独断的JAZZ批評 829.

BILL EVANS TRIO
CD化に伴う収録時間の増加を別テイクで埋める手法
"SUNDAY AT THE VILLAGE VANGUARD"
BILL EVANS(p), SCOTT LAFARO(b), PAUL MOTIAN(ds)
1961年6月 ライヴ録音 (RIVERSIDE : OJCCD-140-2)


前掲のBILL EVANS "INTERPLAY"(JAZZ批評 828.)に続いて、所蔵アルバムから洩れていたアルバムの聴き直しである。今回はamazonで600円の中古盤をゲットした。
何故、このアルバムが抜けていたかというと、RIVERSIDE4部作を3部作と誤って覚えていたのでこのアルバムが欠落したのかもしれないし、名盤"WALTZ FOR DEBBY"(JAZZ批評 17.)と同日録音なのでどちらか一つで良いと考えたのかもしれない。今となってははっきりしない。
"DEBBY"がスタンダード中心だったのに対し、本アルバムはLAFAROのオリジナル2曲を含んでおり、CD化に際して、別テイクが4曲ほど追加されている。

@"GLORIA'S STEP (take 2)" SCOTT LAFAROのオリジナル。EBANSとLAFAROのインタープレイはここでも健在。MOTIANはスティックではなくてブラシでプレイしている方が邪魔にならない。
A"GLORIA'S STEP (take 3)" 
B"MY MAN'S GONE NOW" 
一説によると、LAFAROのベース音は小さかったという話があるが、このRIVERSIDE盤を聴く限りそういう印象はない。当然、増幅はされていたと思うが、アンプ臭さはないし、アコースティックな箱鳴りの音がする。むしろ、RIVERSIDEシリーズにおけるベースの録音技術は称賛されるべきものだろう。
C"SOLAR" 
確かに、LAFAROがこれだけ速弾きが出来るということはブリッジが低めに設定されて指のひっかかりが少なくなっているのだと思う。でなければ、ギターのように弾くことはかなわなかったと思う。にもかかわらず、しっかりとビートがある。
D"ALICE IN WONDERLAND (take 2)" 
LAFAROのベースは4ビート(ウォーキング・ベース)を刻まないスタイルで当時としては非常に革新的だった。EVANSとのインタープレイはLAFAROのスタイルを象徴するものであった。この革新性こそ、50年経っても未だに色褪せずに歴史に刻まれているという証左である。
E"ALICE IN WONDERLAND (take 1)" 
F"ALL OF YOU (take 2)" 
テーマ崩しで入る。ドタバタしたMOTIANのドラム・ソロを経てテーマに戻る。
G"ALL OF YOU (take 3)" 
この曲はこちらのテイクの方がいい。
H"JADE VISION (take 2)" 
二つ目のLAFAROのオリジナル。何となく始まって何となく終わる。
I"JADE VISION (take 1)"
 

CD化に伴う収録時間の増加を別テイクで埋める手法、しかも、4曲も入れて埋め合わせをするというのはいかがなものか。2曲続けて同じ曲という曲順もどうかな?
LP並の収録時間だと短いと文句が付くのだろうけど、無理して別テイクを入れることもなかった。こういうのを「いらぬおせっかい」という。収録曲数を増やして収録時間の辻褄を合わせればいいってものじゃないし、それよりも、選りすぐりのCDを作るという姿勢を見せてほしいものだ。
そんなこんなで、あえて4枚揃えることもなかった。"PORTRAIT"(JAZZ批評 148.)と"EXPLORATIONS"(JAZZ批評 158.)と"WALTZ FOR DEBBY"(JAZZ批評 17.)の3枚を持っていれば十分と言えるだろう。   (2013.10.23)

試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=knzFrkdV3ok



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