ゴースランド&スカーバラ
(Goathland & Scarborough)



一面に生えているヒース


車はノース・ヨーク・ムーアズ国立公園(North York Moors National Park)の中をひた走る。
たまに森があったり、丘があったりするけど、ほとんどは文字通りの荒野(Moor)。
そこにヒースが地をはうように生えているのがいいっ!気分は「嵐ヶ丘」だわぁ!!

思わず・・・

Pi-子:ヒースクリフ〜〜〜〜ッ!!!

…な〜んて、叫んでみたりして・・・(*^_^*)

nogi:・・・突然、何?(かなりひいてる)
Pi-子:あ、ごめん、ごめん。「嵐ヶ丘」に出てきたヒースクリフとキャサリンが遊んだ場所もこんなんだったんだろうな〜って思って。
ねじき:なんかの呪文かと思った・・・
nogi:「嵐ヶ丘」ってタイトルは知ってるけど読んだことないや。どんな話?
Pi-子:貧しい少年とお嬢様の恋の話で、幼い頃は仲が良かったんだけど、大人になってお嬢様は分相応のお貴族様のところへお嫁に行っちゃって、 裏切られたと思った貧乏青年は家出、数年後に大富豪になって故郷に帰ってきたかと思うと、お嬢様、その兄、旦那に復讐をしかける・・・ っていう話。
nogi:どろどろした昼メロっぽい話だね。

いや、実際、「嵐ヶ丘」を読むきっかけになったのは昼メロでしたが・・・
昔「愛の嵐」というタイトルで舞台を日本にして、田中美佐子(キャサリン)X渡辺裕之(ヒースクリフ)でした。
(数年前、藤谷美紀(キャサリン)X要潤(ヒースクリフ)でリメイクされた)
高校生の時、夏休みで見てたらはまって、でもって原作も読んでみたというありがちな(?)パターンで・・・。

nogi:ところで次はどこへ行くんだっけ?
Pi-子:車を運転しているのに今更何を言う?
nogi:だって、Pi-子がナビしてるし、ずっと1本道だし
Pi-子:それもそうか・・・次はゴースランド駅へ行くよ。
nogi:ふ〜ん、そこって何があるの?
Pi-子:え・・・「ホグスミード駅」だよ。
nogi:「ホグスミード駅」・・・なんだっけ?

Pi-子:nogi〜!!今回の旅行はnogiがハリポタにはまってイギリスに行きたい!って行ったことから 始まったんだよ!?その本人が分からなくてどうするの?。・°°・(>_<)・°°・。
nogi:だ・・・だって、ハリポタ読んでたの半年前のことだし、最近が仕事が忙しくて・・・ごにょごにょ・・・
Pi-子:「ホグスミード駅」はホグワーツ魔法魔術学校の最寄り駅だよ。
nogi:あ〜、分かった、分かった。
Pi-子:はぁ・・・
(ため息)

などとエディンバラで1度した会話を再び繰り返しているうちに「ゴースランド(Goathland)駅」へ到着。
駅の近くにあった駐車場もいっぱいだったけど、駅も人でいっぱいになっていた。

ねじき:これもハリポタの影響なのかね?
Pi-子:う〜ん、ロケ地めぐりなんかしちゃうのは日本人ぐらいだと思ってたけど、イギリス人もやるのかな?
nogi:これで汽車が来てくれればいいの(写真)が撮れるのに。
Pi-子:ま〜ね、でもそれは出来すぎクンというもので・・・

ぽ〜〜〜〜〜〜〜!!!

けたたましい汽笛の音が聞こえ、本当に来ちゃったよ汽車が!!

すごい偶然、これはやはり私の日ごろの行いがいいからかしら。

nogi:ここ(駅)からじゃ汽車の全体が撮れないし・・・私、そこの橋まで行ってくる!!
・・・と、猛ダッシュで走っていくnogi。
ちょうど駅を見下ろすような場所に橋があって、車で通りかかった時に数人の人がそこで三脚をかまえていたんだよね。
そん時はよく分からなかったから「野鳥かな?」なんて言ってたけど、汽車と駅が両方見下ろせるからだったんだね。

ねじき:汽車、何分ぐらい停車しているんだろうね?
Pi-子:う〜ん、間に合うといいねぇ。


汽車の停車時間はそこそこ長く、nogiは素晴らしい写真(左下)を撮ってくれたのでありました。
ありがとうnogi〜!


nogiがダッシュして撮った写真

のどかな駅舎


汽車が行ってしまったら、皆、行ってしまったけど、私たちは写真撮影や休憩。
構内のカフェでソフトクリームなんか食べてまったり、まったり。( ^o^)( ^−^)(^〜^)

余談ですが、ゴースランド駅はハリポタの撮影以前に「ハートビート(Heart Beat)」というドラマの舞台になっていて、イギリスでは そっちでもかなり有名みたいです。



車はゴースランドを後にして、スカーバラへ向かう。

ねじき:スカーバラって何があるんだっけ?
Pi-子:スカーバラ城ってお城もあるけど、私が行きたいのはアン・ブロンテのお墓。
nogi:それって、さっきの「嵐ヶ丘」の作者だっけ?
Pi-子:「嵐ヶ丘」の作者はお姉さんのエミリー・ブロンテ
ねじき:シャーロット・ブロンテってのいなかった?
Pi-子:その上のお姉さんね「ジェーン・エア」の作者。
nogi&ねじき:???


ちょっと整理しましょう。
ブロンテ姉妹と呼ばれるのは上から順番にシャーロット、エミリ、アンの3人。
シャーロットは「ジェイン・エア」を、エミリは「嵐ケ丘」を、アンは「アグネス・グレイ」をそれぞれ執筆。
当時、そこそこ高い評価を受けたのはシャーロットの「ジェイン・エア」だけで、エミリの「嵐ケ丘」は不道徳的だとボコボコにされたとか。
全員早死でアンは28歳で、エミリは30歳でこの世を去った。
一番長生きしたシャーロットで享年38歳。

渋滞がない、迷うこともないほぼ一本道をひた走り、スカーバラに到着。
海岸沿いにずらっとパーキングメーターが並んでいたけれど、満車!(車が止まれるような道路は殆どパーキングメーターがついてるんですが)
目の前には海しかないんだよ、海水浴シーズンでもないというのに、皆、なぜこんなところに車を停めてるんだ!?

とりあえず、急勾配の坂道にもパーキングメーターがついていたので、一旦そこに車を停めたけど・・・
nogi:大丈夫かな?
Pi-子:大丈夫・・・でしょ。日本だったらこんなところに駐車場スペースは作らないよね。

とかなんとか話している間に前の方で(海岸沿いの道・平地)車が出て行くのが見えたので、すかさずそちらへ移動、駐車した。

そこから車を降りて、先ほどの急勾配の坂道を人力で登る、登る!!
案の定、Pi-子とnogiが登り終えた頃、ねじきはまだ中腹ぐらいにいた。

ねじきが登ってくるのを待ち、まずは聖メアリー教会へ。
あれ?ウィットビーでも聖メアリー教会へ行かなかったっけ?って思った方も多いと思いますが、別の教会です。
宗派が同じとか、なんらかのつながりはあるのかもしれないけど、詳細は不明。

nogi:お墓ってどこにあるか分かるの?
Pi-子:う〜ん、お供えがしてあるとか、雰囲気的に分かるかな、と。(^_^;
ねじき:萩の"楊貴妃のお墓"みたいになりそうじゃない?
"広島・萩編"をご参照ください)

道路から教会に隣接している墓地の様子を見るとあんまり広くないぞ、よしよし。
・・・あれ?壁に何か書いてある・・・と思って見ると

"Behind this wall lie the remains of ANNE BRONTE" (この壁の後ろでアン・ブロンテが眠る)

という・・・落書き・・・じゃないよな、でも案内板というには、あまりにも落書きな感じ。
墓地の中をぐるっとまわって、さきほどの壁の後ろまで行くと・・・ありました、アン・ブロンテのお墓!
さっきのはガセネタじゃなかったのね。


落書きのような案内(?)
アン・ブロンテのお墓

ここで問題が・・・キリスト教ではない我々。
nogi:キリスト教のお墓参りってどうすればいいの?
ねじき:うちのお隣は墓地だけど普通の仏教のお寺だしな〜
(←そうゆう問題?)
Pi-子:人のお墓をお参りするともれなく憑いてくるって話を聞いたことがあるけど・・・

かといって、写真だけ撮るというのも失礼な感じがしたので、軽く合掌(キリスト教風ではないと思うが)

ねじき:「ジェーン・エア」と「嵐ケ丘」は何となく知っているけど、アンが書いた「アグネス・グレイ」ってどんな話?
Pi-子:え・・・ん〜と、若い娘さんが家庭教師になって・・・
ねじき:それって「ジェーン・エア」じゃなかった?
Pi-子:「アグネス・グレイ」もそんな様な話だと思ったけど・・・ごめん、読んでない!


「あれだけ詳しそうな口ぶりで話していたのに・・・」とでも言いたげなnogiとねじきの視線を背中に感じながら、お墓のアンに
Pi-子:(すみません、帰国したら読みます!)←心の声
と呼びかけた。・・・でも今でも読んでない。(ごめんなさい。今度本屋か図書館へ行ったら探してみます)

さて、ではスカーバラ城へ行ってみますか。
スカーバラ城は聖メアリー教会から歩いて5分もしない距離、街の東端の周りには何もない丘の上にぽつんと建っています。
城・・・城と言っていいんだろうか、と思うぐらいの廃墟。
半分がくずれてしまったので、片方半分しか残っておらず、お芝居のセットのような感じもする。


お城よりもお城からの眺めに一見の価値があるかも
スカーバラ城 外からでも十分見られます

歴史はかなり古く、4〜5世紀にローマ軍の駐屯地が作られたのが最初らしいが、ゲルマン人の侵入が始まったことにより、すぐに廃棄されたようだ。
城が築かれたのはそれからかなり後、12世紀になってからのことで、ヘンリー2世の時代(在位1154年 - 1189年)に増築された。
この城は数奇な運命(?)をたどる。エドワード2世と恋人(男)との逃避・篭城の場所に使われたり、反乱の舞台になったり、スコットランドとイングランドの戦いに 巻き込まれたり・・・破壊されては増改築を繰り返されてきたが、1914年の第一次世界大戦下、ドイツの軍艦からの襲撃により、ついに破壊されてしまった。

入場しなくても十分見えるので、外から見て終わりにしようかと思ったけど、せっかく来たんだからと思って入場。
でも、ただ単に廃墟の城を眼前に見られるというぐらいで・・・ (-_-;

珍しく天気がよかったので海沿いの道をぶらぶら散歩してから、本日のお宿、ヨークへ向かった。



ほどなくヨーク市内に入る。
今日はファーム・ホテルを出発してからノース・ヨーク・ムーアズ国立公園の中をまわっていたので、ヨークに入ってからは「おお、こんなに家がいっぱいある!」 なんて新鮮さを感じてしまう。

Pi-子:あ、ここだよ、今日のB&B。
nogi:今日は迷うこともなく、無事に着いてよかった。

車から荷物を出し、宿の入ろうとしたが・・・ドアが開かないんですけど!?

Pi-子:いきなり門前払いかよ・・・
nogi:シャレになってないよ〜(>o<)
ねじき:入り口が反対側にもあるみたいだよ。

ねじきが意外とめざとい。

裏へまわってみると、そこは川沿いのオシャレな散歩道があり、そっち側にも玄関があった。
ほっとしてドアに手をかけようとするが・・・その前にドアに何かメモが貼ってあるぞ。


ご予約のお客様へ

ようこそいらっしゃいました。
ただいま従業員が不在ですので、下記電話番号まで連絡ください。


nogi:従業員不在って?
Pi-子:さぁ?ねじき、携帯貸して。
ねじき:はい。

あってよかった、ねじきの携帯。

プルルルル・・・がしゃ
管理人:Hello!!
Pi-子:Hello, あの、予約していたPi-子と申します。
管理人:ようこそ、では今から暗証番号を言うのでそれを入力して入ってくださいね。

見るとドアの横にナンバーロックキーがあり、管理人さん(と思われる)人の言うとおりナンバーを押したら・・・開いた。

ゲストハウスの中に入り、管理人さんの言われた通りの部屋へ。
部屋はパステル調のかわいい内装で、さしたる文句もないのだが、人の顔が見えない宿ってどうよ?

nogi:まぁ、無事着いたし、よかったじゃん。
おっしゃる通りで。

それから軽く部屋で夕食をとり、時間があったのでホテル前の川ぷっちをブラブラ散歩したのでありました。
夕日がきれいだったなぁ。

(Pi-子)



(お役立ちリンク&補足)

英国の女流作家について分かりやすく、かつ詳しく説明されています。
もちろんブロンテ姉妹のことも紹介されてますので、一覧から検索してみてください。

「嵐ヶ丘」の舞台になっているのはノース・ヨーク・ムーアズ国立公園ではなく、もう少し東に行ったところにある"ハワース(Hawarth)"で、 シャーロット、エミリーのお墓はこちらにあります。
行きたかったんですけどね〜、時間がなくてパスしました。
ま、次の楽しみにとっておくことにします。(何年後になることやら・・・ (^_^;A )