〔自 然〕
滝
夢半ば 折られし梅は 仲間より 一足早く 花瓶に咲きをり
金の葉を 空まで積みて 大銀杏 堂堂と立つ 今日一日は
その先に 得る物なければ 長き枝を 蝸牛下り行く やはりゆるりと
街路樹の 不満は根っこに 溜まるらし 膨るる夜の 歩道につまづく
水切りを すれば桔梗は ゆるみいし 五弁の線を きりきりと見す
群れなさぬ ムクドリ一羽 畑にいて 仲間来たれば ふいと飛び立つ
記念日に 貰いし洋花 一日ごと 障子戸に合う 色となりゆく
流れ来し 蝋梅の香に 誰よりも 早く気づきぬ 花粉症吾は
アサギマダラ 気流待つらし 山頂の ヒヨドリ草に 集まり来るは
新天地 求めし蝸牛 道に出で 夢もろともに 砕けておりぬ
滝
 
 
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