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MONICA(MONIQUE)

 danca comigo, bate forte, canta com gente

~ こちらは、小山久美子のホームページです ~

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更新日 2011-08-23 | 作成日 2009-12-19

MONICAとSAMBA G.R.S.E Alegria 

~ ココロおきなく 弾けて OK  ~            

まず表現は、自分の動機をそのまま動作や行動にするところから!

興味のある文化に自らの身体と行動で分け入っていき、フィジカルとマインドの両方で試してみる。
同じことに興味を持つ仲間がすぐ身の回りに集まり、誰がと言うわけでもなく、リーダーが立ち、小活動を展開していく!
すべての出来事に於いて、そういったことが大事だと思いませんか?

私が1997年頃からごく自然な流れで関わることになった、この世界は、そのようなマインドを許容してくれるありがたい場所でした。
こちらの頁では、1999年に加入し、人生最長の仲間となったたサンバ・チームのアレグリアのことについて触れたいと思います。

ボサノバに心酔した私は、ブラジルへの長期滞在を目論んだ渡航と、退職を心に決めました。
※決め手はのMPB store 中南米音楽『ケペル木村』氏の、熱弁です。 logo.jpg


ブラジル人の道理の通った感情生活と、庶民の音楽レベルの高さ(しかも音大などに行かなくても、誰に教わらなくても生活に密接している)
そして生まれ演奏され流れる音楽の分量の多さ、音楽家や演奏家の社会的地位が高いことにに大変驚きました。
更には哲学的な詩の内容、多くの人と一緒に生きていこうという積極的な気持ちを喚起するイデオロギーが掲載可能な音楽に驚嘆しました。
ブラジルで音楽や演奏は、それこそ日本における”水”のように、泉のようにそこかしこに湧き、豊かに人々の生活を潤しています。
民族や肌の色や生活階級を超えて、涙を流させ、人々を繋げています。それこそがヒトという種のあるべき姿ではないかと思ったのです。
音楽に携わる人の層が厚く、聴衆が聞く耳を持ち、素晴らしい作品が次々と私達の心を動かすのも、きっとそこに理由がある、と考えました。

>リオのオリンピック招致プロモーションビデオ!国旗.jpg
Olimpíadas Rio 2016 "BRASIL"Cidade Maravilhosa

人生の選択として、現在の仕事や生活に見通しが見えず、行き詰まりを感じていた私は、翌日には、人生航路の変更を決意していました。
サスティナブル=自分にとって持続可能で、社会にも自分にも有意義な生き方を求めて旅に出る決意することにしたのです。

サンバチームへ登録したのは当初の目的としては、より情報を集め、渡航や学びに必要な人脈を作る為でした。
同じ国の文化を追求する人達に混じって学び、一気にブラジル行きを具体化しようとした考えたのでした。
そのうちテレビよりなんぼも面白い人間達の姿態にすっかり夢中になってしまい、
結果的に言うとここは、実はANA退職後、唯一継続して所属している場所でもあります。                ばんでいら.jpg

もっと知りたい方は、こちらまで、どうぞ。G.R.S.E Alegria


ジスフィーレの様子から(2008.Asakusa)


私は実は、本国のカーニバルを夢中でみたことはあまりありません。しかし私は、友人達のパフォーマンスや晴れ姿を見るのが何より好きです。他のチームのパフォーマンスも、興味はありますが、さほど執着して見ません。
しかし私は、知人達が、花が一年に一度咲くように、内面の美しさを命一杯映し出してパフォーマンス・パレードしているのを見るのが好きです。

0808300204%E2%97%8B%E7%94%B7%E8%A3%85.jpgCommicao de Frente 必ずそこには日々の生活の成果がでているものです。職場で、家庭で、仲間達の調整役として、見えないところで努力を重ねている人ほど、揺ぎ無い素晴らしい表情を見せてくれます。それは本当に、最高に、美しいことこの上なく、生きる(VIDA)ということへの愛おしさを増してくれる姿なんです!

写真は先頭集団、テーマをよりわかりやすく示し、物語の水先案内人を勤める挨拶役のコミッション(委員会)という名前がついています。ある種、名誉ポジションです。この見事に揃った衣装さばき、いかがでしょうか!?

彼女らは普段からアマチュアとして自主的に舞台活動を行う方々で、毎年、指の先まで表現が行き届いた宝塚ばりのクオリティの高い演技と、必ず完璧にハートをキャッチするオリジナルな衣装を見せてくれます。


120.jpg独創的な衣装 衣装には、形式も随所に見られますが、基本的にはテーマに沿った物語展開を絵巻物のように表現する、幾つかのブロック毎に思い思いの表現が成されています。

絵やデザインが得意な人がテーマをモチーフに全体構成を練り上げ、その先はデザイン画に話し合いを設けつつ、素材(値段との格闘もあります)について決めていき、海外を含む各所に、布や山車を彫刻する発砲スチロールをはじめとする資材などをオーダーしていきます。費用は年間の営業(お祭りやイベント出演でチームに入る収入)で賄っていきます。

10年前は殆ど直前(7月ごろ)に自分達で模索しながら買い物に行き、皆で集まって針と糸を持ちました。作っていくうちにどんどん構想は膨らんで、本当に楽しい衣装になっていったりしたものです。

写真は、ポケブラスなどに採用されていますが、売れっ子イラストレーターでもあるフキちゃんのデザイン。彼女自身もこの衣装を着ています。コパカバーナの石畳を模した、大胆で美しく評判になった衣装です。



210.jpgBaiana ブラジルの風土や文化を示すモチーフを必ず入れなくてはいけません。写真は、赤道直下の古都・港町、サルバドールで女性が正装として身につける白い衣装を着ています。フルーツや花を頭に飾り、大きなネックレスをします。アメリカで大スターになった、カルメン・ミランダを彷彿とさせますね。


2008_0920_080.jpg本物はこんな感じ 黒い肌に白い衣装はことのほか冴えますね。、子育てを終えた太目の女性が着ていると、聖なる割烹着&ドレス、といった趣向です。サルバドールの露天で揚げ物のお菓子”アカラジェ”を売る女性の姿としても良く描写されています。写真は、今は閉店してしまいましたが、六本木・アカラジェ・トロピカーナの名女将、イザベラです。(イザベラはカリオカですが・・・)




当日は自分達を良く見れないのですが、リハーサルや当日の衣装をつけたときの姿、後日のビデオ上映や写真でその姿を確認することができます。

356.jpg 浅草当日というのは、プロも中にはいますが、祭り当日というのは時にはリーダーシップをとっていただくものの、決してプロの日ではありません。
SAMBAという祭りは、”ツキ”を吸い上げ、天より再配分します。この日、より多くのパワーを受け取るのは、上記のような、普段より公正を心がけ、理不尽な思いをしつつも自分の価値を見失わず、練習にいそしみ、何よりも日々を頑張って暮らしている人達です。そういう人達にしか、特別の輝きが与えられないのです。


パレードの素晴らしさ・感激は、大音響で細かなグルーヴを折り重ねて作られた、打楽器オーケストラ(弦あり)の行進に負うところも多大であります。

020.jpg楽器隊も華やか アフリカ・ルーツのリズム音楽は、日本人には取り組むのが難しい代物ですが、それ故に飽きもせず、毎週毎月と集い、音楽・民族・フィジカル・メンタル等に思いを馳せつつ追求を重ねていけるのでしょう。


中には他のことが生活から締め出されてしまうほど、熱中して追及する者もいまが、ムキになっては空回りというのを教えてくれるのも、この心身一体の分野の素晴らしきところ。初心者は波に乗るサーファーのような気分を味わうことが出来、中堅は構造把握に苦しみ、ベテランはいかに素敵な波を醸し出すかを考えています。楽しく、されど簡単には登りきれないのが、サンバのヨロシイところなのです。

本国でも、チームのテーマ曲は長~い叙事詩で<音階複雑に>作られていますが、これはコミュニティにいる老若男女が一年間飽きずに、常に学び続けることができ、暮らしに信仰を持てるような造りになっている為です。
毎年、カーニバルよりも前に、テーマ曲の人気投票があるため、リフには見事に忘れ得ぬ”キャッチーなフレーズ”も挿入されます。

DSC_0275.jpg45分間耐久!!








SAMBAと言えば皆さんが思い浮かべる、駝鳥や雉の羽を背中に沢山つけたビキニ姿の女性ダンサーをパシスタと言います。蝶や孔雀のようですね。

DSC_0302.jpgPasisita 実はジスフィーレ(パレードの華やかな絵巻物)の中では数少なく、本来はソロステップ&ダンス表現の専門性に優れた、美しいダンサーしか担当できないポジションです。基本16ビートのスピード感溢れるSAMBAステップ、輝く衣装を更に煌かせるシントゥーラ(腰を上下左右楕円に自在に動かす動作)、両手で神を仰ぎ、授かった幸運を観客に振りまく伝統的な儀式的動作、自分達のコミュニティ(生活を共にするチームの仲間)を称え誇らしくアピールできる仕草、生の喜びを迸らせる演技力が要求されます。

UklNRzAxNzT8vg.jpgコステロや野生への鍵 パシスタの存在は、半鳥半獣半人半魚の姿を借りて、自分達が地球から恩恵を受ける生態系の一部、生物の一種族であることを思い出させる役割を大きく担います。これは、神(地球と言う生命体)の下、ヒトが謙虚に明るく暮らしていく上でこの先、なくてはならない自覚です。また、本来社会的には抑圧されやすい<メスとしての媚態>を美しさと活発な動作によって大いに肯定することにより、観る人を老若男女、鎖から解き放ちます。

彼女達は目も眩むほど素晴らしいダンスを踊ります。極楽鳥が伴侶を求めて鳴き、舞うように。それは地球に生命を受けた者の、ただ幸せな姿です。
そしてそれこそが、生命の源泉であり、喜びであることは、誰も否定できないのではないでしょうか。


山車の上に乗れる女の子は、容姿端麗、スタイル抜群、笑顔がキュートで喜びに満ち溢れ、チームでも人気者の女の子達です。
DSC_0323.jpgみんないい顔!
16ビートステップがさほど強烈にできなくても担当できるパートなので、2~3年目のキャリアの女の子達が乗ることも多々あります。また、チームでの存在感が大きいダンサーの鏡というべきベテランが象徴的に高い位置に乗ることもあります。パイプをしっかり握って適度に演技をしながら、男達が手押しする山車に命を吹き込みます。立ち台の設営はかなり慎重に行われます。また、テーマが非常に良く伝わるポイントなので、責任重大ですネ!


DSC_0293.jpgQue Linda, Beleza ! 優れたリード役、というのが光るのもコミュニティならでは。チームには時にワークショップで外部の優れた講師もやってきますが、おおまかにはチーム内で練習熱心で優れたセンスを持ったメンバーが安価で講師を担っています。アマチュアと侮るなかれ、元プロも紛れていれば、プロ顔負けの素晴らしい技術とマインドを有し、それを多くの人と分け合う人物も多々居るものです。我々は打ち上げや合宿など、あらゆるタイミングを兼ねてそのリーダー達から教わった日頃の練習の成果を発表し合います。
以前は、1ヶ月に1度の割合で、小パフォーマンス&パーティというものが開かれていた時代もありました。本当に皆お互い大好きになるし、上達が早まるわけですよネ。

現在、他のチームに先駆けてクリスマス・パーティーを12月上旬に開催する我がチームの各小グループの発奮ぶりと、クオリティの高さ、そして笑っちゃうサプライズには目を見張ります。まるで相互牽制というものがチーム内に全く無いかのような芸術集団ですよね!素晴らしい演技且つ、憎ませないパロディ・バランス感覚は天下一品。プロデュース係りも振り付け係りも衣装係も、将来のジスフィーレを担う才能が目白押しみたいです。写真の彼女もあらゆる意味で相当な人物であります。


040.jpgRainha(女王) ハイーニャ(女王)というのは、通常、バテリア(打楽器隊)の女神を指しています。黄金やシルバーに輝くタスキを掛け、打楽器オーケストラの象徴として演奏者の想いを一身に受け、テーマ曲を表現することに全力を尽くします。指揮者の付近から隊列前、時には隊列の真ん中にまで分け入って行き、重量のある楽器を汗だくで叩き続ける演奏者を勇気付け、鼓舞します。

パシスタの中でも実力者で、メンバーへの信望も厚く、音楽が大好きで良く音表現に反応するダンサーが選ばれます。バテリアの練習に顔を出してくれたり、営業後の打ち上げでもバテリアの傍に居てくれたりして、連携を深めてくれます。その年1年だけなので、気合を入れて臨むようです。


さて、最後に、チームの命であるバンデイラ(バンデラスでなく;旗のこと)
を終始大きく振りながら、回転の激しいダンスを踊り続ける大型円形ドレスの絶世のお姫様と、それを横からサポートする王子様、(どうして女性が重い旗を持ち、男性が扇子で彼女の汗だくの笑顔に風を送るのでしょうか?

010.jpgPortabandeira &Mestre Sala パート名称は、ポルタ・バンデイラ(旗の扉)=女性、とメストリ・サラ(広間の長)=男性、と言います。何キロもある、大きく豪華な円形ドレスをループで広げ、更にコスイテロ(背羽根)を付けて冠と思しき豪華な頭飾りを付け、これまた何キロかあるチーム旗を腰に挿して、目の廻るようなダンスをし、更に絶世の姫であるからには、最高の微笑を絶やしてはならないという、まことにチームの最高にして代表、つまり重責な、かなり訓練の必要なポジションです。ちなみに王子の方は何をしているかというと、丁度、南国のアズマヤ・・・鳥の求愛ダンスに似たような動作で、ぴょんぴょんと姫の周囲を円を描いて飛び回り、自らもクルクルと舞います。(黒人の筋肉のバネを念頭に置いたダンスですね)、そのようなダンスで、姫の美しさと旗を称える役割を果たします。

文化的にも非常な理解が求められるので、初心者はこのパートには付きません。ドレスは少々メンバーやチームからのカンパはあるものの、基本的には数十万円のものを自前で用意したり、チーム外や国外のものをリサイクルしたりしているようです。

この二人は絶え間ない練習は勿論のこと、豪華な衣装に身を包む一番華やかなポジションを踊るからこそ、必ずチーム内でも目立たぬ多くの業務を日頃からたんたんとこなして芸の基盤を固め、皆の支持をきちんと得られるように勤めています。なかなか、芸事とはやはり、そういうものなのですね。一瞬、天から何かを降ろしてくるようなパフォーマンスをするには、雷に打たれないように人間的にも(魂的にも、精神的にも)、謙虚に精進することが必要なようです。

写真の二人はもう、東京を代表するようなベテランさんですが、いつも皆に親切ですね。チームでの生活を楽しむためには、相応の努力をしているし、努力は惜しまない、と言っていたのが印象的でした。