手仕事つれづれ  急須を作る

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◎・・・写真をクックして大きな画像をどうぞ。






 喫茶去(きっさこ)―お茶を飲んでお行きなさいー

 峻厳な禅風でしられる趙州禅師の言葉だとか。深い悟りの境地は窺い知れませんが、好きな言葉です。それになかなか便利です。「人生の意味は?」などと聞かれたとき「喫茶去」といって一服のお茶をたてれば通人風。「ここ一番のの心構えを」ときかれて「お茶を飲んでいきなさい」と答えれば達人のごとしです。

 紅茶も大好きですが煎茶もしみじみしていいものです。自分一人のために水を選び好みの器でほっと一息つくのも悦ばしい。親しい人との円居も愉しい。日々のお茶を美味しくいただくことは、ささやかだけれど大切なことですよね。

 色絵や赤絵はあまり硬いものでゴシゴシ洗うのはお奨めできません。スポンジで優しく洗うだけで磁器はきれいになります。使いこんで頂いてこそ焼き物。 時間をかけて器は育ちます。日々の思いの節目をきざんで、人も器も一緒に深くなるのでしょう。喫茶去、いい言葉ですね。(おるか)

   人に会はぬ一日は疾しお茶の花   おるか

   しぶちんの日影よろこぶ節分会   おるか


 写真(左)の急須は新作で、近作の二つの茶碗に合うものをと思いました。取り合わせの妙を楽しみたいです。土ものと磁器、赤絵と染付、漆器と焼き物、・・・いろいろありますが・・・ここでは染付と染付。でも、急須は土もの風のくだけた感じ、押しつぶしたような横に広がる形、でやや密に雲と飛馬を描いてあり、茶碗はそれぞれ、縦に筋、茶の花、のあっさりした絵付けで形は縦長にすっとしています。

 茶托は佐竹康宏さんの作です。二つの茶碗とこの茶托は佐竹さんと私たちの三人で、丸八製茶場新社屋内の喫茶コーナーのためにデザインしました。すっとたっている茶碗に対して、きりっとした味わいで水平な形、縁が少し立ち上がっていて、ここでも取り合わせの妙があります。冬の日だまりで熱い焙じ茶はいかが。(オットセイ)

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