BILL EVANS
10日後に他界してしまうスコット・ラファロと
エヴァンスのインタープレイが凄い!
1900年代を代表するピアノトリオ作品。
BILL EVANS TRIO "WALTZ FOR DEBBY"
BILL EVANS(p),SCOTT LAFARO(b),PAUL MOTIAN(ds) 1961年6月録音

このCDは日本人がこよなく愛し、ピアノトリオの名盤中の名盤とされている1枚。
兎に角、ベースのスコット・ラファロとエヴァンスとのインタープレイが凄い!
エヴァンスのピアノは暗いとか、リリシズムだとかいわれるが、そんなことはない。繊細さと力強さを兼ね備えた演奏である。

1曲目"MY FOOLISH HEART"。美しい旋律のこの曲を切々と歌い上げており、スローなバラードの中にもスウィング感と緊張感が維持されている。
その極みは次のタイトル曲"WALTZ FOR DEBBY"の演奏に表れる。テーマからアドリブに入り、ベースとのインタープレイの妙を発揮する。
ベースのラファロはこの10日後に交通事故で他界するが、ここでは、神がかりともいえる演奏を披露している。このレコードはラファロ抜きに語ることが出来ない。ベースでここまで歌えることが凄い。しかも、40年前の演奏である。ベースが脇役のリズムセクションから自己主張する楽器へと大きく舵取りを変えたベーシストということも出来る。

"MY ROMANCE"。このレコードに入っているこれらの曲は、後世、色々なミュージシャンが演奏をするが、このレコードの印象が強すぎて、どれも2番煎じの感を否めないし、永遠に誰も超えることが出来ないと思わせてしまう。
"MILESTONES"。スピード感と力強さに溢れる演奏。決して甘さにばかりに流されないという証左でもある。

惜しまれるのはエヴァンスもラファロも、既に、他界してしまい、新しい作品を聴くことが出来ないことだ。音楽も日々変化を遂げていく中で、過去のものしか聴けない無念さがある。
今更、分かりきったことといってしまえばそれまでだが・・・。

いずれにしても、このレコードにはJAZZの3要素、即ち、美しさ、躍動感、緊迫感がみっちりと詰め込まれている。何回聴いても飽きの来ない濃密な演奏である。「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。    (2001.08.12)


<2013.10.21 演奏曲目追記>
@"MY FOOLISH HEART" 
A"WALTZ FOR DEBBY" 
B"DETOUR AHEAD" 
C"MY ROMANCE" 
D"SOME OTHER TIME" 
E"MILESTONES" 



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独断的JAZZ批評 17.