お母様へ

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 最初に児に対面した時に、どのようなことを想い、どんな言葉を語りかけたでしょうか?きっとすべての方が「生まれてきてくれてありがとう。」という言葉だったと思います。
しかし、乳児期、幼児期を経て毎日が忙しく、せわしい日常生活を送るなかで、いつしか児の存在が自然体になりあらためて誕生の頃のことを思い出すことも余りありません。
例えば私たちは、子供たちが一生懸命にがんばったテストの点数や塾の問題なども気にしていることも往々にあります。運動会のかけっこでころんで一番最後になってしまったこともあるでしょう。でも子供たちはいろんな場面でいつだって一生懸命にがんばっているんです。
 私たち大人が児の誕生に際して思ったことは、一国の大統領みたいな人になることや、ノーベル賞をとれるような人や宇宙飛行士になってほしい・・・・・・・・・・・・。と願ったわけではなかったはずです。ただただ切実に、「生まれてきてくれてありがとう。」という気持ちだけだったと思います。そして生まれてきてくれた安心感ゆえに次に「男の子かしら?女の子かしら?」という気持ちに発展してきました。                 
 この「いのちの授業」では、その目まぐるしく動いてきたお母さん・お父さんの当時の気持ちを今一度思い出して頂きたく、そしてお子様が小学校高学年ということもあり、ご両親共々忙しい毎日をおくる最中、忘れかけていた遠い記憶を再び思い起こして頂きたい と思い、行なっております。子供たち自身もこれからだんだんと成長していく過程で脳裏にかすめた遠い記憶として今日のことを心と身体で感じとってくれるはずです。
 「ぼくにはおとうさんがいない・・・。」「私にはお母さんがいない・・・。」などご家庭の事情も様々あると思います。しかし必ず伝えることができ、感じとってもらわなくてはならないことがあります。それはお母さんもお父さんもお互いが大好きで結婚をし、その二人の豊かな愛情をもって限りなく無に近い確率で生まれてきてくれたあなたたちは、かけがえのない愛そのものなのだ ということ。そしてあなたたちをかこみ、おじいちゃん、おばあちゃんを含め、周囲の大人たちからかけがえのない存在として祝福されて生まれてきてくれたことなのです。                                

 やがて子供たちも近い将来大人になり、社会の競争に身をゆだねることになっても自分自身を大切に守り、強い心で相手をもいたわり、この尊い「いのち」について親から子へと伝えてくれることと確信しております。

 最後に もし学校の授業において私を見かけるようなことがあれば遠慮なく「この子の妊娠中は、それはもう苦しかった・・・・。」  「この子が生まれたときは、それはもう大変だった・・・。」
「私が大変だった時、パパはパチンコに行ってた・・・。(笑)など
 当時の温かい思い出や大切な思い出、つらかった事などぜひ教えてください。
お待ちしております。                               

     お子様の心と身体のご成長を心より祈念いたしております。

                助産師 松田洋子