HERE COMES EARL "FATHA" HINES
EARL HINES(p),RICHARD DAVIS(b),ELVIN JONES(ds) 1966年1月録音

ジャケットの写真を見て欲しい。ベースのリチャード・デヴィスとエルヴィン・ジョーンズの若いこと!36年前の録音。当時の若手のホープが、ジャズの「父」アール・ハインズ(当時、60歳だったらしい)と共演した力作。

まずは5曲目の "THE STANLY STEAMER" から聴いてい欲しい。デヴィスのベースが唸りをあげ、エルヴィンの太鼓が煽る。その上を、御大・ハインズのピアノが気持ちよさそうに歌う。実に若々しいハインズの演奏である。

デヴィスのベースは凄いの一言。ビート感に溢れ、まさに「唸っている」のだ。「ジャズ・ベースの原点、ここにあり」という具合で。そこに、力強くも軽やかに踊るエルヴィンの太鼓が加わるのだから、鬼に金棒。
最近、テクニックを売り物にするベースが多いが、テクニック以前の「ベースに何が必要か」を教えてくれる演奏である。伸びやかな艶のある音、スピード感、ドライブ感に満ち溢れている。
6曲目 "BERNIE'S TUNE" は更にスピードを増して突っ走る。
7曲目 "DREAM OF YOU" は、一転して、ミディアムテンポの軽やかな演奏。
そして最後に、4曲目の "SHOE SHINE BOY" を聴いてみよう。ここでの、ベース・ソロは本当に凄い。ウォーキング・ベースの凄さ楽しさを堪能できる。4ビートを打つだけで凄いという代物。エルヴィンのブラッシュワークも軽快だ。
ここまで聴けばもう、満足。多分、ウォーキング・ベースの力強さとスィング感を堪能できたに違いない。

最強のリズムセクションを抱えて、御大もエルヴィンも乗りに乗った、世代を超えた名演。エルヴィンとデヴィスは後に "HEAVY SOUNDS"(JAZZ批評 357.) という名盤も出している。タイトル通りの「ヘヴィー」な演奏である。これもお奨めの1枚だ。

近年、でっぷりと太ったリチャード・デヴィスは重低音シリーズ "THE BASSIST〜巨匠の真髄〜" を出しているが、残念ながら、これと比べたら「メじゃないね」。 (2002.01.10.)

<2006.07.15 追記>
超ベテランのピアニストと若手の組み合わせの好例としてこのアルバムを紹介しているうちに、改めてこのアルバムの素晴らしさに感嘆!感動!感激!
活きの良いRICHARD DAVISとELVIN JONESの凄さが堪能できる。勿論、"FATHA" HINESも活き活きとしている。DAVISのベース・ソロには唸るなあ。ジャズ・ベースの原点、強いビートとよく歌うベース・ソロが聴きもの!今時のプレイヤーにこれだけの音色を出せるベーシストはそうはいない。しかし、1966年もの昔にこんない素晴らしい録音がされていたというのも驚きだ。これぞベースの音色でしょう!録音技術は40年経ってもそんなに進歩していない?
遅ればせながら、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2006.07.15)



ウォーキングベースの真髄
今時の軟弱なベーシストはこれを聴け!
EARL HINES

独断的JAZZ批評 44.