〔家 族〕
うつぎ
二人だけの 静かな夫の 誕生日 明るき色に ケ|キ仕上げる
雨の日も 十分前には 外に出て 待ちをり迎えの 車を夫は
スト|ブの 前にパジャマを 置きて待つ 寒波の夜に 出かけし夫を
雲一つ ない日は少し 寂しいねと 言えば別にと 吾子は首振る
定年に なれど夫には ゴミ出しは 頼めず男を 捨ててきそうで
エアコンを 又切り忘れ 眠る子の 額小さく こづきて消しぬ
それぞれの パソコンに語り かけてをり 同じテ|ブルに 夫と座れど
それとなく アパ|トの灯り 見て来しとう しばらく来ぬ子を 案じて夫は
定年の 感想書くとて 夫貰いし わずか七十字の 原稿用紙
変則の 勤務続きし 子は夕餉 食ぶるやたちまち 居眠りしはじむ
うつぎ
 
 
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