空き家と なりし隣家の 庭に立ち 見れば吾が家は 意外な寂しさ
ス|パ|の 袋が風と 話しをり ものの気配に 光当てれば
嬉しき日に 吹かんと覚えし 口笛を 今日また吹きぬ 悲しみ消さんと
気に入りの 藍染シャツを まだ着つつ 法師蝉聞く 愛は終わりしに
大窓に 銀杏光りて 精神科の 待合室も 秋は明るし
最高っすね 桜の下を 若者は 上司と行くらし 鞄振りつつ
疲れ果て 夫の座椅子に 座りこめば 吾の知らざる 部屋が見え来ぬ
歌ぞ良し 物を残さば いつの日か 捨つる人らの 心痛める
無事巣立ち したるか猫に捕られしか 百舌の雛の声 聞こえずなりぬ
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