MIKE DOWNES
これは拾い物だった
"THE WINDS OF CHANGE"
DAVE RESTIVO(p), MIKE DOWNES(b), TED WARREN(ds)
2003年6月 スタジオ録音 (TOP FROG : TF 0401)


先日、正月休みを利用して御茶ノ水のdiskunion jazzTOKYOに行ってきた。今、話題のジャズ・ショップだ。場所もJR御茶ノ水駅から1〜2分程度と近く、ジャズ・ハウス"NARU"と目と鼻の先。目的は話題のショップの確認とCDの買取依頼だ。ネットで確認すると、今なら通常の20%アップの査定をしてくれるという。持参したアルバムの枚数は51枚。僕の評価で4つ星だったアルバムが中心だ。今までは3.5星以下を買取の対象としてきたが、置き場所がままならなくなってきたので、4つ星の中から今後聴きそうもないアルバムをピック・アップして買い取ってもらおうという寸法だ。(将来的には、手元に残るのは星4.5以上のアルバムに多分なるだろう。そのための伏線でもある)
その成果というと、まさに狙い通り。1枚あたりの買い取り価格は、経験則で言うと僕の所持アルバムの場合は600円〜650円が平均だ。ある程度傷もあるのでCDの状態が「B」評価のアルバムが大半だ。その評価から20%増しのキャンペーン評価を加えてくれるなら1枚あたり800円くらいにはなりそうだ。全部で51枚を買い取ってもらって合計金額が4万円+α。ざっくりといえば、1枚あたり800円だ(ほぼズバリ賞だ)。
その買取価格を原資にして購入した中古盤がこのアルバム。わずか900円。こいつぁ得したと思ったので他のアルバムの順番を無視して最優先で掲載した次第。あと2枚ばかり新譜を購入したのだが、それは後日ゆっくりと紹介したいと思う。
因みに、査定の最高評価は12月下旬の新譜、SCENE OF JAZZの"NIGHT AND DAY"(JAZZ批評 671.)で1400円、最低評価は新譜時に1200円で購入したアルバムで240円という具合だった。客観的に見てブレのない評価だと思う。中古市場のアルバムの人気度までは分からないし、アルバム毎の特記事項を読んでみると実によく研究されていると思う。あとはdiskunionの査定を信じるしかないだろう。どっちにしても手元に置いておくことは出来ないのだから・・・。
このアルバムは前掲のRICHARD WHITEMANの"GOOVEYARD"(JAZZ批評 672.)でベースを弾いていたMIKE DOWNESのリーダー・アルバム。良いベーシストだなあ思っていた矢先、思いもよらない邂逅にびっくりして購入した次第だ


@"GEMINI" この曲からDまでは"SUITE FOR S.A."というサブタイトルがついている。しかし、S.A.が何を指すのかは不明だ。思っていた通り、DOWNESは素敵なベースを披露してくれた。
A"JESENJE LISCE INTRO"
 ここではDOWNESのふくよかなアルコ奏法を聴くことが出来る。
B"JESENJE LISCE"
 ユーゴスラビア民謡とある。ピアニストのRESTIVOのクリアで瑞々しいタッチが心地よい。
C"AS IS" 
DOWNESがベースの倍音を上手く利用して乗りの良い演奏を聴かせる。なかなかのテクニシャンでもある。
D"THORNS TO STARS" 
DOWNESのオリジナル。DOWNESはアルバムの中で全部で8曲のオリジナルを提供している。マイナー調の哀しげなテーマだ。

E"RED WREN SANG AT U" 
ピアニスト、RESTIVOの曲。
F"ODE TO LUCKY LUKE" 
ここでもベースの倍音を基調としたテーマを奏でている。確かにこういう演奏は最初は新鮮に聞こえるのだけどあまり何回も繰り返さないことだ。
G"THE TRAIL" 
今度はドラマー、WARRENの曲だ。牧歌的な雰囲気を漂わせた佳曲。
H"SUNRISE" 

I"GOLDEN EARRINGS" 
これはVICTOR YOUNGの曲。このアルバム、唯一のスタンダード・ナンバー。過去にはRAY BRYANT(JAZZ批評 41.)の名演がある。美しいテーマにもかかわらず、徐々に高揚感を増した4ビートを刻みだす。DOWNESの力強く良く歌うベース・ソロとドラムスとの4小節交換を経てテーマに戻る。なかなかグルーヴィでいい演奏だ。
J"PRAYER" アンサンブルを軸とした少し大仰な演奏。
K"ANY CHANCE TO PRANCE" 
昔を懐かしむかのような8ビート。
L"THORNS TO SYARS (repris
e)"

前掲のアルバム"GROOVEYARD"の録音年が1995年。このアルバムが2003年である。このアルバムのリーダー・MIKE DOWNESは自身のホーム・ページの写真を見る限り未だ若い(年齢は不明)。カナダでも引っ張りだこのベーシストであるらしい。この演奏を聴けばそれも頷ける。
中古で見つけたアルバムであるので、現在、入手が可能かは分からない。これは拾い物だった。こういうことがあるから中古マニアは中古盤漁りをやめられないのだろう。   (2011.01.08)

試聴サイト: http://www.mikedownes.com/discography.html



独断的JAZZ批評 673.