AL HAIG
AL HAIG TRIO "INVITATION"
AL HAIG(p), GILBERT "BIBI" ROVERE(b), KENNY CLARKE(ds) 1974年録音

まさにクールだけど熱っぽい演奏である。
知的な匂いのする演奏ではあるが、それだけに終わっていない。熱っぽく語りかける1970年代のピアノトリオの傑作といっても過言ではない。

1950年台の活躍から遠ざかること10数年。復帰第1作がこのレコードである。
兎に角、「媚」ていないのである。自分のやりたい音楽をやりたいようにやったということが全編から滲み出ている。

最近のピアノ・トリオというと安直に二流のプレイヤーを持ってきて、誰もが知っているスタンダード・ナンバーを弾かせてお茶を濁すようなコマーシャル主義の作品が多いが、これは断じてそういうCDとは違う。骨のある、プレイヤーの主張が表れているCDである。

1曲目がシダー・ウォルトンの作になる "HOLYLAND"。この曲に全てのコンセプトが集約されている。このテーマはなかなか印象的なテーマで一度聞くと耳から離れない。流麗であるけど甘さに流されずに締める所は締めている。丁度良い塩梅の演奏でなのだ。

2曲目がタイトル曲の "INVITATION" 。軽やかな8ビートのリズムに乗ってヘイグのピアノが踊る。転調の妙が印象的な佳曲だ。

3曲目がトロンボーン奏者として有名なJ.J.ジョンソンのバラード "ENIGMA" 。これも美しい曲。以上3曲はテーマがどれも良い。美しくも起伏にとんだ秀作だ。美しい曲が流麗なフレーズを紡ぎだすヘイグの右手をひときわ際立たせている。

ヘイグのオリジナルも3曲含まれいるが全体を通しての統一感がある。美しくも起伏に富んだテーマに恵まれ、ヘイグの洗練されたピアノに見事にマッチングした好演である。
(2002.01.25.)

2002年5月25日追記
何回聴きなおしても飽きの来ない素晴らしい演奏だ。1970年代としては数少ないピアノトリオの名作として "manaの厳選 PIANO TRIO & α" に追加しよう。




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クールだけど熱っぽい
骨があって、プレイヤーの主張が表れている
1970年代を代表するアル・ヘイグの傑作

独断的JAZZ批評 47.