独断的JAZZ批評 778.

NAOTO NISHIKAWA
次のアルバムはデュオで!
"NAOTO NISHIKAWA TRIO"
西川直人(hammond B3 organ), 菊池太光(p), 横山和明(ds)
2012年6月 スタジオ録音 (自主制作)


僕のレビューの中でオルガン・アルバムというのはほとんど記憶にない。それで、デスクトップ検索をかけてみたら2枚だけあった。
LARRY GOLDINGSがリーダーとなって、ドラムスにBILL STEWARTが参加した"MOONBIRD"(JAZZ批評 545.)がその1枚。但し、編成はオルガン、ギター、ドラムスだ。
もう1枚がBILL STEWARTがリーダーとなった"INCANDESCENCE"(JAZZ批評 483.)で、編成も同じオルガン、ピアノ、ドラムスの変則(?)トリオだ。
ジャズ友のお勧めで、久しぶりにオルガンを聴いてみることにした。
アルバムをゲットして思ったのであるが、このジャケット、どう見ても宮崎駿の「魔女の宅急便」に出てくるワン・シーンみたいだ。黒猫は「ジジ」って言ったけど、街並みもヨーロッパの風情だ。

@"SPRING" 最初に気になったのはドラムスの音が良くないのだ。くぐもっていて、それでいて、ドタバタとうるさい。ピアノもオフ気味で、全体の音響バランスが良くない。レコーディングはORGAN JAZZ CLUBというところで行われたようだ。ハモンドオルガン B-3というタイプを常設している数少ないスタジオらしい。
A"KAKKOU" オルガンというのは両手のほかに足まで使うのだから、尋常の人間にはとてもこなすことが出来ない楽器という印象が僕にはある。
B"BLUEMAN" 録音バランスの悪さが全てを台無しにしている。
C"GONE WITH THE WIND" スタンダード・ナンバーから「風と共に去りぬ」 どうやら、この曲はオルガンとピアノのデュオらしい。何かとてもすっきりして、なおかつ、二人が乗ってるね。実にスインギー。ドラムスには悪いけど、デュオの方が断然いいね。
D"ANTIQUES & THE LIBRARY" ああ、ドラムスがやかましい。単に録音が良くないのか?配慮が足りないのか?・・・興が覚める。
E"FAST STEPS" 躍動感あふれるテーマに続いてピアノがソロを執る。このピアニストは面白いね。まだ27歳と若いし、これからが期待できそう。オルガン〜ドラムスとソロが渡り、テーマに戻る。トリオの演奏の中ではこれが一番!
F"SINCE I FELL FOR YOU" バラード。こういう演奏の方がオルガンらしさみたいなものがあっていいな。ピアノとのコンビネーションもいいし、二人とも伸び伸びとしている。ピアノの菊池のセンスがいいね。ドラムスがブラシを使っているようで、聞き耳を立てないとその存在が分からない。それが、かえって良かった。

オルガンとピアノ、ドラムスという組み合わせはどうなのかなあ?と思っていた。が、聴いてみると意外と違和感がない。というよりもピアノとオルガンは親和性が高いと感じた。このトリオに限って言えば、オルガンとピアノのデュオのC、トリオではEとブラシを使ったFが良かった。僕はこの3曲ばかりを繰り返して聴いていた。
残念なのは録音がお世辞にも良いと言えないことだ。特に、ドラムスの音色とバランスはNGだ。オルガンがリーダーだからオルガンが大きくフィーチャーされるのは仕方ないとしても、ピアノがオフ気味なのが残念。でも、この二人のコンビネーションはグッド!次のアルバムはデュオで!なんて期待してしまう。
3人ともまだまだ若いし、めげずに頑張ってほしい。ジャズの次の世代を担うのは君たちだから・・・!   (2012.11.06)

参考サイト : http://www.youtube.com/watch?v=Efg3O_TAPRk



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