センテンスポイント

第70日 知夫里−米子

2001年8月5日(日) 参加者:安藤・横井

第70日行程  隠岐最終日となる今日はレンタカーで知夫里島観光を行う。知夫里島レンタカーは「ホテル知夫の里」で貸し出し手続きを行っているが、これまたホテルの場所が悪い。民宿「坂荘」からだとさらに徒歩で40分坂を登っていかなければならないのである。宿の女将さんに相談するとホテルまで送ってもらえることになった。快諾してもらえた理由は単純で、民宿の娘さんが「ホテル知夫の里」の従業員であったのである。
 「ホテル知夫の里」はこれまでの知夫里島とはイメージの異なる小奇麗なホテルであったが、借り受けたレンタカーはお粗末なものである。車体は錆びてところどころに腐食して小さな穴が開いている状態。エンジンがかかるのが不思議なぐらいである。
 ハンドルを安藤クンに預けていざ出発。走り出して気が付いたのだがガソリンの残量が乏しく、途中でガス欠になるのではないかと気が気ではないが、いざとなったらホテルに電話して救援に来てもらえばいいだろう。
 最初のポイントは島の西部に位置する知夫里島灯台。観光ポイントとしてはほとんど無視されているが、島の西部にある唯一のポイントなので訪れないわけにはいかない。春には牛が泳いで海を渡るという島津島を右手に細い坂道を登る。薄毛という小さな集落を抜けて灯台へ通じる遊歩道のある駐車場に到着。ここから灯台までは徒歩が頼りの健脚コース。階段状の遊歩道を10分近く登って白い知夫里灯台にたどり着いた。
 知夫里島は隠岐でもっとも本州に近い島。目を凝らせばかすかに本州の島影が見える。向きを変えれば昨日まで旅した西ノ島や中ノ島が目前に広がり、なかなかの眺望だ。知夫里島の観光名所としてもっと宣伝してもよさそうなものである。
知夫の赤壁  来居港近くにあるループ橋、知夫里大橋を経由して赤ハゲ山展望台を目指す。道路の途中に放牧ゲートがあり、西ノ島と同様に放牧地区に車を乗り入れる。牛馬が道路を横切るたびに停車して、通り過ぎるまで待たなければならないが、知夫里島の牛馬は躾がよろしく、道路の前方を歩いていても車が近づくと道を空けてくれる。気分はサファリパークだ。
 灯台から45分程でたどり着いた赤ハゲ山展望台には先客の家族連れがいた。知夫里島で初めて観光客に出会い、「ホテル知夫の里」の宿泊客であろうか。駐車場に停車しているのは軽トラックで、どうやら荷台にも乗り込んできた模様。私たちが展望台に登ると入れ替わるように立ち去ったので、展望台は貸しきり状態になる。赤ハゲ山の展望台は標高325メートル。知夫里島展望台は149メートルだし、赤ハゲ山の周辺には視界を遮るものは何もないので360度のパノラマが広がる。知夫里島の観光協会が灯台を宣伝する気にならないのも納得だ。しばらくすると学生グループがやってきて騒々しくなったので退散する。
 知夫里島のもうひとつの観光名所は知夫の赤壁である。赤壁自体は昨日の西ノ島の観光船からも眺めたのであるが、知夫の赤壁はスケールが違うと聞いたので楽しみである。遊歩道ではないかと疑うぐらい荒れた道路を走り、猫ヶ岩屋古墳近くの駐車場から今度は本当の遊歩道を歩く。赤壁へ続く遊歩道には牛馬が入り込まないように柵が設けられている。
 5分程歩いてたどり着いた知夫の赤壁は見事としか言いようがない。ザックリとえぐりとられた真っ赤な岸壁が紺碧の海に落ち込む姿は圧巻である。横井クンが遊歩道途中で休憩して、展望台まで登って来る様子がなかったので、大声で呼ぶ。この景色を見ずに引き返してしまうのはもったいない。隠岐最終日にしてこの旅一番の景勝を目にすることができ、満足しながら赤壁を後にするのであった。
知夫里島  牛の群れに車を囲まれるというハプニングに見舞われながら、知夫里島最後のポイントである仁夫里浜公園に立ち寄り、10時20分に「ホテル知夫の里」に帰還。幸いにもガス欠にならずに済んだ。来居港まではホテルの送迎があるので、その間にホテルの土産物コーナーを冷やかす。貝殻のアクセサリーの類が多く、隠岐で採取できる黄色や紫色をした天然の貝殻で作られたものとのことなので、キーホルダーを記念に購入した。
 来居港11時出航のフェリー「おきじ」で知夫里島に別れを告げる。偶然ではあるが、「くにが」「しらしま」「おきじ」と隠岐汽船のフェリー全てに乗船したことになる。体調が思わしくないと言う横井クンは早々に船室で横になったので安藤クンを誘って甲板へ出ると、軽食堂が甲板で営業を行っていた。そろそろ昼食時ではあるが、横井クンはダウンしているし、メニューは例のごとくなのでおやつ代わりにたこ焼きを安藤クンとつつき合い、隠岐の旅を振り返るのであった。
 フェリー「しおじ」は定刻13時30分に七類ではなく境港に着岸。隠岐への航路は七類がメインであるが、加賀や境港を発着する便が数本ある。私たちにとっては境港発着便の方が有り難い。
 境港は立派なフェリーターミナル「マリンプラザ21」になっており、2階には「みなとさかい交流館」が併設されている。隠岐へ来る途中に立ち寄った横井クンは待合室で休憩しているというので、安藤クンと200円の入館料を支払って見学する。館内は船舶に関する展示物が多く、船の博物館といったところ。仮想操舵航海夢体験「プレジャー号」というアトラクションもあり、行き先を自由に選択できるのでロシア・ウラジオストックに指定。かつて安藤クンとユーラシア大陸横断の旅をしたときのことを思い出す。
 館内の見学を一通り終えた次は、境港の新名所である「水木しげるロード」に繰り出す。「水木しげるロード」とはアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の妖怪キャラクター37体が点在する商店街。「ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木しげるが境港の出身であるのだ。「水木しげるロード」よりも「ゲゲゲの鬼太郎通り」といった方が親しみがあるように思えるのだが、作者に敬意を表した形になったのであろう。夏休み中ということもあって、家族連れが多いが、意外にアベックも多い。私と安藤クンも鬼太郎やねずみ男などの有名キャラクターの前でパチリ。
 待合室で休憩していた横井クンも連れて、駅前の食堂「東府屋」で遅い昼食とする。厚生大臣賞受賞の店なんていう大々的な宣伝がしてあったので、興味本位で入ることにしたのである。名物「特製かつ丼」(800円)を注文してみると、卵とじのカツ丼ではなく、御飯の上にキャベツがあり、その上にカツをのせて焼肉のタレをかけたような代物。「東府屋」独自のカツ丼には違いないのであろうが、素人でも簡単に作れそうな料理である。横井クンはしばらく休憩して復調したのか鰻に手を出していた。ここは宍道湖にも近いので鰻が名物なのだ。次回は鰻を食べなくてはなるまい。
 境港駅前15時08分の日ノ丸自動車バスがラストラン。このバスで米子駅まで運ばれて今回の旅は解散となるが、飛行機利用の安藤クンと横井クンは途中の米子空港で離脱。このバスが米子駅前に到着する頃には機上の人となっているのだから恐れ入る。15時43分に米子駅前到着。3日前は早朝のためシャッターの下りたままであった売店で食料を買い込み、京都まで4時間のバス旅に備えるのであった。

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