<質問>Y.Mさん ・そもそも、選挙権剥奪(公職選挙法11−1−1)の条文は、どういった経緯で制定されたのでしょうか。 〓公職選挙法の制定は昭和25年です。被告である国の主張によれば、現在の被後見人に該当する当時の「禁 治産者」は、法律上心神喪失の常況にあるものとされており、行政上の行為をほとんど期待できないとされたこと から、選挙権を有しないと規定され、公職選挙法11条1項1号が出来たそうです。 ・失礼ながら匠様は、保佐か補助でなく(資格の制限の多い)後見になられたのは、どういう判定によるものでしょ うか。 〓知的障害の療育手帳のA判定であれば成年後見になるようですが、それは十分条件であり、Aでなければ後 見には該当しないということではありません。 最終的には、医者の判断が重要になってきます。成年後見の申立てをするときに、裁判所が、「できればこの診 察書を使って下さい」ということで診察書のフォーマットを提供していますが、その診断書の「自己の財産を管理・ 処分することが出来ない」にチェックが入れば、ほぼ確実に後見となります。他には「自己の財産を管理処分する には、常に援助が必要である(保佐)」「自己の財産を管理処分するには、援助が必要な場合がある(補助)」とい った項目があります。 (名兒耶氏 補足) 裁判所の係員は「今まで選挙に行っていましたか」などの質問は一切していません。 精神科の医師の診断書に「後見相当」とあれば、後見類型になってしまいます。親の意見などは歯牙にも掛けま せんでした。 |
<ご意見> ・成年後見制度は、財産管理と身上監護をその主旨としています。残存能力の活用という、後見の精神とは大き く外れています。ゆえに、選挙権剥奪は、改正されて然るべきと考えます。 〓そのとおりだと思います。多くの人が、そう思ってくれる社会であればいいと思います。 <質問> ・ところで、被後見人には参政権の他、多くの資格制限があります。 選挙権以外で問題となった事例はありませんか。 (名兒耶氏 被選挙権も失います。また、公務員も失格とされてクビになってしまいます。 そのほかにも欠格条項はいっぱいあるようです。 |
<ご意見・ご感想>N.Nさん ・うちの息子は(高三)自閉症で一人っ子。しかも私たち親が父・40歳、母・36歳の時に産まれた子なので、必ず親 は先に死にます。 やがて、成年後見人を誰か付けなければと思っていますが、後見人を付けると剥奪されてしまう権利があるとなる と、どうしようか考えてしまいます。 今回の裁判は、手ごたえがあったようですが、一日も早く選挙権が戻ってくればよい、と願っています。 〓そのように悩んで、成年後見をあきらめている方も多くいらっしゃるようです。 制度的欠陥ですね。一日も早く改善されるよう努力します。国会が動いてくれると早いのですが。 どうか、応援して下さい。皆さんの応援なくして、制度を改革する裁判は成り立ちません。 |
<ご意見・ご感想>T.Nさん ・家族が発達障害で、本人は知的には(テスト上は)高く、政治の事も、日々のニュースもよく分かっています。 が、生活能力はとても低く、損得が分からないこともあって、将来、成年後見を使う事になると思います。 今までにある選挙権が無くなってしまうと本人は、とてもショックだと思います。成年後見という制度で能力がない と差別されることは納得できません。(現在、発達障害等の団体には属していません) 〓選挙権剥奪という差別を回避するため、成年後見をあきらめている方も多くいらっしゃるようです。 一日も早く改善されるよう努力します。どうか、応援して下さい。 |
<ご意見・ご感想> M.Tさん ・後見人制度について知るよい機会になりました。とてもよい勉強になりました。 どんなに知的で重い人でも選挙に行きたい、投票したいという意思があるかぎり、後見人をつけても選挙に行ける ようにしてほしいと思います。 その一票一票が国を良い方向へ導いていくのだと思います。 後見人制度は、選挙は本人の意志や考えをくみ取り、保佐・補助できる人であって欲しいと思います。 なかなか判断が難しい人に対しても現在の政治状況、経済状況、福祉・障害に関するノーマライゼーション等の対 策について分かりやすく(絵や写真等を使って)できるように説明して欲しいと思います。 後見人の意志による選挙人の投票ではなく、選挙人の意志・思想による選挙こそが本当の意味での選挙だと思 います。判断が難しい人でも後見人を付けることで自分の意志・考えをもって投票所に向かって欲しいです。 〓厳格に言うと、後見人は、財産管理を主とするもので、被後見人に選挙のサポートをする法的立場にはありま せん私の個人的な意見としては、被後見人ないし自分の力で投票に行く事が難しい人のサポートは、社会が責 任を持って行うべきだと思っています。 いずれにせよ、M様の言うように、どんな人でも、サポートを受ければ投票できる人に、投票の場を与えること が、とても重要だと思います。 この裁判が、障がいを持っている方の選挙権の行使のサポートを考える機会になってくれれば、本当に素晴らし いと思います。 |
<ご意見・ご感想>S.Tさん ・私が先日の都議選の時、長男と投票所に行って、私の投票のやり方を見て覚えるように「そばで見ているよう に」と言ったところ、そばにいた役員の方に、長男に対し「廊下で待っているように」と言われて、見せてくれません でした。 長男が小さい頃は、そばにいさせられたのに、成長し、今年20歳になるので、見せて覚えさせたかったです。 〓ひどいですね。立会は、市区町村の職員だというのを聞いたことがありますが、その人の裁量は大きいようで す。私の地域では、小学校の体育館のようね大広間を選挙に使うので、壁はなく、選挙をしている姿は十分に見 学できます(手元を除けば)。法的根拠のない不当な対応です。 (名兒耶氏) これは、いわれのない偏見による差別です。職員が立会人か知りませんが、投票用のハガキを持っているのに 投票所に入るなという権限はないはずです。その立会人の名前を聞いて、「誰々にこのようね対応をされたが、そ れが適切なのかどうか」と選挙管理委員会に問い合わせるなど、抗議すべきでしたね。 |
<ご質問>S.Mさん ・家庭裁判所に「成年後見人制度」を申請した場合「後見人」「保佐」「補助」の指定は誰が当人と会い判断をする のでしょうか。(親、診断をした医師、行政でしょうか) 〓判断をするのは裁判所ですが、ほぼ、医師の書いた診断書で判断が決まります。 一日も早く改善されるよう努力します。どうか、応援して下さい。 ・また、「成年後見制度」とは、子供が何歳から付けることができるのでしょう。 (名兒耶氏) 「成年後見制度」という名のとおり、20歳の成年になってからです。 <民法4条:年齢二十歳をもって、成年とする> |
<ご意見・ご感想>S.Tさん ・勉強不足で申し訳ありません(今回初めて成年後見人の集会に参加しました) 『黄色のパンフ』※にも書いてありますように「後見人とは保護者のような人をつける制度」とありますが、原告人の お父様が後見人ということで、ちょっとビックリしました。 すべて、第三者の方になるのかと思っていましたので。 ※ このホームページ「各種情報」ページのリーフレット案内をご参照ください。 〓本来は、裁判所が指定する第三者が後見人になるというのが制度の建前です。しかし、言葉は悪いのですが、 あまり財産のない方が成年後見をつける場合、費用もあまり高額にはできないので、裁判所の方からも、「申立人 の方で後見人を推薦して欲しい」と言われたりします。 (名兒耶氏) 後見人等の割合は、親など親族が多いと聞いています。弁護士、司法書士など第三者には費用の点や、財産状 況を他人に知られるのはイヤだ、という理由で避けている人も多いようです。 (根拠のない誤解に基づく判断です・・・) |
<ご意見・ご感想> ?さん ・「被後見人だから選挙権がない」は、全く理由にならないと私も思います。 それに“障がい者だから”も違うかなぁと思います。障がいの有無に関わらず、誰に投票するか、どうやってその一 票を決めたかは人それぞれだからです。 ただ、“障がい者の権利を守る”ということは“障がい者だから守られて当然”ということではないと思っていま す。 今まで、ガイドヘルパーをやったり、今は、相談業務に携わることになったりしていますが「障がい者が一人の人 として、当然の権利を得るためには?」と言うことを考えるとき。「障がいのある人も無い人も対立している相手が なぜ、そう思うか考えているのかなぁ?」と疑問に思います。お互いの歩み寄りが足りていないと感じています。 私もガイヘル中に、当たり前の顔をしてバスに乗る際に「スロープお願いします!!!」と言ったら、すごくイヤな 顔をされたことがあります。その時は「なんて心が狭いんだ!?」と怒りを覚えましたが、冷静に考えると、まだま だ理解が深まっていないから、「そこを私が、お互い気持よく暮らせるように調整しなきゃいけなかったんだ」という ことに気付きました。 特別支援学校の生徒会選挙を見たことがありますが、そこでは、自分で判断できない生徒には、先生が、その 同じクラスの子に票を入れるように仕向けているように思いました。 また、当事者の一票をお母さんが入れちゃっている(お母さんが2票)という話も聞いたことがあります。 やはり、このような現実を理解のない人から見たら異様だと思います。 <・・・理解のある人が見たら余計、異様に感じるでしょうね(名兒耶氏)> このような現実があるからこそ、差別が生じてしまっているのかも知れないですね。 そのような相手の立場にも一度なってみないと、一番良い形で解決は出来ないのかも知れません。 |