−季刊山梨まんまだより15号−

 2006年3月25日  

お久しぶりです。皆さんいかがお過ごしですか。今回はおたよりが遅れてしまいごめんなさい。3月19日(日)に東京NHKホールで開催した『第2回がん患者大集会』の事をお知らせしたくて遅くなりました。

テキスト ボックス:  第一回目は患者でもある三浦捷一先生のご尽力で開催できたのですが、第2回目は先生にお見せすることができませんでした。昨年12月20日にご逝去されたのです。しかし、患者の声を医療の現場に生かすための道筋はできつつあります。これからも地道な活動を通じ、多くの声を医療の現場に活かせるよう継続していかなければと思っています。そして、我々患者だけでなく、多くの医療関係者や企業、行政も協力してくれている事を報告いたします。  金銭的な協力は多くの企業が、人的協力は患者会と医療関係者が、政策的な受け止めは厚生労働省がん対策推進室が、報道協力はNHKと多くの新聞社が受け持ってくれました。詳しくは大集会のHPでご覧ください。

 大集会URL http://www.daishukai.net/main.html

大会は実行委員長を務めた患者会の代表:内田絵子が開会宣言をして始まりました。癌研有明病院:武藤徹一郎氏の基調講演1、患者代表の基調講演2、医療政策に詳しい近藤正晃ジェームス氏の基調講演3、間に池田千鶴子氏のハープ演奏をはさみ、後半の開場参加型のパネルディスカッションへと続きました。そして、俵萌子さんがまとめた大会アピール文「患者中心の医療へ。その第一歩は・・・」を閉会宣言として終了いたしました。特にパネルディスカッションではいろいろな意見が寄せられました。情報に関する意見が多く出され、患者が必要としている情報をどうやって、どこから取り寄せるかが課題となりそうです。そして医療の均てん化。住んでいる所によって命の値段が変わってくるようでは困ります。それをどうやって均てん化するのかが、これからのIT活用に課せられてくると思います。

さて、山梨県にはがん治療拠点病院がありません。しかし、これは制度上の問題と考えてもいいのかもしれません。簡単に言うと『がん治療拠点病院登録制度に参加しなかった』と言うようなことのようです。だから山梨県では満足ながん治療が受けられないと言うことではありません。最も、未承認薬や保険適応外薬の使用に関しては格差を感じますが・・・。このがん診療拠点病院登録に関しては、今年中に登録される病院ができるでしょう。そして、今回厚生労働省がうちだしているがん診療拠点病院には『専門医の配置』や『相談支援センター』設置が必要とされています。この『相談支援センター』はその病院にかかる患者だけでなく、地域の住民にも情報提供しなければならないと謳われています。きっと、ここ山梨県でも今よりずっと情報提供がすすんでいくものと思います。ただし、医療の提供者が考える情報と、患者が欲しい情報は違います。この違いは患者でなければわかりません。患者として、しっかり意見していかなければならないと思うので、皆さんのご協力をお願いいたします。また、医療の均てん化のための施策として、人口40万人をめどに1箇所の『がん情報ネットワーク』が構想されています。国立がんセンターの『がん対策情報センター』を中心として最新かつ信頼できる情報を日本中に等しく発信する構想です。10月から立ち上げる予定となっているようです(まだ、あくまでも構想の段階ですが・・・)。こんなところにも『患者の声』が活かされつつある事を感じます。

  

俵 萌子さんのアピール文を紹介いたします。

第二回 がん患者大集会アピール

昨年は大阪。
 今年は東京。

北海道からも来ました。車椅子でも来ました。がん患者と家族が、集まってまいりました。

私たちは、いいたかったのです。

がんになったからと言って、転移したからといって、病院や医師に見離されるのはいやなのです。今の日本で望みうる、最高で、最適の治療を、どこに居ても、だれであっても、最後まで受けられる日本にしたいのです。

私たちは、勉強してからがんになるわけではありません。ある日突然、「あなたはがんです」と告知され、あわてて情報をさがし始めます。自分にとって最適で、最高の治療はなんなのか。どこに行ったらそれを受けられるのか。それを知らないことには、インフォームドコンセントさえ成立しないのです

私たちは、昨年第一回大集会のとき「患者のための情報センターを作ってほしい」と声をあげました。さいわいその第一歩は、実現に向かってすでに踏み出されました。私たちは、どんなにうれしかったことでしょう。情報は希望の星です。次の段階は中身の充実です。そのための声と力を私たちは惜しみません。政治や行政、国民のみなさまと手をたずさえて、すばらしい情報センターを作り上げていこうではありませんか。

つぎに私たちが望むのは、患者主体の医療への転換です。たとえば、「緩和医療」です。痛みは患者にしかわからない苦しみです。今の医療は、痛みに対して無頓着といえないでしょうか。どんな場合も患者の苦痛を最大限防ぎながら、治療を進めていく。そんな「やさしい医療」であってほしいのです。

「チーム医療」とか「専門医の育成」とか希望したいことはたくさんあります。が、きょうは取り敢えず、患者会と行政が、はじめて協働作業で作りあげた「がん対策推進アクションプラン2005」の早期完全実施を願うことにいたします。

以上三点に向かって、私たち患者、家族も力をあわせ、努力することをお誓いし、きょう東京、渋谷で私たちの決意表明と致します。

2006年3月19日

第二回がん患者大集会参加者一同

 

全国の患者会が集まって行った『第2回がん患者大集会』ですが、山梨県においても患者の声を聞いてくれる機会がありました。3月24日(金)に、ウェルシティ甲府で『乳がん検診従事者講習会』が開かれ、そこで若尾は講師として「乳腺診療に今、求められていること―患者の立場から―」として多くの意見を提案としてお話してきました。お話した主なものをここにお知らせいたします。

患者の立場に立った診療会話・・ドクターにとっては1対複数でも、患者にとってドクターとの関係は1対1
嫌っているような態度や会話は務めてしないで
大切なことは言葉だけでなく紙面で渡して
ドクターにとって当たり前のことでもわからないことがたくさんあるので「なぜ?」にはきちんと答えて
進行がんの対策・緩和医療の充実
未承認薬の使用に関する窓口設置
ドクター参加の講習会開催(リンパ浮腫、小さな不安、健康食品情報などへの専門家としてのアドバイス)
標準治療に沿っているかどうかの説明
腫瘍内科医による抗がん剤治療を受けたい。早急にかなわないなら腫瘍内科医がいる病院との連携診療
メンタル面でのフォローを検討して欲しい
■患者を1つの人間としてとらえ、単なる臓器を診るような診療は止めて欲しい
電子カルテ導入とチーム医療の検討

また、山梨まんまくらぶはドクターの診療技術が横並びの診療報酬であることに疑問を持ち、良い診療・治療にはそれなりの評価をするべきだという観点から、『抗がん剤治療に伴う技術の差を診療報酬にリンクさせるべきである』と言う訴えをしている活動に参加し、署名(4340名)を厚生労働省に提出した事を報告しました。

一生懸命勉強し、患者のための医療を追及しているドクターも、ワンパターン診療のドクターも同じ診療報酬ではおかしいと思うのです。おいしいケーキは高くても認められれば評判になり、行列してでも買います。それなのに、命にかかわる医療が、どんなドクターでも同じ評価だなんておかしいと思いませんか。評価基準を設定することは大変ですが、診療の質による差別化は必要だと思います。そんな活動を紹介しました。

そして最後に、昨年行われた『第2回市民公開講座』において、山梨厚生病院の柚本先生が行った言葉「僕たちと一緒に頑張りましょう」は、とても嬉しかったことも伝えました。患者とドクターは同じ目的(病気の治療)のため共に努力する共同体です。患者として、ドクターにおまかせ主義はいけないし、ドクターの独壇場でもいけない。患者とドクターが共に治療を考える、つまり「一緒に頑張る」ことが必要だと思います。

これらの『声』を、山梨県の乳がん検診従事者の方々は真剣に聞いてくれました。きっと、山梨の医療は、患者主体の医療実現に向けて大きく変わっていくと思います。そのためにも、我々患者も努力しなければいけないと思いました。

 

最後に、今回はリンパについて勉強してみたいと思います。

乳がんの手術の際、リンパ節を郭清した方も多いと思います。今はセンチネルリンパ節生検をしながらの手術を行える施設も多くなったので、むやみにすべてのリンパ節を郭清することは少なくなったようです。しかし、ほんの少し前まではリンパ節への転移を恐れ、腋下リンパ節を郭清したものです。

全国には、乳がん手術後のリンパ浮腫に悩む患者の会がいくつかあります。その1つに東京を中心に活動している『リンパの会』があります。第二回がん患者大集会で知り合えた患者会のひとつです。その会の代表である金井弘子さんが教えてくださった事を紹介します。

乳がん術後のリンパ浮腫に関しては先年アンケートをとったところ3年以内の発症が多いのですが術後何年たっても(死ぬまでと言ったほうが当てはまると思います)ならないと言う補償はないようです。

書籍のご紹介【法研  リンパ浮腫がわかる本(予防と治療と実践のガイド)】

会員の皆様に好評をいただいておりますしまだ予備軍にとどまっている方にも役に立ちます。

ビデオもご紹介しておりますがリンパドレナージのビデオがありましても、圧迫力など1度でも受けた方にはお勧めしておりますが、まったくその経験がない方には危険なのであまりお勧めしておりません。(以上、金井さんのメールより抜粋)

また、がん治療に関する雑誌からの情報(がん治療最前線2002年11月号)も紹介いたします。それによると、利尿剤や漢方薬による治療はほとんど効果がないばかりでなく、体全体の水分バランスが崩れたり、組織の繊維化が進行したりする場合が多く、注意が必要です。効果的な複合的理学療法を4つ紹介します。

1、感染予防などのスキンケア

皮膚の健康状態に気をつける。

2、手を用いたリンパドレナージ

    特殊なマッサージ法。街で見かける「リンパマッサージ」とはまったく別なので気をつけて。

3、圧迫療法(弾性ストッキング・スリーブ、弾性包帯)

    高額であり、あまり長持ちしない。季節によっては使いにくいこともある。

4、圧迫した上での運動療法

    無理をしない程度の散歩などで、リンパ液の流れを促す。

完治がないリンパ浮腫で、これらの事を毎日きちんと実行するのは大変な根気と努力が要りますが、少しでも浮腫を改善し、より良い生活を送るために、化粧などの顔の手入れと同様に、手足も手入れするという気持ちで続けていくことが大切なようです。リンパ浮腫に関しては、EBM(科学的根拠に基づいた医療)が少なく、患者自身に大きな負担がかかっていることはとても残念ですが、現在を少しでもよりよく生きるために、患者同士の情報交換などで正しい知識を持つことが大切だと思います。

このなかで紹介されているリンパ浮腫に詳しい医療所、団体

 あすなろ会(大阪)

598−0072 大阪府泉佐野市泉が丘4−10−14  会長:森 洋子

メール: wywm@basil.ocn.ne.jp

 あすなろ会(東京)

〒120−0023 東京都足立区千住曙町41−2−B203  副会長:東 厚子

メール:suzy@hi-ho.ne.jp

 リズム徳島クリニック

〒770−0047 徳島市名東町2丁目559−1 
     FAX
 088−634−1630

 後藤学園附属第二臨床施設リンパ治療室

〒142−0016 東京都大田区大森北4−1−1 
    電話 03−5753−3937

次回『山梨まんまだより』では、未承認薬や保険適応外薬の使用に関する情報をお知らせしようと思います。                         

−季刊山梨まんまだより14号−2005年12月1日

2005年大晦日ももう秒読み。新しい年を迎える準備をする季節となりました。皆様はいかがおすごしですか。山梨まんまくらぶ2005年は、ピアカウンセリングのほかに乳がん検診受診推進活動として『乳がん検診を促すための寸劇』に挑戦してみました。  乳がん検診を人事だと思わず、当たり前のこととして受診するための啓発と、乳がんへの誤解を解くための内容を盛り込んだ寸劇です。親しくさせていただいている『劇団 さくらっ子』の全面協力の下『人生は2度ない』と言う題目で何度か上演いたしました。その他、山梨県で活躍している乳腺疾患研究会のドクターが主催する市民公開講座においても『乳腺外来の診察室で』と銘打って、乳がん検診やマンモグラフィーに関する基礎知識を寸劇でわかりやすく演じてみました。初めは恥ずかしいような難しいようななんともいえぬ緊張感でしたが、やっているうちに癖になりそうな充実感を味わうことができました。これを契機に、『劇団 さくらっ子』の応援なしでも、楽しみながら寸劇を織り交ぜた乳がん検診受診推進活動ができたらいいなと思っています。ぜひ仲間として一緒に演じてください。きっと楽しいひと時が過ごせると思います。その気になったら若尾まで電話かメールをください。

2005年を振り返って

2月  P ET講習会参加(がん診断におけるPETの役割学習)
3月  甲府富士屋ホテルにて親睦会
4月  横浜市立病院形成外科にてマイクロサージャリーによる乳房再建術学習会    甲府市長との談話
5月  山梨まんまくらぶカラーバージョンのパンフレット完成
    山梨ソロプチミストからクラブ賞いただく
6月  県立大学看護科にて患者として医療に期待することを話す
    寸劇『人生は二度ない』練習開始
7月  九段会館にてチーム医療のセミナー参加
       JPOSH主催「がんのお話」参加
9月  甲府市女性セミナーにて『人生は二度ない』上演
10月 ぴゅあフェスタにて『人生は二度ない』上演
    ドクター主催「第2回市民公開講座」にて『乳腺外来の診察室で』上演     第2回回がん患者大集会事前背会議出席(来年は東京NHKホールで開催)    ぴゅあ総合「性の心と体セミナー」にて『人生は二度ない』上演
11月 地域おこし交流広場(県民の日イベントin小瀬)フリマと乳がん検診受診    の呼びかけ・・・楽しかった! 
12月 キャンサーネットジャパン主催『乳がん市民公開フォーラム』参加


10月に行われた『第2回乳がん市民公開講座』はとても好評でした。大まかですが、その様子をご報告いたします。

第2回 乳がん市民公開講座
―適切な乳がん検診について、また放射線治療について学びましょう

司会 Dr井上 慎吾(山梨大学医学部付属病院第一外科)

【第一部】    乳がん検診について

@「乳腺外来の診察室で」・・・寸劇でのドクター役は山梨厚生病院・Dr柚本 俊一

 第1幕:「毎月1回自己検診、2年に1回マンモグラフィー・・・その わけは」

 第2幕:「心配させないでよ!いったい要精検ってどんな場合なの?」

 第3幕:「マンモグラフィーは万能か?」

A「適切な乳がん検診とは」・・・Dr野方 尚(社会保険山梨病院外科)

山梨県内では、乳がん年齢(30〜70歳)女性は約21万人存在する。
  そのうち、1年に700人に1人が乳がんになるとすると、それが40年続くわ けだから  1/700×402/35・・・5.7%の女性が乳がんになる計算だ。  言い換えると、統計によると18人に1人が乳がんに罹ることとなる。だからこ の年代の女性には、胃がん検診より乳がん検診のほうが大切だと思われる。

 この乳がん検診において、病院ならどこでもいいというわけではない。医者が手 を上げればどこでも検診をすることができる現状なのだから、それを受ける人が 選んで受診するべき。
  マンモグラフィー検診制度管理中央委員会認定の医師や検査技師のいる機関を 選ぶことが大切。
  患者が判断するときの参考として、『認定書』が役立つ。待合室などに飾って あるはず。
  また、マンモグラフィーは決して万能ではなく(デント・ブレストのように脂肪 性乳腺は全体が白っぽく写ってしまい、判定が非常に難しい)、エコーとの組み 合わせが必要。エコー検査においてもまた、写す技師、読む医師の技術の差が大 きいことを知っておくべき。

【第二部】                乳がんに対する放射線治療・・・Dr大西 洋(山梨大学医学部付属病院放射線科) 

放射線治療は決して怖い治療ではない。そのことを初めに言いたい。

放射線治療を受ける患者の割合は

      アメリカ 60%      日本   18%

  これは、日本では乳がんの温存治療重視が遅れたことによる弊害だと思われる。  これからはもっと、転移・再発予防や、緩和治療に使われるべきだと思う。

  放射線治療の特徴 
    1 低侵襲(身体に優しい)
    2 臓器の形態や機能の温存が図れる(治療後直ぐに基の生活に戻れる)
    3 手術よりも安い

また、今『インフォームドコンセント』が言われているが、これは『説明と同意』ではなく『説明と選択になるべきだと思っている。同意させるのではなく、幾つかの治療法を提示して、患者さんに選択してもらうことが本来の意味だと思う。そして、多くの選択肢に放射線治療をもっと取り入れていって欲しい。

治療においては、転移・再発の予防や緩和治療に使われるが、一般に1回2Gyを5週間おき25回放射する。合計すると50グレイとなる。(表現の仕方50Gy/25回/5週間)
主な副作用をあげると以下のようなことが起こりうる。

急性期:直後に生じるもので、放射線皮膚炎が多くあげられるが、心配要らないものが多い。
晩期:後から現れるもので、半年くらいの期間観察が必要。 
症例として浮腫 5% 骨折 2%  放射線肺炎 1% 
などが、あげられる。これらは、本当に放射線治療の影響なのか、その因果関係をはっきりさせることが難しい。しかし、放射線治療による効果を考えるると、しり込みするほどの重大な副作用になる場合は少ない。

再発乳がんにおける治療効果も高い。
骨転移や脳転移の痛みや辛さを8割軽快。また、腫瘍縮小も得られる。患者のQOLが高まり、
積極的な緩和治療のひとつと言える。

乳がんの転移先は、以下の割合で起こるとされている。

  骨    脳    肺    肝臓

 60%  15%  60%  60%

これらの症状を約8割の可能性で緩和。治療日数も短くて済むので、ぜひ相談して欲しい。

―問題点―
  治療ができる施設が少ない。

現在、山梨県で放射線治療ができる施設は以下の4病院。
 市立甲府病院
  山梨県立中央病院
 山梨大学医学部付属病院
 富士吉田市立病院・・・一部のタイプ

山梨県におけるこれからの医療の充実を、大いに期待したいところです。

今回の公開講座では多くのアンケートを回収させていただきました。そのなかの一部を紹介いたします。

【原文のまま】

■第1部の寸劇は大変わかりやすく良かったです。乳癌検診・放射線治療のあり方についても意義のあるお話でした。ありがとうございました。個人個人の自覚が病から、すくわれるのだと思います。まずは検診をしましょう。

■野方先生のお話に中にあった良い医師よい病院はどの様に探したら良いのでしょうか。今、通っている病院から別の病院でも診察を受けたいのですが、その場合、それまでのカルテ等は出していただけるのでしょうか?医療用語からはじまって知識もなくお医者さんにはなかなか率直には聞く事も出来ません。この団体はその様な質問や相談を受け付けていただけるのでしょうか?そんな機関があればありがたいです。今回の講座は折り込みチラシで知りました。次回もこの様な機会があったら、参加したいです。

 

第2回がん患者大集会の情報

2005年5月、大阪NHKホールで『第1回がん患者大集会』が開催されました。患者としての声を実際の医療現場に生かすべく、日本中のがん患者に呼びかけ、集まれる人は大阪に集まり、意見を出せる人は何かしらの形で声をあげた集会となりました。そこでは、患者のための医療情報センターの必要性を訴え、尾辻厚生労働大臣に、『日本がん情報センター(以下、JCIC)構想早期実現のためのアピール文を手渡したのです。その結果か8月25日には、患者団体側からの要望(JCIC構想)が大幅に取り入れられた情報センター構想を含む「がん対策推進アクションプラン2005」案が厚生労働省から発表されました。この動きを少しでも加速させるべく、来年3月19日(日)に、東京NHKホールにて『第2回がん患者大集会』開催する準備をしております。山梨まんまくらぶも共催団体として意見・要望を提出しています。その際の内容を一部紹介いたします。

 “医療者用(臨床研究者用)情報”と“患者用情報”に分類し、それぞれの情報について別個のセンターとして連携体制をとる
  患者情報室充実及びそのために必須となる医療コーディネーター育成

医療コーディネーター・がん登録士の人材確保
 当面の対策として役割を担える人材を活用、長期的な対策として医療短期大学等に専門講座 の設置、精神的・社会的相談に対応しうるボランティアの活用
  患者情報室の独立性の維持(運営資金の確保)
 他医療機関の紹介や、患者からの担当医や医療機関に対する不満、疑問等の相談を受ける 場合等に支障が出る恐れがあり独立性の維持、そのための運営資金確保等の検討が必
  医療用電子情報システムの開発
 JCICとの連携等に不可欠であり、地域がん診療拠点病院に関しては可及的速やかに全ての 医療機関で電子カルテ普及に努力する
  医療コーディネーター・がん登録士の人材確保
 地域がん診療拠点病院にがん患者情報室設置を義務付けることも必要であるが機能を発揮 するための方策にも重点を置き、全てのがん患者、時には自宅療養患者であっても利用でき るようなものとする

  腫瘍専門医の育成

根本的な腫瘍医育成には大学医学部講座内容の見直しが必要
 従来からある大学講座の固定観念から離れ、腫瘍関連医療に特化した講座開設
     国立がんセンターに集学的医療チームを設置し(すでに同様な機能が存在する場  合にはその活用も含む)JCICと連携、腫瘍専門医育成コースとして臨床現場での研修 及びJCICでの研修体制を整備する
より患者の立場に立った医療が受けられるよう、患者と家族、医療提供者が手をつなぎ、より良い医療環境の実現に力を出し合いたいと思います。ぜひ、ご協力ください。お問い合わせは若尾までお願いいたします。                              

−山梨まんまだより13季刊・秋号−

まだまだ暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしですか。前回のお便りが6月でしたから、あれから3ヶ月経ったわけですが早いものです。7月・8月と非常に暑い日が続いたのでいつもの年より秋が来るのが楽しみです。

さて、今月9月30日に甲府市市民会館において、甲府市役所福祉保健健康衛生課主催で『女性セミナー』が開かれます。「自分の健康を守るために、自分の身体を知ろう」というテーマです。そのなかの乳がん予防コーナーで、寸劇『人生は二度ない』に参加いたします。今回は劇団さくらっ子の全面協力をいただきましたが、いずれは山梨まんまくらぶとして演じられたらと思っています。ぜひ実際にご覧いただきたいと思います。みんなで寸劇活動やってみませんか。きっと楽しいと思います。
寸劇に参加した私の感想は、「すごく楽しくて、独特の快感があった」です。

入場無料ですので、足を運んでみてください。そして、一緒に楽しくやってみましょう!!参加していただける方は若尾まで連絡をお願いいたします。

−今回は未承認薬について調べたことをお知らせいたします−

未承認薬についてわからないことがたくさんありますが、一部の情報ですが調べた範囲で整理してみました。

未承認薬とは、欧米諸国で承認されているが、日本国内では未承認の医薬品のことを言います。

これはその安全性や有効性が日本人において確かめられていないため、安全かつ有効に使える裏づけを取るまで使用を認めないという処置だと思われます。慎重でありがたい処置だと思いますが、見方を変えると試してみたい薬がなかなか使えないということなります。しかし、国内で認められている薬だけでは効果がない場合など、未承認薬に頼りたい状況も現れます。そんな時どうすればいいのか。

その薬が厚生労働省で治験薬として認められると、一定の条件で使うことができます。しかし、この条件もいろいろあり、その情報を必要とするすべての人に治験薬使用の内容が届くわけではありません。使用を認められた病院のドクターから話を持ちかけられて試す機会を与えられる情況が現実だと思われます。山梨県のようにがん治療拠点病院がないと、ドクターが使ってみたくてもそのような状況にはなかなかならないと思われます。また、治験薬使用に対するエントリー期間も決まっていて、その時期を逃すとチャンスは失われます。

このような作業によってその安全性や有効性が日本人で確かめられていくわれですから、とても大切なことなのですが、チャンスは平等ではありません。現段階では、早く承認が取れて、必要とする一般の患者は誰でも使えるようになることを祈るしかありません。

 また、このチャンスにめぐり合ったとしても、あくまでも未承認薬なので、その費用は実費です。混合診療の規制がゆるくなったので、保険診療まで実費とはなりませんが、あくまでも薬代から医療行為に対する治療費まで実費となります。1回に何十万もかかることになるわけです。命はお金に代えられないとは言ってもやはり大きな負担となります。

また、未承認薬使用に関する情報で、信頼できかつ現実的に実行可能な情報提供が与えられる場が見当たりません。自分が納得できる医療を探す手段が見当たらないのは、辛いものがあります。多くの人の情報が集まれば、少しずつでも開かれた医療の場となっていくものと思われます。個人的な治療情報でも、提供できることがありましたら若尾まで連絡をお願いいたします。

メルアド yamanashi_mamma@ybb.ne.jp


提案と協力お願い

2006年秋 『山梨がん患者大集会』を開いてみたいと思っています。初めにも載せましたが、患者同士の連携や情報の共有化が進めば、今よりも治療の選択肢が増えるように思います。

そのために、一度、診療科を問わず、山梨県のがん患者が一同に集まり、何が必要なのか、患者はどんなことを知っているべきなのか、などなど、話し合ってみたいと思います。

そこで、企画やタイムスケジュールなど一緒に考え、実行してくれる方を募ります。限られた時間のなかでの協力で結構です。大勢の知恵が集まればきっと有意義なことができると思うのです。

一人でも多くのご協力をお願いいたします。

お問い合わせ、参加希望者は下記メルアドまで連絡してください。

件名『山梨がん患者大集会スタッフ参加』

Yamanashi_mamma@ybb.ne.jp   よろしくお願いいたします。

電話、郵送でも結構です。     п@ 090−4023−4991

住所 〒400−0031 山梨県甲府市丸の内2−35−1

山梨県ボランティア・NPOセンター内『山梨まんまくらぶ・若尾 直子』

これからの行事予定・・・すべて当日参加・協力OKです。

 ふるってお出かけください!

9月30日(金) 甲府市女性セミナーにて寸劇『人生は2度ない』 甲府市民会館3F 13:30

10月2日(日) ぴゅあ総合フェスタにて寸劇『人生は2度ない』 ぴゅあ総合2F 10:00

10月8日(土) 乳腺疾患研究会市民公開講座『大切な未来のために』後援 県立文学館講堂14:00

11月12(土)・13(日) ふれあい交流広場にてフリーマーケット 小瀬スポーツ公園 終日

お願い・・・遊休品や小物などがありましたらフリーマーケットにご提供ください。販売しながら『まんまくらぶ』の活動内容や、乳がん検診の大切さを訴えたいと思います。

地域間格差解消への取り組み

―がん患者に良質な診療情報提供

  来年度創設・厚生労働省方針―

山梨県に住んでいると医療の地域間格差に愕然とすることがある。これは山梨県だけの問題ではなく、首都圏など大都市以外の地域では、どこも同じような悩みを抱えているようです。この問題に対し、やっと国が動きを見せてくれた。以下、共同通信社からの情報をお知らせします。

良質ながん情報を患者に 厚労省、情報ネット構築へ がん難民救済で緊急対策 <1>


2005826日】

 厚生労働省は25日、がん診療の良質な情報を全国どこでも患者や家族が得られる情報ネットワークの構築を柱とした緊急総合対策「がん対策推進アクションプラン2005」に取り組むことを決めた。

 納得いく医療や信頼できる医師を求め病院を転々としたり、不信感から行き場を失ったりした〓がん難民〓を救済してほしいとの患者団体の要望を受けた措置。アスベスト(石綿)によるがんの一種、中皮腫の研究にも重点的に取り組む。

 厚労省は「現状改善や患者らの不安解消のため、対策の飛躍的な向上を目指す」(がん対策推進本部)として、2006年度の概算要求に約200億円を盛り込んだ。

 プランでは、国立がんセンター(東京・築地)に対策情報センターを設置し、関連学会や患者団体と協力、最新の治療法など患者に役立つ情報を提供するネットの中核とする。同センターでは、へき地と都市部の病院間で行う遠隔診断の運営管理や、治療後の経過を追跡し各病院の治療成績が算出できるがん登録制も推進。医療関係者の研修を通し地域格差のない医療を目指す。

 また、ネットの一環として、相談支援センターを全国の地域がん拠点病院に新設。各地域の病院の診療機能や入院待ちの時間、主治医以外の意見を聞くセカンドオピニオンを担当する医師などを紹介する。

 基本戦略では、これまでの対策を患者の立場で総点検し、高精度な検診の実施や、未承認抗がん剤の早期の適正使用などの重点策に当たる。

 同省の検討会は4月、各病院の治療成績などの提供体制が未整備だと指摘。大阪市で5月に開かれた「がん患者大集会」では、患者主体の情報センター設立を求めるアピールが出された。

2006年度の予算に盛り込まれただけなので直ぐにその恩恵に与かれるわけではありませんが、期待したい対策です。山梨県には今のところ、がん治療拠点病院がありません。しかし、最新の情報や、他県の医療状況が簡単に検索できるようになれば、きっと個人の選択肢も広がり、より納得できる治療が受けられるものと思います。患者が声をあげることで、患者のための医療が実現されていくのでしょう。山梨でも「がん患者大集会」により、少しでも生の声を集められたらいいなと思います。


−ちょっとためになる?薀蓄−

紫外線による日焼けと疲労

紫外線は、単に皮膚を日焼けさせるだけでなく、疲れとも密接に関係があります。免疫系を抑制したり疲労を生じさせることがわかってきたのです。目に照射された紫外線が脳に影響を与え、疲労物質を出したり、驚くべきことに、全身の皮膚を黒くする(日焼けさせる)こともあるそうです。したがって、紫外線対策としてサングラスを上手に使うことは、夏の疲れを少しでも軽減するのにとても役立つようです。

                                 武田薬報442号 S特集より抜粋
                      大阪市立大学大学院医学研究科
                       生化学・分子病態学講座教授
                               井上 正康



―季刊まんまだより12号―

2005年6月15日

今回より、『山梨まんまだより』は、内容を充実させ、季刊による発行といたします。

季刊誌第一回目は、山梨県立中央病院に関する情報をお届けいたします。

 我々の住む山梨県は県としての規模が小さいせいか、周りを取り囲む県に比べ、医療に関しても地域格差が感じられます。しかし、乳がん治療の成績を表したデータのなかに注目に値するものがあったのでお知らせいたします。
 また、3月に開設された『女性専門外来』を受診したときの感想も合わせてお読みください。


―女性専門外来を受診して―

先日、山梨県立中央病院の女性外来を受診した。肝機能の数字が悪いことと、ホルモン療法や年齢による女性ホルモンの減少などをどう関連して捉えたらいいのかアドバイスを受けようと思ったからだ。それに、ちょっと精神的に不安定なところもあったのかもしれない。そのときの感想をお知らせしようと思う。

4月6日(水)9:00AMあらかじめ予約しておいた女性専門外来を訪れた。1階東側の奥まったところに女性専門外来の受付がある。
 隣の外来が泌尿器科(男性が多い)であることを除けばいい感じだ。ちなみにもう片方のお隣は小児科。
 開設当初ということもあるのだろうが、スタッフはとても親切で、診察のための予備的な予診票もたっぷり時間をかけて書けるので、自分が質問したいことをもう一度整理しておくことができる。診察は9:30AMからなので女性専門外来のスタッフと一緒にじっくり記入することができた。
 この段階で「自分は何について聞きたいのか。何が不安なのか。何を調べてもらいたいのか」組み立てておいた。

 あらかじめ持っていた肝機能に関する数年分のデータは、担当のスタッフがコーピーして予診票に付けてくれた。

 予約の時間少し前に名前が呼ばれ、診察室に入った。担当医は縄田昌子ドクター。とても穏やかな感じのドクターで、話しやすい。すでに予診票に目を通してあるらしく、スムーズに言いたいことが伝わったと思う。私の話を、途中でさえぎることなく聞いてくれ、決め付けるような話し方はしない。病歴・日常生活・日常での運動量・アルコールの量・服用している薬との関係・医療として期待できることできないこと・精神的に抱えている不安などたっぷり話すことができた。私の場合はもう必要ないが、きっとセカンドオピニオンの相談にものってくれると思う。

 女性にとって広い相談窓口だ。この外来を充実したものにするかどうかは受診する我々女性にかかっているかもしれない。30分を越す外来診療の後、この『女性専門外来』を大切に育てて生きたいと思った。

ちなみに、県立中央病院初診の私は、初診時自費負担金2625円+患者負担の診察料(30%)1100円しめて3725円支払った。

 健康上の不安を、『女性』と言う立場から総合的にアドバイスしてくれるこの外来を上手に使うことをお勧めいたします。


日経ネット「いきいき健康」からの情報

山梨が誇れるニュースです!!

 日本経済新聞社と医療専門誌「日経メディカル」が実施した調査『乳がん治療成績上位30の病院』(http://health.nikkei.co.jp/)によりますと、山梨県立中央病院・外科が治療成績トップにあげられました。首都圏の病院に比べ症例数が少ないことや、調査の基準を統一することが難しいなど、この順位がすべてを表しているとはいえませんが、嬉しい結果です。中央病院の中込博主任医長の言葉を紹介します。

「乳がんの手術自体は難しくないが、術後の治療が患者の生存率を左右する。日本乳がん学会が定めた標準治療のガイドラインに沿って治療している。新しい抗がん剤が登場するたびに患者の状態をよく診て、効果的に投与していることが好成績につながったのではないか」

 山梨の乳腺疾患専門のドクターたちの頑張りがわかって心強い思いです。
さらなる治療施設の充実を期待したいところです。

以下30位までの病院リストは日経HPでご覧ください。
http://health.nikkei.co.jp/hranking6/index.cfm?i=2005022803031pl

 多くの情報が氾濫する中、自分にとって最良かつ実行可能な治療に行き着くことはとても骨の折れることです。しかし、すべてを医者任せにせず、患者自身も治療に参加する姿勢を持たなければいけないと思っています。納得できる医療を受けるために少しでも多くの最新情報を一緒にキャッチしていきましょう。


―アストラゼネカからの術後補助療法に関する情報―

 

これは2005516日に英国で発表されたプレスリリースの翻訳です。


乳がんのケアは最初が重要

アリミデックス錠(R)(アナストロゾール)を術後に最初から投与を開始することで、より多くの女性が乳がん再発の危惧から長く開放されることを示す最新データが発表される

2005516日月曜日、英国 マクレスフィールド:
本日、閉経後乳がん女性において、アリミデックス錠(R)(アナストロゾール)投与により、乳がん再発の危惧から長く開放されるという重要なベネフィットを示すATAC*試験1の最新データが、フロリダ州オーランドで行われている米国臨床腫瘍学会(ASCO: American Society of Clinical Oncology)において発表されました。

本試験は、早期乳がんの術後5年間、アナストロゾールかタモキシフェンのいずれかを服用した閉経後乳がん女性において効果や安全性等を比較した試験です。その結果、アナストロゾールを術後に最初から投与開始することにより、タモキシフェンと比較し、乳がん再発の多くを予防することが示されました。また、血栓や脳梗塞、子宮癌などタモキシフェンに関連していると思われる副作用の幾つかを回避するというデータも示されました2

この試験結果について米国テキサス州のMDアンダーソンキャンサーセンターのBuzdar医師は以下のように述べています。

乳がんは術後の2〜3年の間に再発するリスクが最も高くなります。実際、ATAC試験においてタモキシフェンで治療された患者とアナストロゾールで治療された患者ともに再発した患者の半分以上は、最初の
2年半の間に観察されました。このことから、もし閉経後乳がん女性が、最も有効な治療を最初から投与される機会を与えられなければ、乳がんの再発リスクが高まることになるということを明確に示しています。

生命を脅かす副作用から女性を守る
乳がんの再発防止に汎用されいるタモキシフェン治療において、それ自体から起因すると考えられている憂慮すべき副作用は子宮体癌のリスクの増加です。ATAC試験から得られたデータが十分に検討された今、良性または悪性の子宮腫瘍と診断された症例は、アナストロゾール群と比較してタモキシフェン群では3〜4倍高く、このことにより、タモキシフェン群では子宮摘出手術を受ける女性がアナストロゾール群と比較して4倍も高いという結果が示されています3。肺塞栓や脳梗塞を含む血栓も、アナストロゾール群と比較してタモキシフェン群では50%上昇しています。
一方、タモキシフェンと比較して、アナストロゾールでは骨折のリスクは増加します。この点に関してBudzer医師は、
骨折を起こしうる症例はある程度予測することができるので、積極的に管理することが可能です。と解説しています。さらに医師はしかしながら、タモキシフェン群における憂慮すべき生命を脅かす副作用を予測・予防することは、それよりもずっと困難なことです。と付け加えています。

長期に目を向ける
ATACのデータから、乳がん再発の危惧から長く開放するという点においても、重篤な副作用を回避するという意味においても、アナストロゾールがもたらすベネフィットは、術後の初回治療からアナストロゾールの投与を始めることで得られるということが明らかにされました。しかしながら、治療初期から2〜3年間タモキシフェンを投与し、その後アロマターゼ阻害剤に治療を切り替える治療法から得られるベネフィットについてははっきりしていません。ロンドンのWolfson予防医学研究所Cancer Research UKJack Cuzick教授は、これらの治療戦略について術後10年間という長期間の効果を予測するためにあるモデルを用いて研究を行いました4
Cuzick
教授は次のように述べています。我々のモデルが示唆したことは、どのような場合においても、アナストロゾールを治療の最初から開始し、その治療を継続した方が、タモキシフェンによる治療を開始した後にアナストロゾールに変更するよりも良いということです。さらに教授は、再発の危険性をさらに低下させるには、タモキシフェンによる治療が2〜3年経過してからアナストロゾールによる治療に変更する方法が考えられるが、このことは、アナストロゾールが治療開始時から使用されていたときにもたらされる最初の重要な期間におこる再発を回避できることを補うには不十分であるといえます。と付け加えています。

しかし、既にタモキシフェンによる治療を開始している女性にとっては遅いのだろうか?
術後にアナストロゾールで治療を最初から開始したときに最もベネフィットが得られるということが今回明らかになりましたが、既にタモキシフェンによる治療がされている女性5,6、あるいはタモキシフェンによる治療の終りに到達しようとしている女性においても、本剤で得られている広範なエビデンスによると、この機会を逃すことはないということを示しています。長期的に得られるベネフィットは、アナストロゾールを治療の最初から使用した時と比較するとそれほど大きくはないが、タモキシフェンからアナストロゾールに治療を切り替えるということは、タモキシフェンによる治療を5年間継続するよりも良い選択肢です。Cuzick 教授は続けて述べています。さらに、同じく本年のASCOにおいて発表されたABCSG 6a試験からの新たなデータは、5年間のタモキシフェン治療を完了した症例がその直後からアナストロゾールによる治療をさらに3年間継続することによっても乳がんの再発防止期間をさらに延長することを示しました7

アナストロゾールの充実した臨床エビデンス、および、新たな臨床ガイドライン8が示すことは、今後さらに多くの患者さんにアナストロゾールを治療の最初から開始する機会が与えられるということです。Buzdar先生は以下のように述べています:今ひとつのことが明らかになりました。女性は彼女たちが受けるに値するものを与えられるべきであるということです。それは、治療のできる限り早い段階において、乳がんを封じ込めることができる最良の機会を与えられるべきだということです。
 

注)ATAC: 'Arimidex', Tamoxifen, Alone or in Combination

 少し専門的な部分もあり、また、日本語への翻訳文ということもあって、わかりにくい言い回しがありますが、最新の情報です。

 この中で言う『閉経』とは血中の女性ホルモン量が関係してくるのですが、乳がん治療において血中エストロゲン量を検査することは保険で認められていないようです。

 患者の声が大きくならないと、本当の意味で『患者のための医療』『患者中心の医療』実現がなかなか進まないのかもしれません。
                                             若尾直子

人生は二度ない

乳がん検診受診推進活動第一弾として計画している寸劇の報告です。

6月からいよいよ練習に入りました。男女共同参画を演劇を通して推進活動している『さくらっこ』に全面的に協力してもらい、実現しました。9月26日(月)に甲府市が甲府市民センターにおいて開催する「女性セミナー」で披露いたします。当面はこの練習を活動の主体とし、定例会を兼ねていこうと思います。練習日はおおむね火曜日です。興味のある方は若尾まで連絡をお願いいたします。


気づいたら6月。2005年も半分過ぎてしまいました。いつものことながら時の経つのは早いものです。前回のお便りでもお知らせいたしましたが、『山梨まんまだより』は今回(夏号)より内容を充実させ、季刊誌といたします。次回の発送は9月(秋号)となります。それ以降は12月(冬号)、3月(春号)といたします。皆様の投稿をお願いいたします。投稿はメールまたは郵送でお願いいたします。

400-0031

山梨県甲府市丸の内2−35−1

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