KENNY BARRON
どこから切り取ってもいぶし銀!
"THE EXCELLENT STANDARD JAZZ COLLECTIONS VOL.1 & 2"
KENNY BARRON(p)
2012年2月 スタジオ録音 (EIGHTY-EIGHT'S : EECD-8804〜8805)
前掲のレビューで、いいピアニストはいいソロ・アルバムを持っていると書いたけど、このKENNY BARRONを忘れていた。BARRONには3枚のソロ・アルバムがあるというが不覚にも1枚も持っていなかった。
本アルバムをゲットしてから過去の3枚のうち2枚をゲット出来た。1枚はamazonで最後の1枚であったし、もう1枚は最後の2枚だった。追々、紹介したいと思う。
翻って、本アルバムは同時発売の新譜2枚である。2枚組ではない。1枚1枚独立したアルバムだ。録音日も同日。多分、買いやすいように1枚ずつにしたのだと思う。
このEIGHTY-EIGHT'S LABELは高音質を謳い文句にしている日本のレコード会社。その筋では有名な伊藤八十八氏がプロデュースしている。最近、レビューしたTHOMAS
ENHCOの"JACK AND JOHN"(JAZZ批評 830.)やHANK JONESが90歳で吹き込んだという"BLUE MINOR"(JAZZ批評 629.)もそうした1枚。
VOL.1 "BEAUTIFUL LOVE"
@"BEAUTIFUL LOVE" 大好きな曲の一つ。小細工なしに正面から弾いているのがいいね。いいテーマがあり、いいアドリブがあれば、それだけで十分。
A"BODY AND SOUL" 定番バラードもこの人の手に掛かると生き生きと瑞々しい。
B"UP JUMPED SPRING" トランぺッター・FREDDIE HUBBARDの曲。
C"DON'T EXPLAIN" 僕の中ではこの曲というと、WYNTON KELLYの"PIANO"(JAZZ批評 11.)を思い出す。聴き比べてみるのも面白い。
D"WELL YOU NEEDN'T" BARRONが尊敬するT. MONKの曲。
E"SKYLARK" これも大好きな曲だ。原曲の美しさがそのままストレートに表現されている。
F"AUTUMN LEAVES" いきなりアドリブから入り最後にテーマが出てくる。
G"LOVE WALKED IN" G. GERSHWINの曲。ミディアム・テンポで楽しげだ。左手のベース・ラインが躍動している。
H"MEMORIES OF YOU" フリー・テンポからイン・テンポに。
I"LULLABYE" 唯一のBARRONのオリジナル。
VOL.2 "MY FUNNY VALENTINE"
@"SUMMERTIME" うねるようなイントロからテーマへ。このグルーヴ感が何とも言えない。
A"HAVE YOU MET MISS JONES?" ミディアム・テンポでスイング。左手のベースラインがいいね。指でも鳴らしながら聴きたいものだ。
B"BLACK ORPHEUS (MANHA DE CARNAVAL)" ボサノバ・タッチも素晴らしい。教科書通りのコード進行で進む。マイナス・ワンでベースの練習にいいかも。BARRONと共演だなんて最高だ。
C"EMBRACEABLE YOU" G. GERSHWINの名曲もカラッと陽気に弾いているのがいいね。
D"MACK THE KNIFE (MORITAT)" この曲はSONNY ROLLINSの"SAXOPHONE COLOSSUS"の演奏が有名だけど、この演奏も名演の一つに加えたい。やっていることはシンプル。いいテーマがあり、いいアドリブがある。
E"CALYPSO" BARRONのオリジナル。カリプソ風の爽やかな演奏だ。
F"FLY ME TO THE MOON" 原曲は3/4だが、4/4で演奏している。
G"MONK'S DREAM" T. MONKの書いたブルース・フィーリング溢れる32小節の歌モノ。
H"I THOUGHT ABOUT YOU" ミディアム・テンポでグイグイ、スイングしている。アルコールが美味しくなること間違いなし!
I"MY FUNNY VALENTINE" 最後はRICHARD RODGERSで締め。
タイトルにある様に、VOL 1.もVOL.2もスタンダード・ナンバー集である。
どこから切り取っても素晴らしい!まさに職人気質。やっていることは極めてシンプル。SIMPLE IS BEST!を具現化した。楽曲の素晴らしさをそのまま生かしたアドリブがいいね。
どこから切り取ってもいぶし銀のピアノ・ソロが楽しめるということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。これまた、冥土の土産に持っていきたいアルバムだ。
ピアノ・ソロで2枚は重いという方は好きな楽曲の入ったほうを選べば良いと思う。 (2013.12.02)
参考サイト : http://www.youtube.com/watch?v=YA51U7ceSKg
このYouTubeは1990年のライヴ盤から"SKYLARK"
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