おさるロゴ1
おさるロゴ2

手入れの仕方


ホーム


手入れ具一式の写真日本刀は鉄で出来ていますので手入れが必要です。鉄は空気に触れると酸化(錆びる)しますので、日本刀の手入れとは直接空気に触れないよう、刀身に油を塗り保護することです。油の幕を作って保護してやるのです。手入れには左の写真のような道具が必要です。

瓶に入っているのが刀剣用油です。丁子(ちょうじ)油といって植物性の油です。その上にあるのは、油を塗るための紙です。紙と言っても普通の紙ではなく良質の奉書紙を小さく切ったものを使います。良質のネルの生地でも構いません。その横に小さな小槌のようなものがあります。これは「目釘抜き」といって、刀身と柄木を固定している目釘を抜くための道具です。目釘はくさび形をしており、目釘穴から目釘が飛び出していない場合、目釘抜きのお尻の尖った方で突いて抜きます。飛び出てる時は、金槌のようになっている部分の面を当てて目釘を押します。
その横のてるてる坊主のようなものは打ち粉(うちこ)と言います。時代劇などでポンポンと刀身を叩いている場面を見たことがあるかもしれません。この中には刀を研ぐときに出来た砥石の細かい粉が入ってます。安価な物には動物の骨を細かく砕いた粉を入れているものもありますので注意してください。これは刀身に付いている油を取り除くためのものです。油は拭っただけでは取れないので、この粉に油を吸わせて拭い取るのです。勘違いされている方が多いですが、打ち粉は磨き粉ではありません。細かな粉とはいえ、砥石の粉ですので必要以上に使わないようにして下さい。油を塗り替える際、あるいは鑑賞する際など、必要最低限に使用します。
その横は、奉書紙です。油や打ち粉を拭うのに使います。古い油を拭う分、打ち粉を拭い取る分と2枚用意するといいでしょう。良質のネルの生地でも構いません。セットで刀屋さんなどで購入できます。

さて、肝心の手入れ法ですが、刀は油を塗って保管しておきますので、その古い油を拭って、新しく油を塗ってやれば良いのです。まず、目釘を抜いて柄木をはずします。柄木の抜き方は取り扱いと作法をご覧下さい。次にはばきをはずします。はばきをつけたまま手入れをしていると、このはばきの下に打ち粉や油が溜まってしまうので、必ずはずしてから手入れを行ってください。
油拭い用の良く揉んだ奉書紙で古い油を拭い取ります。奉書紙で刀身の面を棟側から挟むようにして、下から切っ先の方へ向けて拭います。上から下へは拭わないで、下から上に一方向に拭います。こうすれば怪我をすることも無いでしょう。決してゴシゴシ拭わないでください。完全には取りきれないので、打ち粉をポンポンと刀身にまんべんなく打ちます。始めて使うときは、堅くて粉が出にくいので、手の甲にでも打ち付けてほぐしてください。
その後、打ち粉を拭う用の良く揉んだ奉書紙で打ち粉を拭い取ります。油を拭い取る時と同じ要領です。油が取れたら、せっかくですからじっくり刀を鑑賞してください
鑑賞が終わったら、刀剣用油を奉書しにしみこませ、刀身に塗ってください。古い油を拭う時と同じく、奉書紙を親指と人差し指で刀身の棟側から挟み、はばき元から切先方向にすべらせていきます。刀剣用油は決してポトポト流れるほど塗ってはいけません。薄く、まんべんなく塗って鞘に納めてください。はばきに隠れる部分にも塗っておきます。また、その際に手の指に付いた油は、茎(なかご)になすりつけておきます。刀身を素手で触ってはいけませんが、茎は構いません。特に古刀のようにようかんのように黒光りした錆色を保つためにも茎にも油を塗っておきましょう。

手入れをする頻度ですが、研ぎ立てでも無い限り、1,2ヶ月に一度くらいでいいでしょう。油が蒸発して無くなったころにやればいいのです。数ヶ月手入れをしなかったからと言って、すぐに錆びるものでもありません。保管場所は湿気の無い、直射日光の当たらない所、あまり気温の変化の無い所がいいでしょう。

刀袋の紐の結び方

刀袋の紐の結び方(右から) 完成
刀袋の紐の結び方手順の図 紐を結んだ所の図
刀の拵をしまっておく袋の紐の結び方は以下のようにします。
まず刀の棟を袋の縫い目側に向けて袋に拵を入れ、余った袋の部分を折り返します。
@下から上へ紐を巻き上げていき、30cm程紐を残し房を上に残して、紐を巻き上げた真ん中あたりの下をくぐらせます。
A下に出来た2つの輪っかを左右に広げておいて、その間に房を持ってきます。
B左側の輪っかを房の紐の下を通して右斜め上に持っていきます。
C右の輪っかを房の紐の上から回して左の輪っかの紐の下をくぐらせます。
房の紐を下へ引っぱって締め、左右の輪っかも締めて形を整えます。