スリリングな展開は痛快ですらある。
その緊迫感と凶暴とも言えるドライブ感が凄い!
"IN CONCERT"
GEORGES ARVANITAS(p), JACKY SAMSON(b), CHARLES SAUDRAIS(ds) 
1969〜70年ライヴ録音(LP:FUTURA RECORDS)

これも前批評同様、LP盤をCD-Rにダビングしてもらったもの。以前、HMVのラインナップにこのCDのフランス盤が掲載されていたので早速注文してみた。が、1ヵ月後に返ってきた答えは「廃盤」

GEORGES ARVANITASは、最近、日本でも人気を博しているピアニストだ。JAZZ批評 10.のような日本プロデュース盤もある。
このLPには、僕が学生の頃、渋谷の「ジニアス」で初めて聴いて度肝を抜かれた記憶がある。すぐに同じ道玄坂の山野楽器に走ったが、置いてなかった。待つこと半年以上経って手に入れたLPだ。

「ジニアス」ではA面がかかることはほとんどなかった。やはり、B面の2曲が凄い。中でも16分にも及ぶ
"INDIAN"が凄い。いくつかの取り決めはあるのだろうけど、ほとんどがフリーのインプロビゼーションだと思う。しかしながら、これがピタッと決まっているのだ。絶妙の呼吸といえる。
ピアノ、ベース、ドラムス、3つの楽器がそれぞれの動きに即応しながらテンションを高めていく、そのスリリングな展開は痛快ですらある。その緊迫感と凶暴ともいえるドライブ感が凄い!ベース・ソロあり、ドラム・ソロあり、2〜3者の絡みありで、自由奔放、変幻自在の演奏を繰り広げる。

B面1曲目の
"AH! LE CHAT"はテーマでいきなりガツンとくる迫力。モード手法(音階を特定しての演奏)を用いてよりフリーな演奏が可能となった。ARVANITASの特徴でもある高音部から中音部へのめくるめく音の流れは、まるでジェットコース-ターのようにスリリングだ。

このCDも是非、再発をお願いしたい1枚。澤野工房からARVANITASのCDは何枚か発売されているが、何故か、このCDだけはない。多分、レーベルの問題なのだろう。
最近のJAZZはこういったハードでドライブ感の強い演奏が少なくなった。甘さに流れ、あるいは、ユーザーの耳を意識した迎合した作品が多い中にあって、極めて異質な作品である。それと同時にプレイヤーがやりたいことをやりたいようにやった達成感を共有することのできる作品である。「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2002.08.10)

<2002.08.19 追記>イタリア盤CD (FUTURA GER 11)
このレビューを書いたすぐ後で、HMVのネット・ショッピングのラインナップにこのアルバムのイタリア盤を見つけて、即、オーダーを入れた。待つこと1週間でゲット。
アナログLPにプラス1曲の全5曲の構成。曲順も変わっている。
イタリア盤やらフランス盤が居ながらにしてゲットできるのはあり難い限りだ。(2002.08.19)


<2005.02.19 追記>
CD盤 (FUTURA GER 11) の収録曲目は以下の通り。
@"AH! LE CHAT"
A"SIXIEME SENS"
B"LE BLUES DU CONCERT"
C"COLCHIQUE DANS LES PRES"
D"INDIAN"
(2005.02.19)



GEORGES ARVANITAS

独断的JAZZ批評 86.