南京 (1) |
Nanjing/ China |
撮影: 2015/3, 制作: 2016/12, 改訂: 2019/12 |
2015年の3月に、江蘇省の南京市を訪問しました。南京は字のごとく、南の都です。古くは三国時代に呉の孫権が城を構え、明の太祖朱元璋もここを都と定めました。洪秀全の太平天国や孫文の中華民国臨時政府、蒋介石の南京国民政府などの首都でもあり、中国近代史の舞台となった場所です。 2014年8月、南京の河西地区にトラムが開業しました。何と、トラムでありながら架線のない世界で初めてのシステム、無接触網有軌電車です。 |
腾讯地图(Soso Map)の上に、南京河西有軌電車(河西トラム)の路線図を書き込みました。全長は7.76kmで、両端を含め て13の停留所があります。 |
Nanjing Presidential Palace かつての政治中枢であった南京総統府が博物館になっています。 人物は左端が蒋介石総統、となりが孫科(孫文の子)夫人の陳淑英、中央が蒋介石夫人の宋美齢、右の二人は李宗仁・郭徳潔夫妻です。 (2015/3/18) |
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Hanzhong Gate 南京は城郭都市です。明の時代に造られた城壁の一部が今も残されていて、公園になっています。 ここは漢中門、旧市街の西門に当たります。夜遅くまでダンスに興じる市民の姿がありました。太極拳に代わって、最近はダンスを踊るのが流行しています。 (2015/3/15) |
Olympic Center East Gate トラムの始発地、奥体中心東門です。地下鉄2号線の奥体東站がこの地下にあります。 奥体とは奥林匹克(オリンピック)体育の略です。14才から18才を対象とするユースオリンピック国際大会が2014年に南京で開かれました。駅の近くに体育館、球技場、プールなどの施設があります。 |
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Yuan Tong 奥体中心東門から2つ先の元通です。ここも地下鉄と連絡しています。江東中路の端を走っていたトラムが、ここから道路の中央を進みます。 架線のないトラムを始めて見た時に、異様な感じを受けました。本来あるべきところにあるものがないためと思われます。確かに、街並は開放感があります。 |
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Convention and Exhibition Center East Gate 車両は、前回ご紹介した蘇州のトラムと同じ、南車南京浦鎮車両がライセンス生産したボンバルディアの "FLEXITY 2"ですが、正面のデザインが異なります。架線を不要にしているのは、ボンバルディアのLiイオン電池、PRIMOVEを搭載しているためです。 さらに、停留所ごとに設けられた充電設備からの電力をスーパーキャパシターに充電する方式が付加されています。この技術は上海のトロリーバスで実績がある中国独自のもので、トラムでの実用化も世界で初めてです。 |
上掲と同じく、博覧中心の電停付近です。まわりには巨大なオフィスビルが次々と建設されていますが、どの程度入居しているかは分かりません。 |
車内は完全な低床構造が実現され、乗降口に段差がありません。 |
服務小姐も乗務していました。手前は運賃箱です。 |
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Jiangshan Street 江山大街に建設中のツインタワーをバックに、パンダのような白黒塗色のトラムが走ります。それにしてもひどいスモッグです。架線のないトラムの採用は景観を美しく守るため、と聞いていますが、景観よりも大気汚染を何とかしろ、と突っ込みたくなります。 |
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Youyi Street 友誼街の電停です。各電停には、剛体架線が設けられていて、停車中の車両に電力を供給します。 |
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↑停車中にパンタグラフが上昇して充電します。わずか30秒間で 3~4kWhの電力がスーパーキャパシター(SC)に蓄えられます。 これは各駅間の走行に必要な電力にほぼ等しく、Liイオン電池の 消耗を防いでいます。また、SCは短時間に高密度の電流を放電 できる特性があり、トラムの加速には最適なシステムと言えます。 |
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←友誼街から先の区間は、道路の工事中です。看板にクルマは右に寄れと書いてありますが、走っているクルマはありません。芝生の植えられた軌道へ、トラムが進んで行きます。途中で乗降する人は、ほとんどいません。 |
Baoshuang Street 江東南路の突き当たり、保双街の電停を出てトラムが右へ曲がります。 ご覧下さい!! 側道を含めて片側8車線の道路に、クルマが1台も走ってません。まわりには1軒の家もなく、中国ならではの壮大な先行投資を目の当たりにしました。後方に建設中のマンション群がスモッグにかすんでいます。 |
Baoshuang St. East ~ Qinxin Lu 保双街東と秦新路の間です。この付近はまだ整地がされておらず、荒野が広がっています。 いつ崩れてもおかしくないような急ごしらえの築堤の上を、ゆっくりと低床式のトラムが進みます。 感動して撮影する手が震えました。 |
終点に近い区間は一面の草原です。次から次へと驚くような風景が現れます。まるで拓殖軌道の世界です。 冒頭の写真もここで撮影しました。 |
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Qinxin Lu 終点の秦新路です。架線のないレールの風景は、廃線間近のローカル鉄道といった感じで、とても最新式のトラムが走っているとは思えません。 |
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終点の付近には人家がまったくありません。トラムから降りた乗客が歩いていますが、格好から見て南京魚嘴湿地公園に遊びに行く人々と思われます。 背景にかすんでいるのは、秦淮新河に架かる揚子江大道の大勝関大橋です。 |
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終点には地下式の車庫が造られています。湿地公園の近くなので、環境に配慮したものと思われます。 |
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Olympic Center East Gate 夜になって、奥体中心東門へ戻ってきました。相変わらずスモッグがひどく、前照灯からの光線がビーム状に見えます。 |
Fuchunjiang West-street 富春江西街の夜景です。 トラムの運転間隔は、何と45分おきです。しかも午後7時半には、早くも終電になります。 南京にはもう一つのトラム、麒麟有軌電車が建設中です。開業が遅れているようですが、機会を見て訪問したいと考えています。 ※2018/7に訪問しました。 南京 (2) へ 南京 (3) へ |
References: http://www.bombardier.com/en/media/newsList/details.43740-bombardier -partner-csr-puzhen-to-supply-catenary-free-trams-to-nanjing.bombardiercom.html http://baike.baidu.com/view/9889520.htm https://read01.com/G87OLd.html http://www.360doc.cn/article/2788370_497182049.html http://gscapacitor.com/content/?255.html |