独断的JAZZ批評 810.

THOMAS FONNESBAEK
草葉のN・H・O・PEDERSENも教え子の成長に目を細めているに違いない
"SOUND OF MY COLORS"
LARS JANSSON(p), THOMAS FONNESBAEK(b), PAUL SVANBERG(ds)
2012年5月 スタジオ録音 (SPICE OF LIFE : SOL SV-0027)

THOMAS FONNESBAEKは1977年生まれのデンマークのベーシスト。
デンマークのベーシストと言えば、今は亡きNIELS-HENNIG ORSTED PEDERSENを真っ先にを思い出すが、そのPEDERSENに師事したという逸材だ。
今回は、そのFONNESBAEKがリーダーとなったピアノ・トリオ・アルバム。ピアノには北欧の代表的ピアニストのLARS JANSSONを迎えている。
実は、この3人はJANSSONがリーダーとなったトリオ・アルバムを2010年に録音している。"WHAT'S NEW"(JAZZ批評 651.)がそれで、今回と同じメンバー(教え子と息子)を採用してテンションの高い演奏を披露していた。
本アルバムでは"SUMMERTIME"、"AUTUMN LEAVES"といったベタなスタンダードを加えているところが心憎い。これだけの有名曲、普通は避けて通りたいところだろうけど、果敢にチャレンジしているところが心証良し!

@"YOU NEVER KNOW" まず、定型パターンを刻むベースの音色がいいね。太くて深いアコースティックの音色だ。もうこれだけでジャズ・ベーシストとしての魅力が跳ね上がる。
A"NEW HOPE" 
N・H・O・PEDERSENの再来かと思わせるベース・ワーク!正確な運指から生まれる正確な音程と強いビート感。これぞヨーロピアン・ベーシストの面目躍如。
B"SUMMERTIME" 
これもベースの力強い定型パターンで始まる。3人によるアンサンブルが素晴らしい。ピアノ〜ベースと繋いでテーマに戻る。
C"DIVERSITY" 
グルーヴ感溢れるベース・ソロ。流石に、N・H・O・PEDERSENに師事しただけあって、このテクニックは半端ない。更には、箱鳴りしているベースの音色が申し分ない。ソロで聴かせるだけの音色とテクニックを持っている。是非、大音量で確かめて頂きたい!
D"GREEN AS D-MINOR" 
一転して、軽快なボサノバ調。曲がいいので、とても心地よい。メリハリの効いたSVANBERGのドラミングもグッド。
E"PRIMORDIAL" JANSSONがやけに熱い!
F"YOU AND ME" 
口ずさみたくなるような美しいテーマ。ベースがピチカートでテーマを執る。
G"AUTUMN LEAVES" 
何千回、何万回と奏でられてきた「枯葉」をラインナップに加えるのは勇気がいっただろう?奇を衒わずに正々堂々とチャレンジしているのが好感持てる。ベースが4ビートでグイグイ引っ張り、JANSSONのピアノも熱く歌っている。こういう外連味のない演奏には心からの拍手を送りたい。
H"ISLE OF NONANIAH" 
一転して、牧歌的な曲想。素晴らしいベース・ワークだ。
I"EL BAJISTA" 
JANSSONのオリジナル。8ビートでグルーヴ感満載の演奏。JANSSON自身もやけにハイテンション。これは楽しい。
J"SPRING WALTZ" 
タイトルの如く、明るく爽やかなテーマもFONNESBAEKの図太くてがっしりしたソロでテンションがドンドン高まっていく。
K"SOULMATE"
 LARS JANSSONがリーダーとなった"WHAT'S NEW"に比べると力強くグルーヴィ。一番の刺激を受けたのはJANSSON、その人だったかもしれない。

12曲中9曲を提供したFONNESBAEKのオリジナルがとてもいいね。グルーヴ感溢れる曲から軽快なボサノバ・タッチまで、どれも楽しめる。
それと、LARS JANSSONがリーダーとなった"WHAT'S NEW"では自己を控えていたのに対し、自身がリーダーとなったこのアルバムでは、やりたいことをやりたいようにやっているのがいいね。今回は大先輩のJANSSONを脇に従えているものね。明らかにFONNESBAEKの色に染まったアルバムで、まさに"SOUND OF MY COLORS"と言えるでしょう!
これからの更なる活躍を期待しながら、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。草葉のN・H・O・PEDERSENも教え子の成長に目を細めているに違いない。   (2013.06.18)

試聴サイト : http://spiceoflife.shop-pro.jp/?pid=58570962



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