独断的JAZZ批評 854.

JULIAN WATERFALL POLLACK
もしかすると、ポストBRAD MEHLDAUに成りうる逸材かも知れない
"INFINITE PLAYGROUND"
JULIAN WATERFALL POLLACK(p, rhodes, synth),
NOAH GARABEDIAN(b), EVAN HUGHES(ds)
2010年1月 スタジオ録音 (CD 004 JUNEBEAT RECORDS)

初めて耳にしたとき、直感的に、これはいいピアニストで、いいアルバムだと思った。これも松山のジャズ友が教えてくれたピアニストだ。
JULIAN WATERFALL POLLACKは1988年、アメリカ生まれの25歳だ。小さい時には「神童」と呼ばれていたらしい。確かに、才気に富んだピアノ・プレイは十分に刺激的だ。
何を置いても、真っ先に紹介しなければならないと思った。これほどの衝撃を受けたのはMEHLDAU以来かも知れない。
全10曲中、5曲がPOLLACKのオリジナル。残る5曲がスタンダードとカバー曲で良い塩梅で配置されている。

@"SUMMERTIME" 変則的なテーマ演奏から多ビートの演奏にシフトしていく。3者の呼吸もピッタリでバランスも良い。そうこうするうちに4ビートを刻みだし、クライマックスへと駆け上がっていく。一癖ある演奏だ。
A"AND I LOVE HER" 
ご存知のビートルズ・ナンバー。これがまたいいのだ!ベースがテーマを執るが、ビートの強い良い音色だ。一方のPOLLACK、このピアニストが良いのは左手が右手と同様に動くってことかな。左手による速いパッセージが見事!
B"BLUE'S KNOT" 
POLLACKのオリジナル。この演奏を聴いて、MAGNUS HJORTHの"LOCO MOTIF"(JAZZ批評 537.)の中にある"T. N. T"を思い出した。躍動感満載で突っ走る。
C"LILY" 
オリジナルのバラード。シンセサイザも併用しているのだろう。"LILY"の如く優しい曲だ。
D"BLACKBERRY" 
多ビートで躍動する。アーシーな演奏だ。
E"CHEROKEE" 
ミュージシャンが好んで取り上げる楽曲のひとつ。テーマに続くアドリブでは2ビートから4ビートに移っていくその様が良い。最後はフェード・アウトしてしまうのが勿体ない。
F"MY FUNNY VALENTINE" 
原曲の美しさを損なわずに自分の色も出している。軽快なボサノバ・タッチというのも面白い。こういう演奏を聴いているとMEHLDAUを彷彿とさせる。音使いが良くて、よく歌っている。太くてビートの強いGARABEDIANのベース・ワークも素晴らしい!
G"FOREWARNING" 
H"DEATH OF HAMLET" 
哀愁を湛えたテーマ。だが、ベターっとしていない。キレのある演奏だ。やはり、少なからずMEHLDAUの影響を受けているのだろう。初めて聴けば、MEHLDAUだと思う人も多いだろう。MEHLDAUのソロ・アルバム"ELEGIAC CYCLE"(JAZZ批評 278.)を想起させる。
I"TIME AFTER TIME"
 JULE STYNEの書いたバラードを美しく、切なく歌い上げる。いいねえ、痺れるね。これまた、LARRY GRENADIER並の太くて逞しい音色でトリオの根幹を押さえているGARABEDIANのベース・ワークも素晴らしい。

POLLACKの腕前もさることながら、グループとしての完成度も高い。丁度、BRAD MEHLDAU TRIOのように3者のバランスに優れ、丁々発止の演奏も期待できる。
ベースのGARABEDIANがGRENADIERのように強靭なビートを持っているのも嬉しいではないか!ヨーロッパ・ジャズが全盛のころは、アメリカのベーシストはクラッシクの薫陶を受けているヨーロッパ勢には勝てないなあと思っていたのであるが、最近はそうとばかり言えなくなってきた。アメリカのベーシストも基礎がしっかりしてきて音程も良くなり、何よりも強いビートを持っているのが強味だ。
若くて生きのいいピアニストが現れた。もしかすると、ポストBRAD MEHLDAUに成りうる逸材かも知れない。しばらくは目が離せないと思いつつ、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2014.02.25)

試聴サイト : http://julianpollackmusic.com.hostbaby.com/infinite_playground/
          
このサイトではアルバムの全曲をフルに試聴できる!



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