビ(アケビカズラ)

アケビ あけび科
山野に普通に見られる無毛の落葉つる性低木.つるは長くのびて分枝.枝は細長くて褐色
葉:短柄のある5小葉からなる掌状複葉で長い柄があり、柄の先と小葉柄の間に説がある.小葉は狭小な長楕円形あるいは長倒卵形で、先端は凹形、全縁、葉は新枝に互生し、老茎では鱗片のある短枝の上に叢生する
花:4月頃、新葉とともに開花し、短枝の葉の間から有柄の短い総状花序を出して下に垂れ、柄のある淡紫色の花をつける.雌雄同株で1花穂の中に小形で多数ある雄花と大形で少数の雌花が混在している.ふつう花弁は無い .がく片は3個、卵円形または円形、内面がくぼみやや多肉質.雄花は雄蕊6個があり雌蕊の痕跡がある.雌花には粘性の柱頭のある短い円柱形の心皮が3〜6個あり、不稔の雄蕊がある
南郷山(210407)


アシタカツツジ

アシタカツツジ つつじ科
愛鷹山越前岳(170523)


アツモリソウ

アツモリソウ らん科
山中の草原にはえる多年生草本
茎:直立して粗毛が多く、中辺に幅広く大きい葉を3〜4枚互生する
葉:広楕円形、先は鋭尖形で基部は茎を抱き、両面に毛がはえ、頂には上方に離れて緑色の1包葉がある
花:5〜6月頃、茎の先に大きい花を1個点頭して開く.紅紫色から淡紅色になり、まれに白花がある.外花被の背側の1個は広卵形で尖り、側方の2枚は合体して卵円形、内花被2片は卵状皮針形で尖り、ともに開出し各片の上半部は少し内側に向く.唇弁は扁球形の袋状、上部に漏斗状の開口がある.花柱は唇弁の口にその頭部を差し入れ、上部柱頭の両側に2雄ずいの葯がある.頂には広く大きい仮雄ずいが柱頭の背面をおおっている
三ツ峠山(210610)


アマギシャクナゲ

アマギシャクナゲ つつじ科
伊豆半島の産地の林内に生え、常緑小高木、若枝や若葉には白色の綿毛様の短い枝状毛が密生
葉:革質、葉柄は1〜2p、長楕円形、5〜15p、幅1.5〜4p、先は短尖、下部くさび形で葉柄に流れ、表面は無毛、裏面は淡灰褐色の圧状する短毛が密生
花:5〜6月、枝先に短い総状花序を付け10個内外の花を開く.花柄は1.5〜3p、額はごく小さく皿状、ふちは波を打つ.花冠は紅紫色で上部内面に濃色の斑点、漏斗状鐘形で径4〜5p、筒部内面に短毛が散生、雄蕊10本、花糸の下半分に短毛が密に生える
天城山(200529)


イヌゴマ(チョロギダマシ)

イヌゴマ しそ科
やや湿地に生える多年草
茎:四角形で直立し、普通分枝しない.茎の稜に下向き刺がありざらざらしている
葉:対生し、短い柄があり、皮針形、ふちに鋸歯、葉面にしわがあり下面の中肋にもとげがあってざらつく
花:夏、茎先に花穂をだし、紅淡色の唇形花を密に輪生し層をつくる.下唇は3裂し内側に赤い点がある.雄蕊4本のうち2本は長い
箱根(170730)


イブキジャコウソウ

イブキジャコウソウ しそ科
山地や時には平地の日当たりの良い岩地に生える小形低木
茎:細く地上を這い、多数の枝を出す、全体に芳香
葉:対生、ごく短い柄、長楕円形鈍頭、両面に腺点
花:6〜7月、枝先に短花穂、淡紅色小形の唇形花を数段密に、花冠上唇は直立、下唇は3裂して平開、雄蕊4本のうち2本は長い
坪庭(160730)


イワウチワ

イワウチワ いわうめ科
関東地方に分布する常緑多年草で、深山にはえ、根茎は長く横に走る
葉:根出葉は長い葉柄をもち、質厚く少し光沢がある.葉身は扁円形で波状の鋸歯を持ち、葉先はへこみ、基部は心臓形
花:春、直立する花茎をのばし、その先に淡紅色の花を横向きに1個つける.花茎の基部には数個の鱗片がある.がくは5片.花冠は漏斗状鐘形.花弁の先端は細かく裂ける.雄蕊は5本、雌蕊は1本
大塚山(170416)


イワタバコ

イワタバコ いわたばこ科
山地の日当たりの悪い岩壁に生える多年草
葉:1株に1〜2枚、楕円状卵形、先端短尖、冬は固く丸まって越冬、褐色毛密
花:夏、1〜2本の花茎、上端に散形花序、紅紫色
建長寺(150620)


ウグイスカグラ(ウグイスノキ)

ウグイスカグラ すいかずら科
山地、原野に分布するが、鑑賞のため庭園にも植えられる落葉小低木
葉:短柄があり、対生、葉身は楕円形または広卵形で無毛、へりは若い時に暗紅紫色をおびる
花:春に葉が出ると同時に、葉腋から下垂する細長な花柄が出て淡紅色の花が咲く.花の基にある包葉はふつう1個で狭皮針形.花冠はやや曲った漏斗形で花筒部が細長く、長さ2pくらい、先端は5裂、裂片は同形
丹沢(210328)


ウスノキ(アカモジ、カクミノスノキ)

ウスノキ つつじ科
各地の山林にはえる落葉低木で、多数分枝して細毛があり、新枝は緑色
葉:ごく短い柄を持ち互生し、卵形または卵状楕円形、先は尖り基部鈍形で細毛がある
花:5〜6月頃、短い総状花序を出し、2〜3個の花を下垂する.がくは緑色で小さく、がく裂片は5個、ほぼ短い卵状三角形で尖る.花冠は淡褐紅色で鐘形、先端はごく浅く5裂して反り返る.雄蕊10本、葯の先端は細い管状でその先の孔から花粉を出す.花柱は1本直立
※臼の木は果実先端が凹んで臼のような形であるため
白山(200703)


エイザンスミレ(エゾスミレ)

エイザンスミレ すみれ科
山地の樹陰に生える無茎性の多年生草本、花時7cm
葉:根生、花時は有柄、葉身3裂、両外側深2裂し5裂に見える、各裂片は更に鋭浅裂、花後の葉は長大、葉身は葉柄の3分の1長、単純3裂、裂片広長卵形、葉柄の付け根に白色膜質、皮針形の托葉片
花:春、葉間から花柄、先に淡紫白色または淡紅色のやや大きい花を横向き、香り有、唇弁と側弁に明瞭な紫のすじ、側弁内側は突起毛、距は5〜6mm先が膨らむ円柱形
檜洞丸(170514)


エビネ

エビネ らん科
山林や竹藪にはえる多年生草本
葉:越年生で2〜3束生するが次年には下をはう.倒皮針状長楕円形、先端は鈍頭または少し尖り、基部は鋭尖形で細くはっきりした葉柄となる.暗紫色で縦にひだをつけ裏面には短毛を布いている
花:春に新葉心から1花茎を出し、10個内外の花を開く.花被片は全開し、外花被片は紫褐色、内花被片と唇弁は白色または紅紫色.唇弁は深く3裂し、中央裂片は先端に凹入があり、内面には3枚のたてうねがある.距は子房と並行し、長さはそれよりも短い
矢倉岳(210507)


オオバギボウシ(トウギボウシ)

オオバギボウシ ゆり科
山地に自生する多年生草本
葉:根から出て群がって葉の集まりを作り、葉柄は太い溝形をし、緑白色.葉面は大形で広い楕円形または楕円形で先端は鋭尖形、基部は心臓形または少し柄に流れ、支脈は縦走して濃緑色でつやがあり、裏面は淡色または表裏に白い粉をふいている
花:7月頃葉心より長い花茎を出すが多少前方に倒れ、多数の紫白色をした花が総状に出る.花の下にある包葉は卵状楕円形で扁平で、多くは白質化する.花被は細い漏斗状をして広がり、6裂片は平開するほどではない
箱根(170730)


オキナグサ

オキナグサ きんぽうげ科
山野の日なたに生える多年生草本、全体に白い毛が密生
葉:根葉は有柄、主根の頸部から叢生、2回羽状分裂、各小葉は更に2〜3深裂、裂片はくさび形または線形、先端2〜3の歯牙、総包は直立円柱形の茎頂、3片4片で無柄、細裂、裂片長線形
花:包葉の中心から1本の花柄、先が一方に傾き点頭して暗赤紫色の1花、萼片6で長楕円形、外面は白色絹毛、雄蕊多数葯黄色、雌蕊多数、花柱上部は紫色
神成山(170402)


【カ行 の 花】


カイフウロ

カイフウロ ふうろそう科
三ツ峠(170903)


カキドオシ(カントリソウ)

カイドオシ しそ科
野原や道端にはえる蔓性の多年草.全体に細かい毛.茎や葉に香気
茎:細く四角形、はじめ直立し、後に倒れて地上を這い、節から根を出し繁殖
葉:対生し長柄、腎臓状円形、長さ1.5〜2.5cm、幅2〜3cm、先丸、基部心臓形、縁に鈍鋸歯
花:4〜5月頃、葉の脇に淡紫色で柄のある唇形花を1〜3個.がくは長さ7〜9mm、深5裂、先鋭尖.花冠は長さ15〜25mm、上唇の先は浅く凹み、下唇は上唇の2倍の長さ、内面に濃紫色の斑点.雄蕊4本のうち2本は長い
※籬通で蔓を伸ばして垣根をくぐり抜ける
松田山(190331)


カマナシホテイアツモリソウ

カマナシホテイアツモリソウ らん科
葉:広楕円形、先端劣形、基部は茎を抱く、両面有毛
花:紅紫色から淡紅色、白花あり、唇弁は扁球形の袋状
入笠山(170604)


カモメラン(イチョウチドリ、カモメソウ)

カモメラン らん科
本州中部以北の高木林下にはえる多年生草本
茎:1本で単一、1片の葉と共に根ぎわから出て、下部は2〜3の膜質さや状の葉に包まれる
葉:斜上し、円形または広楕円形で、少し青みを帯びた鮮緑色で先端は少し丸く、基部は急に狭くなっている
花:6〜7月頃、茎の先に淡紅色の花を2〜3着け、花径は1cm未満で花下に楕円形または皮針形の緑色の包葉がある.外花被3片は卵状皮針形、内花被2片は更に狭く、唇弁のみ大きく広楕円形をして不明に3浅裂し、中裂片は大きく円頭、濃紅紫斑を一面に着け、距は狭小で後方に向って尖っている.まれに白花がある
三ツ峠山(210610)


カワラナデシコ(ナデシコ、ヤマトナデシコ)

カワラナデシコ なでしこ科
山野に自生
茎:数本叢生、直立、緑色、隆起した節
葉:対生、線形あるいは線状皮針形、両端尖、基部は相対する葉と短く連合して節を抱く
花:夏から秋、上方でまばらに分枝、淡紅色の花、花弁5個長い爪部、拡大部の縁は糸状深分裂、基部に鬚毛、雄蕊10個、花柱2個
八子ヶ峰(160825)


キントキヒゴタイ

キントキヒゴタイ きく科
金時山でのみ観察できる
金時山(171001)


クガイソウ(クカイソウ、トラノオ)

クガイソウ ごまのはぐさ科
山地や高山にみられる多年草
茎:根際から数本直立して株、円柱形、分枝しない
葉:3〜8枚輪生して数層、長楕円形まれに楕円形、先尖、基部無柄、尖鋸歯
花:夏、茎頂に穂のような長い総状花序、密に多数の花、花序の下から順に咲く、花冠は萼より長い筒状、先浅4裂、裂片広卵形、花筒外部は無毛、内部軟毛が密生、雄蕊2本で花冠の外
八方尾根(190724)


クサボケ(シドミ、ヂナシ)

クサボケ ばら科
山野に生える落葉小型低木
茎:下部は横に伏し、刺状の小枝
葉:倒卵形、円形、基部は狭いくさび形、鈍鋸歯
花:葉より先に赤色花、単立または2〜4束生、枝下部に多くつく、短花柄、萼は無毛、倒円錐形、萼片は半円形直立、縁に毛、花弁は倒卵形、あるいは倒卵状円形、基部は爪状、雄蕊多数、雌蕊の花柱は4〜5個、雌花と雄花が別
明神ヶ岳(160416)


クモイコザクラ

クモイコザクラ さくらそう科
秩父山塊、八ヶ岳および赤石山脈の亜高山帯の岩場にはえる小型多年草
葉:長い柄を持ち、柄には立った長い白軟毛が密にはえ、ほぼ円形で基部は深い心臓形.コイワザクラより深く掌状に7〜9裂し、裂片には少数のあらい鋸歯があり、上面には初め白い軟毛があるが後ほとんど無毛になり、下面には特に脈状に毛が多い
花:春、新葉とともに花茎を出し、下部には立った軟毛があり、先に1〜3個の紅紫色の花をつける.萼は半ばまで5裂し無毛、花冠の筒部はがくより長く、花冠裂片は1/3まで2裂する.雄蕊5本、雌蕊1本で、長さは株により異なる
※雲居小桜、高地に産する小形のサクラソウの意
鞍掛山(210523)


クリンソウ

クリンソウ さくらそう科
葉:多数根際に群がり、広い倒卵状長楕円形、細かい鋸歯
花:長花茎、紅紫色の有柄花を花軸に輪生し数層を作る、萼は緑色5裂、花冠下部は筒、上部は5裂、裂片凹頭、雄蕊5本雌蕊1本は筒の中
※九輪草、輪生する花が九輪、多層をつくるの意
入笠山(170610)


クルマユリ

クルマユリ ゆり科
茎:直立
葉:倒皮針形、先端鋭尖形、基部は漸尖形、濃緑色で平滑、茎の中辺に6〜15片が輪生、上部に3〜4片がまばらに互生
花:茎の先に長柄を分枝、頂に黄赤色花を下向き、花柄の下に葉状の包葉、雄蕊6本雌蕊1本
富士山麓(170723)


クロイチゴ

クロイチゴ ばら科
山地にはえて荒々しく広がって生長する落葉性の亜低木.茎は細長く多少つる状に伸びて分枝し、下向きのとげと細い毛がはえる
葉:まばらに茎上に互生し、長い葉柄をもち、普通は羽状の3出葉であるが、時には5小葉のものをまじえる.小葉は広卵形、先端は鋭頭形または鋭尖形、基部は円形か切形、縁には不揃いの歯牙状鋸歯がある.裏面には白色の短い軟毛が密生、脈上には小さい刺.托葉は針状で葉柄の基部に合着
花:6〜7月頃、側生の小枝の先に散房花序を生じ、少数の花をつけ、花柄はごく細く、毛を密生するが刺はない.萼片は両面とも白毛を密生する.花弁は小形で5個、白色へら状倒卵形.8月に核果は集まって小形の径8mmほどの球形になり、熟すと紫色から黒色になる
浅間隠山(190625)


グンナイフウロ ※つぼみ

グンナイフウロ ふうろそう科
高地にはえる多年草.高さ50cmに達し、茎葉直立し細長く溝があり、葉にも茎にも毛がある
葉:大形で掌状に5〜7裂し、裂片は倒卵形あるいは長楕円形で深い切れ込みがあり鋭頭、根生葉には長柄があり茎生葉にも柄がある
花:夏、茎上部で分枝、やや大きな淡紫紅色の5弁花を開く.萼片には毛があり長卵形で先端はかすかに尖る.花弁は倒卵形で萼片の1,5倍長さ.小花柄は花より長い.雄蕊には中央部まで非常に長い毛がある
※郡内(山梨県両都留郡の地方)風露
富士山麓(190702)


ゲンノショウコ(ミコシグサ)

ゲンノショウコ ふうろそう科
野外に生える多年生草本
茎:地面に伏し、多少直立、分枝
葉:有柄、対生、掌状に3〜5裂、裂片長楕円形、倒卵形、上部に鋸歯、先端尖、毛
花:葉間に花柄、2〜3個の花、包葉は皮針形あるいは線形、白色、紅紫色、淡紅色、5弁で梅の花状
三ツ峠(170903)


コイワザクラ

コイワザクラ さくらそう科
富士山周辺、箱根丹沢などの岩場に生える多年草
葉:数個集まって根性、長柄、腎臓状円形、下部深心臓形、花期は一層小形、ごく浅く掌状に裂け、裂片に鋸歯、裏面は柔軟毛が密、葉柄とともに白色毛
花:晩春、花茎頂に紅紫色の花、有柄で3〜4個が散形状、柄の基部に緑色小包葉、花冠は深5裂平開、裂片倒卵形、先2裂で尖、凹部に1片の小突起、雄蕊5本雌蕊1本筒の中
金時山(170507)、檜洞丸(180505)


コケリンドウ

コケリンドウ りんどう科
日当たりの良い原野にはえる二年生の小さなくさである.茎は根もと近くから何本も分かれて立ち、高さ3〜8p
葉:対生し、下部の2〜3対は大きく、広皮針形で尖り、葉柄が無く茎を抱き、地面に接して重なり合って開き、十字形となる.茎葉は茎全体につき、狭卵形で小さく、基は合着し短いさやとなり、上部はやや開く
花:春、枝の先に淡青紫色の小さい花をつけ、日中に開花する.がくは5裂し、裂片は筒部よりも短くてとがる.花冠は鐘状でふちは5裂し、裂片の間には副裂片がある.雄蕊5本、雌蕊1奔、柱頭は2裂する
金時山(170507)


コマクサ

コマクサ けし科
高山帯の砂礫地にまれにはえる多年生草本.高さ8〜13cm.根はひげ状
葉:根生で長い柄を持つ.多数に細かい裂け目が入り裂片は線状楕円形で先端が尖っている.全体が滑らかでやや厚みがありやわらかい.色は白みがかった緑色
花:7〜8月頃花茎を2〜3本出す.花茎の先が垂れて1〜6個の紅紫色のかわいい花を開く.がくは2個で卵形、花冠の外側の2弁は下のほうが袋状で前端が反り返り、長さは1,3cm位ある.内側の2弁は下のほうが狭くなり互いに合着して前方に出る.雄蕊6個、3個づつ中央に近く合着し外の弁に対立する.3個のうち中央の雄蕊は湾曲して外側の花弁の袋に入る
日本名:駒草は細長い花冠の形が馬の顔に似ているから
白馬岳(190722)


コヨウラクツツジ

コヨウラクツツジ つつじ科
深山にはえる落葉低木.幹は直立して分枝、若枝は葉と共に毛がある
葉:枝先にほぼ輪生状に互生し、倒皮針形または長楕円形、先は尖り先端はやや堅く、ふちは全縁で毛がある
花:5〜6月、葉の出る前または葉と同時に、腺毛のある花柄を3〜6本散形に出して下に曲り、柄の先にゆがんだつぼ状の花を数個開く.萼は小さく、浅く5裂する.花冠は黄赤色でふちは短く5裂する.雄蕊は5本、雌蕊は1本
瑞牆山(220524)


【サ行 の 花】


サクラソウ

サクラソウ さくらそう科
川岸の原野または山間の低湿地に自生する多年草
葉:根際に集まり長柄有毛、楕円形、縁は浅裂、裂片に鋸歯、葉質薄く、毛
花:4月、長花径を直立、先に散形状に紅紫色花を数個、花冠上部は深5裂、裂片浅2裂、雄蕊5本雌蕊1本筒の中
入笠山(170604)


サギゴケ(ムラサキサギゴケ)

サギゴケ ごまのはぐさ科
田のあぜ道に多い多年草.茎は短く、葉を根際に群生し、その間から花茎が直立する
葉:根際の葉は大きく倒皮針形で先はにぶく、ヘリにあらい鋸歯を持つ.ほふく枝の葉は対生し小さい
花:春から夏にかけて花茎を伸ばし、まだらに数個の花を開く.がくは5裂し、裂片は皮針形で尖る.花冠は紅紫色で上部深く裂けて唇形となり、上部は尖って先が2裂し、下唇は大きく先は3裂し、中央は大きく盛り上がって白色となり、紅紫色または褐色の斑点がある.2本づつ長さの異なる4本の雌蕊をもつ.柱頭はへら状で上下に2裂して開き、さわると自動的に閉じる
箱根外輪山(210425)


サラサドウダン

サラサドウダン つつじ科
幹は滑らかで灰色
葉:枝先に輪生状、楕円形または倒卵形、先は鋭形、基部はくさび形、細かい鋸歯
花:総状花序を下垂、淡紅白色
三国山(170604)


サンショウバラ

サンショウバラ ばら科
箱根と富士を中心とした山地にはえる落葉低木あるいは高木.高さ1〜6mで幹の径は10cm以上になることがある.多く分枝して多数の刺がある
葉:奇数羽状複葉、小葉は6〜8対、楕円形、先端は鋭形または鈍形、基部は鈍形または鋭形で無柄、長さ1,5〜3cm、幅7〜15mm、ふちには小さくて鋭い鋸歯があり、両面ともわずかに毛がある
花:小枝上に1個、初夏に開き、淡紅色で径4〜6cm.花柄に刺が多い.がく筒には刺が多く、萼片は卵形、先端は尾状にのび、内面に短い乳頭状の毛を密生する.副萼片は広卵形で無毛、不規則に裂ける.花弁5、広い倒心臓形、雄蕊は黄色で多数、偽果は径3cmを超える大形で広い球形で刺が多い
※山椒バラで、葉がサンショウの葉に似ているから
金時山(190607)


シモツケ(キシモツケ)

シモツケ ばら科
山地に生える落葉小低木
茎:束生、1m
葉:互生、短柄、長楕円形あるいは広皮針形、鋭頭、基部鈍型または狭い、鋸歯、裏面やや粉白無毛、上面緑色細毛まばら
花:6月、枝先に淡紅色の小花が群がって散房状、開花して放香、花弁卵形あるいは円形で爪、雄蕊多数、花弁よりずっと長い白色の葯
箱根(170618)


シモツケソウ(クサシモツケ)

シモツケソウ ばら科
山地に生える多年生草本、60cm、全株ほぼ無毛
茎:直立、細長く緑色
葉:4〜5本の茎上葉を互生、下部の頂小葉は大形羽状複葉で頂小葉は心臓状円形、掌状に5〜7裂、裂片は皮針形、先端尖、切れ込み状の重鋸歯、下面に葉脈上微毛、側小葉は大形小形交互に対生し3〜6対、卵形、切れ込み状鋸歯、無柄
花:6〜7月、淡紅色、集散状散房花序を作って密集、花弁3〜5倒卵状円形、雄蕊多数、花弁より長く淡紅色
箱根(170618)


ジャコウソウ

ジャコウソウ しそ科
山地の木陰や谷間の湿った場所にはえる多年草.茎は四角形で直立し、根際からむらがってはえる
葉:対生し、短い柄があり、長楕円形で先は細長くとがり基部は耳形、ふちには粗い鋸歯があり、茎とともに細かい毛がある
花:8〜9月頃、上部の葉のわきに柄のある1〜3個の淡紅紫色の花をつける.がくは鐘形で浅く5裂する.花冠は筒部が長く、上唇は短く、下唇は3裂し中央裂片は大きく先が2裂する.雄蕊4本のうち2本は長い
雨飾山(200823)


シュロソウ

シュロソウ ゆり科
山地の林下にはえる多年生草本
茎:直立し質は固く、かすかに縦のすじがあり、高さ60cm内外
葉:茎の下部に3〜4が互いに近く出て、細長い皮針形で長さ20〜30cm、先は尖り基部は狭く、短い鞘に続き、多少反り気味に巻き低い縦ひだがある.上部の葉は線形
花:7〜8月頃茎先に円錐形の複総状花序をつけ黒紫色の花を開く.花軸はざらついて、下部は雄花、中部以上は完全花.花径は1cm内外、花柄は皮針形の包葉より長い.花被6片は平開し、長楕円形で鈍頭.雄蕊6個は中央に立って花被片の半分の長さ
八方尾根(190724)


ショウジョウバカマ

ショウジョウバカマ ゆり科
山地の少し多湿な所にはえる常緑多年生草本
葉:地に広がってロゼットになり、老葉の尖端から時にじは新しい苗を出す特性がある.倒皮針形で長さ5〜18cmで鋭尖頭、基部は次第に狭く、少し革質で滑らかである
花:春に新葉が出る前に1本の茎が葉心より10〜17cmくらいに高く立ち、花軸は円筒形で葉はなく中部以下では鱗片葉を数個つける.花は淡紅から濃紫までいろいろあり、広鐘形をして開き、各片は線状倒皮針形で長さ1cm内外の扁平で質は厚い.雄蕊6個で花糸は花被片より長い
白馬岳(190721)


シロウマアカバナ

シロウマアカバナ あかばな科
高山の渓流沿いの湿地に生える多年草
茎:稜線に沿って白毛と腺毛があり、1本立ちする.5〜30cmでしばしば株状になる
葉:短い柄があり、長楕円形または卵状皮針形、ふちに細鋸歯があり、両面ほぼ無毛
花:7〜8月、淡紅色または白色小花.がく裂片は長楕円状披針形.柱頭はこん棒状になる
坪庭(170730)


ジロボウエンゴサク

ジロボウエンゴサク けし科
原野や山麓地帯にはえる多年生草本
葉:根生葉は短い柄をもち2回分裂している.裂片は倒卵状くさび形で全縁、または2〜3分裂し先端がわずかに尖っている.包は菱形の卵型で先が尖り分裂していない
花:春にまばらに花のついた総状花序に少数の紅紫色の花を開く.花冠は一方が唇状に開き、一方に距がある.6本の雄蕊は両体雄蕊となる
矢倉岳(210507)


【タ行 の 花】


タカネバラ

タカネバラ ばら科
高山の陽当たりが良いところにはえる落葉低木.小枝は水平に開出し、細長くて紅褐色をおび、細いとげがはえる
葉:奇数羽状複葉、小葉は4〜7対、楕円形、両端とも円形のものが多い.葉質はうすく、無毛、ふちにはとげ状にとがった鋸歯がある.裏面の主脈には葉柄や葉軸とともにとげがある.托葉は長楕円形で葉柄に合着し、ふちには腺毛がある
花:7月頃、枝の末端に大きな花を1個つける.花は径4p内外で淡紅色で美しい.がく片は細く、上部はしばしば葉状となり、内面には短い乳頭状の毛がある.花弁は広い倒卵形、ほとんど水平に開出する.黄色の多数の雄蕊がある
爺ヶ岳(200717)


タツナミソウ

タツナミソウ しそ科
林の縁や野原に生える多年草、高さ20〜40cm
茎:根茎は細く短く這う、茎は直立、白色の長い毛が密生
葉:対生、5〜20mmの柄、丸い心臓形、両面に密に軟毛、先は鈍形、基部は心臓形、縁に鋸歯
花:5〜6月、茎先端に一方向きの唇弁型多数の紫花、穂状2列、花冠は基部が曲がって直立、18〜22mm、筒部長い、下唇は幅広く前方に突き出し紫色の斑点、雄蕊4本、内2本は長い
真鶴(170409)


タテヤマウツボグサ

タテヤマウツボグサ しそ科
高山にはえる多年草.茎は四角で根際からむらがえりはえ、直立して25〜50cm
葉:対生し、無柄または短い柄があり、長卵形あるいは長楕円状卵形で3〜8cm.質厚く先端は尖り基部は円形または急に細まり柄となる.縁に粗い鋸歯があり、表面は主脈が凹んでいる
花:7〜8月頃、茎の頂に長さ1〜5cm、幅2,5cm位の花穂を出し、濃紫色の美しい花を密生してつける.包葉はゆがんだ心臓形で縁に長い毛があり、包葉の脇に花をつける.がくは7〜10mm、乾いた皮質で上唇には3個の鋸歯があり、下唇はするどく3裂し紫色を帯びるものが多い.花冠は25〜32mm、上唇は直立し兜形、下唇は平らに開き3裂し、中央裂片のみ大きく先が凹む.雄蕊2本は他より長く、花柱の先は2裂
八方尾根(190724)


タムラソウ(タマボウキ)

タムラソウ きく科
山地の草原などに生える多年草
茎:高さ30〜150pになり、多数の縦線がある
葉:互生、下葉は長柄で直立し、葉身は卵状長楕円形で羽状に深〜全裂し、裂片4〜7対で長楕円形、へりに荒い鋸歯があり、両面に細かい白毛があり上面は緑色、下面は淡緑でやや薄い.上葉ほど短柄または無柄で小形になる.葉にとげはない
花:8〜10月ころ、長い枝の頂きに大きい紅紫色の頭花をつけ、一見アザミ類のようである.そう果は無毛で花床に斜めに着き、冠毛は羽毛状にならず、花柱の分枝は互いに離れて反曲するなど明らかに異なっている.花床にうろこ状の刺がある
箱根(170924)


チダケサシ

チダケサシ ゆきのした科
湿った山野に生える多年生草本、50cm内外
葉:2、3回羽状複葉、小葉は卵形あるいは倒卵形、鈍頭または鋭頭、ふちに不整の鋭きょ歯、長さ1〜4cm、両面に毛が散在する.茎下部と小葉付着点にも長い毛がある
花:7〜8月頃、上部に細長い円錐花序を出し、薄紅色の小花が集まってつき、花序には短腺毛が密生する.各花の小花柄は大変短い.がくは5裂、裂片は卵形、花弁5個、へら状線形、がくの3〜4倍の長さ.雄蕊10、花柱2
箱根(170730)


ツクシハギ

ツクシハギ まめ科
日本固有、日当たりの良い林縁、道端、やや日陰のところにも生える落葉低木で高さ1,5〜2,5m
茎:直立し0,5〜1m、径1〜3cm、上方で良く分枝.枝の基部近くに冬芽をつくり、先のほうは冬季に枯れる
葉:3小葉、時に赤味を帯びる.托葉は褐色、線状三角形、2〜7mmで残存.頂小葉は楕円形から卵形、先鈍形または微凹形、基部円形で2〜6cm、幅1,5〜3,5cm、表面ほぼ無毛、裏面は伏した短毛
花:8〜10月に葉腋から総状花序.長さ9〜15cm、1節に2個ずつ花がつく.長さ9〜14mm.がくは筒状3,6〜4,4mm.がく裂片はほぼ同形、広楕円形から楕円形、先は鈍形または鋭形.淡紅紫色、基部付近に顕著な耳状突起、開花時に基部付近より反り返る.翼弁は最も短く濃紅紫色、竜骨弁は旗弁より白味を帯びた淡紅紫色
箱根(170924)


ツリバナの実

ツリバナの実 にしきぎ科
山地にはえる落葉ておぼくまたは小高木で枝は緑紫色
葉:有柄で対生、卵形または倒卵状楕円形で鋭く尖り基部はくさび形、周辺に細かい鋸歯、5〜8cm、幅3〜4cm、無毛
花:6月頃長柄腋生のまばらな集散花序、細長い枝を分枝、緑に白っぽいまたは紫がかった花を吊り下げる.がくは細かく5片、辺が歯状.花弁5個、卵円形、平開.雄蕊5本で小さい、花盤に立つ.中心に1本の雌蕊

さく果:長柄で垂れ下がる.平たい球形で乾かすと鈍い5稜.熟すと5枚のからに裂け、内面が暗赤色、朱赤色の仮種皮を持った種子を露出
さく果:下の廊下(181011)


ツリフネソウ(ムラサキツリフネ)

ツリフネソウ つりふねそう科
山麓や水辺に生える柔らかな一年草
茎:直立して分枝、多汁質で無毛、紅紫色、節膨む
葉:有柄互生、広皮針形で尖、鋸歯、基部くさび形
花:茎先に出た3〜4本の花柄に紅紫色の腺毛、柄上部は小形の包のある総状花序、数個の紅紫色の花が下がる、花の下に萼片、左右の2つは大きく、距は膨れて後方に長く突出、紫の斑点、尖った先端が巻く、雄蕊5本の葯は連合、雌蕊1本
芦ノ湖遊歩道(160910)、涸沢(170818)


ツルボ(スルボ、サンダイガサ)

ツルボ ゆり科
原野に生える多年生草本
茎:鱗茎は卵球形、外皮は黒褐色、下部に短根茎
葉:春秋の二季、2個向かい合った葉は広針状の倒皮針形、紫緑色直立、内面樋型に凹む、先端鋭尖形
花:初秋、葉間に直立した茎1本、先に少し密な穂のような総状花序、淡紫色の花、花被6片は平開、倒皮針形背面は濃色、雄蕊6個雌蕊1本
箱根(160910)


ツルリンドウ

ツルリンドウ りんどう科
山地の木陰にはえる多年草.茎は細長く、地をはいまたは他物にまつわる
葉:対生し、長卵形ないし卵状皮針形で先は尖り、基部は微心臓形ないし円形、葉柄があり全縁、3主脈があり表面は深緑色、裏面は普通紫色をおびる
花:秋、葉腋に淡紫色の花をつける.がくは短筒状で5裂し、裂片は狭長で尖る.花冠は鐘状で5裂し、裂片の間に小さい副裂片がある.雄蕊は5本、雌蕊は1本


テガタチドリ(チドリソウ)

テガタチドリ らん科
高山の草地に生える多年生草本、地下に手形の白色多肉根と線形のひげ根
茎:直立して5〜6葉
葉:広線形または広皮針形、淡緑色、下端は先端丸み、上葉は尖、基部は茎を抱き、下はさや形
花:7〜8月頃、茎先に穂のような総状花序、多数の淡赤紫色の花が密集、包葉は細長く尖、外花被の背面の1個は直立卵形、側方2片は長楕円形で開出、内花被片は低いゆがんだ菱形、外花被の背側の1個とともに兜型に集まる、唇弁は広倒卵形、3中裂、裂片の先は鈍頭、距は下垂し細長く湾曲
坪庭(160730)


トウゴクミツバツツジ

トウゴクミツバツツジ つつじ科
山地に普通に見られる落葉低木、分枝多く、冬芽の鱗片は褐色毛でおおわれる
葉:枝先に3個輪生、菱形状広卵形で5〜8cm、葉先は短く鋭形、基部は幅広くさび形、全縁、新葉は黄褐色の長毛が密にはえている
花:5月、葉が開く前に多数の紫花を横向き、萼は皿状で鈍鋸歯を持ち、花柄とともに細毛がある.花冠の径3〜4cm、深5裂しほぼ平開、裂片は広い楕円形で先は鈍円形、筒部は短く上面に濃紫色の斑点がある.雄蕊10本で長さ不同、外側は先端が上に曲がる
※東国三葉ツツジで主として関東の山地に多い
檜洞丸(180505)


トキワハゼ

トキワハゼ ごまのはぐさ科
庭や道端にふつうにみられる一年草、小形
枝:匍匐しない
茎:根際の葉間から数本の茎を直立、6〜18cm
花:春から秋、茎先にまばらに総状花序、淡紅紫色の小花、花冠下部筒形深2裂唇形、上唇鈍頭浅2裂、下唇大きく先3裂、中央は2列に盛り上がって黄色
小野子山(160605)


トネアザミ(タイアザミ)

トネアザミ きく科
太平洋側地域の山地帯や低地の林縁にはえる多年草.良く分枝し、褐色の短軟毛とくもの糸状の白い毛が多少ともある
葉:根葉は花時に存在しない.茎葉は長楕円形状皮針形、ふつう羽状に浅裂ないし深裂し、基部は抱茎しない
花:頭花は8〜11月に開き紅紫色、総状につき下向き、柄は短い.総苞は広鐘形ないし鐘形、くも毛がある.苞片は著しくときに緩やかに反曲し粘着しない.外片は卵形で尾状鋭尖頭
箱根(210901)


トモエシオガマ

トモエシオガマ ごまのはぐさ科
涸沢(170817)


【ナ行 の 花】


ナツトウダイ

ナツトウダイ とうだいぐさ科
山地に生える多年生草本、30cm
茎:細長い円柱形で直立、滑らか無毛、緑色で帯紅紫
葉:互生、無柄、細長い楕円形または倒皮針形、先端丸く基部細い、茎先に4輪生、傘型に分枝
花:4〜5月、小花序は一つの花に見える、小総包癒着して壺状赤褐色、1本の雌蕊からなる雌花、1本の雄蕊からなる雄花数個が入る、小総包の腺体は紅紫色三日月形
箱根(170618)


ナワシロイチゴ(サツキイチゴ)

ナワシロイチゴ ばら科
いたるところの原野にはえるほふく性の落葉小低木.茎は長さ1,4mくらいになり、直立茎は30cmくらい.ほとんど無毛であるが、小さな刺を持つ
葉:互生、3出または5小葉の羽状複葉、小葉はひし形状倒卵形、円頭、基部はくさび形または切形、縁に切れ込み状の荒い歯牙があり、時には2裂または3裂.表面は無毛で緑色、裏面は白色のもうせん状に毛を密生し、長さ幅とも2〜5cm、托葉は線状皮針形、全縁
花:夏、まばらな集散花序を作って枝の上部に腋生または頂生する.がく裂片は卵状皮針形、鋭尖頭.表裏両面に乳頭毛が密生し、裏面の基部に小さい刺.花弁5個は寄り添って立ち淡紅紫色、倒卵状へら形、萼片より短い
箱根(170618)


ニシキウツギ

ニシキウツギ すいかずら科
山地にはえる落葉低木、高さ2〜3mになる.若枝は無毛か2列の毛の線がある
葉:対生し、葉身は長卵形、楕円形または倒卵形、両端鋭く尖り鋸歯がある.上面はやや無毛、下面の主脈の下半分には密生した毛がある
花:5〜6月頃葉腋から2〜3個の花を散房状に開く.花冠は5裂する漏斗状、ほとんど無毛かまったく無毛.筒部は基部へ次第に細まり、初めは白色、後に暗紅色となる.花中に5本の雄蕊と1本の雌蕊、花柱は花外へ伸びる.子房は下位で細長く、その先に5片の広線形の萼片がつく.種子には翼がある
※三色ウツギに対する二色ウツギで、初め白色でのちに赤変するから.錦ウツギではない
金時山(190607)


ヌスビトハギ

ヌスビトハギ まめ科
林下に多く生える多年性草本
茎:直立、または斜上、上部で分枝
葉:互生、長葉柄、3出複葉、小葉は卵形、長卵形あるいは卵形ひし形、先端鋭尖形、基部は円形または鈍形、短柄、頂小葉が最大
花:葉腋から長花軸、総状花序、淡紅色、白色の小形蝶型花をまばらにつける
箱根(150816)


ノアザミ

ノアザミ きく科
山野に最も普通な多年生草本、茎高さ60〜100cm、ときに2m、上部で分枝
根葉:花時も生存、著しいロゼットではない、倒卵状長楕円形、羽状中裂、裂片5〜6対、縁に刺多い、上面に多細胞の毛、下面脈上に毛
中葉:互生、基部は茎を抱く
花:初夏、枝頂に紅紫色の管状花からなる頭花が直立、花冠はまれに白色紅色などの異品あり、総包やや球形、幅2mm内外、多少クモの糸状毛、総包片は直立して先鋭、刺針、背面に隆起した粘着部がある
箱根(180617)


ノギラン(キツネノオ)

ノギラン ゆり科
山野の多少日当たりの良いところに生える多年生草本
茎:根茎は短、強固で直立
葉:根生10個内外、ロゼット状、倒皮針形の広線形から倒卵状皮針形まで種々の変化、先尖、つやがあり黄緑色
花:7〜8月頃、葉心から1本の茎25〜40cm、頂部に穂のような総状花序、淡黄赤花、短柄の基に長短2枚の包葉、花被6片漏斗形、線状皮針形尖、縁白色、雄蕊6個
三ツ峠(170709)


ノハラアザミ

ノハラアザミ きく科
乾いた草地に生える多年草
茎:1m内外、花径状分枝、基部太い
葉:根葉は長楕円状披針形8〜12対、裂片に欠刻、鋭い刺毛、帯紫色、茎葉は小形まばらに互生、裂片不整に歯状裂、端に刺毛、無柄、基部は茎を抱く
花:晩夏から秋、茎上部で分枝、紫紅色の頭花、短柄、2〜3個集まり直立、総包は鐘球形、くもの糸状の毛、粘着しない
箱根(210901)


【ハ行 の 花】


ハエドクソウ

ハエドクソウ はえどくそう科
山野の林中に生える多年草
茎:直立30〜70cm、節間の下部膨らむ
葉:対生、細い葉柄、卵形または長楕円形、鋸歯、葉脈上に細かい毛
花:夏、枝先に細長い穂状花序、多数の小花、下から順に咲く、対生、無柄、花序の軸に密着、花冠は淡紅色、唇形で下唇大、雄蕊4本、上側2本は長い
箱根(170730)


ハクサンコザクラ(ナンキンコザクラ)

ハクサンコザクラ さくらそう科
高山帯の湿地にはえる多年生草本
葉:数個が根際に集まり、葉質は厚く、倒卵状くさび形で下部は次第に細まり、中部より上には多少2重になった鋭鋸歯がある
花:夏、葉の中心部から長さ10pほどの花茎を出し、頂に紅紫色の花を数個散形に開く.がくは深5裂し緑色.花冠は径約2p、下部は筒となり上部は5裂し、裂片は2裂して尖る.おしべ5本、雌蕊1本、ともに筒の中にある
※白山小桜で、石川県白山で初め見つけられたのでいう.南京とは無関係
白山(200703)


ハクサンシャクナゲ

ハクサンシャクナゲ つつじ科
亜高山帯の林内に生える常緑低木
葉:互生、革質、葉身は頂楕円形、先は鈍く、基部は円形または浅心形、表面無毛
花:7〜8月、枝先に短い総状花序、10個内外の花、花冠は淡紫紅色、上部内面に濃色の斑点が密生、漏斗状鐘形、5中裂
富士山麓(170723)


ハクサンチドリ

ハクサンチドリ らん科
高山帯の草地にはえる多年背草本で高さ20〜35cm.茎葉単一で緑色、直立し稜がある
葉:4〜5片の葉はまばらに互生し、倒皮針形または長楕円形、鈍頭、全縁で基部は狭くなった短い鞘型をして茎を包み、上葉は細狭で尖り、葉面に紫斑がない
花:6〜7月頃、茎先に総状花序が出て10数花内外の花が固まって咲き、包葉は針形で多くは花よりも長い.花は紅紫色で径15mm内外、花被片は卵形または卵状皮針形で先端が尖る.唇弁は広倒卵形で濃紅な紫斑があり、乳頭毛が一面にあり前端が浅く3裂し、中裂片は先端が長く尖る
白馬岳(190721)


ハクサンフウロ

ハクサンフウロ ふうろそう科
高地に生える多年生草本、ほふく枝なし
茎:直立、かすかな毛
葉:茎葉は固まってつく、やや堅く掌状に5〜7深裂、裂片はひし形で分裂し細片、先端鋭く尖り、表面にかすかな毛、裏面は脈状に毛、托葉は皮針形または卵形、先端尖
花:夏、梢に花柄、1〜2個の紅色5弁花、萼片5は花弁より短、皮針形または卵形、花弁5個は倒卵形、雄蕊10本、柱頭5個の雌蕊1本
涸沢(170817)


ハンカイシオガマ(ハンカイアザミ)

ハンカイシオガマ ごまのはぐさ科
山地の林下などのやや湿った日陰にはえる多年草
葉:数枚の大型葉が根ぎわにはえ、長い柄を持ち、卵形で深く羽状に裂け、裂片は長楕円形でさらに深く裂け、へりに鋸歯がある
花:秋、根生葉の間から細長い茎をのばし、下部に1〜2対の対生する葉をもつ.茎の頂に短い花穂を作り、数個の紅紫色の大きな花を開く.包葉は卵形でふぞろいな鋸歯があり、萼より少し長い.萼は短い筒形で上端は5裂し、裂片は卵円形で鈍い鋸歯をもつ.花冠の下部は筒となり、上部は2裂して唇形となる.花冠上唇は舟形で先端鈍く、下側のへりに細かな毛がはえる.下唇は上唇より僅かに短く、上唇を包み先端3裂
パノラマ台(150826) 箱根外輪山(160906)


ハンショウヅル

ハンショウヅル きんぽうげ科
山地林中に見られる落葉木質のつる
茎:細長、しばしば帯暗紫色
葉:有柄対生、3小葉複葉、小葉は短柄または無柄、卵形または楕円形、先端短鋭尖形粗鋸歯、4〜9cm、質やや硬く表裏に短毛
花:初夏、枝上に叢生している葉間から長柄、先端に紅紫色の1花、鐘形で下垂、全開せず2,5cm.萼片4個長楕円形で白縁、外面縁に毛が密生、花弁なし.雄蕊多数、葯は短小、花糸やや扁平で白色短毛.雌蕊多数
そう果:狭卵形、頭部に宿存した花柱が1個つき尾状、白色羽毛状4cm
※日本名:半鐘蔓、花の形が半鐘に似ているから
金時山(190607)


ヒメイワカガミ

ヒメイワカガミ いわうめ科
山地に生える常緑多年草.根茎は長く、その先端に根出葉をつける
葉:小形卵円形、1,5〜4cm、幅1,3〜3cm.縁に三角形の荒い鋸歯、質固く光沢
花:初夏、根出葉の中央から基部に鱗片を持つ花茎、少数の白色または紅紫色の花、径1cm、花弁の縁が細かく裂ける.雄蕊5本雌蕊1本でさく果をつける
※コイワカガミは誤りである
越前岳(170523)


ヒメジソ

ヒメジソ しそ科
山野に生える一年草
茎:四角直立30〜60cm、節に白毛
葉:対生、ひし形状卵形、荒い鋸歯、上面まばらに伏毛
花:9〜10月、枝先に総状花穂、白色または淡紫紅色の唇形花を密、上唇は浅3裂、下唇は深2裂、まばらに毛、花冠は筒部短く下唇長い、雄蕊4本のうち2本は長い
※イヌコウジュに似ているが、全体に毛が少なく葉がやや菱形、鋸歯が粗く大きい点で区別
箱根(160804)


フシグロセンノウ(フシ、オウサカソウ)

フシグロセンノウ なでしこ科
山地の樹陰地の草間に生える多年生草本
茎:直立50〜70cm、やや無毛緑色、円柱形、単一またはまばらに分枝、節は太く帯紫黒色
葉:対生、卵形、倒卵形ないし楕円状皮針形、先端鋭尖形、基部は狭まり、ふちに短毛
花:夏、茎先に集散状に分枝、少数の朱赤色の大きい花、短柄、花弁5個平開
御岳山(170917)


ベニサラサドウダン

ベニサラサドウダン つつじ科
本州中部の深山にはえる落葉低木.高さ2m
葉:互生し枝先に集まってつき、倒卵形で両端尖り、ふちに細かい鋸歯、2〜4p、裏面中央脈にそって褐色の毛
花:6〜7月、総状花序を下垂し、花軸には褐色の軟毛.花柄は1〜1,5p、がく片は披針形で3mm、花冠は鐘形で下向きに開き、長さ6〜8mm.先は5裂、紅色で濃紅色の縦の条がある.雄蕊10本、花糸に毛、葯には2本の角状突起
金時山(200603)


ベニドウダン

ベニドウダン つつじ科
山地に自生、落葉低木、2m、幹は滑らか、直立輪生状に分枝
葉:狭倒卵形、2〜5cm、先端尖、基部くさび形、細かい鋸歯、枝先に数個の葉が輪生状に互生
花:初夏、小枝の先から総状花序を下垂、紅色有柄の短鐘形、花冠6〜8mm、縁は細裂、雄蕊10本雌蕊1本
愛鷹山位牌岳(180602)


ベニバナイチヤクソウ

ベニバナイチヤクソウ いちやくそう科
高山の森林内に生える常緑多年草
葉:長柄、2〜5個根際に群がる、広楕円形または円形、まばらな鋸歯、質厚い、黄緑色光沢から茶褐色に変化
花茎:単一直立、上部は総状花序
花:6〜7月、肉紅色の花を下向き、花柄基部に小形の抱葉、花冠は広く開き、左右やや同形に深5裂、裂片は楕円形で先は円形、雄蕊10本、葯は赤紫色、花柱は花外に突出し上方に湾曲
富士山麓(170723)


ホタルブクロ

ホタルブクロ ききょう科
山野に生える多年草
茎:直立、粗毛が多い
葉:根葉は長柄の卵心形、茎葉は互生、長卵形で先尖、上葉は無柄、鋸歯、粗毛が多い
花:6〜7月頃、枝上部で分枝、白色または淡紅紫色で内面に紫色の斑点、萼は緑色、萼筒は子房と合着、5裂の裂片間の彎入部のへりは反曲、花冠は大形鐘状下向、花口が短5裂、雄蕊5本、花柱1本、柱頭3裂
富士山麓(170806)


【マ行 の 花】


ママコナ

ママコナ ごまのはぐさ科
山地の林の縁などの乾いた場所に生える一年生半寄生植物
茎:直立30〜50cm、まばらに分枝
葉:対生、長卵形、先鋭尖、全縁、短柄
花:夏、枝先に白色軟毛が密生した花穂、包葉は葉状で小さい、毛状尖鋸歯、包葉の脇ごとに1個の紅紫色の花、萼は鐘形で先4裂、裂片は狭三角形鋭尖、花冠は長い筒部、先2裂唇形、上唇は兜型で縁に軟毛、下唇は横に広がり先3裂、基部に2個の白色斑
パノラマ台(150826)


マルバハギ

マルバハギ まめ科
日当たりのよい山野に生える落葉低木
枝:微毛が密生
葉:左右に互生、毛を密生する葉柄を持った3出複葉、小葉は長卵形あるいは長楕円形、先端は鋭形または鈍形、側小葉は無柄、裏面は帯白色で絹毛、托葉は細くて長い
花:夏から秋、葉腋から1〜3個の総状花序、蝶型花、花序は無柄、小花柄は2分し、分岐点に2個の小形包葉、萼片4裂、裂片卵形、上の裂片は浅2裂
箱根(170924)


ミズヒキ

ミズヒキ たで科
山地や山際、林の草むらなどに多くはえる多年生草本
茎:直立してまばらに分枝、50〜80cmで長い毛、節は膨れて茎の質は硬い
葉:短柄、互生、広楕円形または倒卵形、葉先は鋭形、基部鋭形、5〜15cm、葉質やや薄くやや硬く、両面とも毛がまばらに生え、葉面に黒色斑紋
花:夏から秋、茎先から数本の長い鞭状の細長い花穂をぬき出し、まばらな穂状に赤色小花.花には短小柄、開出して少し弓形に曲がり、下面は色が薄い.がくは4裂、裂片は卵円形、頂に大形花柱が2個、子房より長い
※白花:ギンミズヒキ、紅白が混ざったもの:ゴショミズヒキ
湯坂路(161010)


ミツバツツジ

ミツバツツジ つつじ科
山地に生える落葉低木、高さ2m、枝は細く車輪状に出る
葉:枝先に3個輪生、葉柄細く無毛、菱形状広卵形で5〜7cm、先端は短く尖り、基部は鈍形、葉質は硬い皮質で無毛平滑.裏面緑白色で葉脈明瞭.若葉の時は3個が並んで立ち、葉縁が外巻になり極めて粘着性があり無毛.基部は早落性のかわら状に重なった鱗片に被われている
花:4〜5月、葉の出る前に紫花の班を開き、短花柄で基部に早落性の褐色鱗片数個重なり合う.花は2〜3個枝先につき、径3〜4cmで横向き.萼は皿状で鈍歯がある.花冠筒部は漏斗状5裂平開、雄蕊5本、花糸は長短不同、先端は上向き、孔裂する葯をつける.子房は淡緑色、粘り気のある腺点、花柱は雄蕊より長い
明神ヶ岳(190519)、天城山(200528)、日向山(210523)


ミネザクラ(タカネザクラ)

ミネザクラ ばら科
高山帯にはえる落葉高木、または亜高木.時には低木上になる.小枝は紫褐色
葉:有柄で互生、葉柄は細く無毛.上部に小さい2個の密腺.葉身は倒卵状楕円形または倒卵形、5cm内外.尾状に伸びた鋭尖頭、縁には重鋸歯.葉質はうすく、たいていは無毛
花:5〜6月頃に雪解け後まもなく赤褐色の新葉と同時に淡紅色の花を開く.花序は散形あるいは散房状で2〜3個の花を着けて無毛.花芽の鱗片は短く赤褐色.花軸は短く、はっきりしないものもある.花柄は細長く無毛.萼筒は細い筒型で無毛.萼片には細鋸歯がある.花冠は水平に開かず、ヤマザクラに似て白色でうすく淡紅色をおびる.雄蕊多数、雌蕊1本.花柱は無毛
八ヶ岳(190619)


ミネズオウ

ミネズオウ つつじ科
高山帯にはえる極めて小形の常緑低木、10〜15cm.幹は細く横に伏して地面を覆い、枝は多く分枝して斜上し、または横に伸びる
葉:密生し、ごく短い葉柄を持ち、広い線形で長さ1cm、先は丸く、縁は著しく外側に巻き全体が下方に弓上に曲り、平滑、革質で深緑色、裏面は白色
花:7月頃、枝先に数個集まって散形状に細かい花を開く.花柄の基部は残存する包葉で包まれている.萼片5個、細い卵形で紅紫色または淡緑色、上部は紫色.花冠は鐘状で5裂して星状に開き、裂片は尖り淡黄白色.雄蕊5本、花糸は長く、葯は縦に裂け紫色.子房は球形で緑色、花柱1本
日本名:峰ズオウで山上にはえるスオウの意
八ヶ岳(190619)


ミヤマアカバナ

ミヤマアカバナ あかばな科
高山帯や深山の谷間にはえる小形多年草.茎は高さ5〜20p.上部には腺毛が散在する
葉:対生し薄く、長卵形で基部は細まり短い柄となり、へりには低い不明瞭な鋸歯があり、ほとんど毛はない.上部の葉はやや尖る
花:7月、茎上部の葉腋から花柄を出し、淡紅紫色の花を開く.花柄と子房には毛がある.萼は深4裂し、裂片は広披針形.花弁4個、長倒卵形で先は2裂する.雄蕊4本、雌蕊1本、柱頭はこん棒状
富士山須走口五合目(180722)


ミヤマアズマギク

ミヤマアズマギク きく科
高山帯に分布する多年草.根は分枝し、茎葉直立して毛がある
葉:根葉はへら状で、先は鈍いか時にくぼみ、あるいはいくらか尖ることもある.基部は狭くなり、へりは全縁またはまばらに少数の鋭い鋸歯があって毛があり、両面にもまばらに毛がある.茎葉は下部のものは根葉に似ており、上方のものは皮針形で尖る
花:頭花は8月頃頂生し、総包片は線形で尖り、白毛を生じ、紫色の舌状花は線形、中心の管状花は黄色である.時に紅紫色、まれに白色の舌状花を生じる
鹿島槍ヶ岳(200717)


ミヤマシオガマ

ミヤマシオガマ ごまのはぐさ科
高山の岩の多い草地にはえる多年草である
葉:根際に群生して株を作り、長い柄を持ち、卵状楕円形で羽状に深く裂け、長さ4〜8cm、幅2〜3cm、裂片は皮針形で深く裂ける
花:夏、葉間から花径をのばし、高さ5〜15cm、頂に密な花穂を作り10〜20個の花を開く.花穂の葉は無柄で輪生し、羽状に深く裂け、裂片には鋸歯がある.花穂は白くて長い軟毛でおおわれている.がくは筒状で長い軟毛が生え、上端5裂し、裂片は倒皮針形で鋸歯を持つ.花冠は紅紫色で長さ2〜2,5cm、下部筒となり、上部は2裂して唇形.上唇は細長いかぶと状で先は丸く、先端下部に一対の歯がある.下唇は広がって縁は3裂する.2本づつ長さの異なる雄蕊が4本あり、葯は花冠の上唇の中にある
天狗山荘(190722)


ミヤマママコナ

ミヤマママコナ ごまのはぐさ科
やや乾いた林中にはえる半寄生の一年草.茎は直立し20〜50cm、まばらに枝をだし、日当りの良いところのものは赤褐色を帯びる
葉:対生、長柄、長卵形で先は尖るが先端はやや鈍い、全縁、表面は暗緑色、裏面は黄緑色.包葉は全縁
花:夏、枝先に総状花序を作り、紅紫色の花を開く.がくは鐘状で先は4裂、裂片は皮針形または楕円形で先端は鈍い.花冠下部は長い筒、上部は2裂して唇形、上唇はかぶと形で縁に軟毛が生え、下唇は横に広がって3裂し、基部に2個の黄色の斑紋をもつ
槍ケ岳登山道(190818)


ムラサキヤシオツツジ

ムラサキヤシオツツジ つつじ科
山地に生える落葉低木.幹は多くの枝に分かれ、新枝に腺毛がある
葉:やや輪生状に互生、枝先に集まって付き、倒皮針形で中央部から下は次第に細まり、くさび形となって葉柄に続く.葉質は硬く表面は青緑色、短くて荒い毛が生えざらつくが、裏面は中央脈に白毛があるだけ
花:5〜6月頃、葉の出ないうちに濃紅紫色の花を開く.花は枝に頂生し2〜3個集まってつく.がくは小さく5裂し、花柄とともに腺毛がある.花冠は広い漏斗状で5裂、裂片は平開、雄蕊10本、上部は短く下部は長い
白山(200703)


【ヤ行 の 花】


ヤブウツギ

ヤブウツギ すいかずら科
全体密に軟毛
葉:楕円形または卵形、先は尖り基部はくさび形、上面はまばらに毛、下面は密に汚白色の軟短毛
花:暗赤色、外面密毛、白色の柱頭は花外に超出
三国山(170604)


ヤマオダマキ

ヤマオダマキ きんぽうげ科
山地にはえる多年生草本.30〜50cm.茎は直立、まばらに分枝
葉:根葉には長柄があり、2回3出の複葉、小葉は広いくさび形または切形状くさび形で2〜3深裂、あるいは尖裂し、裂片はくさび形で更に2〜3の鈍頭歯牙があり、葉の上面は緑色、下面はやや粉白色
花:5〜6月頃、上方で分枝し、上端が花梗となって大きい花が下向きに開く.がくは褐紫色で5個、半開し、卵状皮針形で先端は狭鈍形.花弁5個、直立して萼片と互生し、ほぼ切形の長楕円形で萼片より短く、上部は淡黄色で基部はやせた距となり、わずかに内方に踏み状に曲り花の外に長く突出し、距はだんだん狭まって遂に小球状となる.距は褐紫色.雄蕊多数、長短不同、雌蕊5個、花柱は長い
村山古道(160826)


ヤマクワガタ

ヤマクワガタ ごまのはぐさ科
ブナ林や亜高山帯の針葉樹林内に生える多年草
茎:横に這い、節から根を下ろして広がり斜上、開出する軟毛
葉:広卵形または三角状卵形、2〜10mmの柄、粗鋸歯、先はやや尖、基部は切形状の円形、両面に白毛
花:上部の葉脇から総状花序、数個の花、花柄2〜3mm、軟毛が密、花冠は紅紫色、皿形で広く開く径8mm、深4裂、雄蕊2本
※クワガタソウに比して、より高地に生え、茎に開出する毛があり、果実は角張った菱形で両端がやや尖ることで区別
富士山麓(190702)


ヤマツツジ

ヤマツツジ つつじ科
山野に自生する半落葉低木、1〜3m、分枝多く横に広がる
葉:互生、枝先に集まってつく、狭倒卵形または倒皮針形、先鋭形、枝とともに毛がある
花:初夏、枝先に有柄の赤色の花を少数散形状に開く.ガク5裂で小形、卵形で縁に毛.花冠は漏斗型または漏斗状鐘形で5裂、上面に濃紅色の斑点.雄蕊5本、めしべ1本
変化が多い
小野子山(160605)


ヤマホタルブクロ(ホンドホタルブクロ)

ヤマホタルブクロ ききょう科
高地や山麓のれき地に生え、類似のホタルブクロと混生することもある
茎:直立または斜上30〜80cm、粗い毛
葉:根葉は卵形または広皮針形、鈍頭、長柄、花期に枯れる、茎葉は互生、皮針形または卵状皮針形、先鋭尖、基部くさび形または円形、下部の葉は有柄、上部は無柄、低い鈍鋸歯、両面毛
花:6〜7月頃、茎上部に分枝、紅紫色または淡紅紫色で濃い斑点、がく筒は子房と合着、萼裂片間のへりは反曲しない、花冠は筒状鐘形、先は浅5裂、下向き、雄蕊5本、花柱1本、柱頭3裂
富士山麓(170806)


ユキワリソウ

ユキワリソウ さくらそう科
高山帯にはえる小形の多年草
葉:数個あるいは多数根際に集まり、長楕円状皮針形で、縁に鈍鋸歯がある.下部は柄となり、葉面にしわがあり、裏面は淡黄色の粉が着いている
花:夏、10cm内外の花茎を葉よりも高く出し、茎頂に淡紫色で柄のある小花を開く.がくは鐘状で5裂.花冠の下部は筒となり、上部は5裂して広がり、径10〜14mm、裂片は更にやや浅く2裂する.雄蕊5本、雌蕊1本はともに筒の中にある
日本名:雪割草で高山に生えて雪解け直後に開花する
白馬岳(190721)


ヨツバシオガマ

ヨツバシオガマ ごまのはぐさ科
高山の草地に生える多年草
茎:直立
葉:4枚輪生、短柄、根際は長葉柄、長卵形または長楕円状皮針形、羽状深裂、裂片皮針形で鋸歯
花:夏、茎頂に花穂、4個づつ輪生、数層、花冠は紅紫色、唇形、下部細長い筒、上部は2裂唇形、花冠上唇は先端細長いくちばし状、下唇は幅広3裂、2本づつ長さの違う4本の雄蕊
涸沢(170817)、立山(180812)


【ラ行 の 花】


レンゲツツジ

レンゲツツジ つつじ科
多くは高原にはえるが、平地にも産し、庭園に栽培される落葉低木.高さ1〜2mでよく分枝する
葉:倒皮針形で5〜10cm、幅1,5〜3cm、先は鈍形または円形、ふちは全縁で毛があり、表面は光沢がなく、裏面は時に白色を帯びる
花:春、新葉とともに開花し、花は数個散形状に頂生して横向きに開く.花冠は漏斗状鐘形で5裂、径5〜6cm、普通朱紅色で上面に斑点がある.雄蕊5本、雌蕊1本
浅間隠山(190625)


◇表紙   ◆白い花  ◆黄色・緑色の花  ◆紫色系の花   ◇ページTOP